ダイヤルファイター強奪事件から一日経った。
あの日、雨宮がオートマトンを操っていた奴を背後から襲われてしまい、現在はこの施設で治療を受けていたのだが、儂が注目しているのは、その襲撃時の映像を睨み付ける。
「今の所、回復する手段はない」
「というよりも生きている事自体が不思議な訳か」
そう言いながら、雨宮の現状は危機的な状態だ。
あの戦いにおいて、奴は心臓を突き抜けており、即死にも近い状態だったが、今は儂の血を受け取った事により、仮初だが生き永らえる事ができた。
だが、それにも限界があり、死ぬ事はなくても、目覚める事は難しいのが、今の苦しい所だ。
「全てはこいつの仕業だが」
そう言い、映し出されたのは雨宮を襲撃された時の映像だが、予知する事ができたはずの雨宮を倒した
「霧という訳か」
雨宮の背後を襲い掛かった奴はまるで瞬間移動のように、霧から実体になって雨宮を倒した。
そして、その方法には見覚えがあった。
「・・・」
「とにかく、雨宮の治療が先決だ。
なんとかしなければ」
「悪いが、儂は少し用事があるから出ていく」
「なっ、こんな時にどこへ」
「本来の目的じゃ」
「本来って、まさかあいつが心臓を奪ったという奴なのか」
「あぁ」
「けど、雨宮がこんな状況で「儂の目的の為にここまで来た、だから邪魔するな」お前」
後ろから聞こえる声を無視し、儂は無視し、その場から去った。
「とうとう目的の奴が出た訳だな」
「あぁ」
あの映像に出てきた霧の手は、儂があの時に心臓を奪い取られた状況と一致している。
ならば、あいつから心臓を取り戻す。
「どうやら、覚悟は決まったようだな」
「あぁ」
「だったら、これを持っていけ」
そう言い渡してきたのはビクトリーストライカーに似た機体だったが、色はまるで違う物だ。
「これは?」
「タイムストライカー、ビクトリーストライカーを元に作り出されたルパンイエロー専用機体だ」
「そうか」
その言葉と共に儂は基地から飛び出す。
奴の特徴を知った以上、探し出すのはこれまでの怪盗活動において身に着けた技術で容易だ。
そして、儂は奴が残した痕跡を見つけて、探し出すと、そこは神社に行くと、そこには黒い鎧を身に纏った巨人がいた。
そして、奴から感じる気配だけで、その正体が分かった。
「久しぶりだな、死死累」
「えぇ、お久しぶりです、キスショット」
そう言い、奴の姿は鎧姿から昔と同様の姿へと変わった。
「お前が儂を憎むのも分からなくないがな。
だが、それを含んで、儂は貴様から心臓を奪い返させてもらう!!」
「憎む、確かにそれが以上にあなたとの復縁を望む」
「なに?」
復縁、それはつまりは再び死死累を眷属にして欲しいという訳か。
「儂の心臓を奪い取ってか?」
「えぇ、あの時のあなたは余りの強さで生きる気配もなかったので、生きる為に弱くなってもらわないと」
「はぁ?」
儂は何を言っているのか分からず、疑問に思って聞いたが、その時死死累は狂ったように笑い出す。
「あの時、あなたは強すぎて自殺だけ考えていた。
そんなあなたではなく、生きようとするあなただからこそ、私が求めたキスショットだ」
「はぁ、本当に、長い間生きてしまって狂ったそうだな」
既に奴の精神は既に壊れかけており、何を話しても無駄な様子だ。
「どちらにしても、お前を倒すのに、関係はないがな」
その言葉と共に儂はイエローダイヤルファイターとVSチェンジャーを取り出し、セットする。
【イエロー】
【1・1・6】
【マスカレイズ】
「怪盗チェンジ」
【怪盗チェンジ!ルパンレンジャー!】
「キスショットとしての姿ではなく、その姿で戦うのですね!!
そう儂がこの姿になったのが余程気に入らなかったようだ。
「あなたの完全体としての姿が見たかった。
あいつを殺せば、それが見られると思ったのに、なお」
「あぁ、だが考えてみれば、これが儂にとっては最も可能性がある姿だからな」
儂は取り出したのは石堂から渡された新たなダイヤルファイター。
この力は雨宮が使っていたビクトリーストライカーと同様に強力な力を持っているが、使い方を誤れば、こちらが消滅してしまうという強力な力を持っている。
だが
「だからこそ、儂の目的の為、貴様を倒させてもらうぞ」
「なぜ、私との復縁をすれば、良いだけどの話を?」
「別にお前とは関係ない。
儂はただ、自分がやりたいようにやっているだけじゃ」
人を殺さなかったのも、雨宮に合わせただけど、抵抗など何もない。
それに今は目的を果たせるならば、約束を破っても儂には関係ない。
確かに奴の言う人殺しをせぬようにしてきたし、それによって多くの事を得られたがな。
「だが、儂はお前を殺したいからやるだけだ。
それ以外に理由なんてない」
「狂っている!?」
「人間以上に生きたんじゃ。
それぐらいの感情は持つさ」
それにより、儂の中にある決意は固まった。
「だから、お主、儂の為にその心臓を変えさせてもらう」
その言葉と共に、そこに現れたのはビクトリーストライカーと似た造形をしているが、その色は儂に合わせたか金色を中心になっており、儂はそれをVSチェンジャーにセットする。
【タイムストライカー】
【スーパー怪盗チェンジ】
「怪盗チェンジ」
その言葉と共に儂の姿はルパンイエローに変わったが、それから雨宮と同じような装甲を身に纏う。
「スーパールパンイエロー」
「その姿になったからと言って、勝てる保証はありませんが」
「それは試してみないと分からないじゃろ。
さぁ、お主の命、奪わせてもらう」
その言葉と共に儂はゆっくりと歩みながら、この力についてだが、分かった。
雨宮の求める物との違いによって、このような違いが出るとはな。
「ならば遠慮なく!!」
その言葉と共に奴は全身を霧に変えて、周りを囲んでくるが、儂は周りを睨み付けながら攻撃を仕掛けるのを持っていると、後ろから突っ込んで来るのが見える。
【STOP】
VSチェンジャーからそのような音声が鳴り響くと同時に儂以外の全てが止まり、儂はゆっくりとこちらに攻撃を仕掛けようとした死死累の横へと行くと蹴り上げる。
【START】
「がはぁ!!」
奴は何が起こったのか分からない表情でこちらを見つめるが、その表情は未だに笑みを浮かべる。
このタイムストライカーは儂が現在を求める故に、現在の時間を固定する能力を持っている。
雨宮の持つビクトリーストライカーが、予知による未来を掴むのならば、儂のは今を止める為の力のようだ。
長く生きる儂にとっては皮肉な能力じゃがな。
「さすがはキスショット、この程度攻撃は避けられるか。
だが、これはどうかな」
そう言い、奴が取り出したのは儂が持っている怪異殺しとは違う刀を取り出す。
「これは少し卑怯ですが、キスショットに勝てるにはこれしかなさそうですからね」
そう言い奴は周りを斬ると、そこから出てきたのは儂達がこれまで戦ってきた転生者や特典だが、そこには意識がないようだ。
「さすがに幹部級は出せませんが、これだけの数ならば、十分でしょ」
そう言い、死死累は笑みを浮かべたが
「無駄なんじゃよ」
【STOP】
それだけ言うと、一瞬で時が止まると、儂は手に持った怪異殺しを手に、死死累の元まで走り出して、奴の心臓を一刺しする。
「今の貴様では儂を殺せないのだから」
【START】
「へっ?」
何が起きたのか分からない表情でこちらを見つめる死死累だが、儂は奴の服の中にあった儂自身の心臓を取り出す。
「確かに頂いた」
それだけ呟き、儂はゆっくりと歩みだす。
「そんな、ここまでして、拙者は」
「お主は悪くない。
まぁ地獄に行ったら、また会おう」
それだけ言うと、死死累は瞬く間に塵となって、今度こそ、その存在は消え去った。
「・・・」
そして目の前にあるのは儂がルパンレンジャーになって、探し続けた心臓。
だが、今は
「行くか」
儂はそう言い、S.O.N.Gの基地へと歩みだす。
「えっ、忍ちゃん!?」
「どういう事だ?」
「少し邪魔じゃ、どけ」
そう言い儂は雨宮の周りにいる奴らをどかすと、手に持った心臓ごと、雨宮の心臓部分に向けて貫く。
「えっ忍ちゃん何をしているの!?」
「てめぇ!!
今は大変な時になんで、勝手に」
「いや、待てモルガナ!?」
そう言っていると、全員が雨宮の心拍を見ていると、先程まで消えかけていた心拍が急に活発し始めた。
そこには先程まで死にかけていたとは思えない程の健康状態へと変わっていく。
「一体なにが」
「儂の心臓をこいつにくれてやった。
こいつは儂と血の交換をしておったから、血液にも問題なかったが、どうやら上手くいったようじゃな」
「えっ状況がよく分からないのだけど」
「吸血鬼は元から生命力が高い生き物だ。
そのパーツを取り込めば、死にかけでも生き返る事はできる」
「そうなの。
でも、それ以上にあなたは確か心臓を取り戻す為にルパンレンジャーになったんじゃないの」
「確かにな。
だがな、今はそれ以上に儂はこいつの事が気に入っているんじゃ。
その為ならば、目的を捨てても良い程にな」
あの時、ルパンレンジャーになってから、雨宮との日々が今を変えてくれた。
「それじゃあ、儂は出ていくとする。
奴にはよろしく頼むと伝えてくれ」
「えっ忍ちゃん!?」
「儂は約束を破ったからな。
奴に合わせる顔はない」
「だけどよ、それはこいつを助ける為に!?」
「別に儂がやりたかっただけだ、だからもう構うな」
それだけ言うと、儂は
「どこに行くつもりだ」
そう思っていた儂に声をかけたのは先程まで死にかけていたはずの雨宮だった。
「なんじゃ、以外にも早く目が覚めたようじゃな」
「まぁな、案外早く起きれたからな」
そう言いながら、雨宮は目をこちらに向けていた。
「悪いが、儂は抜ける。
お主との約束でもあった人を殺さないを破った。
だから、儂は」
「別に良い。
あれは俺自身の決意みたいな物だ。
それに、お前は殺していない、もしも殺したとしたら、俺の責任だ」
「だとしても」
そう言って、ベットの上から倒れそうになりながらも雨宮は儂に抱き着いてきた。
「もしもお前が殺したのが罪だって言うならば、俺も一緒に引きずってやる」
それだけで、儂は
「ならば、儂はこれからは決して破らないと誓おう」
そう誰も聞こえない程の小さな声で、儂は確かに破らない誓いを立てる。