帝国魔将ゴルベーザ!   作:RIN

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第4話の投稿です。
物凄い名前の表題だけどナザリックの平和な一幕だよ!こんな大々的な表題がおかしいだけさ!最初以外はほとんど仕事風景だし平和そのもの!みんなも安心してみてね…クカカカカ…。
また大海のような大らかな気持ちで読んでね!マジでお願いします…(哀)

今回の一言
「現実でも最後に頼れるのはスキルではなく自分自身の判断さ…。」byRIN



アウラが生んだ災厄の種

――???SIDE――

 

 どうやら森の大部分は謎の組織に制圧されているようだな…。最奥の不毛の地と瓢箪湖だけはあいつらの手が届いていない唯一の場所らしい…。あの二つもかなり目立つ場所の筈だが、ここまで俺達とかち合わねぇのはどういう運していやがるんだ…?

 

 まぁいい…かち合わなかったのはともかく、こっちはもうお前達の姿を捉えているぞぉ…。こんな森のド真ん中にでっけぇ建物を建てやがって…。まるで見つけてくれって言っているもんじゃねぇか…いや、それが狙いなのか?

 

 チッ…!今は判断をするには情報が足りねぇ…。ゴルベーザ様のお手を煩わせるこいつらを全員ぶっ殺すためにも、もっと精度の高い情報が必要だ…。

 

 …であれば()()()()を使うしかねぇな。丁度幹部の奴らに接触できそうな手頃な奴がいるみたいだ…。少々賭けに近いところはあるが、あいつらの力を試すいい機会でもある。

 

 

――クカカカカ…お前らに俺を捉えられるか試してやるぞ…!

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 トブの大森林の中は静寂が広がっていた。生物や魔物がいないという訳ではない――皆新たな支配者に怯えて息を潜めているだけだ。

 

 騒がしくして目を向けられれば、その時に死が確定してしまう。今まで捕食者にいた者達もこの森の中では捕食される側にまわる…そんな絶対なる不動のヒエラルキーが新たな支配者によって作り出されてしまったのだ。

 

 だが、そんな静寂の中で何か大きな物が倒れる音がする。どうやら誰かが木を切り倒しており、静寂の溢れる中を掻き乱しているようだ。

 

 事情を知らぬ者は巻き込まれる前にその場から離れ、事情を知る者は目を付けられる前に必死にその場から離れる――結局は誰もいないのだが、どちらにしてもその判断は賢明なものであった。

 

 

――それを為していたのはその支配者の一人であるのだから…。

 

 

――アウラSIDE――

 

 

―――うん!今日もいい天気だ!アインズ様の為にバリバリ働くぞー!

 

 

 私の名前はアウラ・ベラ・フィオーラ!ナザリック第6階層守護者の一人だよ!

 

 今は至高なる41人のまとめ役であるアインズ様から大事な大事な任務を仰せつかっているところ。この森の中に偽のナザリック大墳墓の拠点を作りあげることさ!

 

 え?何でそんなの作るのかって?それは簡単!強敵との戦いになった時の逃げ場所にするための場所だよ!アインズ様の経験から考え出されたもので、相手に追跡されているもしくは戦闘をした後にこの場に逃げることによって、相手にこの場所を本拠地だーって思わせる作戦なんだって。

 

 いやー!流石アインズ様だね!私も最初は何でこんな場所を作らなきゃいけないのかなって思ったけど、実際にアインズ様から理由を聞いて見ると納得できる内容だった。もし本拠地が敵に知られちゃったら、ずっと本拠地を警戒してないといけなくなっちゃうからね。

 

 …まぁ、ナザリックに似た場所を作っていたせいで双子の弟であるマーレに反逆の疑いを掛けられるなんて事件もあったけど、ある程度前倒ししながらほぼ当初の計画通りに進んでいる。

 

 

 

――ただ、今は非常に困ったことがある。

 

 

 

 今度、蜥蜴人の村を襲撃する時にこの場所を第5階層守護者のコキュートスが使うことになったのだ。使う分には問題ないんだけど、外装はともかく内装が全然出来ていないんだよね…。もしかしたら、アインズ様もこちらに来てコキュートスの蜥蜴人殲滅を間近で見に来るかもしれない…というか皆で行くっておっしゃってたよね…。

 

 本当にそうなったら最悪だ…!仮とは言え、アインズ様に見せるナザリックの姿が内装の何も出来ていないみすぼらしい部屋だなんて…!至高の御方に泥を塗ってしまう行為だ…!

 

 でも内装を手掛けようにも、もうコキュートスが配下を連れて拠点内の一番広い部屋を使っちゃってるし、退出させたくても守護者がコキュートスの判断を歪めることは出来る限りで禁じられているし、それに何より私自身が今の作業の手が離せないし…うう…どうしよう…。せめて壁装だけでも完成させたいんだけどなぁ…。

 

 

『―――考え事の最中申し訳ございません…。お時間よろしいでしょうか。』

 

 

 そう考えていたら近くで低く擦れた声が聞こえた。ああ、作業指示伝達用の小悪魔(インプ)か。小悪魔(インプ)は大体30cm位の羽の生えた赤銅色の悪魔でこういった作業伝達や細かい仕事に役立つ者達だ。ちょっと考え事をしていたせいでいつの間にか待たせてしまったみたい。うん!とにかく今は作業を優先させなきゃ!

 

「ごめんね!ちょっと待たせちゃったみたいだね!それで今回はどこの組の人が来たのかな?」

 

『はい、【う】の3番でございます。』

 

「【う】の番号ね。はいはい、了解。また何か問題かな?」

 

 偽のナザリック建設に当たって、この場所では【あ】~【お】までのそれぞれの班で分けて仕事をしている。【う】の番号は確か貯蔵庫の建設を担当しているはず。今は2番目位作業が進んでいる場所だったね。

 

『はい、作業指示者が念のため次の指示があればいただくようにとのことです。』

 

 あれ?確かにあの班の作業は大詰めだけど、もうちょっと時間が掛かったはず。ん~でも今は木を切り倒す作業だけだったから、現場を指揮している死者の大魔法使い(エルダーリッチ)が早く終わると判断したのかもしれない。それならかなり作業の前倒しができるかも…次はどうしようかな。

 

『差し出がましいようですが…先程まで何をお悩みだったのですか?非才なる身ですが、このような私でも何かのお役に立てればと…。』

 

「ん?ああ…今度偉大なる御方がこの偽の拠点に来ることになったんだよね。それに合わせて内装を整えたいんだけど、守護者のコキュートスが部屋を使っているから私じゃ弄れないんだ…。コキュートスの判断を歪めないように内装を整える方法がちょっと厳しいんだよねぇ…って君には関係なかったね。」

 

 あらら…仕事を切り替えたはずなのにまだ未練があったみたい。小悪魔(インプ)に愚痴をこぼしちゃうなんて私もまだまだだなぁ。

 

『なるほど、偽の拠点にコキュートス…様がですか。よろしければ次の作業が終わりましたら私がその内装を整えましょうか?偉大なる御方をお迎えするのは重大なこと…。内装資料や見本さえあれば私共小悪魔(インプ)であれば十分にお役に立てましょう。』

 

 え?小悪魔(インプ)が内装を?そういえば小悪魔(インプ)は手先の細かさではゴブリン以上に得意な種族のはず。コキュートスの意志を歪ませる可能性のある私自身では無く、歪ませる心配のない配下の者達に資材と資料を渡してコキュートスの後ろで内装を整えるなら何も問題にはならないかも…。

 

 加えてこちらの【う】の班の作業もかなり前倒しで進んでおり、死者の大魔法使い(エルダーリッチ)とゴーレムさえいれば、伝令に関してもしばらくの間は問題ないだろう。

 

 もし装飾が上手く行かなくても、装飾作業さえ始まってしまえば資材の運び入れの手間が省けるし、手直しするだけでどうにかなるレベルまで行ければ、アインズ様が来る時までに間に合うかもしれない!

 

「それいい考えかも!資料は今私が持ってるからそれを渡せば大丈夫だし、資材も各作業班から集めてくれば問題無し!でも、君一人だけでどうにかなるかなぁ…?」

 

『お任せ下さい。現在の作業を終わらせてからにはなりますが、内装資料をいただければゴーレムを借りてすぐに作業を始めさせていただきます。その際は至急ということでご報告が遅れるかもしれませんがよろしいでしょうか?』

 

 まぁ…急ぎの仕事とは言え伝令役に作業をさせようってことだから報告が遅れるのはしょうがないよね。

 

「うん!わかった!じゃあ資料はコレ…先に渡しておくから、ちゃんと作業が終わった後から頼むね!ああ、あと死者の大魔法使い(エルダーリッチ)には予定数まで終わったらそのまま他の班の木の調達もお願いって伝えておいてね!」

 

『かしこまりました。お預かりいたします。また問題がありましたらこちらに来ますのでお願い致します。クカカ…では、作業に戻らせていただきますので私はこれで…。』

 

 こちらを何故かじっと見つめた後、資料を持って飛び去って行った。

 

 それにしても随分と頭のいい小悪魔(インプ)だったなぁ。まぁ、小悪魔(インプ)自身も元々頭は悪くは無いし、ナザリックで生まれた魔物であれば特別な個体がいてもおかしくは無い。ともかくこれで内装も間に合うかもしれないぞ!

 

 これでアインズ様に不敬なことをせずに済むし、アインズ様から託された作業も順調に進められる。敵がここに攻め込んで来たりして壊されたりしない限りは問題ないだろう。その敵だって私の索敵スキルやそれらの能力を持った獣達を通って来れるとは思わないけどね。

 

 

 

『――アウラ様。考え事の最中申し訳ございません…。お時間よろしいでしょうか。』

 

 

 そう考えていたら近くで低く擦れた声が聞こえた。あれ?なんかさっきも同じことを聞かれたような…?振り返ってみるとまた小悪魔(インプ)がいた。どうやら何処かでまた問題があったらしい。

 

「ごめんね!ちょっと待たせちゃったみたいだね!それで次はどこの組の人が来たのかな?」

 

『はい、【う】の3番でございます。』

 

「え?【う】の番号?()()?」

 

 また同じ番号?ああでも、ちゃんと作業を終わらせてからって話だったから、また問題があれば持って来るのは当然かな?

 

「んん?まぁいいか!それで今度はどんな問題があったの?」

 

 そのあとも私はここの作業を中心に作業指示を行った。ぶくぶく茶釜様のお声を聴きながらお昼休憩を取ったりして順調に仕事を進めて行ったのだ。

 

 

 

―――後から思い返してみると多分ここが分岐点だったんだと思う。敵だって馬鹿じゃない…この時自分のスキルを過信し過ぎたその代償を未来に支払うことになったのだ…。

 

 

 





ね?最初以外はナザリックの平和な一幕だったでしょ?この表題が仰々しかっただけなのさ。少し違和感みたいのはあったかもしれないけど、きっと皆の気のせいだよ!大丈夫大丈夫!今はね…ヘエッヘッヘ!


ちなみに今回も原作関連がオバロのみなのでコーナーは無しです。しばらくは無いかも…。

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