その日の食事はソーマや忍とは別に近くにある店に入った。
「兄ちゃん、ここら辺では見ない顔だね?」
「最近越してきたので」
「へぇ、だったら少しサービスしちゃうよ」
「ありがとうございます」
そう言い、おばちゃんはお好み焼きの上に肉を追加してくれた。
この店はなかなか当たりだったかもしれない、そう思っていると
「おばちゃん!
お好み焼きを一つ」
「あら、今日は一人かい?」
「うん、未来は少し用事があってね。
あれ、もしかして雨宮君?」
「君は、立花さん?」
店に入ってきたのはシンフォギアを持っている一人である立花響がここにいた。
「そうだよ、あぁ私の事は響で良いよ!
それにしても偶然だよね」
「あぁ、本当に偶然だな」
俺はそう言いながらも響は隣の席に座った。
「どうした、なんだか疲れた様子だけど」
「そっそんな事ないよ!」
「そうなのか?」
そう疑問に思いながらも、表情を見る限りは無理矢理笑顔にしている感じが見え、何か悩んでいる事でもあるだろうか。
というよりも心当たりとしては例のフィーネ関係だろうが。
「ねぇ雨宮君はさ、怪盗戦隊って知っている」
なぜ、その話題が出てくるんだ?
「また、急になんで」
「あっいや、少し前にたまたま見かけたの。
その時に人助けをしていたのを見てね、何を盗んでいるのも分からないし、本当に悪い人なのかなと思って」
どうやら、フィーネもそうだが、俺達の事についても悩んでいたらしい。
本人の前だからと言っているのかと、思ったがこの感じは違う。
「さぁな、怪盗だから、何か盗んでいるんじゃない?」
「確かにそうかもしれなけど、話合えば分かり合えるかもしれないし
「それは本人達に言わないと分からないからな。
もしかしたら、誰にも話せない秘密があるんじゃないかな」
そう、俺達の正体を知るという事は、転生者の戦いに巻き込むことだ。
そんな事に彼女達を巻き込みたくない。
「どうすれば」
そんな響の悩み声とは別に何か落とす音が聞こえ、見ると、お好み焼きを焼いていた人が道具を落としていた。
「おばちゃん、どうしたの?」
様子が可笑しかったのか、響は声をかけようとしたが
「危ない!」
俺はその人から感じた殺気に気づき、俺は急いで響を抱えて避けると、そこには人とは思えない程の怪力によってひび割れていた机だった。
「おばちゃん?」
「とにかく逃げるぞ!!」
俺は呆けている響の手を繋ぎ、走り出すと、その後を追ってきた。
「一体どうして、あんな事するはずがないのに」
「一瞬だけ見たけど、あの人の目、とても正気じゃなかったからな。
何かに操られているんだろうな」
「操られているって」
「分からない、とりあえずは俺達には何もできないから逃げるしかないな」
周りを見渡すが、この時間では当たり前の人影すらない。
なんとか近くの建物に隠れるが、状況は悪化するばかりだった。
「響、ここは俺が囮になる」
「何を言っているの!!」
「誰かがこの事を知らせないと、もっと被害が広がるし、あの人を助ける事もできない」
そう言うと、後ろから大きな音がして、振り替えると既にこちらまでに迫っていた。
「とにかく頼むぞ!!」
そう言い、俺は響を押して、そのままおばちゃんの元へと走った。
「おぉーい、こっちだ。
こっちに来やがれ!!」
その言葉に反応し、おばちゃんはこちらに視線を向けると、そのまま襲い掛かってきた。
そして視線から外れ、響から隠れる位置に走りこむと同時に俺はあらためておばちゃんの様子を伺った。
見ている限りではおばちゃんの目は正気というよりも気を失っているのに近い感じだ。
「だったら、どこかに本体があるはず」
俺はそう言いながら、おばちゃんから逃げていき、周りに人影もないのを確認すると共にVSチェンジャーを取り出し、おばちゃんの近くにあるごみ箱などを狙い撃つ。
「ぐぅ」
それに怯んだのを見ると共に即座にダイヤルファイターを取り出し、VSチェンジャーにセットする。
【レッド】
【0・1・0】
【マスカレイズ!】
「怪盗チェンジ!!」
【怪盗チェンジ!ルパンレンジャー!!】
俺はその言葉と共に、腰にあるバックルを取り出し、おばちゃんの近くに跳び、ワイヤーを使い、おばちゃんの動きを止めた。
「さて、おばちゃんから特典の欠片は感じるから、近くにいるのは確実だがっ!」
そう予想している間に背後から感じる殺気に気づき、俺は後ろを振り返るとそこには
「動くな」
振り替えると、そこに立っていたのはパトレンジャーの三人に加えて、新しく入ったのか青色の髪の女の子がいた。
「こんな時に」
「そこにいるのが転生者だな。
怪盗に転生特典を奪われる前に確保するぞ」
「なっ」
転生特典を盗み行動を行っていたら、確実にパトレンジャーに捕まってしまう。
「行くぞ」
その言葉と共にパトレンジャーの二人はVSチェンジャーで牽制を行い、赤い奴はその手に持っている武器で、青い髪の子はその手でこちらに攻撃してきた。
「おいおい、危ないだろうが!!」
俺はそう言い、おばちゃんをワイヤーで縛ったままで片手で抱えて、その攻撃から避けた。
数での圧倒的な不利が多いが、その場から逃げ出したくとも、その攻撃から逃げるのにも困難な状況になってしまう。
「大人しく掴まれ!!」
「嫌だね!
俺は決めたんだよ、最後まで生きるのも助けるのも辞めないってな」
「何を言ってんだ!
俺達はただ転生者達を更生させているだけだっつうの!!」
「そんな事はお前達がやりたい事だろ。
生きるのを無駄にしたくないんだよ!!」
俺はそう言うが、おばちゃんは暴れ続けていた為、VSチェンジャーの攻撃がおばちゃんに当たりそうになった。
「ぐぅ!!」
俺はなんとか身を翻して、攻撃を受け止めるが、ダメージは大きく、壁に叩きつけられる。
「そこまでだ、怪盗」
そのまま赤いパトレンジャーはこちらにVSチェンジャーを構えた。
絶体絶命だと思った、次の瞬間
「Balwisyall Nescell gungnir tron」
どこからか歌声が聞こえると共に俺の目の前に迫っていたパトレンジャーの攻撃がぶれたと思った次の瞬間、俺は何時の間にか別の場所に立っていた。
「えっ?」
「大丈夫ですか、怪盗さん」
その言葉が聞こえ、振り向くと、そこにはシンフォギアを纏った響がいた。
「大丈夫って、お前、なんで俺を助けた?」
「えぇっと、なんていうか、助けたいと思ったから」
「はぁ」
「それにおばちゃんを必死に助けよとしていたあなたを信じたいと思ったからです」
「そんな事で」
「そんな事でです」
そう言い、俺は頭を掻きながらも、目の前にいるのは確実に馬鹿だという事を、そして何よりも
「俺と同じような奴か」
「?」
「なんでもない、それよりも、あいつらはこの人の事を転生者と勘違いして襲ったんだろうな」
俺はそう言いながら、おばちゃんの身体にダイヤルファイターを取り付けて、特典の排出を試みた。
「転生者?」
「説明はあとだ。
とりあえずはこの人を操っている大元の特典を奪ないと、危険だしな」
「えっ?」
そう言うとダイヤルファイターは特典の居場所が分かったのか、動き始めた。
「こっちか」
俺はそう言い見ると、そこにはこちらの様子を伺っている人影がいた。
「えっ」
「さて、俺はこれから盗みに行く。
お前は「関わります」だから、俺と協力する意味が分かっているのか?
あいつらはおそらくは別の世界から来た組織の警察だ、そいつらに敵対するっていう事は世界を敵に回すという意味だぞ」
「えぇ、だけど人を簡単に傷つけようとした警察の人よりも、誰かの為に動く、あなたの方がずっと信用できます」
「お前」
「良いんじゃないの?」
「「えっ」」
突然人の声が聞こえ、振り向くとそこには何時の間にか赤い忍者服を着た青年がいた。
「誰?」
「おぉ、俺の名前は伊賀崎 天晴だ。
よろしくな」
「はっはぁ」
「それよりも、お前ら熱いなぁ!!
二人共、人を助けたいと思っている気持ちは同じだからな」
「そっそうなのか」
「そうですよ!!」
「そうか」
そう二人の気迫に押されて、思わず空返事してしまうが、確かにな。
「そうだよな、人を助けれるんだったら、それで良いか」
「怪盗さん!!」
この子だったら、信用できるかもしれない。
「怪盗じゃない」
そう言い、俺はVSチェンジャーの変身機能を解除する。
「雨宮だ」
「えっ、えぇぇ!!
雨宮君」
「おぉ正体ばらしても良いのか?」
「どうせいつかばれると思ったしな。
だけど、他の奴らには余り言いふらすなよ」
「えっと、でも」
「まぁ響さんの周りは信用できるけど、その上が信用できないからな。
しばらくは秘密で頼むよ」
「はっはい」
「それじゃあ、あいつらもばれそうだし、いっちょ派手に行くぜ」
「あぁ」
俺はそう言い、再びVSチェンジャーにレッドダイヤルファイターをセットした。
すると隣にいる伊賀埼さんもその手に武器を持っていた。
【アカニンジャーシュリケン!!】 【ザ・変化!】【ニンニンニン、ニンニンニニン!】
【レッド】 【0・1・0】 【マスカレイズ!】
「怪盗チェンジ!!」「手裏剣変化!」
【怪盗チェンジ!ルパンレンジャー!!】
【アカジャー、ニンジャー!】
その音声と共に俺の姿は再びルパンレッドに、伊賀埼さんはゴーカイ先輩が変身していた姿の一つであるニンニンジャーの姿だった。
「へっ変身した!!」
「ニン先輩でしたか」
「ニン先輩、なんだか、熱いなぁ!!
行くぜ、後輩!!」
「はい!!」
俺達はそれと同時にビルの下にいるパトレンジャー達がいるのを眺めながら、それぞれの自己紹介し始めた。
「ルパンレッド」
「暴れてアッパレ!アカニンジャ!」
「えっと、立花響!!」
「それじゃあ、お宝頂くぜ!!」
「忍どころか、暴れるぜ!!」
俺達はその言葉と共に壁走りをしながら、パトレンジャー達に接近すると同時に響は青い髪の子に、ニン先輩は緑とピンク色のパトレンジャーに、俺は再び赤いパトレンジャーと激突した。
「お前、まだ諦めていなかったのか」
「残念ながら、俺は諦めが悪いからな」
そう言い、ルパンソードを取り出し、攻撃を仕掛けていき、向こうも同じように接近戦で応戦していきながら、周りの状況を確認していくと、再びこちらの様子を伺っている転生者の影が見えた。
「見つけたぜ」
「見つけた?」
「なるほど、そういう事か」
その言葉に気づいたのか、ニン先輩は身体を二人の攻撃を受け止めながらも懐から何かを取り出すと
「手裏剣忍法!
霧隠れの術」
【ザ・技!じゃぶじゃぶじゃー!めらめらじゃー!ニンジャー!】
そう鳴り響くと共にニン先輩の刀から、水が溢れると共に、炎を纏った刀で水を切り裂くと、そこから霧となる。
「そこだ!!」
俺はその隙に転生者の近くまで接近すると
「なっ」
「あんたのお宝、頂くぜ!!」
その言葉と共にレッドダイヤルファイターを転生者に付けると、転生者の身体から光が出てきて、そのまま俺の手に転生特典が収まった。
「おっお前!!
俺の特典を」
「それじゃあ、お宝を貰ったぜ」
「へっやったな。
それじゃあ、これも受け取れ!!」
そう言うとニン先輩の身体は光り輝き、そのまま俺の手元に行くと、そこには鳳凰を思わせるファイターがあった。
「あぁ使わせてもらうぜ」
俺はそのままVSチェンジャーに新たなファイターをセットし、ダイヤルを回した。
【2・1・0】
【GET SET READY? 飛べ!飛べ!飛べ!】
【二・二・二・ニンジャー】
その音声と共にVSチェンジャーから鳳凰のような飛行機が現れると、俺はそのままそのファイターに乗ると
「乗れ」
「はっはい!!」
俺の言葉に従い、響はファイターに乗った。
「追うぞ!!」
その声が聞こえ、振り向くと、あちらも対抗してか、車に既に乗っていた。
「行くぜ、怪盗忍法、分身の術」
「えっできるの」
「なんとなく」
そう言うと共にファイターが少し揺れると共に左右にはまるで分身したようなファイターが現れた。
「えっ本当にした」
「さすがニン先輩だぜ!
飛ばすぜ!!!」
俺はそのまま引き金を引くと既に音速を超えたスピードで飛び、背後には分身を追っているパトレンジャーの姿だけだった。
しばらくファイターを動かし、追いかけてこないであろう森の中に入ると共に再び響と向かい合った。
「えっと、雨宮君がその、ルパンレッドなの」
「あぁ、そうだ」
「それじゃあ、転生者や特典ってなんなの?」
「そうだな、道中でそこらへんの説明するわ」
俺はそう言い、響と共に町へと戻る際中に転生者について、そして特典の事についての説明を行った。
「それだったら、さっきは戦ったけど、パトレンジャーの人達は一体」
「あいつらは更生と言って、転生者を再び転生させる」
「それって、この世界から」
「あぁ存在自体がなくなる。
あいつらが言うには無力感と罪悪感に押しつぶされて、破滅よりはましだってよ」
「そんな事ないよ」
そう言うと響の様子は一段と変わった。
「ねぇ、やっぱり協力する事は「悪いが少し待ってくれ」えっ?」
「俺はともかく、ブルーもイエローも完全に信用できていないからな。
おっさんはどうか分からないけど、とりあえずは響達と一緒に戦うのは本当に今は」
「そうだよね」
そう言い、少し落ち込んでいたが、少しして顔をあげて、こちらに手を差し出した。
「んっ」
「えっ」
「でも、一緒に手を取り合える事はできるよね」
「ははっ、さあな。
俺達の邪魔をしなければな」
「人助けだったら、思いっきり手伝うから」
「そうだな」
そう言い、俺は響と握手した。
この時の選択肢は決して間違いではないと信じて。