帝国魔将ゴルベーザ!   作:RIN

18 / 39
幕間話の投稿です。基本的にレイナースさん視点のお話です。
帝国魔将と帝国四騎士が一体どんな日常を過ごしているのか。
そしてジル君が一体どんな扱いなのかが良く分かるよ!
少し急ぎめに書いたので変なところがあったらごめんね!

今回の一言
「…それって真っ黒なんじゃない?」byRIN


【幕間】帝国四騎士の日常

 帝国はジルクニフ・ルーン・ファーロード・エル=ニクスが、皇帝に即位をしてからの二年で大躍進を遂げた。

 

 皇帝の圧倒的な政治力により、軍事・医療・文化・技術が大幅に改革を遂げ、帝国国民はそれらの恩恵を大きく受けることができるようになった。

 

 特に軍事面においては、帝国魔将ゴルベーザ率いる帝国四騎士を筆頭に、八将軍と選抜された帝国兵がその軍事を支え、絶対的と呼べるほどの強さを得るまでに至った。

 

 また、その中でも帝国四騎士は帝国兵らにとっての憧れであり、強さの象徴であり、目指すべき指標である。帝国魔将までの恐ろしく化け物染みた強さは叶わずとも、帝国四騎士の地位であれば、その選抜大会を勝ち抜けば、十分手の届き得る場所である。

 

 当然ながら、帝国魔将と帝国四騎士を比べるから起こる錯覚であって、実際は勝ち抜ける程の実力を持った者はいないのだが、それでも希望を持てることは全体のモチベーションや意欲に大きな差が出る。そのため帝国兵の実力は他国に比べやはり高かった。

 

 帝国兵の中には、憧れである帝国四騎士はどんな訓練をすることであの強さが得られたのか、どんな日常を過ごせばあれだけの戦いができるようになるのかを、その姿を追いかけたり、素性を調べたりする者が現れたりした。

 

 だが、帝国四騎士の日常は一部プライベートを除き秘匿とされており、基本的に遠征や全体の訓練時や儀礼的な式典等でしか、お目に掛かることはなかった。

 

 特に、帝国魔将と帝国四騎士が会する時は、全ての内容が秘匿とされている。おそらく、機密の話や秘密の訓練をしているとされ、それが帝国四騎士になれるまでの実力を得た秘密だと噂されている。

 

 実際に見た者はいないため、どんな日常を帝国四騎士が過ごしているのかは、彼らにしかわからないのだ。

 

 

 

――レイナースSIDE――

 

 

 ここは帝都アーウィンタール一等地。その中にある大きな屋敷の中の()()で私は暮らしている。大きな屋敷ではあるが、食事の時以外はずっとこの部屋にいるので、部屋に暮らしているという言い方は間違っていない。

 

 帝国四騎士になってからは、基本的に帰って寝るだけの部屋にはなっているが、私はこの部屋を()()()に気に入っている。

 

 疲れた体でこの部屋に入り、一番最初に見る物が特にお気に入りだ。

 

 

――それは『()()()()()()()()()()()』である。

 

 

 人形とは言うが実際は本物の鎧であり、ゴルベーザ様の漆黒の鎧の意匠が細やかに再現された珠玉の一品である。多くの職人達に金をこれでもかと積んで、ゴルベーザ様の意匠を覗き見ながら、――中には殺されかけた者が出ながらも、完成まで漕ぎつけた。

 

 鎧の中までは流石に無理ではあったが、いつかはその鎧を全て脱いでいただいて私の身体を……うふふ……おっと鼻血が…。

 

 今日も私は等身大ゴルベーザ様人形に脚を掛けて抱き着き、兜の口元付近に深くキスをし、十分に堪能した後に周囲を見渡してみた。

 

 ゴルベーザ様ミニチュア人形、ゴルベーザ様デフォルメぬいぐるみ、ゴルベーザ様直筆サイン、ゴルベーザ様魔法ボイス時計、ゴルベーザ様絵画ポスター、ゴルベーザ様マント柄カーペットラグ、ゴルベーザ様マント柄カーテン、ゴルベーザ様漆黒の鎧調バスローブ、ゴルベーザ様漆黒の鎧調シーツ、ゴルベーザ様漆黒の鎧風天蓋付きベッド、ゴルベーザ様魔法刺繍入り等身大抱き枕、あとはゴルベーザ様が使用されていた羽ペンなどの小道具やゴルベーザ様から下賜された品物の数々…。

 

 完璧な癒しの空間がここにあった。疲れた感覚なんて一瞬で吹っ飛び、幸福な気持ちで満たされていく。

 

 

 なんて充実した日々なんだろう…醜い顔を偉大なゴルベーザ様に治療してもらって以来、髪をかき上げ鏡を見ることが楽しくなった。

 

 また、ゴルベーザ様のことを知れば知るほど、戦闘での圧倒的な強さだけで無く、民に対して思慮深く、帝国軍全員を大事にする仲間思いで、私も含めた細かいところまで気を遣って下さるとても素晴らしい御方だった。

 

 当初は私も、醜い顔を治療して下さった御恩から、ゴルベーザ様に恩返しをしていこうと思っていたが、今ではそれ抜きでも一生を懸けて尽くしていきたいと思っている程だ。

 

 他の帝国四騎士はまだ当時のことで錯乱したり、激しく恐慌に陥ることもあるが、内心ではあの御方が上に立つことに対して不満自体は一切無く、むしろ誇りに思っている節があるくらいだ。

 

 あら…考えていたらもうこんな時間。明日も早いし、寝る前に『ゴルベーザ様偉大な御言葉集』に今日も新しい語録を追加したら寝ようかしらね。

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

―――今私はゴルベーザ様の執務室に向かっている。

 

 先日はしっかり英気を養えたので、今日も元気に帝国四騎士としての仕事を行っていこうと思う。

 

 今日はゴルベーザ様と一緒に執務室での仕事だ。最近はゴルベーザ様の秘書や侍女のようなことをしており、全体訓練以外はゴルベーザ様と二人きりで…そう二人きりで過ごしているのだ……うふふ……おっとよだれが……。

 

 私が最も気に入っているお部屋は、このゴルベーザ様と過ごす執務室だ。謙虚なゴルベーザ様が持っている唯一の私室で、ゴルベーザ様も訓練や会議以外ではこの部屋を使っている。

 

 あとたまにこの執務室で、ゴルベーザ様のいない時に仕事(と言う名の荒探し)をしていると、ジルクニフ陛下が何故か現れる。

 

 最初はゴルベーザ様を探しているのかと思ったが、どうやらゴルベーザ様の配下のとある女性を捜しているらしい。基本私以外で女性を連れているところなど見たことがないので、陛下にそのことを詳しく(武器で脅しながら)聞いてみると、どうやらゴルベーザ様の娘のような者らしく、滅多に姿を現さないらしい。

 

 その女性のことが何かわかったら陛下に報告をし、もし陛下が考えるその女性との望みが叶えば、私が考えるゴルベーザ様との望みも、皇帝の権力を全て使ってでも叶えるように尽力してくれるそうだ。その日からより一層仕事(と言う名のストーカー)に力が入った。

 

「閣下失礼致します。」

 

「レイナースか…。入りたまえ。」

 

 そう考えている間にゴルベーザ様の執務室に辿り着き、いつものように声掛けをして中に入った。

 

 立派な意匠の施された大きな執務机の奥にさる御方は座っていた。さる御方は神々しい兜に艶めかしい指を添えた形で横向きの態勢で座っている。もしかして今まで<伝言>でも使っていたのだろうか?頭の中にあの御方の声が響く甘美な感覚…じゅるり…私にも<伝言>を飛ばしてくれないだろうか。

 

 しかし、それでも早朝の仕事分は既に終わっているのか、清書された書類が処理済みの場所に置かれている。相変わらず仕事が早く丁寧だ。戦闘系の将校はこの手の書類仕事が大の苦手だが、この御方はむしろ他の方の数倍の速度で終わらせ、提出期限に余裕のある状態で完璧な書類を出す。この御方との仕事は非常にやりやすく、スムーズにできるので秘書としても仕事が楽しくなってくるほどだ。

 

 それでありながら帝国魔将として陛下以上に仕事をこなしながらも、机の上はその様子を感じさせない程に整理整頓がしっかりされている。まさに前線も後方もそして素行も何一つ非の打ち所がない完璧な方だ。

 

 傍らの(無理矢理押し通して作った)私専用の秘書机に座る前に、まずは今日の予定のすり合わせから始める。

 

「閣下おはようございます。では本日のスケジュールを組みたいので閣下で何か特別なご予定があればお願い致します。」

 

 本来であればこちらから予定を組むのが一般的だが、この御方の場合既に終わらせている仕事も多く通常の予定組では手隙になってしまうことが多い。人に会う約束以外は自由にさせた方が上手く行くのだ。…ただ私の存在意義が怪しくなってしまうのだが、気にしない方向で行く。

 

「ふむ…今日は確か人に会う予定は無かったな。ではレイナースよ、少し私の我が儘に付き合ってもらえぬか?」

 

 閣下の我が儘?しかも私が付き合う?はっ!?まさかこの後二人きりの逢瀬をご希望とか!?ごくり…。もしかして護衛と称した街でのロマンチックなデート?それとも秘書として閣下のプライベート空間へのお持ち帰り?もしかして陛下に掛け合った結婚への申し込み!?遂に閣下と私が結ばれる日が来る…!?キターーー!!

 

「たまには私も書類仕事で鈍ってしまった身体を動かしたい。加えて()()()()()()()()もある。そなたら帝国四騎士の成長を見るついでに戦闘訓練をしたいのだが暇な四騎士の者を集めてはくれぬか?」

 

 あ、はい。そうでうよね。閣下がそんないかがわしいことするわけないですね。全然来てないわこれ。ちくしょぉぉぉ!閣下と逢瀬させろぉぉぉ!とりあえず不審がられる前に返事だ!

 

「かしこまりました。帝国四騎士の者を招集致します。特殊練兵場に全員()()()()行くように伝えます。」

 

「む…()()()()?別に忙しい者を招集する必要はないぞ?」

 

「ああ、大丈夫です閣下。他の四騎士もその時間なら()()()()()()()()()()()()()()お気になさらず。」

 

「…?そうか。ではよろしく頼む。」

 

「かしこまりました閣下。」

 

 確かバジウッドは陛下の指示で砦へ遠征予定で、ニンブルは陛下の代理で他国との会合で、ナザミは確か視察する陛下の護衛だったはず。うん、()()()()()()()()()()()()。さっさと伝令を出さないと閣下の約束の時間に遅れてしまうわ。急がなきゃ。

 

―――――――――――――――――――――

 

「ふむ…皆集まったようだな。」

 

 

 ふぅ、少しぎりぎりだったけど約束の時間に間に合ったわ。閣下も練兵場の真ん中で既にこちらを待っていたようだ。お待たせしてしまったようね。他の四騎士ともっと早く連絡が取れるようにしなければ…反省が必要だわ。

 

 ここは特殊練兵場。基本的に高位将校や招かれた者のみにしか使えない秘匿性のある練習場だ。戦争や複数戦では数も重要だが、実際は切り札に当たる個人の強さが重要になることが多い。

 

 しかし、対策を立てられてしまうとその能力を十全に活かせない場合が往々にある。対策を持った者が弱くても、その対策を持つ者の数が多いと当然動くことは出来ない。そういった対策を立てさせないために情報を渡さない場所がこの練兵場の意義である。つまり切り札になる者達の特訓場というわけだ。

 

 帝国四騎士もこの場所は利用しているので入り方や手続きには慣れたものだ。まぁ、今回はあまり利用なさらない御方がいらっしゃるので皆身体がガチガチではあるが。

 

「すまぬな。皆忙しい中私の我が儘に付き合わせる形になってしまった。」

 

「だ、大丈夫ですぜ閣下!今日は()()()()()()()()()()()()!か、身体を動かすには良い日ですぜ!」

 

 先程まで砦に行く準備をしていたバジウッドだが、付いて行く兵士に一言閣下との予定が入ったと言っただけで解散してくれたようだった。うん、閣下との予定以上に大切なものは無いものね。

 

「そ、そうですね。私も()()()調()()()()()()()()()()時間が空いてしまったのですよ。アハハ…偶然ではあれど参加できて良かったですよ。」

 

 先程まで相手国との談笑をしていたニンブルだが、目にも止まらぬスピードで全員を気絶させていたわね。使者の方々を運ぶのに手間取ってしまったわ。ふぅ、正しい行動はいつだって時間が掛かってしまうものね。

 

「お、おう…。一応仕事はありましたが、()()()()()()()()()()()()()こちらに来ました…。問題ありません閣下…。」

 

 先程まで陛下の護衛予定を話していたナザミだが、陛下が何故か泡を吹いて倒れられたので、視察が中止になったわね。陛下も閣下みたいに時間や予定を守る方だと思っていたのですが、やはり閣下には劣るようですね。

 

「そうか。時間が空いていたのであれば私からは何も言うことは無い。では訓練を始めるとしよう。」

 

「かしこまりました。それではどういった訓練メニューに致しましょうか。」

 

 訓練と言っても様々あるわ。一応どんな内容か確認は重要だわ。ただ閣下は身体を動かしたいと言っていたわね。ということは何となく察しは付くんだけど…。

 

「ふむ…出来ればそなた達の成長が見たいので、実戦形式での戦闘訓練をしたいと思っておる。それでかまわんか?」

 

「まままま待ってくだせぇ閣下!か、閣下が普通に戦ったら俺たちじゃ勝ち目がありませんぜ!」

 

「そそそそそうですよ閣下!私達では閣下のお相手として力不足です!もっと別のメニューに変えませんか!?」

 

「…………。」

 

 バジウッドとニンブルが説得に入る。ナザミは既にこの時点で白目をむいてしまった。トラウマでも見えているのかしら…。ちなみに私も正直そのままの閣下と戦うのは…うっ!?頭が…!?

 

「う、うむ…?そうか…?ではそうだな……私がハンデをつけて戦うのはどうか?それであればそなた達にも丁度良いのではないか?」

 

 ハンデ?何かを制限するということかしら。でも閣下の何を制限すればいいのかしら。

 

「そうだな…例えば私は()()()()()()()()というのはどうだろうか?見事それを打ち負かせばそなたらの勝ちだ。私自身は動かぬし、魔法もある程度最初は手加減しよう。それであればそなたらでも十分に勝てるのではないか?」

 

 片腕だけね…。それならば万が一にでも勝てる見込みはあるのかしら…?しかしこれ以上引き下げては訓練にならないものね…。

 

「まぁ、そこまで譲歩されたら…。俺らもやるべきか…。」

 

「…そうですね。訓練であまり手加減されてはお互いやる意味も薄くなりますし…。」

 

「…やるしかない。」

 

 全員覚悟が決まったみたいね。私も閣下の胸を借りるつもりで行こう。

 

 

 

 

「では、準備が良ければ始めよう。私を越えてみせるがいい。」

 

 

 

 

 そして閣下は練習場の中央で動かずこちらをじっと待っている。どうやら魔法で接近をさせないなどの動作はまだ行わないようだ。おそらくこっちが動いてからが本番だろう。

 

 こちらは四人全員が目を合わせ、アイコンタクトで攻めの内容を決める。いつもの単騎突撃陣形ね。

 

「行きますレイナース殿!《マジックシールド/魔法盾》!」

 

「こっちもよニンブル!《クィック・マーチ/早足》!」

 

 私とニンブルの二人で一番鈍重で防御力の高いナザミに強化魔法を付ける。魔法防御上昇と移動速度上昇ね。

 

「バジウッド…!後ろに続け…!うおぉぉぉぉ!!」

 

「任せたぜナザミ!どぉりゃぁぁぁ!」

 

 そして強化を受けたナザミはそのまま先陣を走り、その後ろにバジウッドが続く。

 

「ほぅ…?良い連携だ。では小手調べだ…《ファイヤーボール/火球》!《エレクトロ・スフィア/電撃球》!」

 

 閣下の右腕から炎と電撃の球が順にナザミに放たれる。別属性2連続第三位階魔法とか…これで本当に手加減してるのですか…?とりあえずそれはこちらも想定済みです閣下!

 

「《火属性防御(プロテクションエナジー・ファイヤー)》!」「《電気属性防御(プロテクションエナジー・エレクトリシティ)》!」

 

「ぐっ!がっ!まだ行ける!ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 

 私とニンブルでナザミに防御魔法を掛け、ナザミはそのままダメージを無視して盾を突き出し突破する!よし!上手く行ったわ!これでかなり接近出来たわね!

 

「突破したか。では《魔法抵抗難度強化(ペネトレートマジック)・衝撃波(・ショック・ウェーブ)》!」

 

 しかし、閣下の手から衝撃波が放たれ、ナザミの身体が後方に吹き飛ぶ。ダメージは無かったようだけど大きく後退させられた。だけどここならバジウッドの射程圏内よ!

 

「後は任せた…!」

 

「応よ!行くぜ!武技<戦気梱封>!<能力向上>!<能力超向上>!!」

 

 武技を使ってバジウッドは身体強化を行う。先程とは比べ物にならないスピードで閣下に近づく。閣下も魔法が間に合っていない!これなら行ける!!

 

 

「食らえぇぇぇ!!武技<豪斬撃>!!」

 

 

 そして遂にバジウッドの武技で閣下を攻撃した。閣下は咄嗟に右腕を手前に出しその攻撃を防御する。

 

 

―――ザンッ!

 

――ガシャン!

 

 

 バジウッドの攻撃はそのまま綺麗な半円を描き()()()()()()()()。………――え?腕を?ってはぁ!?

 

「え?あ…!うおわぁぁぁぁっ!?閣下の腕斬っちまったぁぁぁ!!?」

 

 一番驚いているのはバジウッドのようだ。ってそれよりも早く閣下の腕を治療しなければ!?しかし、何故か閣下は平然としており、狼狽えている私達を見ながら言い放った。

 

 

 

「――何を驚いておる。まだ終わっておらんぞ?」

 

 

 

「え!?でも閣下腕が…!強がってねぇで早く治療を…!」

 

――トン、トン…

 

「どうしたナザミ!今は後にしろ!閣下も早く降参して治療を…!」

 

――トン、トン、トン…

 

「だぁ!もう!後ろから肩を叩いたりしてどうしたんだナザミ!それよりも閣下が…!」

 

――トン、トン、トン、トン…

 

「だからどうした!ナザミ!言いたいことがあるんなら早…く……言……――え?」

 

 

 バ、バジウッド…それはナザミの手ではないわよ…。それは…

 

 

 

―――()()()()()()()()()()()…。

 

 

 

「ぎぃやぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあぁぁああぁぁぁ!!!?」

 

――そこには閣下の黒い右腕のガントレットが空中に浮遊しており、器用にも人差し指でバジウッドの肩を後ろから叩いてた。

 

「甘いなバジウッド。私は言った筈だぞ?()()()()()()()()と。()()()()()()()そなた達の勝ちだとな?はっはっは!言い方がまずかったようだな。」

 

 そんなのそのままの意味で捉えるわけないじゃないですか!絶対閣下確信犯ですよね!?もしかして閣下が試したかったことってこれのことか!?

 

「さて…そろそろ本気で行こうか。《フリーダム/自由》!《ドラゴニック・パワー/竜の力》!《グレーターフルポテンシャル/上位全能力強化》!」

 

 閣下が様々な魔法を使われたと思ったら、右腕がついに動き出しバジウッドの足を掴んで、勢いよく空中に放り投げる。

 

「え!?今度は何だぁぁぁぁ!!?」

 

 そしてバジウッドを追尾するように右腕も飛び上がり、真正面からから思いっきりバジウッドの腹を殴り飛ばした。

 

「ごふぅぅ!?」

 

 バジウッドの身体はくの字ように吹き飛び、丁度私達3人がいる位置の真ん中あたりに落下する。

 

 

 

「――それではここからが本番だ。武人に劣らぬ力を見せよう。」

 

 

 

―――その日帝国四騎士に新たなトラウマが増えたのは言うまでもない。

 




<原作を知ろう!>
ゴルベーザが片腕だけの姿でクリスタルを奪う
出典:FF4
使用者:ゴルベーザ
二回目にゴルベーザと戦って勝った後、主人公一行はクリスタルを手に入れる直前まで行く。しかし息絶えていなかったゴルベーザが片腕だけの姿になって、主人公より先にクリスタルを奪い逃走するシーンのこと。ゴルベーザの執念が込められたシーンではあるが、いつも通りゲーム界ではネタシーンと化している。まず腕の動きが緩慢すぎることがある。ゆっくりと手が近づいてるのが見えているはずなのに、主人公がクリスタル奪われるのをみすみす許しているようにしか見えない。またゴルベーザが何故腕の姿になって行動できているのかが分からない。おそらくラスボスの方が関係していると思われるが、あまりの唐突な場面のためゲームをやっている人達は置いてけぼりにされる。事実筆者もそうだった。ここでゴルベーザを殺してしまうと今後展開が続かないので多少は仕方ないとはいえ、答え合わせのような何かは欲しかったと思う。
 小説内では主人公が片腕を操って攻撃をしている。どうやってやっているかは原作に習い、答え合わせのような何かは用意しないことにする。…決して何も考えていないわけではない。





第3章予告と注意点
 次の3章は完全に勘違い物語。勘違いで物語を持っていくのが苦手な方は注意。またFF色がかなり薄くなります。2章と同じくらいのオリジナルの設定もまた多くなるのでお覚悟を。少しでもスムーズに話が進むようにプロットを再調整中。けっこう時間が掛かるよ。ごめんね。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。