特典を奪う怪盗団   作:ボルメテウスさん

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予告状60 俺達の敵は

「くっ」

 

IS学園にて敵の知らせを受け、バン君達がその世界へ向かったのと同時に、六課本部を始め、周辺にて謎の敵が出現し、その対応をしていた。

 

その数の多さもそうだが、全身が銀のゴーレムのような奴らは魔法攻撃が効きづらく、シグナムやヴィータも対応しているけど、数はなかなか減らない。

 

私もなんとか応戦しているが、予想以上に魔力の消耗が激しく、既に立っているだけでも限界でなんとか杖で立てているが、何時敵が襲いかかってくるか分からない。

 

「けど、敵の目的は一体?」

 

これだけのゴーレムを操る事ができる奴だったら、これまで確認しても可笑しくない。

 

それなのに、なぜバン君達がいなくなった、このタイミングで襲撃を仕掛けてきんや?

 

「まさか戦力の分断が目的でっ!!」

 

バン君達がいなくなったこのタイミングなら、転生者にとっては邪魔なく管理局を制圧できる。

 

「さすがは隊長だけあって、状況を掴むのは早いようですね」

 

「そらぁどうも」

 

私の言葉に拍手を送るように出てきた男に対して、皮肉も交えて言うが、その男の背後には周辺で暴れているゴーレムと同じのが大量におり、今回の事件の犯人だと思われる。

 

「あんたが、この事件の犯人のようやな」

 

「まぁ犯人というのには間違いないがね」

 

「あんたの目的はなんや」

 

「目的か、まぁ簡単な話だよ」

 

そう言うと奴は笑みを浮かべながら手から取り出したのは金があったが

 

「ビジネスだよ」

 

「ビジネス?」

 

襲撃をしてきた転生者は笑みを浮かべながら答えた。

 

「これのどこがビジネスや!!

沢山の人を傷つけてっ!!」

 

「そう、これだけの被害を出すにはそれだけ高い戦闘力が必要になる。

それも世界を管理すると言うだけある管理局の支部を簡単に崩せる戦力が手頃な値段で買えるとすればどうなる?

答えは簡単だ、飛ぶように売れるのさ」

 

そう言い、奴は狂ったように笑い出した。

 

「商品が売れれば、それから守る為に同じのを買う。

そしてそれによって破壊されれば、また守る為に商品は売れる、これ程簡単なビジネスはないがね?」

 

「狂っとる!

あんたは狂っとる!」

 

「金が手に入るならばこの程度狂っても惜しくはないさ。

さて、私はビジネスの為にあなたには死んでもらうとする」

 

そう言い、奴は手を前に出すと、銀色のゴーレムが雄叫びを上げながら、こちらに迫ってくる。

 

「ここまでっ」

 

そう諦めていた時、私に向かっていたゴーレムが突然巨大な穴が開いた。

 

「なにっ!?」

 

何が起こったのか分からず、私は後ろを見ると、そこには赤いコートを身に纏い、マスクで素顔を隠しているけど、手に持っている赤い銃を握り締めている

 

「雨宮君」

 

私にとって、弟のような存在だった彼が来ていた。

 

「貴様、一体何者だっ!!」

 

「世間を騒がす怪盗だ」

 

そう言い、雨宮君は手慣れた動きで一枚のカードを取り出し、奴に向かってカードを投げる。

 

慌てて転生者はそのカードを取り、見つめる。

 

「予告する、あんたのお宝頂くぜ!!」

 

そう言い、先程の銃とは別にバン君達が使っている物と同じ、VSチェンジャーを取り出すと赤い飛行機型のダイヤルファイターをセットする。

 

【レッド!】

 

【0・1・0】

 

【マスカレイド!】

 

「怪盗チェンジ」

 

【怪盗チェンジ!ルパンレンジャー!】

 

その音声が鳴り響くと、彼の姿はルパンレッドへと変わっていた。

 

「くっ、だが貴様一人ならば、なにっ!!」

 

奴は急いでゴーレムを呼び出そうとするが、動きを止めて、驚いていた。

 

何が起きたのか現場を見てみると、そこには各地で暴れていたゴーレムを相手に戦っている他のルパンレンジャーがいた。

 

それを確認すると、雨宮君はゆっくりと歩きながら、指を鳴らす。

 

「ルパンレッド」

 

それに合わせるように、ルパンブルーは手に持った巨大な剣をゴーレムに叩きつけ、同じく指を鳴らす。

 

『ルパンブルー』

 

大量のゴーレム達の中を擦り抜けながら、VSチェンジャーで打ち抜いていき、余裕を現すようにルパンイエローも指を鳴らす。

 

『ルパンイエロー』

 

そしてこれまで見た事のない緑とピンクのルパンレンジャーは互いの武器を合体させると、目の前にいた巨大化したゴーレムを一刀両断に切り裂いた。

 

『ルパングリーンデス!』

 

『ルパンピンク』

 

そして先程まで戦闘ができない程にボロボロになっていた職員達をゴーレムから守るように白いルパンレンジャーが小型のゴーレムを次々と打ち落としていく。

 

『ルパンホワイト』

 

そして私の後ろから雨宮君に続くように背後から近づいてきたのは、Xチェンジャーを使って変身した銀色の怪盗と、雨宮君のルパンレッドの色が反転したようなルパンレンジャーが出てくる。

 

「ルパンX」

 

「ダークルパンレッド」

 

全員が名乗りを終えると、まるで全員の動きが分かるようにマントを翻し、各々がポーズを取った。

 

「「「「「「「「怪盗戦隊ルパンレンジャー!!」」」」」」」」

 

その叫びはこの場にいた全ての人々に伝わっており、驚きで目を見開いた。

 

「なっなぜだ!

ルパンレンジャー、なぜ貴様達は敵をわざわざ助けるんだ!!」

 

「敵?」

 

「あぁ、貴様とパトレンジャーは敵対関係だ。

そしてパトレンジャーは管理局と手を組んでいる、ならば、貴様達にとっては敵のはず!!」

 

そう、私達はパトレンジャーと手を組んでいる。

 

転生者の脅威から人々を守る為に、でもそれは同時にルパンレンジャーと敵対している事になっている。

 

身勝手なのは分かっているけど、私にとって大切な存在を捕まえる事が付きつけられたように私は涙を流しそうになる。

 

「勘違いするな」

 

「なに?」

 

「あいつらは確かに俺達の邪魔をして、少なくとも好感を持てる相手じゃない。

だけど転生者をなんとかしたいという思いは認めている、やり方は気にくわないが」

 

「俺達はこの世界で生まれた彼らを殺す事に反対しているだけだ」

 

「万人に受けいれるやり方ではない事も分かっているし、パトレンジャーはそれを認めないし、僕達も認めるつもりはない」

 

「だけど、あいつらは邪魔者であって、敵じゃない。

俺達の敵はお前達のように何の関係ない人を不幸にする転生者だ。

その罪を生きて償わせる為に俺達は戦うだけだ」

 

「なるほど私には理解できない内容だ」

 

「だから言ったら、理解してもらうつもりはさらさらないとな。

それになによりも」

 

そう言い、雨宮君はこちらを見た。

 

「守りたい人の為に戦うだけだらな」

 

「っ!!」

 

その言葉を聞いて、私の中では確信を持ってしまう。

 

やっぱり、彼は根っこは何も変わっていなかったのだとっ!!

 

「不愉快だ、正論など興味はない。

貴様達はここで死ぬだけだからな」

 

そう言う奴は懐から取り出したのはビーカーだと思われるが、それを地面に垂れ流すと、そこから出てきたのは先程のゴーレムのように銀色の塊だが、ゴーレムのように決まった形ができていない。

 

「私最大の武器だ、特と味わってくれたまえ」

 

その瞬間、塊は形を変えて、無数の針となってこちらに向かっていき、私達を取り囲むように襲い掛かってくる。

 

だが、その攻撃を読んでいたように、雨宮君は私を抱きかかえて跳びながら、攻撃を避けていた。

 

「ちょ、待って雨宮君!!」

 

「えっ」

 

「あっ」

 

思わず恥ずかしくなって言ってしまった言葉に驚いたルパンレッドは呆けてしまったが、動きは止まらず避けていた。

 

「俺の正体を何時」

 

「・・・今はその時やないやろ」

 

「分かった」

 

一瞬だけのやり取りだけ行った後、雨宮君はそっと近くの場所に降ろしてくれた。

 

「あんたは限界だろ、そこで休んでろ」

 

「雨宮君、気をつけて」

 

「・・・行ってくる」

 

それだけのやり取りを終えると、雨宮君は先程の転生者の元へと走り抜けながら、他のルパンレンジャーと合流して戦い始める。

 

敵の攻撃は先程のように針になって襲いかかるだけじゃなく、雨宮君達が放った攻撃の数々を直前で防ぐなど、攻守において隙がなかった。

 

そんな中でも速さでは雨宮君の方が有利で、先程から攻撃が掠りもしていない。

 

「同時攻撃だ、ジョーカー」

 

「分かった、クロウ」

 

雨宮君はダークルパンレッドの声に答えると共に、その動作はまるで顔についている仮面を取り外すような動作に見える。

 

「アルセーヌ!」

 

「ロビンフット!!」

 

同時に雨宮君からデータにあった黒い怪盗のような生命体とダークルパンレッドの後ろから出てきたのは雨宮君のとは正反対の白く騎士のような生命体だった。

 

まったく別のに見えるそれは同時に攻撃を行い、黒い炎と巨大な矢が男の前にある銀にぶつかる。

 

「そんなペルソナごときで何ができる!」

 

その攻撃を軽く受け止めた瞬間、銀色のルパンレンジャーは先程とは比べものにならない程の速さで急接近していた。

 

「なっ」

 

「使える物はなんでも使うのが主義だからな」

 

その言葉と共に手に持っていた武器のレバーを倒すと共に、X字型の斬撃を転生者に浴びさせる。

 

「ぐぅ、よくも私の特典を、だがぁ!!」

 

その言葉共に手を翳すと、外にいた大量のゴーレム達が集まりだし、本部を大きく上回る程の大きさのゴーレムへとなった。

 

「これで、貴様達は終わりだなぁ!!」

 

「終わらせるかよ」

 

そう雨宮君が言うと、先程呼び出したアルセーヌと呼ばれた生命体が現れると、アルセーヌは赤い炎に包まれると、その姿は新しい姿へと変わると、そのまま彼の手元に銃へと変わって、掴む。

 

「馬鹿め、あれに纏われている装甲は私が使っているのよりも強度になっている。

先程まで崩せなかった奴に勝てるものか」

 

「そんなの知るか、俺達は守りたいから守るだけだ」

 

【アン・ドゥ・トロワ!】

 

その瞬間、私の所まで風圧が来るほどのエネルギーが来るけど、私は自然とその先に見える雨宮君の姿を見た。

 

「永遠にアドゥ」

 

そこに立っていた雨宮君の姿は、これまで見てきた誰よりも自由で格好いいと思ってしまった。

 

【イカサマ・ドストライク!】

 

その音と共に引き金が引かれると共に、巨大なエネルギーはゴーレムの胴体を突き破り、そこには既に上半身が無くなったゴーレムしかなかった。

 

「これ程だとっ!?」

 

あまりの出来事で奴も驚きを隠せないようだったが、これで少しは安心できる。

 

「なんだっ!!」

 

そう思っていると、突然地面を揺るがす程の振動が聞こえ、見てみるとそこには巨大な次元の穴が広がっており、その向こうには任務で向かっていたはずのバン君達がいた。

 

「なにがおきている」


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