その日、俺はとある場所に向かっていた。
多くの奴らが死んだというライブ会場において、俺が探している奴の目撃情報があると聞いたが、それはどうやら外れだったらしい。
だが、ライブ会場には既に俺以外に誰かいたようだ。
「君は」
「・・・」
目の前にいる青い髪の奴は確かシンフォギアを纏う奴の一人である風鳴翼だったか。
なぜこのような場所にいるのか疑問に思ったが、俺はそのような事を気にするつもりはないので、会場にある椅子の一つに座った。
そんな俺を見つめてか、風鳴は近くにあった椅子に座った。
「君も、ここで大切な人を無くしたのか?」
「なぜそんな事を聞く」
「君の目からそんな感じがしたからだ」
「いや、俺はただ探しているだけだ」
「そうか」
ただ少しだけの会話で、初めて会っての会話とは思えないが、俺は周りにある会場の様子を眺めた。
2年前に起こったノイズによる厄災により、ライブに来ていた客の大半は死亡してしまったという事件、それは風鳴にも大きく関わりがあるだろう。
そのような悲惨的なライブ会場で俺達はただ静寂な場所で、共にその場で眺めているだけだった。
だが、そのような静寂な時間はすぐに去った。
「がアァァァぁ!!」
「「っ!!」」
突然鳴り響く獣の声に俺達は上を見ると、そこにはおよそ人とは違う赤い獅子のような巨大な獣の姿で、尾は無数の蛇を持つ怪物がいた。
「なっ、まさかあれは鵺か」
「知っているのか?」
「あぁ、妖怪の一種で様々な動物の特徴を持っているが、まさか存在したとは」
そう言っているが、実際には鵺ではなく、妖怪のような特典を得た転生者が暴走したと考えれば良いだろう。
「君はここから逃げたまえ」
「何を言っているんだ?」
「人を守るのが私の役目だからな、とにかく走るんだ!!」
そう言うと共に風鳴は走り出した。
「Imyuteus amenohabakiri tron」
その声と共に、その姿はシンフォギアを纏い、鵺と立ち向かった。
ここでは変身も難しいと思い、俺は風鳴の言うように立ち去ろうとしたが
「くっ!!」
鵺の風鳴の死角を多く狙い、さらには俺への被害を考えてか、風鳴の動きは余り良くなかった。
「はぁ」
俺はそんな姿を見て、一緒に戦っている馬鹿の事を思い出す。
奴はルパンレンジャーになった事で知り合ったのだが、自身がルパンレンジャーになった目的である復讐をも忘れ、目の前にいる人を助ける事に命を賭けるようになっていた。
そんな行動が多く、俺はある日、あいつに復讐を忘れたのか尋ねたが
「忘れた訳ではない。
だけど、それ以上に俺と同じ思いをさせたくないというのが本音だ」
そんな、自身の痛みを他人に受けたくないという思いで動ける奴に俺は
「俺も馬鹿が移ったようだな」
俺はそう言いながら、懐からVSチェンジャーを取り出し、ブルーダイヤルファイターをセットする。
【ブルー】
【2・6・0】
【マスカレイズ】
「それは」
「怪盗チェンジ」
【怪盗チェンジ!ルパンレンジャー!!】
その音声と共に俺はルパンブルーに変身し、目の前にいた鵺に攻撃を仕掛ける。
「君がルパンレンジャーだとは」
「さあな、俺はただ単に目の前にいる奴から宝を奪うだけだからな」
「宝だと?」
「あいつは人間だよ」
「なにっ!!」
そう言い、鵺をあらためて見つめた。
「見た目もそうだが、現在はあいつが持っている物が暴走を引き起こしている。
それを止めるには、あいつから宝を盗むしかない」
「その話には嘘はなさそうだな」
「なぜ、嘘じゃないと思った?」
「ふっ直感だ」
「変わった直感だな」
俺はそう言いながらも、VSチェンジャーを構えた。
「私が隙を作る。
その間に回収はできるか」
「ふっ」
俺はそう言いながらも風鳴の言葉に従うように俺は鵺に向けてVSチェンジャーを撃っていき、牽制していき、狙いをこちらに向けた所で俺は様々な方向を動きながら攻撃を続けた。
幾つにも別れた蛇がこちらに襲い掛かってくるが、その前に風鳴が宙に舞うと同時に青いエネルギー剣を鵺に向けて放った。
「千ノ落涙」
それにより蛇は切り裂かれ、俺は直接叩き込むように鵺の頭に打ち込んでいき、さらには片手に持ったルパンソードに自身のオラクル細胞を籠めると同時にルパンソードの刀身に溜めると同時に放った。
「チャージクラッシュ」
その言葉と共に振り下ろした一撃は鵺に効き、巨体は倒れた。
「今だ、影縫い!」
その言葉と共に、鵺の影に風鳴の懐から取り出した小刀を出し、鵺の影に投げると、先程まで動き回っていた鵺はピタリっと動きを止めた。
「なるほど、動きを止めるとは、そういう意味だったか。
ならば」
俺はその間にブルーダイヤルファイターを鵺に触れさせると、鵺の身体は光始め、その身体から転生特典である光が出てきた。
そして特典を無くし、代わりに小さな子供が寝ていた。
「子供が」
「おそらくは特典を制御できなかったんだろう」
「お前達が集めているのは、まさかそれの事だったか」
「あぁ、ならば俺と戦うか」
その一言と共にVSチェンジャーを風鳴に向けるが
「いや、辞めておこう。
君と戦う理由は特になさそうだからな」
「なに?」
「君はこの子や私を助ける為に戦ったんだろ。
ならば、私はそんな君を信じたくなってきた」
「後悔する事になるぞ」
「後悔ならば何度もした。
だが、それでも信じてみたいんだ、立花のようにな」
「お前も、誰かに影響されたのか」
そう言い、俺はVSチェンジャーを下した。
「ソーマ・シックザール」
「えっ?」
「俺の名前だ」
それだけ言うとその場でブルーダイヤルファイターを呼び出し、その場から去った。