最近まで転生者の捜索の為に響達とは別行動していたが、何やら事件があったのか基地内の空気が悪かった。
原因は分からないが、響はいつもの調子ではないし、翼さんもどこか上の空、クリスに至っては何かを焦っているようだ。
「本当にどうしたもんか」
「でっできたー!!」
そんな考え事をしていたら、急に大きな声が聞こえ、何が起きたの知る為に声の元に向かって走り出したが
「なっなんだ、これは!?」
そこにはあちらこちらに機械の部品が散らばっており、その中央にはエルフナインが大の字で寝転がっており、その横で何やら満足そうに笑っている石堂がいた。
「おい、これはなんだ?」
「丁度良かったぜ。
受け取れ、雨宮」
そう言い投げてきたのは見た事のある物だった。
「これは?」
「ちょっとした秘密兵器さ。
といっても、お前達専用ではないけどな」
「そうなのか?」
「とりあえず、切歌ちゃんと調ちゃんに渡してきな」
「別に良いが、あの二人は?」
「そうだな、多分だが神社じゃないか?
あそこには面白いのもあるしな」
「また意味深な事を言うな」
俺はそんな石堂の意味深な言葉を聞きながらも基地から出ていき、この近くにある神社を歩いていると
「あっ」
「いた」
神社で座り込んでいたのは切歌もなにか落ち込んでいる様子で項垂れていた。
「隣、良いか?」
「はっはい、どうぞデス」
そんな様子の切歌に許可をもらって、俺は座ると、まずは状況を知る為にも
「まぁなんだ、悩みがあるなら聞くぞ
「なっなんの事でしょうか!!」
「別に、なんか落ち込んでいたからな。
俺ができる事なら解決しようと思っただけだよ」
そんな言葉に対して、少し呆けた様子の切歌は戸惑った様子だったが、その内、自然と口から悩んでいる事を話してきた。
そう言い、切歌から聞いた話によれば、俺達が転生者を追っている時にオートスコアラーの一人であるミカが地下へと潜入している事が分かり、響と切歌と調は調査する為に向かった。
だがそこでいつもとは違った様子の響が無茶な行動をしてしまう。
その時は調の身を挺した行動でなんとか窮地を脱したが、その行動を受け入れなかった切歌は喧嘩をしてしまう。
そうした行動で飛び出していった所で俺と出会った。
「なるほどね」
「私はどうしたらいいんデスか」
普段は仲良しな二人の喧嘩は珍しく、互いを思っての喧嘩だからこその出来事だ。
「俺も分からねぇ」
「先輩もデスか?」
「おいおい、俺は万能でもなんでもないぞ。
それ所か、人の力を借りないと戦えないような臆病者だぜ」
「そうなんデスか?」
「なぁ切歌はさ、調の事を頼りないとでも思っているの?」
「そんな事ないデス!
調と一緒だったら、どんな敵でも戦えると思えるデス!
だけど「無茶している所は見たくないってか?」分かるんデスか!!」
「さぁ?
でもさ、相棒を心配している奴だったら、誰だって考える事じゃないか?
それは本当に互いに信用しているからこそじゃない?」
「先輩」
「おうおう、尻が痒い事を言ってくれるな」
そんな話をしていると、黒い服を着ている男が俺達に話しかけた。
その後ろには調がいるが、その顔は先程まで話を聞いていたようだけど
「切ちゃん」
「しっ調!」
二人は少し顔を合わせると先程の事を思ってか、顔を背けてしまう。
「なんだ、切ちゃんってのは、そっちの嬢ちゃんだったのか。
まぁそれならば、ナンパが失敗する可能性は減ったと思ったが、なんだ男がいるじゃないかよ」
「あんたは」
先程から調の近くにいる男性、その男性からは転生者の反応に近い何かがあるが
「まぁ女同士の友情も大切だからな。
ナンパはその後でも良いか。
それよりもお前、ちょっと俺に付き合えよ」
「付き合うって何にだよ?」
「何、友情を修復するにも時間が必要だ。
だから、少し時間を作るのを手伝って欲しいだけだよ」
そう言うと男が調を掴み、切歌の元まで投げる。
「わっわわぁ!!
調ぇ、大丈夫ですか」
「うっうん、大丈夫」
いきなりの出来事で驚いた二人だが、俺はそれよりも気になるのは
「あんた一体何者だ。
この気配を感じ取るとは」
「なに、似たような奴らは知っているからな。
感じ取るのは得意なんだよ」
俺はそう言いながら、VSチェンジャーを取り出し、男性に構える。
「先輩!!」
「お前らは、少し話をしとけ」
「まさか転生者っ!!」
「いいや、戦うのは俺じゃない」
その言葉と共に男性の背後に現れたのは赤いロール髪の少女がいたが、その腕は普通の人間ではあり得ない爪を持っていた。
「オートスコアラー!!」
「なるほど、こいつの相手をすれば良い訳か」
「先輩、私達も」
「おっと、お嬢ちゃん達は仲直りが先だぜ。
ここは俺とこいつだけで十分だ」
「無茶デス!
相手は普通の人間では無理デス!」
「なに、俺も似たような奴らと戦ったから、問題はない」
そう言い男性は腕を掲げる。
「行くぜ、ここから見せ場を作るぞ、後輩」
「そういう事か!!
分かった、力を借ります、先輩!!」
「先輩?」
「後輩?」
俺はその言葉と共にVSチェンジャーにレッドダイヤルファイターをセットする。
【レッド】
【0・1・0】
【マスカレイズ】
「怪盗チェンジ!」
【怪盗チェンジ!ルパンレンジャー】
その音声が鳴り響くと共に、俺の姿はルパンレンジャーへと変わり、男性の方は腕についているブレスレットに手を伸ばす。
「クロスチェンジャー!!」
その声と共に男性の身体はデジタルの線を囲まれると、その姿はやがて黒いコンドルを思わせる姿へと変わる。
「なんだ?
見た事のない奴がいるゾ!」
「ルパンレッド」
「ブラックコンドル!」
「せっ先輩に似てる姿になったデス!」
「あれって、キョウリュウジャーの人に似ている?」
「お前何者なんだゾ!」
「どうやら、ここでもモテモテらしいな。
俺はジェットマンのブラックコンドル、まぁ簡単に言うと、このルパンレッドの先輩だ」
「よろしくお願いします、先輩」
「はぁ、男に敬語を言われても、尻が痒いだけだ。
とにかく、着いてこい」
その言葉と共にブラックコンドルは背中から隠されていた翼を広げると、そのまま空を飛びながらオートスコアラーに攻撃を仕掛ける。
「なんだ、飛んでいるだけかゾ?」
「へっ、まだまだ分かっていないようだな」
オートスコアラーはそのままブラックコンドルに攻撃を仕掛けるが、オートスコアラーの攻撃である水晶に当たる前に軽々と避けながら、その手に持っていた銃をオートスコアラーに攻撃を仕掛ける。
銃の威力はオートスコアラーにダメージは少ないが確実に当たっており、反対にオートスコアラーの攻撃は威力は高い物の、ブラックコンドルには当たる気配すらしていない。
「凄い、さっき会った時はただのナンパをしてくる人だと思ったけど」
「あんなに苦戦していたオートスコアラーを軽々と」
「あぁ、あれは俺の先輩にあたる人だからな」
「おい、後輩!
俺ばっかりに仕事をさせてないで、お前も仕事をしろ!!」
「分かっていますよ!!」
その言葉に従うように俺もすぐにVSチェンジャーを構えながら、片手にワイヤーを伸ばしオートスコアラーにワイヤーを絡ませて、攻撃を仕掛ける。
「ぐぅ、面倒だゾ!」
「そりゃあ、それが目的だからな」
俺はそのままオートスコアラーをワイヤーを使って、接近と遠距離の二つをこなしながら戦っていく。
「凄い、二人共」
「初めて会ったはずなのに、息がぴったり」
そんな中でオートスコアラーがワイヤーを掴み、俺を無理矢理引き寄せて攻撃を仕掛けるが、ブラックコンドルが銃から剣に持ち替えて接近戦に切り替える。
すぐに対応して、もう片方で攻撃を仕掛けるが、俺は手にルパンソードを持ち替えてオートスコアラーの腕を掴み攻撃を防ぐ。
「信頼ってのは、相手を心配する事もそうだけど、相手を信用して戦う」
「相手の事を思って、戦う。
それは相手を守るだけではなく、相手の為に行動する事もあるんだね」
「行こう切ちゃん!」
「がってんの招致デス!」
「どうやら仲直りできたようだな。
だったら、受け取れ!」
俺はそう言い、石堂から渡されたアイテムを投げる。
「これは」
「VSチェンジャー!!」
「ちょっと違うぜ。
お前達がルパンレンジャーに変身する為のアイテム、ルパンチェンジャーだ」
「ルパンチェンジャー?」
「まぁルパンレンジャーにしか変身できないVSチェンジャーらしいけど」
石堂が言うには、グットストライカーが分裂してできたVSチェンジャーのデータを元にシンフォギアなどのダイヤルファイター以外のアイテムの変身を前提した変身アイテムらしい。
「ここからは」
「私達のショータイム」
その言葉と共にルパンチェンジャーにシンフォギアをセットする。
【0・9・6】 【0・1・9】
【【マスカレイズ】】
「「怪盗チェンジ」デス」
【【怪盗チェンジ!ルパンレンジャー!!】】
その音声と共に、二人の姿はルパンレンジャーへと変わっていたが、二人の手元にあったルパンチェンジャーの形は二人のギアを元にした形へと変わっていた。
「むかつくゾ!
だったら、これでどうだゾ!!」
そう言い、オートスコアラーが取り出した光の球を自身の胸元に押し付けると、その姿は大きく変わり、その腕はより大きな爪へと変わった。
「これは少しやばそうだな!!」
「砕け散れゾ!!」
その言葉と共に腕を振り下ろして、地面に叩きつけると、地面は巨大な亀裂ができる。
「やっぱり持っていたか、特典は!!」
「だけど」
「ルパンレンジャーには通じないデス!」
その言葉と共に調のルパンチェンジャーが変形し、引き金を引くと、そこからヨーヨ型のエネルギー弾が放たれる。
そのエネルギー弾の間には幾つもピンク色のエネルギーワイヤーが出る。
「行くデスよ!!」
その言葉と共に切歌は自身が持っているルパンチェンジャーを変形させ、ルパンソードと合体させて巨大な鎌型武器に手を持つ。
「切り刻むデス!」
そう言い、切歌はオートスコアラーの右腕を切り裂き、吹き飛ばす。
「ゾゾゾッッ!!
こんなすぐに」
「先輩っ!」
「とどめいきます」
「あぁ」
「決めるとするか」
攻撃に成功すると共に俺達はVSチェンジャーを、ブラックコンドルは二つの銃を合体させて、狙いを澄ませる。
「「「お宝、頂く(デス)」」」
「シュート」
その言葉と共に4人の攻撃が一斉に放たれ、オートスコアラーも同時に残った左腕を構えると赤い衝撃波のシールドができる。
次第に俺達の4つのエネルギー弾が合わさり、赤い衝撃波を打ち抜いた。
「こんな事になるなんてぇ!!」
攻撃を打ち抜かれたオートスコアラーはそのまま叫び声を上げながら、爆発する。
「やっやったデス、調!!」
「うん、切ちゃん」
二人は勝利を分かち合うように抱き合っており、俺はそのままブラックコンドルへと視線を向けると、空を眺めていた。
「先輩」
「俺の知っているレッドと俺は最初から仲間という訳ではなかった。
けどな、戦っている中で衝突しながら、次第に仲間と言える関係へとなっていった」
「その為に来たんですか?」
「俺は男は大嫌いだがな、あいつみたいな奴は放っておけないんだよ。
だから、見せてみろよ、俺達が守った空を守れるかどうか」
そんな言葉を呟くと、ブラックコンドルは消え、俺の手には何時の間にか新しいダイヤルファイターがあった。
「空をか」
俺はそんな言葉を呟き、夕焼けになる景色を、ただ見つめた。