仮面ライダーハッカー   作:六界の魔術師

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DISK6 潜入と真実(後)

「……ところで、お前の言っていた真実っていうのは、今の話のことなのか?」

「いや、違うよ。

今の話は、あくまでもこの世界のことを話しただけであって、君が知るべき真実は、今の話の先にある事柄だ。」

「今の話の先?」

打ち込みを再開して少したった頃、俺は気になっていた事柄を切り出したわけだが、彼の言葉に怪訝な表情をした。

今の話だけでも十分衝撃的だったのに、更に奥があると言われれば、怪訝な表情ぐらいする。

「……君は、今の世界が変だと思ったことはないか?」

「変って、なにが?」

「言い方を変えよう。

君はその端末をどう思う?」

「どう?って、あって当たり前の物。

便利だけど、不便な所もある物。かな?」

この端末は産まれた時に用意され、5歳になる頃に渡される様になっている。

そして、常にそれを持ち歩く様に義務化されている。

機能自体はとても便利で身分証明書にもなるし、財布代わりにもなるし、ネットにも繋げれるので、パソコン代わりに持っている人もいる。

防犯もしっかりしていて、機能は自身の指紋を読み取らせないと使えないし、ハッキングも出来ない様に多重にプロテクトが施され、仮に忘れそうになっても、100メートル離れたら大きな音がなる様になっている。

とはいえ、無いとなにもできないし、義務化もされているので、常に持ち歩かないといけないから、面倒な部分は結構あった。

とはいえ、端末自体に問題があるわけではないので、文句を言う人はほとんどいなかった。

「で、この端末がどうかしたのか?

まさか、これによって人々は悪の組織に管理されてるとか?」

「……よくわかったね、その通りだよ。」

「え?嘘、マジなの!?」

冗談で言ったことを肯定され、戸惑う俺を彼は至極真面目な顔で見ていた。

「君は、なにをするにも端末が必要になることを、妙だとは思ったことはないか?

そして、その理由を考えたことはあるか?」

「……いや、特に考えたことはないな。」

産まれた時からずっと一緒にあって、端末があることが当たり前になっていた。

そういうものなんだと、疑問にも思わなかった。

「義務化されているとはいえ、その端末はとても便利な物だ。

不便な所があっても手放せないほどにね。

でも、義務化されているのは、おかしな話なんだ。

携帯電話を思い浮かべると良い。

あれも色々と便利ではあるけど、義務化されることはなかった。

それは何故か?

理由は別に使わなくても大丈夫な人が存在したから。

だからこそ、義務化されなかった。

それゆえに奴らは、その端末がなければなにもできないシステムを作り出したんだ。

端末に様々な便利な機能をつけたのも、受け入れやすくするためだ。

やがてその端末は、全ての人に無くてはならない物になった。

それこそが奴の思惑通りと知らないでね。」

「いったい、いったいなんのために?」

「奴らが、自分達の管理しやすい世界を作るためさ。」

そう言って彼は、自身のノートパソコンのエンターキーを押した。

次の瞬間、今まで真っ暗だった画面がパッと明るくなり、色々な人の写真がズラリと並んでいた。

写真の横には名前の他、様々な情報が書いてあった。

「こ、これは!?」

「ここに集められていた、端末の情報の一端だ。

君達が持っている端末は、なにかを行動したり認識したりすると、自動的に情報を奴らのデータベースへ密かに送信しているんだ。

そうして奴らは危険分子を探したり、人々を効率よく管理しているんだ。」

彼の言葉を聞きながら、俺は体がブルッと震えていた。

自分の知らないところで、こんな恐ろしいことが起きていたなんて想像もしなかった。

そして、それを成す組織のデカさに、今更ながら若干の恐怖心を感じた。

「…なあ、お前の言う奴らって、いったい何者なんだ!?

どういう存在で、どんだけの規模なんたよ!?」

彼はしばらく黙ったまま画面を見つめ、ゆっくりと口を開いた。

「……ルートキット。

それが奴らの組織の名前だ。

その組織は、元はWorld Compsehensive Intelligence Agencies。

世界総合情報機関、通称WCIAと呼ばれる組織の一部門に過ぎなかった。

そのWCIAっていうのは、表向きは世界のありとあらゆる情報を集め、無料又は、低価格で提示、提供する機関だったが、裏では個人情報に裏取引の情報、果ては国の機密すらも売買していたそうだ。

そしてルートキット、当時は違う名前だったらしいが、その組織の中で情報のデータ化、管理を司る部門だったらしい。

そしてある時、電脳世界を作る計画がうち出され、それにその部門が中心メンバーとして選ばれたんだ。

やがて、世界中の古今東西の情報をデータ化して、あいつらが情報をまとめる為作り出したシステムをベースにして、この電脳世界が産み出された。ってわけさ。

やがて、例のシステムが組み込まれ、奴らはこの世界を裏から支配し始めた。

まあ、ベースがベースだから、奴らも例のシステムを組み込むのも楽だったんじゃないかな?」

「うーん、でもさ、例えデカイ組織だったとしても、たかだか一部門なんだろ?

そんな大それたことなんて出来るのか?

そもそも、古今東西のありとあらゆる情報をデータ化、って簡単に言うけど、そんな簡単なことじゃねえだろ?

そいつらは、そんなに優秀な奴らだったたのか?」

「そう、そこが謎なんだよ。」

「…………は?」

「実は、電脳世界が産まれるまでの経緯や技術については謎が多くて、僕も全てを知り得てないんだ。

奴らの主要メンバーの名前も未だにわからないけど、どうやらそこまで優秀ではなかったみたいだ。

政府から優秀な学者や技術者も送られていたみたいだけど、彼らも違うみたいなんだ。」

「……謎だらけなんだな。」

「残念ながらね。

さて、話は一段落ついたし、そろそろ目的の物を取りに…。」

そう言いながら、彼が立ち上がろうとした、その瞬間

 

-ヴゥ~~~~~、ヴゥ~~~-

 

突然けたたましいサイレンの音が響いた。

「な、なんだ!?」

「馬鹿な、警備システムが作動している。

まさか、ウィルスを駆除しきったというのか!?」

「……もしかして、俺と話してたせいか?」

「いや、関係ない、油断した。

ウィルスは前回より強力にしていたから大丈夫だと思った、僕の慢心のせいだ。」

「と、とにかく、逃げよう!

いつまでもここに居たら、不味いだろ?」

悔しそうにする彼に、俺はそう言いながら扉へ向かおうとするが

「残念だが、そうはいかんな。」

その声と共に突然扉が開き、そこから骨のような柄がついた全身黒のタイツ姿の男達が、ぞろぞろと俺達を囲む様に入ってきた。

タイツ姿の男達が全員入った後、一人の男(?)が部屋に入ってきた。

男だと思ったのは、声が男の声だったから。

(?)を入れたのは、

「………蜘蛛?」

その姿が人に見えなかったからである。

はっはははは、おいおい、その姿、まるで映画や漫画に出てくる怪人みたいじゃないか。

冗談も程々にしてくれよ。

そうツッコミを入れ様と思っていたが、何故か声にできず、乾いた笑い声しかでなかった。

……いや、わかってんだよ。

この雰囲気が、嫌でも冗談じゃないって伝えてくる。

これは本当に不味いだろ!

「………久しぶりだな、会いたかったぞ!」

俺が内心慌てていると、蜘蛛男(仮)は神無月の方を見ながらそう言った。

いやいや、というか、

「…知り合いなのか?」

「いやいや、それなりに特殊な育ちはしているけど、さすがに蜘蛛の知り合いはいないよ。」

「そうか、だよな~。」

正直なところ、一瞬本気にしかけたが、本気で嫌そうな表情してる辺り、本当に違うようだ。

「まあ、知らなくて当然だろうな、私もお前のことは、画像でしか知らないしな。」

「どういうことだ?」

「私は、先日お前がディスクを盗んだ研究所の所長だ。

お前を逃がした責任をとらされ、こうして改造をされたのだ!」

「…改…造?」

「…さっき僕は、古今東西ありとあらゆる情報をデータ化した、っと言ったよね?」

「あ…、ああ、言っていた。」

「その情報は、残念ながら正の情報だけではなかったんだ。」

「…どういうことだ?」

「かつて現実世界では、闇より支配しようと企む者達がいた。

ショッカー、デストロン、ゴルゴム、バダンっといった秘密結社。

グロンギ族、アンノーン、オルフェノク等の怪人達。

そういった闇の者達の情報もデータ化され、この世界に組み込まれているんだ。」

「……闇の組織の見本市かよ。

っていうか、節操なさ過ぎだろ!」

「同感だね。」

俺のツッコミに、神無月は苦笑をしながら頷いていた。

「どんな経緯があったかは知らないが、私はその技術をもってこの体を得た。

そのせいで私は、

そのせいで私の妻は、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

惚れ直されたみたいでな、昔以上にラブラブになってしまったわい!」

ぐわはっはははは!っと高笑いしながら、彼は嬉しそうに頭を掻く。

……うん、それって、むしろ。

「……改造されて、良かったんじゃないのか?」

「いや~、まったくだ。

人生なにがプラスになるか、わかったもんじゃないわい。」

そう言って、また嬉しそうにぐわはっはははは!っと高笑いする蜘蛛男。

さっきまでの緊迫の雰囲気はどこへやら?という感じである。

………うん、反応に困るな、これ。

「まあ、そういうわけで、私は少しだけ感謝している。

だから、本来なら侵入者は即死刑なのだが、選択させてやろう。

おい、奴らを連れてこい。」

『イィー!』

横にいた数人が足を揃え、右手を斜め上にビシッと挙げて返事をすると、扉から出ていった。

……揃ってやってると、意外と格好いいな、あれ。

「選択肢は2つ。

まず1つ目は、組織に入り、絶対服従を誓うこと。」

『イヤだ!』

「……まだ2つ目を言っていないんだが?」

「でも普通に考えて、服従はイヤだろ?」

「ん~、まあな。

だが、その場合。」

「イィー!」

「入れ。」

その言葉と共に扉が開き、さっきの出ていった男達が、す巻き状態に猿ぐつわをされた2人の男達を連れてきた。

男達が2人を乱暴に放ると、2人はうめき声をあげながら倒れた。

……ん?よく見たらあいつら、俺達に職質してきた奴らじゃねえか。

「コイツらは、その男の偽情報に踊らされ、ここまで潜入を許す結果になった。

このミスはけして許されない。

よって!」

そう言い右手を口で覆い、次の瞬間。

「カァァァァ、ペッ!!」

男達に向けて、口から紫色の液体を吐き出した。

吐き出された液体は放物線を描き、男達に降りそぞぎ、そして……、

 

 

 

 

 

………うん、今目の前で起きていることを、そのまま話すぜ。

さっきまでいた男達が、3分足らずで服、縄も残さずに、跡形もなく消えてしまった。

連れ去られたとか、逃げ出したとか、手品や魔術とかいった、そんなちゃちなもんじゃねえ。

というか、そっちの方が幾分かマシだ。

もっと恐ろしい、どす黒いものを感じるぜ。

「……大丈夫か?」

「……脳内でボケられる程度には。」

心配そうな表情で神無月が聞く辺り、俺の顔色は結構ヤバいんだろう。

まあ、あんなもん見せられたら、顔色も悪くなるわな。

むしろ吐いたり、失禁しなかったことを褒めてやりたい。

………あ~、そこで情けない奴だな~。って思った、あんた。

人間や色んな物が溶けていく様を、3分ばかりじ~~~~~っくりと見てみやがれ。

苦悶の表情とか、ぐもった悲鳴とか、肉の溶ける臭いとか、暴れてたのが段々弱々しくなる様とかetc

あんなの見てたら普通発狂するぞ!

 

「………本当に大丈夫なのか?」

「逆ギレが出来る程度には回復した。」

人間、時には怒りも必要だね、今実感したよ。

「さて、見てわかってもらった様に、我々は反抗する者、裏切り者、使えない者には容赦しない。

我々に忠誠を誓わないのであれば、次は貴様らがああなる。」

そう言って蜘蛛男は、2人がいた所を指差した。

「……このまま黙って帰してくれる。っていう選択肢は?」

「ない。

これでも大分譲歩してやった方だ。

さあ、選べ。

死か、服従か!」

まあ、だよな。

となると、死にたくなけりゃほぼ1択か~。

やれやれだな。

まあ、賢くやらなければ生き残れないし、生きてこその物種っていうしな。

だから、ここの答えは当然、「冗談はあんたの口臭だけにしておけ、オッサン。」

「……なに?」

「何度でも言ってやらぁ!

あんたの口臭が臭すぎて話になんねぇ!

人を誘いたきゃ、その口臭以上に臭え心を、叩き直してからにしやがれ!」

俺の罵倒に蜘蛛男は信じられない者を見る様にしながら、口をパクパクとさせていた。

「……それに、自分の心を殺して、あんたらに従いながら生きるのは、死んでいるのと同じ事だ。

だから、俺は絶対に従わない。

それが俺の信じる事だから!」

そう言いながら俺は胸を張った。

間違っていないっと、そう自信をもって言えたから。

まあ、もっとも、

「……そうか、良い覚悟だ。」

そう言う蜘蛛男の肩はプルプル震えている。

「ならば、その覚悟に殉じて死ぬがいい!」

そう言いながら右手を口元にもっていく。

まあ、そうなるよな~。

悔いは………、なくはないが、まあいいさ。

自分に殉じたんだ。

じいちゃんも、笑って許してくれんだろう。

生介、悪いな。

先に逝くぜ。

そう思いながら、俺は覚悟を決めた。

なるべく楽に死にたいな~。と考えていると、

「……ふふ。」

「ん?」

「ふふふふ。」

「んん?」

「あはははははははははは!!」

隣にいた神無月が急に大笑いをし始めた。

あまりに笑うので若干引いていると、漸く気がすんだのか、荒く息をしながら笑い止んだ。

「…なあ、なにかそんなに面白いことあったか?」

「ん?

ああ、嬉しかっただけだよ。

僕の直感は正しかったからね。

君も、どうやらこっち側の人間だったみたいだね。」

「こっち側?」

「ああ、こっち側。

そして…、」

そう言いながら神無月は、どこから出したのか、大きめのスマホ大のDVDプレイヤーのような物を取りだし、

「僕もお前達に従うつもりは無い!」

それを腰に充てた。

すると、それからベルトのような物が彼の腰に沿って伸び、反対側に繋がる。

「……なんのつもりだ?」

「…僕はさっきこう言った、正の情報だけではなかった、と。」

「だからなんだというんだ!!」

「わからないのかい?

つまり、正の情報もこの世界に組み込まれているってことさ!

そもそも、不思議に思わないのかい?

それだけの組織や怪人がいたのに、人が支配されたことはなかった。

それは何故か?」

そう言いながら神無月は、プレイヤーの丸いスイッチを長押しした。

するとプレイヤーから、ディスクが高速で回る音が辺りに響く。

「それは何時の時代にも、自由や人々の笑顔のために、戦い続けた人達がいたからだ!」

やや右半身に構え、肘を溝うち辺り、右手を左肩の前に構える。

「人々の自由と笑顔のために戦う彼らは自分達のことを、彼らのことを知る人達は、彼らのことをこう呼んだ。

仮面ライダーと!!」

そう言いながら神無月は、もう一度丸いスイッチを軽く押した。

「変身!!」

そう叫ぶ彼の体を無数のウィンドウが覆い、彼に漂着して弾けた。

弾けた所に残った彼は、今までの姿ではなかった。

腕と脚には白を基調とした装甲をつけ、胸の方ははキーボードのボタンのに様な凹凸がある装甲を、頭は白で覆われ、顔の方はパソコンのディスプレイ画面みたいになっていた。

ヴォンっという画面起動音と共に、画面に目の様な丸い物が浮かぶ。

「……僕はその系譜を受け継ぐ者の一人。」

『仮面ライダーハッカー ディスプレイフォーム!』

「仮面ライダーハッカーだ!!」

ビシッと構えながら神無月は叫んだ。

「さあ、行くぞ、外道共!!」

そう言って彼は拳を握りしめ、敵に向かって行った。

 




てなわけで、漸くライダーと怪人の登場です。
1章も半ばまで来ました。
お付き合いいただけると嬉しいです。
感想、誤字脱字報告などありましたら、お気軽にどうぞ。
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