帝国魔将ゴルベーザ!   作:RIN

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第二話の投稿です。
今回はほぼオーバーロード組が中心。カジットとクレマンティーヌがまさかの強化が!?
この伏線の後が読めた人はきっと泣いていい。
※今話ではオリジナル物が出ます…ご注意を。

今回の一言
「とある条件ってなんだろうね…。」byRIN


儀式の準備

――カジットSIDE――

 

―――全ての準備が整った。もうすぐ儂の新しい一歩を踏み出せる…。

 

 

 ここは霊廟の地下室。秘密結社ズーラーノーンの拠点になっている。周囲は冷気が漂い、松明でさえも見通せない暗闇がそこ彼処に広がっている。

 

 その奥で我がズーラーノーンの高弟が、捕まえた青年――ンフィーレア・バレアレに『叡者の額冠』を被せ終えたところだ。

 

「カジット様。準備は滞りありません。後は言っていただければこのまま進められます。」

 

 魔法陣の上の青年は気絶しているのかピクリとも動かない。少々手荒に攫ってきたこともあり少し心配ではあったが起動式も正常に働いており問題はなさそうだ。何人もの高弟が青年の周囲を囲み儀式のための準備を終えている。

 

「そうか…これで我らの願いも後一歩か。」

 

 儂自身はそのあとが問題ではあるが、その他の者はアンデッドの肉体を手に入れ、人間からのしがらみの開放を願っている。…実際儂以外で叶えてやれるかは分からんがな。

 

 今は表面上でもこいつらの願いを叶えるフリをし、必要無くなれば切り捨てれば良い。所詮は儂の願いを叶える手駒に過ぎんからな。

 

 

 

 

 

「――おやぁ?準備は整いましたかなぁ…?カジット殿?フシュルルル…。」

 

 

 

 

 

 そうして背後に別の者が儂にねっとりとした声で話し掛けてきた。ああこの者は…

 

「お、おお…!貴方も間に合いましたか!もうすぐで始まるところですぞ!」

 

 儂が後ろを振り向くとそこには全体を大きな襤褸のローブで覆っている猫背の男がいた。深めにローブを掛けておりほとんど姿が見えず、たまに見える腕はとてもではないが人間とは思えない程しわがれている。しかしこれでもちゃんとした人間らしいと本人から聞いている。

 

「フシュルルル…。そうでしたかぁ!危うく遅れるところでした。こちらもこの都市が滅ぶところを確認する必要がありますからねぇ。フシュルルル…。」

 

 …いつもそうではあるがこの笑い方は耳に障る声だ。しかしこいつを無下にするわけにはいかない。何故ならこいつは我々秘密結社ズーラーノーンの()()()()()だからだ。

 

 我々がここまで大きく動くことができ、陣の研究が出来たのもこいつが莫大な資金を我々に落としてくれたからだ。この霊廟という使いやすい場所も去年からこいつに供与された拠点である。正直なところこいつには頭が上がらない程の提供を受けている。

 

「ふふふ、そうですな。しかし実際今日はこのような場所まで来るのは珍しいですな。いつもは拠点外でのお話が多かったと思いますが、都市の破壊の確認をするには危ないですぞ?」

 

 こいつの莫大な出資の対価は非常に簡単だ。『()()()()()()()()()()()()。』それ一つである。…おそらくは王国外の別の国――帝国か法国かのどちらかの手の者であろうとは思う。これだけの為に莫大な金を落とせて、この依頼で得をするのはその二国ぐらいしか無いからな。

 

「いえいえ…私はこう見えてもなかなか強いんですよぉ?貴方の応援と支援をして差し上げたくて参上したのですよ。フシュルルル…。」

 

「応援と支援?話し的にこちらの応援は何となく分かりますが…支援とは?」

 

 おそらく護衛の一人として戦ってくれるのだろうか。まぁ、したいのであれば盾として使わせてもらうが、支援とは一体なんだ?今更金などもらってもいらないぞ?

 

「フシュルルル…。難しく考えることではありません。ではこちらをどうぞ…。」

 

 ローブの中からしわがれた手を出し、その手にはブローチのような物が握られていた。

 

「何かの…装備品でしょうか?これは一体?」

 

「これはお守りのようなものです。魔法力を増大させるのと他にも()()()()()()()()が付いています。貴方だけの為に用意した特別製です。是非ともお使いください。フシュルルル…。」

 

「はぁ…では遠慮なく。―――…ふおぅ!?こ、これは?」

 

 確かに魔力が上昇した感じがする。かなりの効果があるようだ。今の1.5倍は跳ね上がった気がする。

 

「フシュルルル…。ね?凄い効果でしょう?一応()()()()()()()()()()()()()が、良い効果ではありますので十分にお役立てください。」

 

 

 

 

 

「――カジッちゃ~ん!ま~だ~?私上での散歩にぃ飽きちゃったんだけど~!」

 

 

 

 

――霊廟の入り口付近から女性の声が聞こえる。かなりダレたような声をしており、やる気が微塵も感じられない。どうやらこの霊廟の地下に降りてきているようだ。

 

 この声はクレマンティーヌか。はぁ…上での見張りが何故散歩になるのだ。しかもこいつが来たことを報告もしないで何をやっているんだ…!見張りになっておらんではないか…!

 

「あ~カジッちゃんいたぁ!もうつまんないからそろそろ……って誰このローブ男?新手のモンスター?」

 

 こちらを見つけたクレマンティーヌはこいつの存在に気付き訝し目に見ている。

 

「こらっ!この方は我々ズーラーノーンの最大出資者の方だ!お前はなぜこの方が来たのに気付かなかった!全く遊びおってからに!」

 

「あれ?おっかしいなー…。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…?ちょっと気を緩めすぎちゃったかな…?」

 

 クレマンティーヌはしきりに首を傾げている。全くそんな演技をしたところでサボっていたのはお見通しだからな!

 

「おお!貴方がかの漆黒聖典にいらっしゃったクレマンティーヌ様ですかぁ!実にお美しいですなぁ!フシュルルル…。」

 

「あぁ!?気持ちわりぃんだよお前!キモイ笑い方するんじゃねぇよ!ああ…サブイボがでそう…。」

 

 耳に障る笑い声にやはり反応するか…。クレマンティーヌの気持ちも分からんでもないがちょっと口を謹んで欲しい。

 

「すみませんねぇ…。お詫びと言っては何ですが、貴方にもカジット殿と少し違うこちらの装備を差し上げましょう。これも貴方がこちらに参加していると聞いて特別製で創らせていただきました。」

 

 そうしてローブの中から儂が受け取ったブローチとは色違いの物を出してきた。どうやらまだ持っていたようだ。

 

「はぁ?これ使えんの?カジッちゃん?」

 

「ああ…儂もそれとは違う物をもらったが効果は凄いぞ。儂の物は魔力がかなり上昇したぞ。」

 

 そう聞いたクレマンティーヌは半信半疑ながらもそれを受け取り装備をした。そして驚いた顔でこちらを見てきた。

 

「うわっ!これすご~い!!身体から力が湧いてくる!!カジッちゃんこれ凄いよ!?」

 

「確かにこの効果は凄いものだと儂も思う。これは一体どこで手に入れたものなのですか?」

 

 これほどの効果の物はそう簡単に手に入るものではない。一体こんなものをどこで?

 

「フシュルルル…。実はそれは私のお手製なのですよ。名前は『無霧のブローチ』といいます。各種一つの能力の大幅UPと()()()()()()()()()と相手の装備品の能力を一定時間無効化できるというおまけが付いています。」

 

「うそ!?これあんたが作ったの!?すごいわね~!ね!ね!その()()()()()てなになに?教えてよっ!」

 

 クレマンティーヌはこのことを聞いてこいつを少し見直したようだ。儂もこのような装備を作れる程優秀な者だとは正直思わなかった。それに相手の装備品の無効化とはもの凄く強力な効果である。一体どのような条件なのか。

 

「申し訳ございません。実はその効果は強力な分条件を満たすのが正直難しいのです。今回はこの効果は期待されない方がよろしいと思いますねぇ。所詮はおまけですので。」

 

「え~…んーまーいっか!これだけでも十分な効果だし!」

 

 まぁ、そうだ。確かに十分な効果ではある。良い支援をもらったものだ。

 

「いえいえ…まだまだ満足されては困りますよぉ?カジット殿もクレマンティーヌ様も。まだ()()()()()()()()()()()()()()()()。フシュルルル…。」

 

 応援の部分?一緒に戦ってくれることだけではなかったのか?

 

「ちょっと私の極秘の魔法なのですが特別に…《魔法持続時間延長化(エクステンドマジック)・全能力強化(・フルポテンシャル)》!《魔法持続時間延長化(エクステンドマジック)・死の麻痺化(・パラライズデス)》!《魔法持続時間延長化(エクステンドマジック)・死の猛毒化(・ポイズンデス)》!」

 

 ぬぉ!?な、何だ!?聞き覚えの無い魔法ばかりだ!?しかし…これは…

 

「フシュルルル…。身体が軽いでしょう?全体的な能力を上げる魔法ですよ。かなりの時間持ちますので是非ともお役立てください。」

 

「あ~!私にも掛けて掛けて~!」

 

「ええ。いいですとも…。フシュルルル…。」

 

 …まさかいつも会っていた出資者のこいつがこれほど有能だとは驚いた。まぁ…都市を滅ぼしてほしいなどという突飛な話を持ちかけるほどだ。これだけの実力があっても不思議じゃないだろう。

 

「応援と支援に感謝します。また応援に関しても側にいてくれるだけで結構。危なくなったら退いてもらっても構いません。」

 

 最初は盾にしようと思ったがここまでしてもらっては仕方がないか。それに今後こいつがいれば役立つかもしれん。譲歩はするべきだろう。

 

「そうですかぁ…。ではこちらも命は惜しい…。お言葉に甘えましょう…フシュルルル…。」

 

「ではそろそろ儀式を始めます。離れたところで見ていて下さい。」

 

 

 

 

 高弟を呼び儀式を始める態勢に入る。全員が定位置に付き青年を囲むように一斉に詠唱を始める。個人の手では決して届かぬその位階――第七位階魔法へ足を踏み入れる。

 

 

――そして全ての詠唱が整った。

 

 

 

「行くぞ!第七位階魔法《死者の軍勢(アンデス・アーミー)》!!」

 

 

 

――ここに死の螺旋の序章が始まったのだ。

 

 

 




他原作が無いため原作を知ろう!は休載。


一応皆分かっているとは思うけど書いておきますね…。
―――カジットとクレマンさんが現在の1.5倍くらいの力を得たところで…?
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