「なんだ?
お前、こんな所で何をしているんだ?」
道の真ん中になぜかうずくまっている少女がいた。
「っ、来ないで!!
あいつらが、こっちに来る!!」
「あいつら?」
その言葉に疑問に思うよりも先に後ろから何かが落ちた音が聞こえ、振り替えるとそこには人間を遥かに超える大きさの不気味な人形が武器と思える掃除機をこちらに向けていた。
「こいつは転生特典!?」
その人形から転生特典特有の気配を感じ、俺はすぐにVSチェンジャーを奴の顔面に向けて何発か放ち、貫通させると、人形はすぐに地面へと倒れてしまう。
「なんで、なんであんなのが」
「お前」
その反応は人形に対しての恐怖なのか、蹲っているが、それは自身に向けている恐怖というよりも他を巻き込んでしまったという罪悪感という感じがした。
この反応からして、こいつが先程の特典の持ち主という感じだが、どちらかというと
「暴走した感じだな」
転生特典は多くは転生者の意思に従う力が大半だが、それでもその力自体を否定したり、制御できなくなり、特典が暴走している奴を何度か見た事がある。
「落ち着け。
一応聞くが、お前がこいつらの持ち主なんだな」
「っ、はい。
私、なんか神様と名乗る人にこの世界に転生させると言われて、それで特典と言われて、最初は不気味な人形を渡されたんです。
この世界ではその、いじめとか無くて、楽しかったんですけど、さっき変な人に襲われた時になぜか人形が動き出して、それで気づけば、どんどん増えて」
「分かった、もう話さなくて良い」
この子の話を聞く限り、特典を渡した神が説明をせずに渡した事によって起きた事故だと思う。
「安心しろ、お前のその力は絶対に取り除いてやる」
「取り除く?
そんな事「できる!!」っ!」
「なんだって、俺は怪盗だ。
君の不安だって、盗んで見せるさ」
「怪盗」
「あぁ」
「本当に、私の不安を」
「絶対にだ。
俺達にできるのは確かに特典を奪えるから、これからその力の不安を無くす事はできる。
ただし、その先の人生で、この事に対しての罪を背負って、生きていけるか?」
「…私、生きます。
この世界で生きたい、もっと皆と一緒に!!」
「その言葉が聞きたかった!!」
この子ならば大丈夫。
これまでも力を無くして、後悔している奴らはいたけど、確かに生きている奴らもいる。
「予告する。
君の特典と不安は俺達が頂く」
そう言い、俺はVSチェンジャーを取り出し。ダイヤルチェンジャーをVSチェンジャーにセットした。
【レッド】
【0・1・0! 怪盗チェンジ!!】
その音声と共にダイヤルを回し、、VSチェンジャーを変形させて、宙に向けて構えると同時に打ち抜く。
「怪盗チェンジ」
その声と共に俺はルパンレッドに変身する。
「本当に噂のルパンレンジャー」
「それじゃあ、目をつぶって「きゃあ!!」」
「なっ」
俺は彼女の特典を奪おうとした瞬間、先程まで暴れていた人形がこちらに近づき、攻撃すると共に人形の一体が彼女を奪い逃げ始めた。
そしてその彼女の間を阻むように幾つもの人形が立ちはだかった。
「てめぇら、邪魔するな!!」
俺はそう叫ぶと同時にVSチェンジャーを操作する。
【GET SET READY? 飛べ!飛べ!飛べ!
レ・レ・レ・レーッド!!】
それと同時に目の前にレッドダイヤルファイターを巨大化させ、人形共を纏めて蹴散らし、すぐに元に戻すと同時に俺は先程の人形の元へと走っていった。
「おいおい、なんじゃこの騒ぎは」
「不気味なぐらいにいやがるな」
そうしているとソーマと忍が合流し、俺達は互いの背中を守るように人形共と対峙した。
「それで、今回の転生者は」
「攫われた」
「という事はこいつらは暴走した特典か」
「ならばすぐにいかなければな」
そう言うと、何かの気配を感じ、その方向を見てみると、ストライクフリーダムの一件の時に出会ったパトレンジャーがいた。
「またか、儂らの偽物」
「おいおい、よりにもよってあんたらが来るのかよ」
そう挑発をするように忍が言うと、向こうの赤い奴はそれに合わせるように言った。
「まぁいいや。
俺達はこいつの特典を盗ませてもらう」
これ以上、あの子に罪を重ねさせない為にも
「させるもんか!」
その言葉と同時にピンクのパトレンジャーがこちらに銃を向けた。
「邪魔をさせるか」
そう言い忍は近くにいた人形に近づくと、人形をルパンソードのマジックハンドで勢いよくパトレンジャーに向けて投げた。
「ここから先に貴方達を進めません!」
そう言い緑色のパトレンジャーがその人形を撃つと
「それはこちらのセリフだ」
その後ろに隠れていたソーマがルパンソードで不意打ちをかけた。
そんなソーマの肩を借り、飛ぶと同時に
「それじゃ、お先に」
そのまま転生者の元へと行こうとするが
「てめぇらなんかに、あいつを懺悔させてたまるか!
あいつは好きでドリィを動かしているんじゃねだぞ!!」
そう言い、手に持っていた武器でこちらに襲い掛かってきたが、俺はすぐにルパンソードでその攻撃を受け止めた。
それにしてもこいつは分かっていない、あいつはそんな奴じゃない事ぐらい、目の前にいた俺が分かっているよ
「それで、勝手に記憶を消して、どこか知らない世界に送れって言うのか?」
そんな事をして、あの子の幸せだった記憶まで消すのか
「逆に聞くが、転生者をただの人間にして、懺悔させるってのはどうなんだよ!
記憶があるまま特典を奪われ、無力感と罪悪感に押しつぶされて、破滅するかもしれないんだぞ!!」
あぁそうだな、確かにお前の言う通りになった奴もいるかもしれない。
「だったら記憶と特典を消して別の世界で普通の人間として生きるのは間違ってないだろ!!」
だけどな、それじゃあ駄目なんだよ
「あぁそうだな。
人間は誰だって間違って、人を傷つける事がある。
だけどな、人間ってのはな、そんな所もあるから変わって、人を守れる存在になれるかもしれない」
最初から完璧な人間はいない。
万能ではない。
奪われて、絶望するかもしれない。
「生きている限り、人間は何度でも変われる。
それがどんなに苦しくても、どんなに険しくても、まだ生きているから幾らでも変われる。」
だけど、それでも諦めず、進んでいけば、少しはマシになるかもしれない。
「あいつの顔は自ら変わりたいと願っている。
だったら、俺達はあいつを苦しめる特典を盗んでやる。
それが怪盗だ!」
あいつは特典のせいで不幸になって、罪を犯したかもしれない。
だけど、それでも生きようとしているあいつを俺は助けたい。
「確かにそうかもしれねぇな。
あんたの言う事も一理あるって思っちまうよ。
けどな、もうこれ以上あいつを苦しませる訳にはいかない!
だからあいつを俺達は更生させる!
それが俺達警察の仕事だ!」
「そうかよっと、だけどこっちは引くつもりは元からないけどな」
そう言い、奴から離れると、あいつの後ろにいた人形を打ち抜き、走り出す。
「どうやっても、あんたらは引く気はねぇんだな?」
そう言うと近寄ってきた人形を持っていた武器で殴り倒し、俺の近くにいた人形を打ち抜いた。
だが、同時に俺の後ろから何か引っ張られ、後ろを振り向くと掃除機を持った人形がこちらを吸っていた。
「邪魔だぁ!!」
VSチェンジャーで掃除機を打ち抜くと、掃除機は爆発し、人形を巻き込んだ。
だがそれに合わせるように周りには大量の人形が俺を襲い掛かろうとしていた。
「ちぃ、このまんまじゃあ」
そう言っていると、何か音が聞こえ、見ると、先程までいた人形よりも巨大な人形が現れ、それに対峙するようにグッドストライカーが現れ、変形した。
「なんだ、あれは」
「おい、とっと逃げるぞ」
「逃げるって、まだ特典が残っているから「捕まった」えっ」
「転生者は捕まって、消えた。
ここにいるのは暴走した特典だ」
「何を言って」
そう言うと周りにいた人形共は残っているが、そこからは転生者の気配は感じられず、本当に特典だけが動いていた。
「それじゃあ、あの子は」
「とにかく逃げるぞ!
あいつらは今は特典の相手をしているから、逃げるならば今しかないぞ」
「さすがにあれ相手には不利になるからな」
そう言い、俺は目の前が真っ白になっている間、ソーマと忍はそんな無気力な状態になっていた俺を喫茶店に連れてきた。
それから、俺はただ席に座って、救えなかったあの子の事を考えていた。
「どうしたんだ、あいつは」
「特典が暴走した奴の特典を盗めず、その転生者はパトレンジャーによって転生させられた」
「ふぅん、なぁ、雨宮、お前はあいつらに復讐したいのか?」
そう愁一はこちらに声をかけてきた。
「復讐?
そんな事をして何になる?」
「ほぅ、ここは復讐をすると言う所だろ?」
その反応が面白かったのか、奴は笑っていた。
普段は殴り飛ばしたかったが、そんな気力も湧かなかった。
「俺はただ単に、俺自身が情けないだけだ!
もしも俺に力があれば「手に入るとしたらどうする?」なに?」
そう俺の言葉に反応するように、俺が机に置いていたVSチェンジャーをいじり始めた。
「お前達のVSチェンジャーには実は秘密があるんだよ。
そのVSチェンジャーにはルパンレンジャーは勿論の事だが、別のスーパー戦隊の力を得る事もできる。
だけど、それには、そのスーパー戦隊に認められなければならない」
そんな事ができるのか。
今まではそういうのはなかったし、十分なぐらいあると思っていたけど
「どうすれば良い?」
俺は思わず、愁一に掴みかかったが
「さぁな。
何時、どこで、手に入るか分からないけど、彼らは常にお前らを見ているからな」
「そうかよ」
その返答で、手に入るか分からなくなり、俺はそんな不確かな存在に頼る事はできない。
「俺はこれからもただ転生者から特典を奪う。
それが、この世界に生きる人々の為だと信じてな」
そんな力なんて、なくても、俺は