ユグドラシルの世界でやり残しがないように。
今回の一言
「実はここまででナザリック絡みは一切無し。」byRIN
ギルドでの方針は基本自由であったため、個々が楽しいと感じる企画を話し合い、それらを実行していく形をとっていた。その中でもギルド員に人気があったのが『ダンジョン運営』だった。
ユグドラシルでは現状人間種の異形種狩りが流行ってしまい、集団で異形種に襲い掛かり、経験値を多めに得ることを行う輩が多くなってしまった。
当然混沌の門も異形種がほとんどのため(ちなみに私やノエルさんも括り的には異形種である)、メンバーへの被害が酷かったこともあり、何人かはユグドラシルを辞めてしまうまでの騒ぎになってしまったほどだ。
私もこの事態には頭を抱えていたが、その時メンバーから面白い提案があった。
「俺たちはボスキャラなんだ。だったら迎え撃ってやろうぜ!」
これは発想の転換であった。自分たちのギルドホームに人間種を招き入れ、ボスキャラとして戦うというものであった。ギルドホームでは様々な設定ができる機能が付いている。拠点内でのバフや敵対者へのデバフなどが主な例で、拠点レベルが上がる程に様々な効果を得られる。ギルド所属における大きな特典といえる。
……実はホームの初期からこの機能の中に『敵対者の取得経験値UP』という謎機能があるのだ。これをするとギルド員以外の敵対者が得られる経験値が増えてしまう。基本ギルドには恩恵が無く、もし使えてもマッチポンプ的な使い方で経験値を上げるくらいしかないが、限られたギルドの機能にこんなデメリットにしかならないものを付けるなど普通はありえない。
しかし今回この機能を使えば、私たちは悪役ロールプレイがやりたい、人間種側はプレイヤー異業種を効率よく倒して経験値が欲しいとまさにwin-winな関係でいけるかもしれない。ある程度人間種側にルール、例えば登場セリフ時には静かにとかロールプレイを馬鹿にしないなど弱いルール、を設ければ受け入れてくれる人もいるのではないかと思う。
だがこの時に問題があった。全員が倒されてしまうと最悪ギルドを潰されてしまうというリスクを負うことだ。ルールを設けても、道場破りな感覚でこちらのギルドを破壊されてしまう可能性は十分にあり、ギルドの象徴であるギルド武器を破壊されてしまっては目も当てられない。最低でも
ロールプレイ以外のビルドの見直しをしたり、装備での個々の強さを上昇させたり、ダンジョン内でのトラップやギミックを強化したりも必須事項だ。
しかし、この時の最大の問題がこの
これはほとんどのギルド員が立候補した。元々悪役ロールプレイがやりたくてユグドラシルをプレイしに来ているのだから、出番が少ないとはいえこんなオイシイ配役は誰だってやりたい…私だってやりたい!
これは流石に収拾がつかず、ギルドが割れるかというところまで行ったところで、ノエルさんから提案があった。
「最後の一人は最強でなければならない…ならば戦いで決めるのはどうか?」
ここにギルド内最大イベント『第1回混沌の門最強ラスボス決定戦』が決定した。
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ルールとしてはトーナメント形式でPVPを行い、最後まで勝ち残った者がギルド内のラスボスとして、ギルド武器を死守するというものだった。
その際の賞品として、ギルド武器を優勝者用に全員でカスタマイズし、装備できる権利とギルド長の位が進呈される。そして、次の決定戦が始まるまで、ラスボスの地位にいられるというものだ。決定戦の時期はギルド武器用の膨大なカスタマイズ素材を全員で集め終わった際に行い、再度決定戦を開始する。
全員がこの決定戦に向けて修行やビルド構成の見直し、PVPの練習などにやる気を出し、本格的にダンジョン運営が見えてきて、私としても嬉しい限りである。
私自身もロールプレイを意識しながらも、細かいところではガチビルドに組み直し、仕事を休んでまでPVPの練習を行った。こう見えても私は、RPG以外のゲームでも、負け無しレベルのプレイヤースキルを持っているのが秘かな自慢だったが、今回はギルドメンバーであれど叩き潰す気で臨んだ。
そして結果はというと、圧倒的な差で私が初代ラスボスを務めることとなった。やはり第1回となれば準備期間が足りず、最初からロールプレイビルドで組んでいた人は、組み直す時間が足りなかったようだ。またそれ以外にも、私の『サイキックファイター』が自身のプレイヤースキルとマッチしていたためか、どの距離でも魔法で戦えることが大きな勝因になった。
「何で腕組んだままホバー移動している奴に当たらないんだ…」
「俺近距離ビルドなのに火力で負けてんだけどwww」
「遠くからメテオ撃っていた相手が真後ろにいた件について」
「お前黒魔だろ!?なんで回復と補助使ってんだよ!?」
「その鎧固すぎやろ!こんなんチートやチート!」
…残念ながら文句は受け付けない。勝ちは勝ちだ。ラスボスの座は私がいただく!
そんなこんなでラスボスの座を私がいただき、さらにギルド武器として『黒龍の鎧』を作成し、私が装備することとなった。
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―――それからは本当に色々なことがあった。
ダンジョン運営も異業種狩りをしていた人が嬉々として訪れ、私たちもロールプレイをしながら上手く関係を築けていた。もちろん悪意を持って訪れた輩には私自身が出向き、慈悲もなく文字通り皆殺しを敢行し、ギルドホーム内でのマナー違反がどれだけ重い罪なのかを刻み付けた。
またこれらに感化されて、我々ボスキャラギルドに対抗して主人公キャラギルドが出来上がり、ノリノリでロールプレイをしながら戦うことができるようになった。撮影班も交えてのボスキャラvs主人公キャラの総決戦シリーズは、永久保存版で今も大切に保管している。
ギルドホームもこれらに合わせてパワーアップを遂げた。元々は木の根元の空間を利用した、邪神の隠しダンジョン的なギルドホームだったが、ギルドランクが大きくなることで様々な建築物に変えることができるようになり、何に変えるか多数決を取ったところ『空中神殿』に決まった。
「私は天上人だ!」
「バ○スがしたい!」
「ボスは得てして高いところにいるもの」
「空中ダンジョンってなんかいいよね!」
「移動型ダンジョンならどの世界でも行き来できるな」
「七英雄は最強!最強なのだ!」
意見になったかわからんやつもいたものの、今後は空中神殿を拡張しながらのダンジョン運営になるだろう。
―――本当に様々なことがあった。
ギルドがある程度成長してくると、私たちは念願のワールドアイテムを手に入れることができた。かなり偶発的なものであったが、運が味方をしてくれた。
『邪神の宝球』というワールドアイテムだが、装備しているプレイヤーはMP消費がなくなるというぶっ壊れな性能をしている。装備しているだけでMPを気にせず第10位階魔法をトリプルやマキシマイズ化しても、何発も撃つことができるのだ。
試しに私が装備をして戦ってみると『サイキックファイター』との噛み合わせがすごすぎて、ギルドメンバー全員と戦って、まさかのノーダメージで勝ってしまった。
「あれを倒してしまっても構わんのだろう(絶望)」
「今までチートだと思っていた存在がさらにチートになって帰ってきた…何を言っているのかわからねーと思うが…」
「遠くからメテオを撃ってきたと思ったらまた遠くからメテオを撃ってきたと思ったらまた遠くからメテオを撃ってきたと思ったらまた遠くからメテオ…」
「宇宙の 法則が 乱れる!」
満場一致で私がワールドアイテムを持っても良いことで可決された。
―――本当にたくさんのことがあったんだ。
ダンジョン運営にも余裕ができ始めたところで、今度はみんなで眷属NPCを作ろうという話になった。自分のロールプレイをしているボスキャラの前に出てくる中ボスや、設定上部下に当たるキャラクターを製作してみるのは、面白いのではないかというものだ。
全員初めてNPCを作ることもあり、最初は悪戦苦闘したものの、元々自身の容姿を課金で作り出したくらいのクリエイト魂を持っているので、最終的な完成度はとんでもなく高かった。
そんな私も、原作に出てきた『ゴルベーザ四天王』を作り出し、通常の能力に加えて全員人化ができるように設定した。人化を付けた理由は、私が言うのも難だが、意外と完成度が高くなってしまいダンジョン運営時にプレイヤーと間違われて攻撃されないように配慮したためだ。レベルを上げている途中で倒されては蘇生が非常に面倒なのもある。
一応設定としては原作と同じような性格に加えて、ゴルベーザに助けられたり見初められたりして忠誠を誓ったというエピソードで、要約して言うと『ゴルベーザのためなら何でもできる』ような設定にした。元々原作ではゴルベーザへの忠義はすごいものだったが、内容やどれほどだったのかは語られておらずこの辺りを脳内補完して設定を付け加えた。
四天王のレベル上げをし、最終的には相手のレベルに合わせて戦うことができるように設定しようと考えている。これはボスお決まりの『本気を出してやろう』的な演出と、ダンジョン運営ではロールプレイ中心の時折レベルの低い者がやってくることもあり、それらの相手をしてもらうことで気持ちよくロールプレイをしてもらおうと考えてのことだった。
あとゴルベーザ四天王の他にも、有り余った建築系資材を用いてギルドが保有している戦略級攻城型ゴーレムも改造し、『バブイルの巨人』へ秘かに作り変えた。原作のように地上を焼き払うかのようなビームを放つことができ、腹部付近に『邪神の宝球』を取り付けられるようにした。
そして時々ある主人公ギルドとのギルド攻城戦で初お披露目となったとき、私もバブイルの巨人の肩付近に乗っていたのだが、敵も味方も含め地上にいた全ての地形とプレイヤーを薙ぎ払い、主人公ギルドが使っていた戦略級攻城型合体ロボットをビームで木っ端微塵にしてしまった。
「またあのギルド長か…」
「あの人手加減なさすぎww」
「魔王様からは逃げられない」
「ウボァーー!」
「衛生兵ー!衛生兵はいないのかー!」
「お前はもう死んでいる…というか俺ももう死んでいる」
………ま、まぁ勝ったんだしいいよね。
そう思いながらも死屍累々な地上から目をそらした。
―――そう本当に楽しかったんだ…。
―――それなのに何で、何で…今はこんなにも…。
どれだけ想えどその答えを得ることはできなかった。
―――残りは1時間となった。
今回の概要
①リアル勇者の癖に生意気だをギルドで再現!
②ラスボス誰にする?→戦の時じゃぁぁぁー!
③主人公「私がラスボスです。」
④みんなといろんなことをして遊んだよ!
筆者の本音:原作設定?何それ?おいしいの?(既に矛盾ががが…。)