「んあぁ~~~、……疲れた。」
「まあ、なんだかんだで5時間は歩いたからな。」
夕焼けが照らす中、俺と生介は駅に向かって歩いていた。
「……今日はありがとな、付き合ってくれて。」
「ん?あぁ、別に良いさ。
やること無くて暇だったし、お前にも会いたかったからな、丁度良かったよ。」
「そっか、そりゃ良かったよ。」
「すみません、そこお二人。」
『ん?』
肩を叩かれながら呼び止められ、二人して怪訝な顔をしながら振り返ると、サングラスを掛けた黒づくめの男が二人、俺達の後ろに立っていた。
「失礼、我々はこういう者です。」
そう言いながら片方の男が端末を取り出し、情報を映しだした。
映しだした情報には男の名前と顔写真、そして、
「国家保安警備隊!?
テロ対策にできた、っていう噂の?」
「本物か?
初めて見たぞ?」
「そう言う詐欺事件も確かにありますが、それなら職業証明書を提示することは出来ません。
何故ならば、この証明書には幾重にプロテクトが掛かっており、同じ物はおろか、似た様な形のも作ることは出来ません。
なのでご安心を、我々は本物です。」
そう言い男達は俺達に笑みを見せた。
まあ、正直怖いとしか思わなかったけど。
「それで、俺達になにか?」
「実は、テロの実行犯らしき人物がいたとの情報がありまして、失礼ですが端末を確認させてください。」
「ん~。」
「まあ、そういうことなら。」
そう言って俺達は自分の端末を取り出すと、情報を映しだした。
男達はそれを確認すると、自分達の端末を近づける。
ピッという音がした後、男達は端末を離して自分の端末を確認した。
しばらくして、
「確認完了しました。
ご協力ありがとうございました。」
そう言い頭を下げ、すたすたと別の方へ歩いて行った。
「……テロの実行犯ね~。
やれやれ、物騒なもんだ。」
「おや?
そんな反応なのか?
お前のことだから、「おし、見つけ出してスクープとったる!」みたいなことを言うかと思ったけど?」
「あのな、いくら俺でも、なにも情報は無し、そいつの影も掴めて無い状態で、追いかけるほど馬鹿じゃねえよ。」
「ほ~、お前にしては、まともな考え方だな。」
「どういう意味だ、こら。」
「聞いたそのままの意味だ。」
「なんだと!?」
「じゃあ聞くが、仮に情報や、目の前に怪しいやつがいたら?」
「もちろん全力で追いかける!!」
「そんな返答をするのをわかっているから、こっちはそう言ってんだ!大馬鹿野郎!!」
「なにを~!!」
お互いににらみ合いながら、俺達はおでこをぶつけ合う。
「知ってか?
馬鹿って言った方が馬鹿なんだぞ!」
「お前は小学生か!?」
「残念ながら違う。むしろ小学生なら行っているわ!」
「…なんでだ?」
「勝算(小3)があるからだ!」
「アホかお前は!!
こっちは真面目に「俺だって至極真面目だ!」……なに?」
俺の怒鳴り声に怪訝な表情をしながら、俺達はゆっくり離れた。
「……お前、俺の夢、…知っているよな?」
「ああ、「喋ってギャグれるジャーナリスト。」だろ?
何度も聞いたが、正直ギャグれる必要は無いと思うぞ。
それがなんだ?」
「……俺はどんなぎりぎりの時でもギャグるのを忘れる気はない。
何故なら、それは常に考え、心に余裕がある。ってことだからだ。
考えることを止めたら、そこで終わりだから。
だから俺は考えのを止めない、まだ死にたくないし、俺のことをなんだかんだで心配してくれる友人のためにもな。」
そう言って俺はニィっと、笑ってみせた。
生介は、自分の本心を見透かされて恥ずかしかったのか、顔を少し赤くしながら顔を逸らした。
「……そう思うなら、ちょっとは自重しろ。」
「たはははは、わりいな、それはちょっと難しそうだ。
まあ、善処するよ。」
「……まったく、厄介な友人を持ったもんだ。」
「そんな俺も嫌いじゃないくせに。」
「……マジで、友達辞めようかな?」
「冗談だから!
マジで言ってないから!」
「ハハハハ、ソンナノワカッテルサ、冗談ダヨ、冗談。」「目が笑ってねぇよ!!
っていうか、めっちゃ棒読みじゃねえか!!」この後も、さっきと同じように大声でボケ合い、ツッコミをいれ合うが、さっきまでの嫌悪な空気はなく、ただただ笑みを浮かべ合いながら、駅へと向かって行く。
楽しい時間っというのは、本当にあっという間に過ぎるものである。
駅まで15分という道のりも、気の合う相手がいるだけで、本当に短く感じるものである。
「今日は本当にありがとうな。」
「だから気にするなって。
俺も楽しかったよ。
ありがとうな。
じゃあ、俺向こう側だから。」
「ああ、また会おうな。」
「応、また誘ってくれ。」
そう言って生介は、反対側の階段を登って行った。
俺も階段を登りホームにつくと、丁度生介側の電車が見えてきた。
「じゃあな~!」
「またな~!」
互いに手を振り合っていると、電車がホームに止まり、彼が乗り込むのが見えた。
その数秒後、ベルの音共に扉が閉まり、電車が動き出した。
もう一度手を振り合いながら、俺は電車が見えなくなるまで見送った。
「うーん、今日は本当に疲れたな。」
そう言いながら体を少し伸ばし、窓の横のボームの壁に寄りかかった。
窓から外を見ると、建物がところ狭しと立ち並び、ほとんどぎゅうぎゅう詰め状態だった。
下の方を見ると裏通りだからか、人通りはほとんどなく、ちょっと寂しい雰囲気を醸し出していた。
俺は窓から目を離し、壁に寄りかかり直す。
しばらくすると俺側にも電車が見えてきて、もう数秒後には着くだろうと思い、前にでようとした、その時だった。
「ん?」
それはたまたまだった、本当にたまたまもう一度窓から外を覗いた時、連なった建物と建物の間から、一人の青年が顔を覗かせた。
彼は周りをキョロキョロと見渡し、辺りに注意を払っていたみたいだが、まさか上の方にある駅の窓から見られているとは思ってなかったらしく、周りに人が居ないことを確認すると、間から出てきて大通りへと歩き始めた。
「………いやいやいやいや、ちょっと待て!
あり得ねえだろ!?」
そう言いながら我に還った俺は、もう一度外を見た。
さっきと変わらずに、建物はところ狭しと立ち並んでいる。
そう、建物と建物の間に、人が通れる隙間なんて無いぐらいに。
「……どういうことだ、これ。」
今目の前で起きた怪現象に戸惑っていると、丁度電車がホームに止まる。
今、俺の目の前に2つの選択肢がある。
一つは今のを忘れ、電車に乗って帰ること。
もう一つは今の青年を追いかけること。
正直な所、彼からは危険な気配がする。
情報も準備も出来てない状態で追うには、非常に危険である。
(「……そう思うなら、ちょっとは自重しろよ。」)
さっきほどの生介の言葉が頭に浮かぶ。
あいつには色々と恩がある。
だから、あいつの言葉を無下にしたくもなかった。
プシューっと、音と共に電車の扉が開く。
そして俺は、その電車に乗り込んでいった。
改札口を抜け、駅から出た俺は、静かに大きく息を吐いた。
(これでいい、これでいいんだ。)
そう心で呟きながら、もう一度大きく深呼吸をして、
「……行くぞ。」
そう呟きながら駆け出した。
一度乗った電車を降りて改札口に行く前に、ホームの大通りが見える窓から、遠くを歩く青年を見つけていた。
あとは、彼が見える所まで素早く移動するだけだ。
「あいつにバレたら、怒られるだろうな。
とはいえ、なんか感じるもんがあったんだ。
許してくれよ。」
そう言いながら、心の中で生介に詫びつつ、携帯をマナーに変えておく。
「………!見えた。」
ようやく青年を見つけ、安堵のため息をつきつつ彼に近づき、残り100mぐらいの距離でゆっくり速度を落とした。
あとは付かず離れず、この距離を保って跡を追うだけだ。
さて、鬼が出るか、蛇が出るか。
なにが起こるかわからない現状で、俺は不謹慎にも若干ワクワクしながら、青年の尾行を続けた。
というわけで、3部分に分けての投稿させていただきました。
楽しんでいただければ幸いです。
怪人、ライダー共に次回話に出る予定です。
では