転生者が街で民間人に被害を出していると通報を受けたバンたちは街中へと向かった。
「おいスバル、かこ、今回の転生者の情報はわかるか?」
「バン隊長、それが…」
「その転生者と特典などの素性が全くもって不明で、情報収集ができませんでした」
かこが気まずそうにしてスバルがフォローに入る。
「お前らでもか…。
アストルフォは?」
「ううん、ボクもわからなかったよ。
そういう隊長はどうなの?」
「俺も映像から見てみたが、人影が生身じゃあ考えられねぇほどの力で暴れまわってるけど、それが何の特典かってのがわかんねぇ」
「まさか、身体強化の特典でそれが暴走してる、のかな?」
「わかんねぇ、だから反応を追って探してんだよ」
そんな感じで会話をしていると、探知機の反応が強くなる。
「バン隊長、この近く転生者の反応が!」
「あぁ、変身するぞ!」
「「「了解!!」」」
「「「警察チェンジ!!!」」」
「マッハキャリバー、セットアップ!!」
『1号!』
『2号!』
『3号!』
『パトライズ!
ケーサツチェンジ!
パトレンジャー!』
『stand by ready set up!』
バンたちは変身し、反応があった場所へと走った。
「バン隊長、あれみたいです!」
「らしいな。
って、何で怪盗がいんだよ…!」
物陰に隠れながら様子を見ると、転生者の反応が見られる女性を赤の怪盗、ルパンレンジャーがワイヤーで縛り上げていた。
よく見ると、女性は尋常じゃない力で暴れているのが見える。
「まずいな、ありゃ間違いなく暴走しちまってる。
被害が広がらねぇうちに行くぞ!」
「「「了解!!!」」」
四人は女性を縛っている赤の怪盗へと近づき、VSチェンジャーを構えた。
「動くな」
赤い怪盗は四人の方へと振り向いた。
「こんな時に」
「そこにいるのは転生者だな。
怪盗に転生特典を奪われる前に確保するぞ」
「なっ」
赤の怪盗は驚いたような声を出すと、1号は2号と3号に射撃援護、スバルは一緒に接近戦に持ち込みつつ転生者の女性の確保と指示を出す。
「行くぞ」
2号と3号に射撃援護してもらいながら、1号はパトメガボーで、スバルは拳で赤の怪盗に攻撃しようとする。
「おいおい、危ないだろうが!!」
赤の怪盗は女性を片手で抱えながら攻撃をかわす。
「大人しく掴まれ!!」
「嫌だね!
俺は決めたんだよ、最後まで生きるのも助けるのも辞めないってな」
「何を言ってんだ!
俺たちはただ転生者たちを更生させているだけだっつうの!!」
特典が暴走している転生者を抱えたまま放そうとしない赤の怪盗に言い返す1号。
悪事を働くまたは特典が暴走している転生者を更生すれば、これ以上周りに被害が出ないうえに転生者も別の世界で普通の人間として生きていける。
そのことを否定的に言う赤の怪盗に1号は腹を立てた。
「ぐっ!」
後ろからの射撃の衝撃耐えられなくなり、赤の怪盗は女性をかばいながら壁に叩きつけられる。
「そこまでだ、怪盗」
1号は女性を傷つけないよう近づきながらVSチェンジャーを構える。
「balwiyall Nescell gungunil tron]
VSチェンジャーで撃とう構えたときにどこからか歌声が聞こえた。
その瞬間、1号の目の前を何かが通りすぎ、赤の怪盗も女性もいなくなった。
「な、どこに行った!?」
「バンさん、あれを!!」
1号がビルの上を見ると、赤の怪盗と女性がいて、その隣に黄金の鎧を纏った少女が立っていた。
「なんだよあいつは」
「おそらく、この世界の戦士であるシンフォギアではないですか?」
「マジかよ。
さっきの歌もシンフォギアを起動するためのってことか」
「でもさ、そのシンフォギアの子がどうして怪盗の味方やってんの?」
「わからねぇ。
だが、俺たちを見たときの眼が一瞬だけ敵意を感じたのは間違いねぇよ」
「そんな!
私たちは転生者を更生しようとしてるのに!」
「誤解されてるのは間違いねぇな。
…おいおい、何かまた一人増えてるし、とにかく迎撃するぞ!」
「「「了解!!」」」
四人はビルの壁を走りながら接近するルパンレンジャーと少女と、赤い忍者を迎撃するために攻撃を始める。
「おいおい、あの赤い忍者ってニンニンジャーじゃねぇか!
かことアストルフォはあいつと応戦してくれ!
スバルはあのシンフォギアのやつを頼む!
俺は赤の怪盗を戦うんでな!」
「「「了解!」」」
スバルが少女と、2号と3号はニンニンジャーと、そして1号は赤の怪盗と激突する
「お前、まだ諦めていなかったのか」
「残念ながら、俺は諦めが悪いからな」
赤の怪盗がまるで呆れたように言って剣を取り出し、1号も対抗してパトメガボーで応戦する。
すると、赤の怪盗が何かを見つけたのかニンニンジャーに合図を送るのが、1号に見えた。
だが、疑問を持つ前にニンニンジャーの刀から水が溢れ火を纏った刀で切り裂くと同時に斬りを発生させパトレンジャーたちの視界を遮る。
「ちぃ、何も見えねぇ。
あの怪盗はどこだ!?」
『2.1.0!
get set ready?
飛べ、飛べ、飛べ!
ニ・二・二・二ンニンジャー!』
「あぁ!?」
霧の中で何か電子音が聞こえ振り返ると、霧が晴れそれと同時に鳳凰のような飛行機が飛ぶのが見えた。
「まさか、あれに乗って逃げたってのか!?
追うぞ!」
「「「了解!!」」」
『位置について、ヨーイ!
走れ、走れ、走れ!
轟音、爆走!』
パトレンジャーたちはトリガーマシンを巨大化させ乗り込み、スバルは1号と一緒に乗り込んだ。
そしてトリガーマシンを怪盗が乗っていると思われる飛行機を追おうとするがいくつにも分身し、それぞれ別方向に飛んでいくのが見えた。
「マジかよ!?
おい、散開してそれぞれの飛行機を追うぞ!」
「「了解!!」」
「待ちやがれ怪盗!!」
三両のトリガーマシンは別方向に飛びまわる飛行機を追いかける。
しかし、しばらく追いかけると飛行機が煙になるように消えた。
「消えやがった!?
かこ、アストルフォ、そっちはどうだ!」
『ごめんなさい、消えてしまいました…」
「ボクのところもだよ』
「あいつらにはめられたってのか。
…引き上げるぞ」
「えぇ!?
でもバンさん、怪盗も転生者も…」
「俺たちが追いかけた時点で、特典を奪われたのか転生者の反応がなかった。
それに、あれだけ俺たちを分身で惑わしやがったんだ、もう近くにいねぇよ」
「そ、そうですか…」
顔を伏せるスバルをよそに、1号は先ほどのことを思い出した。
あのシンフォギアの少女の眼から敵意を感じたことを。
あれは怪盗に何かの洗脳されてるようには見えなかった、むしろ自らの意思で敵意を向けたのか。
そうだとすれば、先ほどの女性はあの少女の身内か知り合いの可能性がある。
ふと、1号はドリィの転生者のことを思い出した。
彼女は特典を暴走させたが故に更生した。
そして今回の転生者も暴走している転生者だった。
もしあの時、ドリィの転生者を更生しようとしたときに、彼女の身内か友人が止めに来たら、シンフォギアの少女と同じような眼で睨んでいただろう。
そう考えただけで1号はマスクの下で歯噛みした。
自分たちパトレンジャーは、特典が暴走した転生者や悪事を働く転生者を更生してるのに、なんでそこまでの感情を向けられなくてはいけないのか。
自分たちは正義のために動いているだけなのに、向こうからすれば悪人に等しいのか。
「…だったら、俺たちは何のために戦ってきたんだよっ!!」
スバルにも聞こえないほど小さくうなるように1号はつぶやいた。
自分たちパトレンジャーの正義はその世界に人間からすれば悪なのか、そんなこと自問自答すながら1号はトリガーマシンを走らせる。