その日、俺達は飛鳥ちゃんの修行場所である忍者屋敷がある島に向けた船の中で休んでいた。
その中でトランプでのババ抜きに俺は混ざって遊んでいたが、それ以降でも様々な事で時間潰しを行っていた。
「そういえば、君達に聞きたいのだが良いか?」
「なんだ?」
そんなゲームをしている最中、飛鳥ちゃんの共感である霧夜先生から話が聞いてきた。
「君達が盗んでいるという特典はこの世界の概念とは越えた別の力の事なのか?」
「まぁそうだな。
中には例外もあるけどな」
「それでは、暴走するのもあるのか?
「何かあるのか?」
「実は私の知り合いに一人、転生特典に苦しんでいる人物がいる」
「どういう事だ」
そう言い、渡した資料には
「これは」
「私の恩人がいる場所だ。
その力を使い、数々の偉業を達成した人物だが、本人は現役を引退して以来、とある島で過ごしている」
「それで、俺達には何を?」
「彼はその力故に人との関係を絶っている。
だから、もしも彼から力を取る事ができれば」
「だいたい分かった。
なら、俺達に任せろ」
「すまない」
「それも俺達の仕事だからな」
そう言い渡された資料から目的地は、これから向かう島からそれ程遠く離れていない隣の島だった。
「それじゃあ、バカンス前に一仕事するか」
「えっ仕事ですか?」
俺はそう言いながら準備体操していたら、ババ抜きを終えた飛鳥ちゃんがこちらに来ていた。
「おう、ちょっと依頼されてな。
これから盗みにね」
「そうなんですか、なんというか」
「盗みはいけない事ってか?」
「わっ分かってしまいますか?」
「まぁな。
俺達もそれを分かっている。
だけど、なんとかできる手段があると知っているんだったら、俺はこれをするだけだ」
そう言い目的地に辿り着いた。
「あっ、それと飛鳥ちゃんに一つアドバイス」
「アドバイスですか?」
「とりあえず、じっとしない」
「えっ?」
「何かを悩んでいた時に立ち止まらずに、とりあえず行動してみれば何か分かるかもしれないっていう事。
まぁ俺が言わなくても、分かっていると思うから大丈夫だと思うけど」
「そっそんな事ないですよっ!
ありがとう、ルパンレッド!!」
「まぁな」
俺はそう言いながら船から降りると、こちらを見送っている飛鳥ちゃんを見ながら離れるのを見ていく。
「なんじゃ、あの小娘が気になるのか?」
そんな様子を見ていたのか、忍が話しかけてきた。
「別に、ただ真っ直ぐだな」
「あぁ、危ない程にな。
立花響や友樹友那もそうじゃが、真っ直ぐな奴らが多い世界じゃ」
「だからこそ、俺は戦えるんだろうな」
最初の目的は復讐だった。
今でもそれを忘れておらず、叶う事ならば、絶対に達成する。
だけど今は彼女達を通して、守りたい物が多く見つかった。
「特典を奪い、人を守る。
それは俺達が行える事だ」
「ふっまったく、本当に面白いな。
真っ直ぐによって、どこか歪で」
「まぁな」
俺はそれを隠す事なく島へと入っていった。
「おい、何を時間を無駄にしている」
「悪い悪い。
それでソーマ、何か手掛かりは?」
「これを見ろ」
そこにはボロボロな状態になっている奴らが数多くあり、戦闘の激しさを物語っているが、それよりも注目すべきなのは
「この死体って、まさか」
「あぁ、悪忍だ」
ソーマは奴らのポケットから探ると、そこには悪忍の証である様々な物が発見でき、よく見ると身体の各部には異形になっている跡がある。
「これはバット・ゼ・ルンバと似たような特典だな」
異形の部分から出てきたのは、バット・ゼ・ルンバのように怪人化する特典ばかりだった。
だがどれも下級、良くても中級と言った所の強さだ。
「狙いは、この島にいる転生者か」
その瞬間、別の場所から聞こえてきた樹が倒れる音がした。
「だとしたら、やばい!!」
事態の把握を確認し、俺は急いでその場所へと向かうと、そこにはムカデの異形の怪物青いロボットが戦いを行っていた。
ムカデの異形はその身体でロボットを押さえ込もうとするが、まるで予知したかのように攻撃を避け、そのまま一撃でムカデを切り裂いた。
「はぁはぁはぁ」
やがてムカデはその姿は悪忍へと戻り、青いロボットはその場で倒れ込んだ。
だがこちらに気づくと、再び立ち上がる。
「今日は客が多いな。
まったく、老人を少しは休ませてもらえぬかの?」
「あぁ休ませる為に来た。
俺はそいつらの仲間じゃないがな」
俺はそう言い、ここに来る前に事前に預かっていた物をロボットに投げ、それを受け止めると
「貴様、霧坊の知り合いか」
「俺達は巷ではルパンレンジャーって呼ばれている」
「そうか、貴様らが噂のルパンレンジャーか」
「まぁ爺さんの特典を奪いに来たんだけど、その前に教えてくれ。
この場に何が起こったんだ?」
「そうじゃな、少し長いが付き合ってくれぬか?」
そう言いロボットを解除した爺さんはその場で座った。
「まず、儂の持つ特典だがブルーディスティニーはどうも不器用な奴でな。
敵の殺意に反応して、避けてくれたりする優れ物だが、殺人マシーンにもなりやすい恐ろしい力だ。
儂はどうにか抑えて、なるべく平和に使おうと思ったのだが」
「上手くいかなかった」
「あぁ、人を殺さないようにしているが、こいつを抑えるのが年々できなくなって、今回の戦いではついには」
確かに、見ている限りだと爺さんの身体は普通の老人よりも鍛えている感じだが、疲れが見え、長時間戦えるとは思えない。
そういう意味では限界に近いとも言える。
「そして先程の戦いの時にこいつらを率いていた奴が言っていた。
我が主の為に、その特典を寄こせとな」
「やっぱり、特典を奪える奴が俺達以外にも」
「勿論、こんな人殺しの道具渡す訳にはいかなかった。
抵抗していた時に「俺達に会ったと」そういう訳じゃ」
「そうか、だったら安心しな。
俺達が特典を盗んでやるから」
「ふっやる気満々じゃな」
「当たり前だ。
ここまで戦ったあんたをこれ以上苦しませるかよ。
それにあんたにも会いたい奴がいるだろ」
「さぁな。
もう遠い思い出じゃよ、だけどそうじゃな。
もう一度、霧坊や他の仲間にも会いたいな」
「任せろ、絶対に叶えてやる!」
俺はそう言い、レッドダイヤルファイターを取り出したが
「っ!!」
突然何かを感じたのか、爺さんは急に倒れる。
「爺さん!!」
「ぐぅ、また敵かっ!!
儂を狙う敵なのかっ!!」
「何を言って」
周りには殺気を飛ばしている奴なんて、俺達は爺さんに近づこうとするが
「儂は、もうこいつを止められないっ!?
頼む、止めてぇ」
その声と共に爺ちゃんの声は途切れ、変わりに特典であるブルーディスティニーが動き出し、爺ちゃんを包み込む。
「分かったよ。
あんたの頼み確かに聞いた!!
行くぜ、!!」
「あぁ」
「さっさとけりをつけるかの
そう言いながら、俺達はVSチェンジャーを手に取り、それぞれのダイヤルファイターをセットする。
「「「怪盗チェンジ」」」
【レッド】 【ブルー】 【イエロー】
【0・1・0】 【2・6・0】 【1・1・6】
【【【マスカレイズ!】】】
【【【怪盗チェンジ!ルパンレンジャー!!】】】
「ルパンレッド」
「ルパンブルー」
「ルパンイエロー」
「「「怪盗戦隊ルパンレンジャー!!」」」
その声と同時にブルーディスティニーはその手には武器であるビームサーベルを持ち、こちらに急接近してきた。
「爺ちゃん、あんたの思い頂くぜ!!」
その言葉と同時に俺達は走りだそうとした時だった。
「そこまでだっ!
…!?」
「あれは!」
「ルパンレンジャー!?」
「またお前らかよ!」
「こんな時に…」
「今はお主らの相手をしている暇はないのじゃ」
これから戦闘が始まる、その瞬間、本来ならばいないはずのパトレンジャーの奴らが現れていた。
その間にもこちらの動きに合わせて、攻撃を仕掛けてくるブルーディスティニー
「そいつ、暴走してるんだろ!
だったら、俺達が更生する!
行くぞ!」
「「了解!」」
その言葉と同時にこちらに向かって各々の手には武器を持ち、俺達に襲いかかってくる。
「なっ!?
邪魔をしないでよ!」
「邪魔はお前らだ。
あいつの特典は俺たちがもらう」
爺ちゃんが最後まで抗って戦い続けているんだ、せめて最後の願いを叶えさせないと
「うっ!」
「お主らの相手は、儂らじゃ!」
「そこをどけ!
今はお前らと戦ってる場合じゃねえんだよ!」
「それはこっちのセリフだ!
あの爺さんは、特典に振り回されてる状態なんでな!」
「爺さん!?
だとしたら、負担かかりすぎで死んじまうじゃねぇか!」
「だからその前に、俺たちが特典を奪う!」
それが爺さんの願いでもあるんだ!!
「いいや!
それよりも早く、俺たちが更生するんだよ!」
そう言って、あいつはこちらの攻撃を緩める事なく、取り出したのはこちらが見た事のない奴だが
『キュウレンジャー!パトライズ!
セイザ、ゴー!』
その音声と共に現れたのは青い刀身をした機械的な武器で、それは俺達の武器ともましてやパトレンジャー達専用の武器とも思えない。
だとしたら、さっきの音声からして
「それはキュウレンジャーの!?
なら、こっちはどうだ!?」
相手もこちらと同じく他のスーパー戦隊の先輩の力を借りているのならば、こちらも対抗するには
「力を借ります、先輩!!」
【キョウリュウ!】
【0・3・8!】
【マスカレイズ!】
その音声と共に、俺の手元にはキョウリュウ先輩の武器であるガブリボルバーとガブリカリバーを手に持つ。
「うおっ!?」
その間にもパトレンジャーに襲いかかっていた爺ちゃんを相手に再び攻撃をしていたが、上手く避けたのか、後方に下がっていた。
今の状況なら、爺ちゃんを抑える事ができるはず!!
「はあ!!」
俺はそのままブルーディスティニーの背後に回り攻撃を仕掛けようとするが、ブルーディスティニーはそれを察知し、無理な身体を動かせる。
「やらせるか!」
けど、それは同時に攻撃を抑えられるのも意味をしている。
俺は手持ちの武器を上手く蹴り上げると、そのままワイヤーでブルーディスティニーの身体を押さえつけ
「くらえ!」
そのままガブリボルバーで装甲の厚い部分に攻撃を加え、近くの木に叩きつける。
「どんだけタフなんだよ。
だけど、これを使って大人しくさせてやるよ」
俺はそのまま最後の攻撃の為にサイクラーを取り出す。
接近を許せない以上、ダイヤルファイターで直接の盗みはできないなら、一瞬で尾原競れるこの方法が一番だ。
「待て!
その転生者は俺が更生する!」
「…しつこいな。
だったら、どっちがやるか、決着つけてようじゃねえか」
こいつに構っている間にも爺ちゃんは苦しんでいるし、ワイヤーが解けてしまう方が早い。
ならば、一瞬でも良いから隙を作るしかない。
そうした挑発に乗ったのか、奴が取り出したのは普段使っている奴とは違うバイク型のマシンだった。
【バイカー!
パトライズ!
ケイサツブースト!!】
その音声から聞こえる限りでは、今度は他のスーパー戦隊の力ではないらしい。
ならば
【サイクラー!】
【3・1・9!】
【マスカレイズ!】
【怪盗ブースト!!】
互いにエネルギーが溜まった状態で銃身を構える。
狙うはエネルギーがぶつかり合った一瞬、その衝撃はブルーディスティニーにも当たるはずだから、その混乱に乗じれば奪えるはずだ。
そして打ち出された弾丸は互いにぶつかり合った瞬間
「がっ!?
くうぅ!!」
「ぐっ!!」
銃身を一瞬で変えたせいで、エネルギーの衝撃に上手く耐える事ができず、俺は防御が上手くいかず、膝をついてしまう。
「がはっ、ごほ!
…やるな」
「ちぃ、なんて威力なんだよ…」
そんな様子を見たパトレンジャーは俺の姿を見て、すぐにブルーディスティニーの元へと向かう。
「…悪いが、今回は俺たちが更生させてもらうぜ」
まずい、そう思った瞬間だった。
ブルーディスティニーの様子が明らかにおかしかった。
その身体に纏っているオーラは赤くなり、そのオーラはそのまま爺ちゃんを追い出し、徐々に巨大になっていく。
それが意味をしているのは
「まだ暴走してんのか!?」
そう言いながらパトレンジャーは手錠を爺ちゃんにかけるが無駄に終わる。
「…は?」
爺ちゃんは、さっきの衝撃で死んでしまったのだから。
なんで、もっと早く考えなかったんだ。
特典を抑えられたのも限界だったはずなのに、あんな無茶な攻撃をしていたら、身体の方が限界に来るに決まっているだろう!!
「まさか、寿命で死んだってのか…?」
あいつは、それをっ!!
「あんな奴、相手していられるかよっ!!」
俺はすぐにサイクラーを再度動かせ、ブルーディスティニーを追う為に巨大化させる。
「おい、雨宮!!」
「爺さんは」
「悪い、俺がもっとしっかりしていれば」
その言葉に察したのか、ソーマはそれ以上何も言わなかった。
「・・・後悔していても仕方ない。
今はあれを止めるぞ」
「あぁ」
忍の言葉を聞き、俺は再び決意を固め、ブルーディスティニーの元へと飛んだ。
「悪いが、お前に邪魔はさせない」
そんなソーマの言葉と共に崖に攻撃を仕掛けた。
「ソーマっ!」
「安心しろ、命は取らない。
だが、それでもっ!!」
「悔やんでいる暇があったら、止めるぞ!!」
そんな言葉を出しながらも飛んでいくと
「グッドストライカー、ぶらっと参上!
今日はシリアスな怪盗に味方するぜ、怪盗ガッタイム!!
勝利を奪い取ろうぜ!!」
その言葉と共にグッドストライカーは変形し、
「完成、ルパンカイザー」
「さっさと決めるぞっ!!」
その言葉と同時にルパンカイザーは接近と同時にガトリングによる攻撃で徐々に距離を測りながら、同時にカッターで攻撃を仕掛ける。
だが、ブルーディスティニーは攻撃を読んだように全ての攻撃を防ぎ、そして反撃を仕掛けてくる。
「くっ爺ちゃんというリミッターが無くなって好き放題暴れているのかよっ」
「だったら、こいつもだっ!!」
そう言い、俺はサイクラーを再度こちらに呼び出すと、ルパンカイザーに接近する。
「左腕、替わります!
完成ルパンカイザーサイクロン」
変形が完了すると共に、サイクラーのプロペラが超回転し初め、竜巻を生み出すと同時にブルーディスティニーの周りを覆った。
「幾ら予測できても、竜巻の中で動き回れるかぁ?」
そうしてブルーディスティニーは明らかに不足の事態なのか、動きが鈍くなっていた。
「グットストライカー連射! 吹き飛んでしまえショット!!」
その言葉と同時に右腕のガトリング砲で狙い、同時に放つ。
竜巻の中で縦横無尽に走る弾丸に耐えきれずにいた。
だが、油断していた。
「なっ!」
ブルーディスティニーのバックパックが爆発し、その爆風に巻き込まれ台風は消え去り、こちらに掴みかかってきた。
「まさか、こいつ自爆する気かっ!?」
既に限界に近いブルーディスティニーから火花を散りながら決して離そうとせず、その光は徐々に強くなり
「くっ」
一瞬で、目の前の光景が真っ白になる。
それが俺の見た最後の光景だった。