帝国魔将ゴルベーザ!   作:RIN

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第2話の投稿です。
勘違い回。お互いの温度差が酷い…しかし動機は動機。
今後の展開を作るためかなりの難産だったが、皆さんは細かいことは気にせず軽い気持ちで読みましょう!そして許して!
時系列的には第11話のノエルと主人公の伝言後です。

今回の一言
「こいつがうちのデミポジ。」byRIN


すれ違いの思惑

――INSIDE――

 

 

 みんなお久しぶり!私ゴルベーザ!元気にしてた?…って私は何を言っているんだ?今ノエルに『スカルミリョーネのことをお願いね!』って言ったばかりじゃないか。何故か言わないといけない気がしたから言ったけど、まだあれから1分も経ってないぞ。

 

 それよりノエルの次は我が軍師の一人ボクえもんこと『ボクオーン』にメッセージを送ろうと思う。

 

 ボクオーンは基本的に王国での情報収集、この世界での資金集め、帝国魔将の仕事のアドバイザーなど、様々な仕事を兼任して皆に貢献してくれている。

 

 特にボクオーンが注力しているのが資金集めで、王国で稼いだお金をどっさり空中神殿に置いて行ってくれる。ボクえもん曰く『金は世界を動かす動力である。貯め込むばかりでは愚かだが、ある程度持たなければ、いざと言う時に舐められる。』だそうだ。

 

 そんな資金どこから集めてくんの?って思って聞いてみると、王国で『八本指』とかって名前の組織で薬を販売して稼いでいるんだってさ。そういえば、ボクえもんは帝国でも治療薬や傷薬を販売していたから、それが王国で大ヒットしたのだろう。貴族や冒険者って王国は多いからなぁ。

 

 よくよく考えると、この前に雇用を増やすってことで『無意識の義務(セルフ・ギアス・スクロール)』を持ち出していたな。おそらく王国で大ヒットしちゃったから、雇用した人を一人で管理できなくなったからなんだろう。

 

 これは集団のトップが、設定した契約に同意してこれにサインをすると、集団内で違反行為とみなされた行動に違反ペナルティが出るというものだ。違反ペナルティは最初に設定したものが適応されるが、重い罰は設定できないので、だいたいは契約者に連絡が行く程度の軽い注意で済む。

 

 よくギルドではこれを使っており、ギルドに入る際に細かく説明をして契約することで、後から来たプレイヤーでも適応できるので便利なのだ。うちのギルドもダンジョン運営で、ロールプレイヤーの設定口上を邪魔しないとか設定してたなぁ。

 

 でも、このアイテムを使うってことは相当な人数がいるってことだよね。もし王国で大ヒットしてる薬があれば、帝国兵の皆にもその人達を使って卸してくれないかな?さっきのアイテムの性質上、ボクえもんの専属の運び屋だろうし、彼が見守っていれば道中も安全だろう。

 

『若?今日はいかがされましたか?何でもご相談を伺いますぞ。』

 

 おっと、メッセージが繋がったようだ。ボクオーンは私のことを若と呼ぶ。設定じゃ私30代であんまり若くないし、ヤの付く人ではなくちゃんと堅気なのでこの呼び方はおかしいと思うが、NPC『ボクオーン』を作ったボクオーンさんが私のことをそう呼んでいたので、たぶんそれが引き継がれているのだろう。

 

『忙しいところ済まぬボクオーン。王国の近況を知りたくてな。』

 

『ふむ…そうですな。人形達は真面目に働いており、資金調達も順調ですぞ。目新しい情報としては王国戦士長が盗賊を退治して戻って来たくらいでしょうな。』

 

 ふむ、あまり大きな事件は無かったらしい。ボクオーンはユグドラシル時代ではNPC内で最弱であったため、今でもけっこう心配している。プレイヤーのボクオーンさんはあんなに強かったのに…やはり搦め手を使えないNPCでは限界があるということなのか。

 

 ちなみにこの人形達と言うのはボクオーンの元で働いている人達のことである。原作での設定が一部この辺りは残っているようだ。

 

『ふむ…そうだな。話は変わるが、そなたの雇っているその人形達…特に運び屋の者達は元気か?』

 

 まずは本題に入る前に確認だ。もし今が死ぬほど忙しかったら、ボクオーンの元で働いている人達に迷惑が掛かる。NPC達はこの世界の人達を過小評価してる節があるから注意しないといけない。

 

『ぬ…?運び屋…ですかな?元々盗賊のような者達を新しく起用しておりますので、元気は有り余っておりますぞ?』

 

 おお!すごいな!多分社会更生のためにそんな人達を中心に起用しているんだな!それなら恩のあるボクオーンの指示には従うし、やる気もあるだろう!

 

 しかし、今新しくと言っていたね。それならまだ今の活動も慣れていないだろう。元盗賊なら尚のこと社会経験を積むのは大変に違いない。とりあえず残念だが今回の話は先送りだな。新しい職場の人にまだ負担は掛けたくはない。

 

『ならばその者達を大事にすることだ。それがそなたの重要な標となろう。』

 

『標…でございますか…。』

 

 そうだよボクえもん!社員を大事にしない上司は皆にそっぽ向かれちゃうよ!優秀な部下達がいるだけで私みたいになれるんだから、ボクえもんも部下は大事にしようね!!

 

 あとついでにノエル達のことも伝えておくかな。ボクえもんなら何かあっても何とかしてくれるはずだ。

 

『もう一つ伝えておこう。ノエルが王国にスカルミリョーネの様子を見に行く。ボクオーン、後は…わかるな…?』

 

 騒動が起きたらちょっと尻拭いを頼むね。あいつお調子者だから何か起こすかもしれないから!

 

『……!?なるほど、そういうことですか若。お任せ下され。必ずや期待に応えて見せましょう!』

 

 おお!流石ボクえもん!私の言いたいことをわかってくれたようだ。いつもゴルベーザ口調で話す時に、どう言い直すか困る単語があったりするから言葉を切ったりするけど、ボクえもんは必ずわかってくれるから助かる。一応確認のために念押しして…

 

『あの二人を守ってやってくれ。期待しているボクオーン。』

 

『かしこまりました若。ご安心してお待ち下さい。』

 

 そう言ってメッセージを切った。うん、これで大丈夫そうだ。あとは任せてしまっても大丈夫だろう。それにしてもここ最近は、事務仕事や連絡ばっかりで運動を全くしていないな…。今日あたりにでも帝国四騎士の皆と手合わせしてもらうのもいいかもしれない。

 

 ん?おっとレイナースさんが来たようだ。さぁ今日も帝国のためにばりばり仕事をするぞー!

 

 

 

 

――ボクオーンSIDE――

 

 

 

――儂は若の先見性の高さにいつも驚かされる。

 

 

 

 政治に関しては儂の右に出る者はいないと自負している。この世界での政治の仕組みは儂の想像の域を出ず、その国の全てが見通せると言って良いくらいに稚拙である。

 

 その国の政治の仕組みが理解できれば、それに付随する闇の部分や金の流れが見通せるようになり、押さえるべきところが丸見えになる。

 

 そして、それを押さえるだけの力を儂は持っている。つまり、儂は国を思い通りに動かすことができるのだ。儂の思っている通りに人形を動かせば、常に自分にとっての最良の結果を導き出せる自信がある。

 

 だから当然、儂が考えた策に従えば、全てが上手く行く…これは間違いない。

 

 しかし、若はいつもその策以上の結果を持って帰ってくる。儂の考えた最良の結果が完璧な結末に変わるのだ。

 

 

 例えば、今の帝国もそうだ。まず帝国四騎士の大会で手加減をし、帝国四騎士にトラウマを植え付けながら、自身の僕にしてしまった。儂の策では全員を殺して、民や皇帝に恐怖を煽った後で、別の騎士を補充する手筈だったが、若の方法なら皇帝に近い者共を一気にこちらの味方に引き入れられる。

 

 そして、それらの帝国四騎士が懐柔されたことにより、軍部半数の掌握が反発も一切無く、数年以上も早くなった。

 

 それだけでも儂の想像以上なのに、さらに魔法省のトップを心酔させ、魔法省も掌握できた。完全にこちらの陣営に引き入れたため、情報も手に入り放題である。

 

 そして、一番儂を驚かせたのが、帝国の現皇帝の現状維持ができていることだ。

 

 儂の見立てでは、軍部半数が若に掌握された時点で、皇帝が若を切り離そうと反旗を翻すことがほぼ確定していた。

 

 若に逆らうことは愚かではあるが、それと同時に同情はできる。若の圧倒的な力とカリスマによって、自身の地位を揺るがしかねない脅迫的恐怖は、賢い人間であればあるほど拭えるものではないのだから。

 

 事実この前までの皇帝の動きには、若に対して諜報員を動かした形跡もあり、お互いの衝突は時間の問題だと思っていた。

 

 

――しかし、その高まっていた気運が突如として消え失せたのだ…。

 

 

 本当に突然である。ある日を境に皇帝の反抗的意志がなくなり、むしろ若への友好を申し出たくらいだ。

 

 一体何が起きたのか…若が何かをしたことは間違いないのだが…。普通、敵対しようとしている者から何を言われても、賢い人間であれば、裏を読んでその意志から外れる行いをするものだが、この皇帝の友好には、外される何かの意志が全く見えてこないのだ。

 

 おそらく本当に何かの理由があって、皇帝から友好を申し出ている。そしてそこには、きっと自身の立場が危うくなること以上のメリットがあるということなのだろう。

 

 若はどんなメリットを皇帝に提示したのか…金?権力?力?それとも女?しかし、金や権力は皇帝の地位があればいらぬだろうし、力を欲するにしても若には遠く及ばないことはわかるはず。女は空中神殿内にいる、男を魅了するのに特化しているアイドルぶったあの女ならあるかもしれんが、奴は仲間内で若一筋で有名な上に、若が奴を連れて行った形跡はない…だとすると女は絶対にありえないだろう。

 

 手段はわからぬが、この若がもたらした結果により、国を割ることなく国に我々を溶け込ませることに成功した。これは儂の策では成しえぬ快挙である。

 

 圧倒的な力やカリスマは支持を得ると同時に、周囲に敵を作り恐怖をもたらす。そのため必ず並び立つ者と争いは避けられない運命にあるのだと思っていた。

 

 しかし、若の手によってその運命は回避され、皆が目指す『若の理想』を轟かせる完璧な下地が出来つつある。

 

 若…今は自身より劣る存在のために力を抑えながら働いて、さぞご不満でしょうが、何卒『若の理想』を実現するための我々眷属達が蒔いた種が花開くその時まで我慢して下され。

 

 

 おっと?若からのメッセージか…。もしかしたら儂の思考を読み切って、釘を刺しているのかもしれん…若なら十分にありえる。これ以上の詮索は辞めにしよう。

 

『若?今日はいかがされましたか?何でもご相談を伺いますぞ。』

 

『忙しいところ済まぬボクオーン。王国の近況を知りたくてな。』

 

 王国の状況?特に何もないが…今になって何故そのような情報が必要なのか…。しかし必要とおっしゃられているのだ。ここは正しく伝えよう。

 

『ふむ…そうですな。人形達は真面目に働いており、資金調達も順調ですぞ。目新しい情報としては王国戦士長が盗賊を退治して戻って来たくらいでしょうな。』

 

 うむ…これと言って挙げることはないのぅ…。強いて言えば、何も無さ過ぎるくらいだろうか?

 

『ふむ…そうだな。話は変わるが、そなたの雇っているその人形達…特に運び屋の者達は元気か?』

 

 運び屋?『八本指』の黒粉を専属で運ばせているあの傭兵団のことだろうか?洗脳とアイテムの実験ついでに『無意識の義務(セルフ・ギアス・スクロール)』で違反した者を儂の人形に変わるように適当に設定した結果、ほぼ全員が人形になってしまった情けない野盗共だったな…。

 

 レベルの極端に低い者しか効果が無かったので、ある程度のレベルの者は儂が直々に洗脳した。まぁ…実験結果としては上々ではあったが。

 

『ぬ…?運び屋…ですかな?元々盗賊のような者達を新しく起用しておりますので、元気は有り余っておりますぞ?』

 

『ならばその者達を大事にすることだ。それがそなたの重要な標となろう。』

 

『標…でございますか…。』

 

 標?つまり、その者達が私に何か重要なことをするのか?いや…それはありえん。おそらく別の意味だ。標…つまり標的のことか?黒粉の運び屋が私の重要な標的…?――もしや運び屋を狙った襲撃者が現れ、それを対処するのが私になると言うことだろうか?

 

『もう一つ伝えておこう。ノエルが王国にスカルミリョーネの様子を見に行く。ボクオーン、後は…わかるな…?』

 

 ん?ノエルがスカルミリョーネを…?―――はっ!?そうか!エ・ランテルではスカルミリョーネがそろそろ動く頃のはず…!おそらくそれを阻止する何者かがいるということか!そして奴の利用する組織ズーラ―ノーンの活動資金は儂が黒粉で得た金…!ぬぅ…しまった…!まさかその阻止する者達に金の流れを読まれたか…!?

 

 一応その金は若までは絶対に行き着かないようにしている。しかし、もし本当に金の流れを読まれているとすれば、最初に通るのは確実に運び屋である野盗共だ。

 

 つまり若はスカルミリョーネ達の計画を阻止する者達が、金の流れを追ってここまで来ると予想している。そして儂にその迎撃を任せるということか!

 

『なるほど、そういうことですか若。お任せ下され。必ずや期待に応えて見せましょう!』

 

『あの二人を守ってやってくれ。期待しているボクオーン。』

 

 若の予想では、この襲撃者を撃退することで二人の何かしらの助けになると考えているようだ。

 

 儂には若の完璧な結末を読み切ることは不可能だ。しかし、期待されたからにはこの七英雄の一人ボクオーンが必ずや期待に応えて見せよう!

 

『かしこまりました若。ご安心してお待ち下さい。』

 

 さぁ、襲撃者よ。儂に戦いを挑んだことを後悔させてやろう!

 





正直ちょっと強引すぎたかも。でも最初のプロットはもっと酷かったのでこれでもマシにはなりました。試行錯誤はやはり勉強になるね。
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