あくまでも予告で、番外編なので、過度な期待はしないでください。
そいつは突然現れた。
その日、キリトはアスナに誘われるがままに、オーディル・スケールのボス戦に参加していた。
最近になって急激に増えたハードであるオーディル・スケールに対して、キリトは余り乗り気ではなかなったが、アスナの言葉もあって参加する事にした。
そして、ボス戦が始まり、いよいよゲームが始まる、その直前だった。
現れたボスであるカガチ・ザ・サムライロードはプレイヤーに向けて襲い掛かろとした時、上空から幾つもの光がボスに当たっていく。
最初は困惑していくが、ボスはその攻撃を避けられず、最後には先程とは比べものにならない程の巨大な緑の刃がボスの身体を引き裂き、すぐに結晶化し、その姿を無くした。
余りの出来事に周りにいたプレイヤー達の反応は困惑や終わってしまった事への不満、ドロップが落ちていないのか確認するなど、プレイヤーそれぞれで反応は違った。
その中で一人だけ、キリトは気づいていた。
(なんだ、今のは!?
ゲームの演出で、こんなのが出るのか?)
あまりオーディナル・スケールを使っていない事もあり、疑問を思い浮かんでいる間に先程のボスを倒した場所には何時の間にか見た事のない人物が立っていた。
そこには赤を中心に、怪盗を思わせる衣装を身に纏い、顔はシルクハットを思わせる仮面を付いている人物だった。
「なんだ、あのキャラクターは?」
「告知でこんなキャラクターいたか?」
「プレイヤーにこんな装備もなかったし」
周りが騒ぐ中で、キリトは少し疑問に思い、ゲームを一時的に停止し、目の前にいる光景を目にした。
「なっ!?」
キリトがそこにはVRの中で確かに存在していた赤い怪盗が目の前にいたからだ。
「馬鹿な、現実に干渉した!
やばい、皆、そいつは本物の「予告する」っ!!」
キリトが急いで周りにこの事を伝えようとした、次の瞬間、目の前にいる怪盗はまるで周りに宣言するように手に持っていた腰に付けると、その手には赤いカードがあった。
「へぇ、面白い」
怪盗はオーディナル・スケールを外しているキリトに目をつけると、手元にあったカードを一枚キリトに投げる。
その行動に驚き、すぐに受け取ると、怪盗はそれを確認すると同時にもう一枚のカードを上空に投げると、カードは赤く光ると同時に周りにあった建物にカードの内容が次々と表示されていった。
【オーディナ・スケールの歌姫、ユナをライブ当日に頂戴する】
その予告状が大きく予告されると、同時に赤い怪盗は手元にある道具を使い、ワイヤーを近くの建物の屋上に結ぶと同時に飛び移ると周りを見渡す。
「私の名はルパンレッド。
怪盗戦隊ルパンレンジャー、以後お見知りおきを」
それだけ宣言すると、手元にあった銃を操作し、銃を撃ちだすと、出てきたのはなんと巨大な赤い飛行機が現れ、飛び立つ。
「それでは、オ・ルポワール」
その一言と共に怪盗はその場からいなくなってしまう。
「あれ、キリト君、何時の間にVRを外していたの?」
「アスナ、今、現れたのは」
「凄かったよね、まさかいきなりあんなイベントが起きるなんて。
本当にびっくりしちゃったよ」
「違う、あれは現実で起きていたんだ」
「もう、キリト君ったら、何を冗談を」
そう言おうとしたアスナだったが、キリトが取り出したのは先程怪盗が投げた赤い予告状のカードだった。
「嘘でしょ。
でも、さっきは建物に飛んだし、それに飛行機も」
「信じられないけど、俺はオーディナル・スケールを外した時には現実で起きていた。
奴は、俺が外したのは予想外だったと思う」
むしろこのカードは現実で起きたのを証明する為の証拠として渡された。
そんな気がする。
「だったら、本当に危ないよ。
早く、連絡を「待ってください」えっ?」
アスナはすぐに対処の方法を考えようとするとオーディナル・スケールから聞こえてきたユイの声で、すぐに止めた。
「この予告状、何かパパのオーディナル・スケールに反応しています。
少し付けてみてください」
「分かった」
謎の事態に対しての対処を考える為にキリトは今一度オーディナル・スケールを付けて、予告状のカードを見つめる。
そこには
【俺の目的を知りたければ、○○公園で一人で来い。
来なくても良いし、安全も保障する。
だけど警戒しろ、お前達を狙っている奴らはすぐ近くにいる】
そこには怪盗側からの情報だった。
予想外の情報もそうだが、それ以上に謎も大きくなった。
「アスナ、この事はまだ他の皆には伝えないでくれ」
「何を言っているの!
相手は本当に銃や飛行機を持っている人達なのよ、ゲームの中の世界じゃないから、キリト君じゃあ」
「それでも俺は行かなくちゃいけないんだ」
(怪盗の目的もそうだけど、それ以上にお前ではなくお前達という言葉だ。
もしもそれが本当だったら、アスナ達も危険だ)
「悪い、俺は行くよ」
それだけ言うとキリトは走り出した。
公園の場所はすぐにユイのナビゲーションで教えてくれたので、すぐに辿り着く事ができ、公園で周りを見渡す。
「本当にいるのか」
「いるともさ、怪盗は予告を守るからな」
「っ!!」
声に気づき、後ろを振り向くと、そこには先程まで大騒ぎを起こしていたルパンレッドが余裕な表情でこちらを見つめていた。
「本当に、この世界は珍しいよな。
大体の事はゲームだけど、まさか厄介ごともゲームだとはな」
「何を言っているんだ」
「あぁこっちの話だ。
それじゃあ、早速で悪いけど、お前に聞く。
俺達と協力して、このゲームをぶっ壊して欲しい」
その話を聞き、キリトは目を見開いた。
「何を言っているんだ、お前は」
「本気だよ。
俺の目的はゲームを壊す事。だけど勘違いするな。
本当の目的はゲームを作った奴の協力者からある物を盗む為だ」
「そんな事に俺が協力するとでも思っているのか?」
「協力する、なんたって良い奴だからな。
それに、はっきり言う、命はゲームよりも価値があるからな」
「命、それってどういう事だ」
「そうだな、まずは改めて自己紹介からだ」
そう言うと共にルパンレッドの身体は赤く光、その場で現れたのは赤いスーツを着ていたキリトと同じぐらいの年齢の男の子だった。
「俺の名前は雨宮連。
他の世界から来た、怪盗だ」