石堂に連れられ、俺は喫茶店に戻ると、不機嫌そうな忍と疲れた様子のソーマがソファに座っていた。
「おぉ二人共丁度良かったな」
「石堂愁一、それは俺のこの世界の名前だ。
俺がこの世界に来る前の名前は石動惣一、元宇宙飛行士だった」
「儂達が聞きたいのはそういう事ではない」
「あぁ分かっている。
だけど、これも重要な事だ。
まぁ聞いてくれ」
そう言いながら、石堂の話は続いた。
「俺はその中で火星での探索の中、パンドラボックスを発見した。
だが、それが全ての悪夢の始まりだったんだ。
俺がそれを手に入れたのと同時にかつて火星を滅ぼしたエボルトによって、身体を乗っ取られた」
「エボルトだとっ!!」
その名前を聞いた瞬間、立ち上がってしまう。
ギャングラーの中で、ボスと同じくらいに謎の存在であるエボルト、その名前がここで出てくるとは。
「という事は、そいつも転生者なのか」
「あぁ、その後、エボルトに2年間、操られた俺は様々な悪事に手を染めて、多くの人々を苦しめてしまった。
だけど、そんな俺をあいつは……戦兎は救ってくれた」
「戦兎?」
「お前達のルパンレンジャーやスーパー戦隊と同じく、ある意味特異点となっている事が多い仮面ライダー、その中でも特別な存在であるビルドに変身している。
まぁ俺も死んだ後で知ったんだがな」
「それでどうなったんだ?」
「あぁそうだな。
命を救われた俺はその後、病院に搬送され、意識不明だったけど、ある日意識を取り戻したんだ。
そこで待ち受けていたのは、まさに最終決戦だった」
「最終決戦」
「あぁ、エボルトは世界を滅ぼそうとしていて、戦兎達はそれを阻止しようとしていた。
そして俺は傷だらけの身体で無茶して、戦いに入った」
「だが、お前にはその時にはまだルパンレンジャーに変身する力はなかったはずだが」
「まぁな、でもこれがあった」
そう言い取り出したのは赤い金属のボトルだった。
「これは兎?」
「ラビットエボルボトル。
エボルトが戦兎の力を抜き取った事で作り出されたボトルだ。
俺はそのボトルとエボルトの仲間から奪ったドライバーを奪って、変身した」
「まさか前世で仮面ライダーになったのか」
「まぁな。
俺の身体には皮肉にもエボルトに2年間乗っ取られた事によって、変身する条件が揃っていたんだ。
そして、俺達はエボルトと戦った。
だけど、奴は強かった」
「そんなにか?」
「俺はあいつ以上に強い奴は知らない。
それでも、俺達は勝った。けどな、俺の身体は限界だったようでな。そこで死んでしまった」
「病院から抜け出して、そんな相手と戦ったからな」
「それだけじゃない、俺の身体はエボルトによって、ボロボロだった。
だから、例え戦って無くても、余命は僅かだったと思う」
「石堂」
その表情は未だに後悔が続いており、拳は強く握りしめていた。
「だけど、エボルトは転生していた。
ギャングラーによってな」
「ギャングラー、奴らの詳細は知っているのか?」
「まぁな。
奴らはとある神をボスにして、様々な世界の魂を回収し、転生を行っている。
本来、転生は神が厳重に管理しており、その世界の危機を救うのに必要な人材を派遣を行うシステムだ」
「そうだったのか?」
「あぁ、ギャングラーの目的は未だに不明だが、その影響はお前達も知っているだろ」
「まさか、この多次元融合は」
「いや、実は多次元融合自体は本当に偶然に起きた事だ。
だが、そうしなければ危なかった世界も数多くあったのは否定できないがな」
「だけど、実際に未だに多くの謎は残っているぞ」
石堂の正体は確かに分かったし、聞いている限り本当だと判断できる。
それでも未だに分からないのはギャングラーだ。
「俺はそこで死後、死神様に出会い、その事を教えて貰った後、ギャングラーに潜んでいるエボルトを倒す為に俺はこの世界に転生した。
ルパンエックスは、本来はエボルトに戦う為に渡されたんだがな」
そう言うとなにやら苦笑いしていた。
「死神様が作ったルパンエックスの変身アイテムであるエックストレインシルバーと、もう一人の神が作ったエックストレインゴールドをうっかりくっつけてしまって、その二つが意志を持っていたらしくてな。死神様曰く「愛の逃避行だったねぇ」らしい」
「そんな理由でっ!?」
変身アイテム誕生がそんなあっさり良いのか?
「まぁ元々登録されていて、変身者が念じれば来てくれるらしいけど、ゴールドの方の変身者と重なった時はまさに運次第だがな」
「なんというか、本当に厄介じゃな」
そう言っている間にも俺達の頭の中で、なぜか死神様が「めんごめんご」と言っている所が想像できた。
あの人、普段から軽い態度だけど、結構頼りになるけど、いざという時とんでもない失敗をするからな。
「でも未だに謎なのは、ギャングラーは一体なぜ多くの転生者を作り出しているんだ?」
「魂食い、それが一つの目的だ」
「魂食い?」
「ファンタジーなどではよく人の魂を喰らう化け物がいるだろ。
エボルトの目的としては、悪人を転生され、強靱に育てた魂で力の復活を目論んでいる」
「まさか、でもそれだったら、なぜクロウは邪魔を」
「ギャングラーも考えは様々だ。
俺がこれまで追ってきたエボルトのように魂食いの奴や、仲間を増やす奴もな。
だが俺を見る限り、クロウと赤禰の目的はお前だ」
そう言い、石堂は俺の方へ指を指した。
「俺?」
「お前はこの多次元融合によって、歪められてしまったが、お前は融合前の世界ではある可能性があった。
それは神殺しだ」
「神殺し?
ソーマみたいな感じなのか」
「分からない、俺もそこまではな。
だが、お前はギャングラーにとってお前は何か重要な存在かもしれない」
「俺がか?
なんだか変な気分だな」
そう言いながら考え込んでいると、俺の膝の上に忍が乗りかかった。
「なぁに、別に一人で背負う事はない。
この世界で出会った者達に案外頼りになる石堂「案外って」に便利なソーマ「一言余計だ」それに無敵の儂がおるんじゃからな」
「そうだな」
俺が融合する前の世界において、何ができたのか分からないが、今の世界で俺がやるべき事は、ギャングラーを潰し、転生者の暴走を止め、復讐を果たす。
「やる事は考えれば、本当に大量だな」
「かかっ、その調子じゃよ」
「ふぅ、どうやら心配は無用だったな。
まぁここまでの話ともう一つ、お前達にはやってもらいたい事があるがな」
「やってもらいたい事?」
そう言い石堂は近くにあるキーボードを操作すると、そこに映し出されていたのは奇妙なオブジェクトだった。
「これは?」
「ギャラルホルン。
異世界に繋がる事ができる聖遺物だ。
エルフナインちゃんやSONGの職員達の協力もあって、今後の方針が決まった」
「目的?」
「雨宮、お前の本来の仲間、怪盗団の再結集だ」
「怪盗団?」
そう言い、次に出たのは一枚の画像だった。
そこには俺がペルソナを使う時に出てくる衣装もそうだが、他にも6人の人影と小さな猫のような影があった。
「これは」
「お前の本来あったかもしれない未来の一つだ。
おそらくは、この怪盗団にお前の力の秘密があると考えている」
「それと、ギャラルホルンに何の関係が?」
「世界の融合と分離を行っている内に怪盗団のメンバー達は様々な世界に飛ばされた。
お前と同様に記憶を無くしてな、本来ならば無限に近いパラレルワールドから探し出す事は不可能だが、ギャラルホルンの力で、お前のペルソナと最も近い存在を感知する事ができた」
「つまり、俺達のこれからの目的は」
「あぁ怪盗団の探し出す事だ。
反応自体は見つける事が困難で今も探索中だがな」
「怪盗団か」
本来の世界の仲間、それは不思議と無かったはずの懐かしさがこみ上げて来たが同時に不安も感じた。
現在のルパンレンジャーの仲間も確かに大切な存在で、怪盗団の結成は、それを崩してしまうのではないかと
「別にお前が不安になる必要はない。
俺も本来はゴットイーターとしての責務もある。
この世界では記憶にないが、確かに合ったと思う仲間がな」
「儂もじゃよ。
けどな、だからと言ってお前を見捨てる訳はない。
絆は決して薄れないからな」
「ソーマ、忍、そうだよな」
怪盗団の仲間も、ルパンレンジャーの仲間も、仲間が増えたからと言って、その絆が無くなる事はない。
だからこそ、俺は見つけないといけない、失ってしまった絆を取り戻す為にも
「どうやら、決意は固まったらしいな」
「あぁ、俺は絶対に怪盗団を取り戻す」