転生者を更正する警察集団   作:ガンダムラザーニャ

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復活の1号

さかのぼること数十分ほど前。

 

バンは未だに葛藤に立たされ自分はどうした良いかがわからずにいた。

 

かこはそんなバンを支えようとしていた。

 

「…なぁ、かこ」

 

ふと、バンはかこに声をかけた。

 

「どうしました?」

 

「俺達は、本当に何のために転生者と戦ってきたんだろうな?」

 

「…それは、何とも言えません。

でも、ドギーさんの言うとおり私たちは転生者を更正してきたことで多くの人も世界を救ってきたんだって思います」

 

「その転生者の幸せをどぶに捨ててるのにか?」

 

バンは皮肉に、卑下するかのように呟く。

 

「私は、そうは思いません」

 

「は?」

 

「だって私達が転生者を更正できてるのは、長官からもらったパトレンジャーの力があったからですよ?

この力で更正した転生者の魂もきっと長官がその人が全うに生きていけるような世界に転送しているのではと、時々思ったりするんです」

 

「おいおい、いくら長官からもらった特典つっても、根拠もねぇのによくそんな事考えられるな?」

 

「ないからこそ、そう信じるのもありなんじゃないかなって思うんですよ」

 

確かに、そんな事はかこの中の話であって実際にあるのかはわからない。

 

だが、だからこそ信じ続けているのだと、かこは言い切った。

 

「そうかよ。

まぁ前向きなことだな。

でもよ、その転生者にも家族とか知り合いとかいんだろ?

前みたいにシンフォギアの女みてぇに敵意向けられるんならどうすんだよ。

ありゃ仇を見てるようなもんだったぜ?」

 

まっすぐな目で見つめるかこにバンは目をそらしながら言う。

 

いくらかこが言ったことがあるかもしれないとはいえ、パトレンジャーはその世界から転生者を更生し別の世界へと転生させる。

 

人から見ればそれは殺人にも捉えられる。

 

だから転生者を更生しても今度はその転生者の身内から糾弾される可能性がある。

 

「それは、私にもわかりません。

今まで悪事を働いていたり特典が暴走したりした転生者の更生をしてきたので、改めて考えると、わかりませんね」

 

「そうかよ。

でもまぁ、ありがとなかこ。

おかげでいくらか気が晴れたぜ♪」

 

「ふぇ!?

え、えへへ」

 

かこが申し訳なさそうに顔を下げるもバンはかこの頭を撫でる。

 

そこでバンは改めて考える。

 

自分の戦う理由を。

 

なぜ転生者である自分が転生者の更生を行っているのか。

 

ドギーはその理由は根本となるはずだと言った。

 

だがバンにはその根本的な理由がわからなかった。

 

なぜ自分が戦うのかを。

 

そのときに通信機から雑音が聞こえた。

 

「アストルフォ?

あいつ、通信を切り忘れてたのか?」

 

「でも、なにか聞こえませんか?

まるで、人がうめき声をあげているような…」

 

「まさかな…。

まずいことになる前に行くぞ!」

 

「はい!」

 

『走れ、走れ、走れ!

轟音、爆走!!』

 

バンは即座にかこを連れてトリガーマシン1号に乗りダゴネールがいる場所に走らせ、その間に通信機の雑音から音を拾って状況を把握しようとする。

 

通信機から流れる音の中には、ダゴネールの生前のこと、なぜ転生者になった今こんなことをしたのかなど憎悪に染まった感情で口走っていることなどが聞こえた。

 

そしてダゴネールの特典の微改造のことも聞こえた。

 

「バン隊長、これってまさか!」

 

「あぁ、おそらくあいつがさっき言ってた微改造ってことだろうな!

フィギュアにしたやつを殺さず苦しませるってどんだけ悪趣味なんだよ!」

 

バンは内容を聞いて歯噛みする。

 

このままだと、フィギュアにされた人の心が壊れて死んでしまう。

 

しかも、この転生者は人を苦しませることに快楽を得ている可能性があるためもっとフィギュアにされる人が増えるかもしれない。

 

そんな人の命を、尊厳を踏みにじるようなやり方に、バンは内心怒りが込み上げてきた。

 

 

 

 

ふとその時、バンの中で映像が流れてきたのだ。

 

それは銀髪の少年が大金を抱え、家に帰ろうとしていた映像だった。

 

しかし家の近くに着いた時に自分の家らしき建物がすさまじい火柱を立てて燃え上がっているのが見えた。

 

少年は嫌な予感を感じて急いで帰路に着いた。

 

そこで見た風景は凄惨だった。

 

自分の家が徐々に外側から消滅するかのように燃えていたこと、中にいた親らしき人達も家から出ようとするも黒焦げの体から一瞬で骨だけの体に変わり消滅したこと。

 

そして家も、家族も何もかもがすべて燃えながら消失した。

 

そして自分も何者かに襲われ燃やされて殺されたこと。

 

バンにはその映像に見覚えがあった。

 

これはバンの生前の記憶だった。

 

そして転生者になった時、当時神として特典を与えていた右京からどの世界でも自分たちみたいに転生者によって殺された被害者が出ていると聞かされたときに、バンはあることを誓った。

 

それがパトレンジャーになった理由だった。

 

「…こんなときに思い出しちまうとはな」

 

「え?」

 

「なぁに、慣れってのがマジで怖えって話だよ!」

 

バンはトリガーマシンを加速させて向かう。

 

その眼にはもはや迷いはなかった。

 

「あれだな、降りるぞかこ!」

 

「え!?

ちょ、バン隊長何で私を抱きしめ、うわあ!?」

 

ダゴネールとアストルフォたちを目で見える範囲まで着くとバンはかこを抱えトリガーマシン急停止させながら飛び降りる。

 

先ほどまで加速させていたトリガーマシンの速度も相まって早いスピードで飛びながら一気に距離を詰める。

 

「かこ!

お前はあの杖とドロイドっていう戦闘員を弾き飛ばせ!

俺はその間にダゴネールから人質を助ける」

 

「わ、わかりました!

ええい!!」

 

「フォックスハント!!」

 

かこは杖を取り出しアストルフォたちを拘束していたドロイドとダゴネールがアストルフォたちに向けていた杖を弾き飛ばし、バンはダゴネールの手元にあった大量のフィギュアに手をかざし即座にダゴネールから取り上げ自身の両手で持った。

 

バンは手元に来た、ダゴネールによってフィギュアにされた人々を見て歯噛みする。

 

そして、ダゴネールの方へとゆっくりと視線を移しながらバンは言った。

 

「よお、探し物はこれか?

卑怯なオタク野郎♪」

 

所々がだらけた口調だが、その声色には覚悟がこもったものだった。

 

 

 

 

 

現在

 

「お前はさっきの!?」

 

「バンさん!」

 

「隊長!」

 

「バン君!

そうか、理由を思い出せたのか!」

 

バンはスバルを起き上がらせてフィギュアを渡した。

 

「スバル、この人たちを安全な場所に連れてってやってくれ。

この中でも足が速いのはお前だからよ」

 

「りょ、了解です!」

 

スバルはローラースケートを使いフィギュアにされた人たちを連れて行った。

 

そしてバンはデカマスターの方に振り向いた。

 

「ドギーのおっさん、あんたの言う通り確かに思い出したぜ。

そして、それとは別に改めて思っちまったよ。

迷っている間に、誰かが転生者にやられちまうってんなら、俺たちが戦わねえといけねえなってな」

 

バンとかこがVSチェンジャーとトリガーマシンを取り出す。

 

「怪盗みてぇに転生者を償わせるのは無理だが、それでも、転生者に苦しめられるやつらを俺は放ってはおけねぇ。

…更生が俺たちの罪だってんなら、俺が背負い込んでやるよ!!」

 

「「ケーサツチェンジ!」」

 

『1号!』

 

『2号!』

 

『パトライズ!

ケーサツチェンジ!

パトレンジャー!』

 

バンとかこがパトレン1号と2号に変身した。

 

そして3号とデカマスターはダゴネールと向かい合うように1号と2号の隣に並び立ち、フィギュアの人たちを避難させたスバルが戻ってきた。

 

「パトレン1号!」

 

「パトレン2号!」

 

「パトレン3号!」

 

「マッハキャリバー!」

 

「百鬼夜行をぶった斬る地獄の番犬、デカマスター!」

 

「「「「「警察戦隊 パトレンジャー!!!」」」」」

 

「さーてと、てめぇに対して実力を行使するぜ!!」

 

「実力を行使だあぁ!?

やれるもんならやってみろヴァーカ!」

 

パトレンジャーはVSチェンジャーを、デカマスターは刀を、スバルは拳を構えダゴネールの方へと走り出し、ダゴネールはドロイドを呼び出し一斉に攻撃を仕掛けようとする。

 

「あいつ、どんだけドロイド持ってんだよ!」

 

「まさかだと思うが、彼が言っていた微改造の一部ではないのか!?」

 

「それなら、今思い付いたが作戦があるぜ?」

 

「何?」

 

1号はデカマスタードにドロイドたちを倒しながら作戦を伝えた。

 

「…できるのか、そんな事が?」

 

「あんたの腕も見込んでだ、他のやつには号令で伝えるぜ」

 

「そこまで言うなら良いだろう」

 

そう言って1号は2号たちにパトメガボーのメガホンを使うことを指示した。

 

デカマスターとスバルは1号たちの後ろに下がり1号と2号、3号はメガホンにしたパトメガボーをドロイドたちに向けた。

 

『そこの君、止まりなさい!』

 

『全員、整列!』

 

『ダメ、ゼッタイ斬り!!』

 

ドロイドたちの動きを止め全員整列させエネルギーの籠ったロッドモードのパトメガボーで殴り付け爆散させる。

 

「おっさん、スバル、今だっ!!」

 

「「了解!!」」

 

ドロイドたちを倒すと同時に1号がデカマスターとスバルに合図する。

 

二人はダゴネールの元へと走りスバルはダゴネールを殴り飛ばし、その際に懐から落ちた装置をデカマスターが真っ二つに切り捨てた。

 

「なぁ!?

ボクチンのドロイドの取り寄せ装置がぁ!?」

 

「やっぱりな♪

それがなかったらお前はもうドロイドたちを呼べない。

そうだろ?」

 

「ふ、ふん!

バカめ、ボクチンには魔法のステッキがあるのを忘れてってうおあ!?」

 

ダゴネールは足場に落としたステッキを取ろうとするも1号に撃たれ爆発する。

 

「おいおい、これ以上苦しむやつ出すとでも思ったのかよ?」

 

「ひぃっ!!」

 

VSチェンジャーを向けられ、それを持っている1号に睨まれたダゴネールは冷や汗をかいた。

 

「ボ、ボクチンがこんなところで終わると思うなよ低脳どもがぁ!!」

 

ダゴネールが懐からスイッチを取り出しボタンを押す。

 

すると、背後からバラボラのついた巨大なロボットが現れダゴネールがそれに乗り込んだ。

 

「バン隊長、あれは!」

 

「あれは怪獣機のエンバーンズっじゃねえか!?」

 

「ならボクたちもトリガーマシンを!」

 

「少し待ってはくれないか?」

 

トリガーマシンを使おうとすると、デカマスターが制止をかけた。

 

「バン君、一つだけ聞かせてくれ。

君は何のために、パトレンジャーになったんだ?」

 

「そうだな、簡単に言うと、俺達みたいな犠牲者を出したくないから、だな?」

 

「犠牲者だと?」

 

「俺達は元々、転生者に殺された身でな。

後から長官に聞いて、思っちまったんだよ。

俺や、俺の家族のような犠牲者を出したくねぇってな」

 

「それが、君の、パトレンジャーになった理由なのか?」

 

「あぁ、だからこそ俺は戦うんだよ」

 

「…ふむ、それが理由なら俺は君を止めない。

だが、どうかそれを忘れないでくれ!」

 

デカマスターがそう言った途端、体から光が出現し1号の手元に来る。

 

それは赤い大型のパトカー型の機械へと変わった。

 

 

 

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