バンたちは、まだ転生者が近くにいるかもしれないと、教員たちに許可を取って、IS学園の一室を借りていた。
なのはたちは別室で今回の被害状況などを確認していた。
そんな中、バンたちパトレンジャーはゴーレッド・巽マトイの言葉を思い返していた。
「俺たちのレスキュー魂、か…」
「一体、どういうことなんでしょうか?」
「単純に、転生者と戦って人々を守るってわけじゃなさそうだよね…」
すると、部屋のドアから一人の女性が入ってきた。
「失礼。
IS学園で教員をやっている、織斑千冬だ。
あなた方が、IS学園の生徒と教師を救出し侵入者を撃退した方々とみて間違いないだろうか?」
「いえ、俺たちはただ、あの場にいた一人の男と一緒に救出しただけで、撃退したのはその男です」
バンはその女性、千冬の質問に半分肯定し半分否定した。
「そうか…。
では、その男はどこかは」
「すみませんが、屋上で別れたっきりでどこにいるのかは…」
かこはそう言った。
「…わかった。
だが、あなた方は私の弟を含む生徒や教員を助けたことには変わりはない。
まずは、そのことで感謝させてほしい」
千冬はそう言って頭を下げようとする。
「ちょっと、待ってくださいよ!
何もそこまですることも…」
アストルフォはそう言って、頭を下げようとする千冬を止める。
「俺たちはそんなに頭を下げられるようなことはしてませんよ。
むしろ、あの男が止めてなかったら、今頃俺たちは、この学校の生徒、あなたの弟さん、教員たちを傷つけていたかもしれないんですから…」
「ですが、その代わり、私たちに教えてもらえませんか?
何故先ほどのような男が現れたのかを…」
「…そうだな。
あれは…」
千冬は状況を説明した。
生徒同士に模擬戦の最中に男が乱入したこと。
男が出した竜巻はISをも破壊するほどの力を持っていたこと。
それにより、ほとんどが手も足も出ずに倒されたこと。
自身も、生徒たちを避難させることに手いっぱいでなにもできなかったこと。
それを聞いたバンは口を開いた。
「…それでも、あなたのやったことは正しいんじゃないですか?
もし、生徒たちの避難よりも、あの場に駆けつけたとしたら、それこそ余計に被害が大きくなって、今よりも、負傷者や逃げ遅れた人だって増えていたかもしれないし」
「…そうかもな。
すまない、外部から来た者だというのに、そんなこといわれるとは」
千冬がそう言って、申し訳なさそうにする。
すると、校内で警報が鳴った。
『緊急事態発生、緊急事態発生!
ISの整備室で異常が確認されています!
教員の方は至急、生徒を避難させてください!
繰り返します…!』
「整備室だと!?
あそこには、先ほどの戦闘で損傷したISを整備している生徒が!」
「だったら、俺たちが行きます!
あなたは、生徒たちをお願いします!」
「でもなぜ!」
「…おそらく、さっきの奴かもしれないんです。
だから、ここは俺たちに行かせてください!」
「っ!
分かった!」
「かこ、アストルフォ!
行くぞ!」
「「了解!!」」
バンたち3人は部屋を出て、整備室に向かう。
その途中で、なのはたち機動六課と合流した。
「バンさん!」
「なのはか!
お前らから見て、今回の襲撃はどう思う!
俺は、あの転生者がまたやってきたと見てるがよ!」
「私たちも同じです!
早く行きましょう!」
「あぁ!」
バンとなのはたちは変身し、急いで整備室に向かった。
「おいおい、マジかよこれは!?」
整備室に着いた1号たちが目にしたのは悲惨なものだった。
つい先ほどまでそこに置かれ修理を受けていたであろうISが瓦礫に埋もれていた。
ここにいた生徒たちは逃げたのか、どこにもいない。
だが、その整備室の奥に鋼の鎧を纏った男が立っていた。
「ほう、まだ俺に立ち向かう奴がいたのか?」
「お前、何でこんなことを!」
1号は怒りを込めて言う。
「はっ!
そんなものは決まっているだろ?
ISが壊れるさまを見て快感を得たいからだ」
男は哀れみとも蔑みにも見える表情で、瓦礫に埋もれたISを見下ろす。
「それにしても、無様だよなぁ。
あの天災が作ったパワードスーツがこんな無様に、この俺に見下されているんだからな!」
そう言って、男は瓦礫に中から露出したISを踏みつけた。
「ISは、お前のおもちゃじゃねえんだよ!!」
1号は怒りのまま、vsチェンジャーで撃とうとする。
「待ってください、バンさん!
相手の罠かもしれません!」
「かこ!?
…悪い」
2号に止められ、1号は落ち着く。
「どうした?
なら、こっちから行かせてもらうぞ!!」
「なっ!?」
男が手をかざす。
その瞬間、1号たちは、自分の身に何が起こったのかが一瞬だけわからなかった。
だが、体が急に勢いよく宙に吹き飛ばされたことで理解した。
自分たちは、この男の風で吹き飛ばされたことを。
そして1号たちはそのまま勢いよく地面や壁に叩きつけられた。
その強烈な攻撃で、バンたちは身動きが取れない。
しかも、先ほどの攻撃の影響か、周りには複数の小規模の竜巻が発生していた。
「こいつ、なんつー攻撃しやがるんだっ!
…?」
その時に、1号はある疑問を持った。
幾ら自分の特典とは言え、あんな近くで竜巻が怒ってるのに、何故普通に動いているのかと。
「こいつ、何であんなに竜巻を起こしてるのに、平然と立ってんだよ…!」
1号は男の鎧をよく見る。
龍を連想するような鎧、こんな嵐の中でもびくともしない頑丈さ。
「お前、その特典は、まさか…!」
「ほぉ、察しが良いな。
そうだ、俺の特典はモンスターハンターのクシャルダオラの力なのさ!
そいつを召喚するってのもありだったが、裏切られる可能性もあったんで、その能力を俺が使ってやってるのさ!」
男は吹き荒れる風の中、自慢げにそう叫んだ。
「この力がある限り、例えISだろうと、俺にはかなわないのさ!
何がIS、何が女性だけに許された絶対の権利だ。
所詮、ISがなきゃなにもできないのにな!
はーはっはっはっ!!」
「あ、うぅ…」
笑い声をあげた途端、整備室の瓦礫の中から少女のうめき声が聞こえた。
「まさか、逃げ遅れたってのか!?」
「…なぁんだ、逃げ遅れたうえに、生きてたのか」
男は呆れながら少女に向けて溜めた風を向ける。
「っ!?
おい、何する気だ!
やめろ!!」
「…」
男は何も言わず、気味の悪い笑みを浮かべながら、さらに風を溜める。
このままでは、あの男に、少女が殺されてしまう。
だけど、さっきの攻撃で動けない自分たちがいる。
必死で動こうとするも、痛みで動けずにいる。
「やめろ…」
1号は仮面の下で血を吐きながら言う。
だがそれでも、溜まっていく風は止まらない。
「それじゃあ、バァーイ!」
そして、男の手から、風の塊が放たれた。
「やめろおおおおぉっ!!!!」
1号が叫んだ。
その瞬間、1号の体は不思議と立ち上がり、風の塊が来るよりも走っていた。
そして、少女の盾になるように、自身の背中を風の塊に向け、少女の体を覆い体を伏せる。
だが、いつまでたっても、風の衝撃は来なかった。
何が起こったのかと、1号は背後を振り返った。
すると、そこには。
「傷ついた自分の身を犠牲にしてまでその子を守ろうとするとはな。
だが、少しだけだが、お前からレスキュー魂を感じたぞ、バン!!」
ゴーレッドに変身した、巽マトイが警棒で、風の塊をかき消す姿があった。