「ここに来るのも久しぶりだな」
先日の戦いからしばらくして、夏休みに入る為、俺は久しぶりに自分の家へと戻ってきた。
両親が亡くなって以来、石堂の店でずっと暮らしいていたが、夏のお盆の季節でもあったので、久しぶりに両親に挨拶と一緒に懐かしい思い出を思い出す為に来た。
「あれ、雨宮君かいな!!」
俺が家の前で立っていると、誰かに声を掛けられ、振り替えるとそこには茶髪のスーツを着ている女性が手を振っていた。
「えっと、誰ですか?」
「あぁ仕事着で会うのは初めてやったかいな?
私や、隣に住んでいたはやて姉さんやで!」
そう言われるも、俺の隣には、このような女性がいた記憶はない。
だとしたら次元融合の影響かもしれない。
パラレルワールドにいる俺が重なった結果、本来ならばないはずの関係がいつの間にか築かれていたのだったら、彼女の言葉にも説明になる。
「えっと、すいません。
ここしばらく忙しかったから、覚えてなくて」
「それは酷いでぇ。
そんなに簡単に忘れられるなんて。
でも元気そうで何よりや!」
「ありがとうございます」
そう言いながらも八神さんは俺に近づいて、顔に触れてきた。
「本当、私の方がお姉さんだったのに、あっという間に背を抜かれてしまったな」
「まぁ成長期ですから」
俺はそう言いながらも、この場から離れたい気持ちでいっぱいだった。
「あの、そういえば八神さんは今は何の仕事を?」
「えっ、あぁ、ちょっとな。
色々と事務的な事で部長になっているんやけどな」
そう言いながら、空を眺めていたが、彼女は少し乾いた笑みを浮かべていた。
「少し辞めたい気持ちがあるんや」
「辞めたい気持ち?」
「まぁな、上に逆らう事ができなくってな、危うく友人を危険な目に合わせる所やったんや。
だから、少し考えて見たくてな」
「そうですか」
俺はそんな八神さんの言葉に俺は自然と耳を傾けていた。
「それは、悩みますよね。
自分がやりたい事、だけど、その為に友達を傷つくのは」
実際に俺は戦いの中で俺の復讐心でソーマと忍を傷つけさせてしまった。
「だけど、だからこそ止まっちゃいけない時もあるかもしれません。
八神さんのやりたい事を止める為に友達は力を貸したんですか?」
「いいや、皆、私の夢を応援してくれた」
「だったら、もう答えは出ているじゃないですか」
「ぷっ」
そう言うと、八神さんはなぜか急に笑い始めた。
「えっ」
「いや、別に。
ただ見ない間に雨宮君は成長したなと、思って。
高校に入る前なんて、そんな事を言わなかったのに」
「確かにそうですね」
思えば、俺がこんなに変わったのは高校生になってからだ。
そう考えると、八神さんの言葉に嘘偽りないと思う。
「本当に、何時の間にこんなに頼もしくなったんやろうね」
「彼は頼もしいさ。
僕としてもね」
そういつの間にか聞こえてきた声に俺は振り返ると、そこにはクロウがいた。
「っ!!!」
「あれ、君は一体?」
「えぇ初めまして、俺のコードネームはクロウ。
八神はやてさん、あなた達管理局の敵ですね」
「あんた、何もんや」
クロウがそう呟くと同時に先程まで和んでいた八神さんから考えられない程のプレッシャーが放たれており、八神さんは何時の間にか俺を守るように前に出ていた。
それよりも管理局、確かパトレンジャー達と一緒に戦っていた奴らだったはず。
「こんな場所でウチに用かいな?
悪いけど、デートはこの子が先約やけどなぁ?」
「それは困りましたね。
僕としては、あなたにはとっておきの見せ物があるのに」
そう言うと、クロウは手に持っていた光を地面に落とすと、そこから黒い影が溢れだし、現れたのは銀髪の女性だが、その肌の色は紫色で人間とは思えないパーツが幾つもついていた。
「リインフォース!!」
その人物を見ると、反応したのか、はやてさんは叫んだ。
「あんた、一体何をしたんや!!」
「この地にある恨みの力を集めさせてもらい、再構成させてもらった。
それにしてもここまで強い存在を誕生させるとは、僕も予想外だったけどね」
「てめぇ」
「それよりも、放っておいても良いのかい?
彼女を」
「っ!!」
そう言っていると、リインフォースはその場から飛び去っていく。
「それでは、僕はこれで」
そう言い、クロウはその場から消えた。
「雨宮君はすぐにここから逃げて!!」
「はやてさん!!」
そう言うとはやてさんはその場で姿が変わり、リインフォースを追っていった。
「やれやれ、少しやりすぎたかね」
「答えろ、クロウ、てめぇは何をした」
俺はそう言うと同時にアルセーヌを呼び出し、VSチェンジャーで後ろを振り向くと、そこには氷の銃をこちらに構え、同じくペルソナを呼び出して、こちらを見ているクロウがいた。
「組織の方針さ。
これまでの巨大な存在の蘇生を中心に活動していたけど、彼女は駄目だね。
こちらのコントロールをまるで受け付けないからね」
「それだけで、あんな事をしたのか」
「そうだね、彼女には申し訳ない事をしたよ。
できれば、意思を持った状態で蘇生したかったけど、本人は拒んだからね」
「てめぇ!!」
俺はその言葉と共にVSチェンジャーの引き金を引き、牽制を行い、後ろにバク転をすると同時にレッドダイヤルファイターをVSチェンジャーにセットする。
【レッド!】
【0・1・0!マスカレイド!】
「怪盗チェンジ!!」
【怪盗チェンジ!ルパンレンジャー!!】
「そんなに怒らなくても大丈夫だよ。
それに、君にも見せたい姿があるからね」
そう言い、懐から取り出したのは俺達の使っているダイヤルファイターとも、パトレンジャー達が使っていたトリガーマシンとも違う奇妙な形の物だった。
「ふっ、さぁ行くよ。
怪物チェンジ」
その言葉と共にクロウは二つを懐にある金庫に入れると、クロウの姿は変わった。
「なんだと」
「君達だけがこの力の特権ではないという事さ。
そうだね、あえて言うならば、この姿の名前はザミーゴ・バスコ・レオーネかな?」
「なんだか、分からないが、てめぇを倒すのに変わりはない!
恐竜チェンジ」
俺はすぐにダイノホープで変身し、拳をクロウに叩き込むが、クロウはそれを軽々と受け取る。
「なっ」
「ふふっ」
クロウはそのまま俺の拳を流れるように上に持ち上げると、目にも止まらない斬撃の嵐を俺に与えた。
「がはぁ!!」
「あまり舐めない方が良い。
今の僕の力は数あるスーパー戦隊の敵の中でもゲキレッドの永遠のライバルである黒獅子リオとゴーカイレッドの宿敵であるバスコの二人の力を得ているからね」
「くっそ」
予想以上のパワーアップに俺は思わず地面を叩いてしまう。
「行くよ、氷結獅子弾!!」
その言葉と共に奴は拳をこちらに突き出すと、そこから小さな氷の獅子が次々と現れ、俺を襲い掛かってくる。
一体一体を相手している内に身体に縛り着いてきて、徐々に身体を凍らさせていく。
「ぐぅ」
「少し期待したのだが、残念だね。
この程度だったら、仕方ない」
そう言い、クロウはこちらに手を伸ばそうとした時だった。
上空から幾つもの光がクロウへと向かてきた。
「まさか、君が戻ってくるとは予想外だったよ、八神はやて」
「はぁはぁ、あまり舐めないでや」
そこにはボロボロになりながらも、立っている八神さんがいた。
「なるほど、リミッターが付いているから拘束できると思ったが、予想を覆したか」
「それは違うで、私が倒したんやない。
あの子が、リインフォースが救ってくれたんや」
「なんだと?」
「私と戦っている時、ずっと苦しがっていた。
だけど、あの子が一瞬だけ動きを止めてくれたから、私は」
「家族を殺したのか、再びその手で!
やはり管理局も所詮その程度か、組織への貢献しか頭にはないのか」
「それは違うぜ」
「んっ」
俺はなんとか氷を振りほどいて、八神さんの横に立ち、クロウを睨み付ける。
「お前は分かっていない。
この人とお前が復活させた人との絆を。
例えお前が手を加えたとしても、この人達の絆がそれを超えただけだ」
「絆?
そんなので何ができる!!」
「せめて、俺はこうやって、助かる事ができた」
「あいつに対して、私だけでは倒せないかと思っただけや。
救援も難しい中、市民の安全を考えれば、怪盗と手を組むしかなかっただけや」
「それでも助かった。
だから、俺はあんたを守る事にした」
そう言い、俺は八神さんの肩に手を置いた。
「今の言葉」
「行こう、あんたの大切な家族の為にも」
「分かったで」
「例え二人だとして、何がっ!?」
そう思っていると、上空が光りだしたと思うと、そこに現れたのはなんと先程八神さんが倒したと聞いたリインフォースだった。
「どうやら、まだ倒しきれなかったようだな。
これで2対2、条件は一緒だな」
「そんな、リインフォース」
「・・・まだ手はある。
八神さん、少しの間だけで良い、時間を稼いでくれ」
「どうするつもりや?」
「あいつがクロウによって作り出された転生者だったら、奪いとる事ができるはず」
「奪う、でもそんなの許してくれる相手かいな?」
「難しいかも、でもやらないよりはやった方が良いでしょ」
「なんだかウチのイメージと違うな。
以外にも熱血漢なんやな」
「そりゃあ、どうも、それで乗るの?」
「乗らせてもらうわ!!」
そう言い、八神さんは杖にこれまで感じた事のない魔力が集まり始めた。
「いきなりそんな大技か、でもそんなの」
「残念、これは攻撃やないんや」
その言葉と同時に杖の先に集まった魔力は強烈な光を放ち、周りを一瞬だけ白に包まれた。
「今や」
「まったく、末恐ろしいぜ!!」
あの一瞬で魔力を使ったフラッシュバンを放つとは。
しかも魔力が桁違いに高かったのか、あのクロウですら怯ませる事ができた。
「あんたを取り戻させてもらう!!」
その言葉と同時に俺はリインフォースにダイヤルファイターを付けると、リインフォースの身体は光始めた。
『主を頼むぞ』
その言葉と共にリインフォースの姿は代わり、そこには白いダイヤルファイターだけが残った。
「上手くいったのか!!」
「あぁ」
俺はそう言い、白いダイヤルファイターを八神さんに渡した。
「これは」
「リインフォースさんが残してくれた力だ。
これは俺よりもあなたが持つべきだ」
「なんや、怪盗だから物を取らないのか?」
「誰かを傷つけた時はな。
でもあんただったら、正しい力を持てると思ったからな」
「・・・」
そう言い、八神さんは少し手に取ったが、すぐに俺に返した。
「今のウチにこれを持つ資格はない。
だけど、あんたらを捕まえる時には少しはマシになっていると思うわ」
「分かった、それじゃあ、預かっておく。
だけど、捕まる日はないと思うけどな」
「ふっ、茶番は終わったか!!」
そう言い、クロウの後ろには巨大な氷の剣が現れていた。
「ならば、消えろ」
そう言い、クロウはこちらに向けて放ってきたが、俺はすぐに八神さんから受け取ったダイヤルファイターをVSチェンジャーにセットする。
「力を借りるぜ」
【0・2・9】
【怪盗ブースト】
その音声が鳴り響く、俺の右手は巨大な赤い弓矢へと変わり、俺は弓矢を引く構えを取る。
「一緒に戦うよリイン!」
八神さんはそう言い、俺の手に重ねると、弓矢に集まっていたエネルギーは八神さんの魔力が流れ込み、矢は先程よりも巨大な光の矢へと変わる。
「「ラグナロク・ブースト」」
その言葉と共に俺が指を離すと、弓矢から巨大な光の矢がクロウへと向かって行く。
「レオーネ・カリブ」
それに対して、クロウもすぐに腕を振り下ろした。
そうする事により、光の矢と氷の剣がぶつかり合ったが、氷の剣は一瞬で砕け散る。
「へぇ、なるほど、面白いねぇ
その言葉と共にクロウの姿は消え去り、それだけで戦いを終えた事が分かった。
「逃げられた!!」
「どちらにしても、奴はいずれまた現れるだろ」
俺はそれだけ言うと八神さんから離れるように逃げていった。
「あっ」
そんな声を無視して、すぐに見えない所で変身を解除し、しばらくしてから八神さんに合流した。
「雨宮君、無事やったんか」
「まぁね。
にしても八神さんの仕事って、もしかしてさっきのですか?」
「えっまぁ、そうやな。
ウチもちょっと珍しいのにスカウトされたんやで」
「それは凄いな」
「雨宮君も、その」
「んっ」
「なんもないで、それよりも今日はウチが昼飯を作ってやるわ。
久しぶりに雨宮君にも食べて貰いたいからな」
「それだったら、頂きます」
「それじゃあ、すぐに買ってくるから家で少し準備してくれるか?」
「分かりました」
そう言い、俺はすぐに家から離れた。
「君がそれを選んだのなら、ウチは止める権利はないからな。
君が間違えた時には、止めるからな」
そんな言葉が聞こえず、俺はただ家に戻っていった。