戦いが激化していく中でも俺達の仕事は続いている。
転生者を追うのもそうだが、生活資金の大元である喫茶店の営業も無視できない大きな課題だ。
俺達の住む喫茶店は普段は隠れ家的な場所として有名だが、ここ最近転生者の事もそうだが、しばらくは石堂に任せっぱなしな所もあったのか「しばらく旅行行ってくるぜ。チャオ」という置手紙があった。
とりあえずは返ってきた石堂に普段の礼として、ソーマの知り合いが作ったという初恋ジュースを渡す事に決定した、
その為の準備はばっちりだ。
なので現在は俺は店の買い出しに出かけているのだが
「クリス?」
「なんだ、雨宮、ってなんだその恰好は」
「見ての通り、買い出しだ。
生活費を稼ぐのも大変なんだぜ」
「お前ら、おっさんから給料を貰っていないのかよ?」
「俺らはあくまでも転生特典を盗むのと、お前達の協力したいからやっているだけ。
それに移動する時や、情報を教えてくれているんだから、これ以上世話にはなれないぜ」
「そうなのか、お前らも凄いな」
そう言いながらも、クリスはどこか上の空だった。
「なぁクリス、悩みがあるんだったら、聞くぜ?」
「何を急に?」
「いやぁ、なんとなく」
「なんとなくで聞くなよ。
私は別に、悩みなんて」
そう言いながらも少し落ち込んでいるようで、声が落ちていく。
「正直、後輩達が遠くへ行っているような気がしている」
「そうか?」
「あいつらを守らなきゃって思っているけど、あいつらはどんどん強くなっている。
イグナイトに頼らなくても、お前達と同じルパンレンジャーになれて。
だけど、私はあれから何も」
そう言うクリスの言葉をただただ聞く事にした。
ある意味、大切な物ができたからこその悩みで、自分が必死にならないといけない気持ちが前に出ている。
「なぁクリス。
別に一人でやらなくても良いんじゃないのか?」
「はぁ、誰がそんな事を言っているんだ!!」
「だってよ、さっきから後輩を守るって言っているけど、それってクリスだけの力か?」
「別にそんなつもりはないよ。
だけど、誰かが傷つくんだったら、自分が「そこだよ」えっ?」
「俺も人の事を言えないけど、俺はもっと頼ってほしいと思っているぜ。
後輩もそうだけど、響や風鳴さん、それに俺達も」
そんな事を話して、少し戸惑っているようだけど、クリスは何をするべきなのか迷っていた。
「雪音クリスとルパンレッドだな」
そんな話をしていると、背後から声が聞こえ、俺達は振り返るとそこに立っている男が身に纏っているのは、驚く事にクリス達が身に纏っているシンフォギアと同じ物だった。
だが、その纏っているシンフォギアの正体は
「これはエクスカリバー。
伝説としては有名だと思うけどね」
「それで、何の用だよ、転生者?」
こいつの見た目から判断できないが、目の色もそうだが、雰囲気だけで奴がこの世界の人間ではなく、転生者だと判断できた。
「彼女を殺しに来た」
「はっ?」
目の前にいる奴は表情を変えずに放った一言に俺は疑問に思ってしまった。
「彼女は自分が行った罪と碌に向き合わずに、世界を救おうとしている。
そんなのふざけているとは思わないか?」
「何を言っている!
私は、自分が行った事は「いいや、してないね」なっ」
「君は罪を償うと言いながらも、行っているのは戦いだ。
戦いを無くす為に戦っていた君が、反省しているんだったら、戦わないはずだ。
ふざけているよ」
「それは」
「言いたい事はそれだけかよ?」
「はぁ、君もそうだよ。
他人の物を奪って、正義の味方気取りならば、辞めた方が良い」
「そういうお前は何者だよ」
「僕かい?
僕の名はジョン・ドゥ、ただの英雄さ」
「ふぅん、知らん」
「まったく、常識を知らないようだね」
「悪いが、俺は頭はそんなに良くないからなっ!!」
そう言うと俺はVSチェンジャーを持ち、ダイヤルファイターをセットしようとするが、ジョンは何時の間にか、俺の懐に入り込むと、勢いよく殴った。
「がはぁ!!」
「雨宮!!」
「無駄だよ。
僕はね、君とは格が違うんだよ」
そう言いながら、ジョンは空を向けると、そこには巨大な画面が描かれていた。
「なんだよ、あれは」
「僕の特典だよ。
君達にも分かりやすいようにね」
そう言い、俺は目に向けると、そこにはあらゆる物を作れるクリエイト能力や、アカシックコードと言った一つでもチート染みた能力があった。
「これも僕が英雄である証拠だ」
「それで」
「無駄な抵抗は辞めたまえという事だよ」
ジョンはこちらを見定めるように見つめる。
「君の目的は復讐だって?
そんなヒーローらしからぬ目的を続けたら、世界に平和は訪れない。
だから、僕は君を殺して、代わりにヒーローになる」
「おい、てめぇふざけるなよ!」
「はぁ、言っているだろ。
僕は英雄だって」
「まったく、力を持ちすぎた奴はこれだから嫌になるぜ」
俺はそう言いながら、立ち上がる。
身体はさっきの一撃で、既にボロボロになっているが、それでも、あいつを呼び出す事はできそうだ。
「辞めたまえ、君のペルソナ、アルセーヌにその進化系でも僕を倒す事はできない」
「それは、どうかな?」
俺はそう言いながらも、あいつを呼び出す為に身体を構える。
「てめぇがわざわざ教えてくれたおかげで、てめぇを倒す方法はできたぜ」
「なに?」
「確かに万能だろうな。
だけど、その万能が仇になったようだな」
「何を言って「ペルソナ」っ!!」
その言葉と同時に俺の背後に現れたのは無数の棺桶を背負った動物の頭蓋骨を模した仮面をつけたペルソナが現れる。
「なっなんだよあれは」
「タナトス・賊神」
タナトス・賊神は俺の持つペルソナの中でも強力な部類に入っているが、余りの力の強さにルパンレンジャーになって戦うよりも、ペルソナ使いとしての戦いに集中しないとコントロールできない程の強さだ。
そして
「なるほど、確かに強力だな!
だけど、それがっ!?」
そう言って、ジョンは身構えようとしているが、足から崩れ落ち、震え始めた。
「おい、どうしたんだ?
震えているぜ」
「なっ何を言っている!
俺が、震えているだと!?」
「まぁ無理はないよな。
俺をこいつを使いこなす為には相当無理したからな」
「タナトスは確かに通常のペルソナとは違うが、こんな能力なかったはずだ!!」
「こいつの能力はな、単純だよ。
死を思い出させるだけだよ」
ペルソナとは心の現身。
ならばこそ、賊神となっているペルソナ達にはそれぞれ固有の能力がある。
「死だとっ!!」
そう言いながら、俺は一歩歩くが、タナトスの制御だけではなく、身体のダメージがあるので、激痛に耐えながらも、奴の元へと歩いていく。
「馬鹿な、俺には状態異常を無効化する能力があるはずだ!!」
「状態異常ってのはなんなのか分からないがな、毒や麻痺とかそういう類じゃないぜ。
これはただ単に死んだ時の記憶を思い出させるだけだ。
お前は無意識に自分の死、いやこの場合は全ての死を思い浮かべているが正解だな」
タナトスは元は死の神として有名な存在であり、俺の心に反映された結果、相手の死を思い浮かべさせるという能力を得た。
「何を言っているっ!?」
「お前の能力だよ」
「俺の能力にそんなの「アカシックレコード」えっ」
ふと、俺の言っている事が理解できたクリスが呟いた。
「てめぇの所にしっかりと書かれているだろうが!
アニメや漫画や小説やゲームや映画等の全並列世界&全平行世界の全技術・全知識・才全能を得る事ができるって!!」
そうクリスがジョンが出した掲示板の一つに指を指すと、確かに書かれていた。
この一見無敵に見える能力は、案外弱点だらけでもある。
なぜならば、全てという事は+にになる能力だけではなく、-になる能力も得るという事になる。
今回の場合は、+に能力よりも精神的に-になる能力がタナトスによって無理矢理引き出されてしまい、奴の身体は動けなくなってしまう。
クリスは俺の元へと行くと、血で濡れているのを気にせず、ダイヤルファイターを取る。
「あいつから奪い取れば良いんだな」
「頼む」
そう言い、クリスは奴の元へと歩いていく。
おかげでタナトスの制御に集中できる。
「アカシックレコードがどうしたって言うんだ!!」
「てめぇは確かにそれら全てを得ているかもしれないがよ、それってつまりは死んだ時の記憶もあるんだろ。
しかも必ずしも味方になる能力だけじゃないだろ」
「それじゃあ、お前は」
「これはお前の傲慢が生んだ罪だ。
てめぇが生前どんな事をしたかは知らない」
「だけどな、生きている奴らをてめぇの価値観で決めつけるんじゃねぇ」
そう言い、クリスはダイヤルファイターでジョン殴りつけると共に、特典を奪い取り、身に纏っていたシンフォギアも消えいてた。
「そんな、俺は英雄なはずっ!?」
「まずは一からやり直しやがれ!!」
そう言い、クリスが奴を殴った。
そうすると、あっさりと言う程、奴は倒れてしまった。
「なんだか、あっけないな」
「力に頼りすぎた末路だ。
強すぎる力は無意識に頼ってしまうからな」
そう言い残すと、俺も限界に近づいたのか、倒れそうになったが
「まったく無茶しやがって」
そんな俺をクリスが抱き寄せてくれる。
「ありがとう、クリス。
本当になんとかなったよ」
「お前は傷だらけじゃないかよ」
「まぁな。
でも信じていたから、クリスと一緒だったから」
「・・・ありがとうな」
そう言うとクリスはゆっくりと俺を抱き寄せた。
「?」
「怖かったかもしれない。
過去の罪もそうだけど、何より、一人でなんとかしようと思っていた。
けど、違ったんだ」
「別に、大した事はしていないよ」
そのまま、俺はゆっくりと目を閉じていく。
「守ろうぜ、一緒に。」
「あぁ、一緒にな」
その言葉と共に、俺の意識は深く落ちていく。