また題名が凄いことになっているが今回は原作に近い話ばかり…原作を知っていれば明らかに違うことは分かりますが…。ただこの話…一体誰に対して布石を打ってるんでしょうね…?段々大きくなる違和感を喜びと楽観視で無視をすればするほど深くなる…手遅れになる前に…。
またAV(アニマルビデオ)が見たい方はアニメがおすすめですよ。
今回の一言
「絶望とは喜びとの落差が大きいほど深くなる。」byRIN
――その日、人知れず湖の側で大規模な戦いが起こった。
その地に住む現地亜人である
しかし、
これにより単体部族では太刀打ち出来なかったアンデッド軍団に対抗できるほどの戦力を用意し、最初に宣告を受けた
数の差は歴然で
そして、強大な魔法の力を操るアンデッド軍団の切り札たる
―――しかし、これはただの前哨戦に過ぎなかった…。
――ザリュースSIDE――
―――俺達はどうやらとんでもない奴らを相手にしていたらしい…これが本当の『絶望』というやつか…。
俺達はアンデッドの軍勢を全ての部族の力を用いて撃破した。相手が数に任せた軍団故に勝ちを拾うことが出来たものの、その犠牲は多大なものであった。
それでも俺達は喜んだ。アンデッドの脅威を退け自分達の生活を守ることが出来たことを。そして、これから全部族が団結して生活できるかもしれない夢のような可能性が出来たことを…。
しかし、現実は甘くなかった。勝利した次の日…その神話の中の存在が現れたことで本当の絶望を知ったのだ。
――高位の魔法武具を装備したアンデッド軍団
――三十mを超す程の石の巨人
――視界全ての湖を凍らせる理解できない超魔術
――アンデッド軍団を通り道として使うほどの存在
――言葉一つで抵抗できぬほどの圧倒的実力差
――そして、降伏を許さぬ見せしめの儀式
その全てが自分達がどれだけ矮小な存在だったのかを思い知らされる経験だった。アインズ・ウール・ゴウンというのは恐らく全てにおいて本当に神に近い存在なのであろう。明らかに勝てるなどという領域には一生届かない存在であると理解できた。
だが、それでも俺達は生き残らなければならない。どのような形でも
「それで…どうすんだ。俺達は何をすればいい?」
相手の話では四時間後、コキュートスという戦士を連れてまたこの場に来るそうだ。周囲はアンデッドの兵が湖の中に隠れておりこちらを逃がす気もないらしい。完全に詰みの状態だが、今後の方針はもう決まっているようなものだろう。
「相手の狙いが自らの圧倒的な力を見せつけることならば、
兄者…やはり同じ結論に達するか…。力ある者を全て駆り出し、それらを生贄にすることで相手からの助命をもらう…それしか手はない。だが、ここは俺の意見を通させてもらう…!
「兄者…ここにいる五人では許してもらえないだろうか?」
この場には
「…そうだな。
そう…俺が愛している
「ふざけないで…!!私も皆と一緒に戦うわ!!」
クルシュは尻尾を激しく地面に叩いて怒りを露わにする。…分かっている。置いて行かれる者の気持ちがどれだけ辛いものかは俺にも痛いほどな…。でも…それでも俺は…!
「相手はこちらに圧倒的な力を見せつけたいのだ。それならば皆に希望を持たれるような存在が生きていてはいけない…俺も含めてな…。そして、クルシュはこの族長達の中で最も皆からの評価が低い…適任だろう。」
「ザリュース…!それは…!!」
こんなことは言いたくない…。だが、現実を見てもらいそれで俺の願いが叶うなら俺は悪魔にだってなってやる。愛する者を守りたい…その願いを通すためなら何だってな…。
「――感情では納得できんだろう。ザリュースお前が説得しろ。四時間後にまた会おう。」
そうして兄者が言い残すと他の族長も含め部屋から退出していった。後に残ったのは俺とクルシュだけだ。
「やっぱり私も共に行くわ。あなたがこの地に呼んだ時に覚悟を決めさせたじゃない。何故いまさらそんなことを言うの…?」
「あの時は場合によっては皆が死んだ。しかし、今ならたった一人なら生き残れる可能性があるからだ。」
「……!」
やはり納得はしてくれないか…。でも、なんとしても納得してもらわねば、クルシュに生きてもらうことも
「…分かったわザリュース。あなたに何を言っても無駄のようね。それならば私にも考えがあるわ…!」
「クルシュ…?」
分かったとは言っているが明らかに何かを決意している目だ。一体クルシュは何を…?
「―――私…『湖の主』に会ってくるわ!」
「な…!?」
み、『湖の主』に会ってくるだと…!?それは兄者から聞いた化け物じゃないか!?
「だ、駄目だ!駄目だ!そんなことをしたら相手に潰される前にこちらが潰されてしまう!
「でも、今の私達ではどう足掻いても未来が無いわ!万が一にでも勝算のある手段を取るならこちらの方が可能性がある!他種族の部族を全部殺してしまう程の化け物ならあいつらにも対抗できるはずよ!」
戦力としては確かにあいつらに対抗できる可能性があるが、湖の支配者は聞く限りではこちらを虫けらのようにしか扱っていない外道だ。まともに取り合ってくれるとは思えない。
それに湖の支配者もあいつらの仲間の可能性が十分にあり得る。もしかしたらクルシュがその場で殺されてしまうかもしれない。とにかくクルシュを思いとどまらせなければ!
「そんなことをしてもその場で殺されるのがオチだ!それにどうやってこのアンデッドの包囲を抜けるつもりだ!逃げ出した者がいれば相手がどう出るか分からないのだぞ!」
「やってみなければ分からないじゃない!それに
『
「それでも駄目だ!みすみす命を粗末にさせることなど俺には出来ん!」
「あなたに出来なくても私はやるわ!あなた達が皆の為にその命を好きに使うなら私も同じことをするだけよ!私は僅かな可能性でも
「クルシュ!!」
そう言って立ち上がり建物の外に駆け出すクルシュ。クソッ!もう拘束してでも大人しくさせるしかない…!
そうして俺も外に出たが…クルシュの姿が見当たらない。ま、まさか、
追いつこうにもアンデッドの監視を潜り抜けることは俺にはできぬし、何よりクルシュは祭司の力を使えばかなりの速さで移動ができる。監視を掻い潜ったとしても俺では先回りをするのは無理がある。
「クソッ!クルシュ…!俺はどうすれば…!」
―――俺はどうしたらいいか分からずその場に立ち尽くすしかなかった。
――アインズSIDE――
―――うん、示威行為も悪くない感触だったな!後はコキュートスの仕上げを待つだけか。
俺は今、偽のナザリックの建設地に来ている。この偽の拠点は敵にこちらの本拠地を割り出させないためのダミーの一つだ。また、ここは物資の蓄積所も兼ねており、本当にナザリックが陥落したと時の逃げ場所としても機能する場所である。
この拠点はアウラに森の探索ついでに建設を任せていたけど、まだ建設途中とは言えここまで組みあがっているとは…流石はアウラといったところか。
当のアウラは今俺の後ろで守護者の皆と一緒に歩いているが…何だがとてもそわそわしている。建物について褒めてやりたいところだが、建物に近づいていく度に気持ちが重くなっているようだ。おそらくだが、部屋の中まで手が掛けらなかったのを気にしているのだろう…ここまで出来ていれば内装ぐらい俺は問題ないんだがなぁ…。
アウラの態度から然程期待していなかった部屋を覗いてみる…――そして、俺は衝撃を受けた。
「――お…おお…!?す、凄いではないかアウラ!まるで本物の第10階層の玉座の間のようだ…!」
そこには、上部に火の灯ったシャンデリアと床に豪奢な文様入りの紅いカーペット、配下が傅く檀下と壇上の玉座、そして玉座の後ろの黒水晶のレリーフまで再現されている。特に心を揺さぶったのは、左右に立ち並ぶ漆黒の柱の隣にギルド皆の輝かしい旗が模様まで細やかに配置されていたことだった。
全ての旗自体は小さかったものの、どういうわけか全ての旗がしっかりと左右に並んでいる。恐らく低位の幻術魔法が付与された素材を使っているようだ…奥行きがないにも関わらずその加減と技量によってどこから見ても壮観な眺めになっている。
広さに限界があり全体的な縮尺自体も玉座を除き少し小さかったものの、この広さでここまで再現できるのは見事という他ない。
「確かに凄いわね…これは。この部屋自体はそんなに広くないはずなのに…。」
「ちび助にこんな特技があったなんて…。でも、この部屋どうなっているでありんす?」
「これは…遠近を惑わす魔法が全ての物に付与されているようだ。どうやら私の作った玉座の出番はなさそうですね。」
「す、すごいねお姉ちゃん!僕お姉ちゃんがこんなことが出来るなんて初めて知ったよ!」
「うむ!素晴らしい!素晴らしいぞアウラ!ここまでの再現を行いギルド皆の旗まで用意してくれるとは!これは褒美を取らせなければならんな!」
一緒にいたアルベド、シャルティア、デミウルゴス、マーレも大絶賛だ。それもそうだろう、建築素人の俺でさえこの中に使われている技量は凄いものだと分かるのだから。
そして、俺はこの出迎えが本当に嬉しくて精神抑制してしまうギリギリまで行っていた。やはり仲間の旗が並んでいるこの壮観な玉座の間は俺のお気に入りであると再認識できた。
しかし、この部屋を手掛けたとされるアウラ本人は…
「え…あ…あれ…
何だか歯切れが悪く混乱しているようだ…照れているのか?まるでマーレのような反応をしている。もしかして自分だけで作ったのではないから謙虚になっているのだろうか?まぁ、
「照れることは無いぞアウラよ。限られた配下を用いてこれほどの部屋を作り上げたのだ。十分に誇っても良いことだと私は思う。私も含めた皆の称賛を受け取ると良い。」
「は、はい!アインズ様!ありがとうございます!…えへへ、ありがとう
先程までどんよりしていた顔に喜悦が浮かぶ。やはり純粋な子供のように喜ぶアウラを見ているとこちらも嬉しくなってくるな。
それにしてもこの中に使われている素材はどこから調達したのだろう?まぁ、シャルティアが蘇生アイテムを創造主であるペロロンチーノさんから持たされていたように、アウラも創造主であるぶくぶく茶釜さんから何か素材やアイテムを貰っていたのかもしれない。
アウラが俺のためにここまでしてくれたのだ。細かいことは気にしなくてもいいだろう。
――だが、この部屋の構造だと少しだけ問題がある。
「しかし、私が玉座から
そう、俺が玉座に座って
「…シャルティアよ。そういえばお前には罰を与えると言う約束だったな。今この場で罰を与えよう…そう、屈辱をな。そこで四つん這いになるがいい。」
「え?あ…はい!」
そう…そのまま部屋の中央で四つん這いになったシャルティアの上に俺が…座る!
「はぅ…あ、あいんずさま…!?」
「そのまましばらく私の椅子になるがいい。それがお前への罰だ。」
ふふふ…苦しかろう。玉座の間のような場所で皆に見られながら鑑賞会を行う…プライドの高いシャルティアにはこれほどの屈辱はないだろう。
「なるほど!お見事です!守護者に座するとは!確かに誰にもできない…つまりは至高の御身にこそ相応しき椅子!流石はアインズ様!考えてもおりませんでした!」
え…?いやちょっとデミウルゴス持ち上げ過ぎじゃないか?顔がキラキラと輝いているぞ。何でこんなにいい笑顔なんだろうか…少し自分の行動が不安になってきたぞ。
「すみません、アインズ様。少しだけ退室してもよろしいでしょうか。すぐに戻りますので…。」
そして、今度はアルベドが音もなくスッと立ち上がり、退室の許可を取ってきた。今度は一体何なんだ…?
「どうしたアルベド…?まぁいい…行け。」
「ありがとうございます。」
そうしてそそくさと部屋の外に出て行き「どりゃゃぁああ!!」という野太い女の声と何か固いものに激突している音がこの拠点の僅かな揺れと同時に聞こえてきた。うん、コノオトトユレハナンダロウナァ…?
一分後、沈黙が部屋を支配する中、アルベドが優し気な笑顔を浮かべて戻ってくる。
「戻りましたアインズ様。そうそうアウラ…この部屋を出た時に間違って壁にぶつかってしまったの。随分頑丈にできていたけれど、小さな子供が通れるくらいの穴が空いてしまったわ。アウラ…申し訳ないけど後で直しておいてくれないかしら?」
「あー…うん、わかったよアルベド。」
何をしていたかは問うまい…。しかし、この拠点は
「さて、
持ってきた鏡に
村の中はそれらの特徴的な
「無駄な努力を。」
そうして、慌ただしい村全体を見ていると魔法の武器を持った
「あの
見た感じだと北へ行こうとしているのを仲間の
「アインズ様…今丁度情報が入りました。どうやら白い肌を持った
「何…?」
白い
「白い
そういえば降伏はするな戦えとは言ったが、別に逃げるなとは言っていない。全員が逃げ出すようであれば皆殺しにするが、たった一体逃げ出したところでとやかくは言うまい。
「一応動向は追っておけ。もしかしたらプレイヤーの接触もあり得るかもしれん。ちなみにこの白い
「はい。おそらく上にある大きな湖を目指しているようです。」
「ふむ…アウラよ。そこは調査をしたのか?」
「はい。私の獣達を向かわせて調査させましたが、湖の周囲には特に生物の影はありませんでした。」
何もいない?何故そんなところにあの白い
万が一そこからユグドラシルプレイヤーが現れたとしても、レベル100の私と守護者達がこれだけいれば撃退はできる。そこで相手が情報を落としてくれれば万々歳だ。この幾重もの警戒網を抜けてこちらまでこれれば話は別だが、今ならこの拠点近辺に近寄れば完全不可知化でも気配を察知できる自信がある。まず問題はないだろう。
「警戒網に引っ掛かる者がいれば、私を含む守護者全員で出てもらうぞ。」
仮にユグドラシルプレイヤーが
コキュートスとの約束を破ることになるが、それよりも大事なことの為にも嘘も方便である…
「さて、後は上映時間になったら、コキュートスの戦闘風景をじっくり楽しもうではないか。」
俺は尻の下で『アハン…そこは…』などと言いながら、よだれ交じりの吐息を強くするシャルティアを努めて意識しないように皆に言い放った。
劇的ビフォーアフター。…文頭に悲しみが付かないといいね。
身内でも甘くすれば毒となる…誰が何に喜びを覚えたのかを覚えておくといいと思うよ。
蜥蜴人編はとにかく蜥蜴以外の活躍が後半に詰まりすぎなんですよね…。原作を10回くらい読み返してもこの第4巻だけは正直二次創作では厳しいのでは…?と思ってしまう。あ、でも蜥蜴人がメインなら話は別ですね。
あと申し訳ございませんが次話はリアル出張で投稿が遅れます。1週間~10日で戻って来る予定です。いつもお時間を掛けてしまい大変申し訳ないです…。