帝国魔将ゴルベーザ!   作:RIN

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第6話投稿です。
仕事があると流石にきついですね。書く前に寝たくなる。眠眠打破が必要不可欠!
急いで書いたので変なところがあったらごめんね!

今回の一言
「完全に入ったのに…。」byRIN


戦いのお勉強

 アインズの魔法によってアンデッドの大軍が全て燃やされ、地面から煙を出すスカルナントの死体がそこら中に転がっている。そして燃え尽きた死体の煙が晴れるとそこには霊廟側に二人、森側に化け物が一体…とその前に転がっている巨大なハムスターが残っていた。

 

 

――この墓地騒動における最後の戦いが始まった。

 

 

『くそぉ…!このふざけた奴のせいで…!畜生はさっさと死ねぇ…!!』

 

「ハムスケっ!逃げろっ!」

 

 スカルミリョーネは足元に転がっていたハムスケを長い腕を大きく横に振り回し、ハムスケの身体を鞭を打つように思い切り殴り飛ばした。

 

「ぴゅいえっ!」

 

 攻撃を受けたハムスケは転がるように森の奥まで吹き飛ばされた。通常であればスキル<のろいのうた>を解いたスカルミリョーネの攻撃を食らえば、ハムスケは一撃で殺されてしまう。

 

 しかし、その時ハムスケの頬が青く光りだし、何かが砕けるような音がした。どうやら事前にナーベラルが渡していた『身代わり人形』が発動し、攻撃を代わりに受けてくれたようだ。

 

「ナーベラルよ。ハムスケを回収し守り切れ。あいつには後で褒美を取らせなければならないからな。」

 

「はっ!畏まりました!必ず守り切ります!」

 

この状況を打破してくれたハムスケにナーベラルも何か思うところがあるのか、吹き飛ばされたハムスケを急いで追いかけていった。

 

 

 

 

 

「ではスカルミリョーネよ。そろそろ始めるぞ!《時間延長魔法最強化(エクステンドマキシマイズマジック)・重力渦(・グラビティメイルシュトローム)》!」

 

『舐めるなぁ…!《魔法最強化(マキシマイズマジック)・石壁(・ウォールオブストーン)》!』

 

 アインズの手から高重力の渦がスカルミリョーネに襲い掛かるが、スカルミリョーネは城壁のような石の壁で防御する。

 

『私があれだけで終わると思うなよぉ…!スキル<流砂陣>…!スキル<自動迎撃・電撃(カウンター・サンダー)>…!』

 

 アインズの周囲に流砂の渦ができはじめ、足元に砂が絡みつき足が動かなくなる。スキル<流砂陣>は相手の足元に流砂を出現させ、継続ダメージと飛行・転移・移動を制限するスキルだ。例え地面に攻撃しても流砂を破壊することは出来ず、地面に接する限りは抜け出せない。

 

 またスキル<自動迎撃・電撃(カウンター・サンダー)>は相手からダメージを受けた時に、自動で相手に防御貫通の電撃で攻撃するスキルだ。

 

『まだ行くぞぉ…!スキル<流砂化>…!スキル<不死の復活>…!』

 

 スカルミリョーネの身体が砂のような皮膚に変わっていく。スキル<流砂化>は身体を砂状にし、あらゆるダメージを軽減する効果がある。またスキル<不死の復活>は受けたダメージの半分を回復するスキルである。

 

『そして食らえぇ…!《魔法最強化(マキシマイズマジック)・地震(・アースクエイク)》…!!』

 

 そして動けないアインズの足元から真っ二つに地面が割れ、そのまま地面がアインズを挟み込むように襲い掛かる。

 

 アインズは抵抗することなく隆起した地面の間に飲み込まれてしまった。

 

『フシュルルル…!私がアンデッド頼りの者だと油断するからそうなるんだぁ…!』

 

 スカルミリョーネは割れた岩のオブジェになったアインズを見て嘲笑っている。しかし…

 

 

「貴様…ふざけているのか…?」

 

 

 その岩のオブジェが砕け散り、《飛行(フライ)》を発動させた無傷のアインズが中から出てきた。しかもスカルミリョーネのことをまるでがっかりしたような態度で見ている。

 

『何ぃ…!?どうやって<流砂陣>から抜け出したぁ…!』

 

 スキル<流砂陣>は地面に接する限り、破壊も抜け出すこともできないスキルだ。地面に挟まれた状態では継続ダメージで死ぬまで抜け出せないはずであった。

 

「…これで一つわかった。貴様はユグドラシルのプレイヤーでは無いな?」

 

 アインズが抜け出せた理由は単純で…アインズの神器級装備に移動制限無効効果があるためだ。ユグドラシルプレイヤーならまず相手の装備を割り出すことを必ず行う。牽制として様々な状態異常や魔法を打ち、それで相手が何に耐性を持っているかを予め察知してから戦うのだ。

 

 その行動を怠っている時点でPVPでのプレイヤーの基本ができていないのと、ユグドラシルの装備やアイテムに対する知識が偏っていることが丸わかりである――まるでNPCのようであると。

 

『――…!それがどうしたぁ…!<流砂陣>から抜け出せたところで私の防御は抜けんぞぉ…!』

 

 スカルミリョーネはスキル<流砂化>を発動させてダメージを軽減し、スキル<不死の復活>で受けたダメージの半分を回復させ、スキル<自動迎撃・電撃(カウンター・サンダー)>でダメージを受けたら防御貫通攻撃の電撃を発動する。確かに普通に戦っていれば攻撃している相手の方が先に倒れてしまう布陣であった。

 

「はぁ…興覚めだ。さっさと終わらせるぞ。《魔法最強化(マキシマイズマジック)・獄炎(・ヘルフレイム)》。」

 

 小さい種火のような炎が追尾しながらスカルミリョーネに向かっていく。そのスピードはゆっくりでスカルミリョーネから見ればこちらを馬鹿にしているようにしか見えなかった。

 

『馬鹿にしているのかぁ…!《魔法最強化(マキシマイズマジック)・石壁(・ウォールオブストーン)》!』

 

 またもスカルミリョーネの周囲に城壁のような石の壁が出現する。実際にはここまでする必要はないとスカルミリョーネは思っているが、相手の狙いがわからないため最大の防御で臨んだ。

 

 しかし、その石の壁が突如として崩れ去る。炎のスピードから考えてまだ炎は当たっていない。スカルミリョーネは壁を壊した原因をよく見てみると、石の壁の地面に最初にアインズが放った《重力渦(グラビティメイルシュトローム)》が残っていたのだ。

 

『な、なんだとぉ…!?』

 

 炎がゆっくり近づいてくる。スカルミリョーネがその炎から距離を取ろうと足を動かそうとするが、何故かその場から動くことが出来なかった。

 

『な、なぜだぁ…!なぜ動けんのだぁ…!』

 

 自身の足元全体を見てみると《重力渦(グラビティメイルシュトローム)》の余波が広がっており、地面に接地している物体が磁石のように張り付き動かなくなっていた。

 

「いい機会だ…戦いのお勉強と行こうか。魔法やスキルは無暗に使うものではない。一つの魔法やスキルで多くの効果を得られることこそが最良の結果につながるのだよ。」

 

 スカルミリョーネはその場から動こうと必死にもがいているが、その結果は叶わずもう目の前まで炎が迫っていた。

 

 

 

「さて…テストだ。その炎にはある仕掛けがしてあってね。今までの魔法も含めどれだけの効果が得られたのか…その身で味わって答えてみるがいい…!」

 

 

 

 そして炎がスカルミリョーネに触れた瞬間、体全体を包み込むように黒炎が纏わりつく。加えてスカルミリョーネの思惑に反して予想外の事態が起きていた。

 

 まずダメージがほとんど軽減されていない。《重力渦(グラビティメイルシュトローム)》の余波のせいで流砂化している身体が機能しておらず、本来と変わらないほどのダメージを受けている。

 

 次に回復しない。炎自体に回復阻害が付いているのかダメージを受けてもスキル<不死の復活>が発動していない。

 

 そして最後に炎が消えない。黒炎が纏わりつき一向に消える気配がない。継続ダメージを受け続け炎がいつ消えるかもわからないままの状態が続いている。

 

 一応ダメージに反応してスキル<自動迎撃・電撃(カウンター・サンダー)>は発動したが…アインズの前で見えない障壁に阻まれダメージを受けていない。元々アインズは電撃無効スキルを持っているのでそもそも<自動迎撃・電撃(カウンター・サンダー)>の意味は無かったのだ。

 

 

 

「終わりだな…。」

 

 

 

 死の王は勝利を確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

――アインズSIDE――

 

 

「終わりだな…。」

 

 スカルミリョーネの様子を見るに、弱点は炎で合っていたようだ。無暗矢鱈にスキルを使ってクラス情報を駄々洩れにしたスカルミリョーネの失策だ。

 

 この後スカルミリョーネを拘束し、こいつの素性や目的などの情報を得たい。この強さは明らかにこの世界では異質な存在だ。仲間達の情報を持っていれば最高なのだが…

 

 

 

 

『…う、うがぁぁぁぁおおぉぉああうがあうあぁぁあぁぁ!!!!』

 

―――ぐしゃッ!!

 

 

 

 

(…!?馬鹿な!?《重力渦(グラビティメイルシュトローム)》の枷を解いたのか!?いや、手足を引きちぎって抜け出しやがった!?そんなのありか!?)

 

 

『あの御方のために!あの御方のためにぃぃぃ!!き、貴様だけはぁぁぁ!!ぜた、ぜったいにぃ!こころすぅぅ!!私といっしょにぃぃ死ねぇぇぇぇぇぇ!!!』

 

 

 スカルミリョーネは燃える身体で空に浮かぶ自分に飛び掛かり、手のない腕で抱き込むように私の身体を掴んできた。そしてどこかで聞いたことのある詠唱をし始めた。

 

(ま、まさかこれは自爆魔法か!?こいつなんて執念をしてるんだ!?身体燃えながら手足ちぎって命捨ててまで…そんなにその御方が大事なのかよ!!?)

 

 自爆魔法の威力はMP依存だ。スカルミリョーネがどれだけMPが残っているかにもよるが、もしレベル100であれば大ダメージは避けられない…最悪致死ダメージまで行く恐れがある。当然命を懸けるだけあって、防御・スキル・防御魔法・アイテム・装備の全てを貫通する。

 

(ぬぉぉぉ!!とりあえず魔法とアイテムで最大HPを上げて、MP奪取魔法で相手のMPを削って威力を下げるぞ!!攻撃して倒せれば一番良いが、こいつの執念は馬鹿にできないぞ!!)

 

 慌てながらも対処を実行しながら詠唱するスカルミリョーネを見ていると、何故かナザリックのNPC達を思い出してしまう。

 

 もしナザリックのNPC達がスカルミリョーネの立場だったら……もしかしたら同じことをしているのではないかと思った。私のためにと言って自分の命を懸けてまで戦うのではないかと。私自身はそれを望んでいないのにも関わらずだ。そしてそんなNPC達がいたら私ならきっと…。

 

 

 

 

 

 

 

「スカルミリョーネ…すまない…。『流し斬り』!!」

 

 

 

 

 

 突然現れた闖入者が流れるような剣閃を刻みながら、こちらを腕で抱き込んでいたスカルミリョーネを背中から攻撃した。

 

『…グ……パァ……。』

 

 そして闖入者の攻撃によりスカルミリョーネは自爆魔法を唱えることなく、その腕を解いて地面へ落ちていった。

 

 

 

 




あの技を紹介したかったが来話に持ち越し、コーナーは休載です。



まさかの2度目グパー。

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