「あんたは、マトイのおっさん!」
「しばらくぶりだな、バン。
僅かながら、お前のレスキュー魂見せてもらったぞ!」
風の塊を消した警棒をしまいながら、1号に振り向いた。
「俺には、そのレスキュー魂ってやつはいまいちよくわかんねぇけど…」
1号はうめき声をあげていた少女を見る。
「だけど、俺はこいつを死なせたくねぇって思ったら、このボロボロの体が動いてたんだ」
「そうか。
だが、今はわからなくてもいい。
その助けたいという気持ちがあれば、お前も、お前の仲間にも、そのレスキュー魂が燃え上がるはずだ!」
「…それって、要は根性じゃねえかって思っちまうけどな。
だけど、俺はそういうの、嫌いじゃないかもな♪」
1号はボロボロになりながらも、仮面の下で笑っていた。
その時だった。
「てめぇら、何をごちゃごちゃ言ってやがんだよおぉっ!」
男が怒り狂い、両手から強烈な風を生み出そうと、溜めている。
「やべぇ!
…うぐぅっ!!」
「バン!」
1号はボロボロの体で動けない。
ゴーレッドは、1号と少女を守るために警棒を取り出そうとするが、間に合わない。
「くたばりやがれ、雑魚どもが…ってうおっ!?」
攻撃しようとした途端、男が足のバランスを崩し、溜めていた風が中断され、空中で分散された。
3号がパトメガボーで男の足を思いっきり叩きつけたからだ。
「はぁ、はぁ…。
君、隊長たちばかり見て、足元がお留守だよ…!」
3号は今にも倒れそうな体で、男に挑発する。
「こいつ、よくも邪魔を!」
男は3号に怒りを覚え、風を纏った拳で殴ろうとする。
だが、3号の背後から飛んできた緑色の光線によって、腕を勢いよく跳ね返された。
「…私だって、いるんです。
バン隊長とマトイさん、アストルフォちゃんだけとは、思わないでください!」
3号の背後で、2号が杖を構えていた。
「くっ!
なっ!?」
腕を弾かれた痛みで手を押さえていた男は驚いた。
ゴーレッドやパトレンジャーの三人だけじゃない。
フラフラと、なのはたちも、自力で、または互いに肩を貸して立ち上がってきたのだ。
その眼は、痛みに対する恐怖や諦めなど、微塵もなかった。
「な、なんだよお前ら!
あれだけの攻撃をくらって、何で立ち上がれんだよ!?」
「それは、こいつらが互いを助けようとしているからだ!」
「っ!?」
信じられないと言わんばかりに男は狼狽えるが、ゴーレッドが叫ぶ。
「こいつらは警察って名乗っておきがら人助けが下手だ。
特に、バンはボロボロな状態で、女一人を助けるために自らを盾にするからな!」
そう言って、ゴーレッドは倒れそうになった体を叩き起こすように立ち上がる1号を見る。
「だが、今こいつはこいつなりに、負傷者を助けるために立ち上がったんだ!
そして俺は、その時のこいつから、わずかに燃えるレスキュー魂を感じた。
そのレスキュー魂が仲間たちを奮起させ、今立ち上がらせた!」
1号が、ゴーレッドの隣に来て、口を開いた。
「てめぇにやられた傷程度で、俺達が止まると、思ってんじゃねぇぞ!
てめぇらが自分の快楽のために人を襲うなら、俺たちは何度でも立ち上がってやるよ!」
「っ!
だ、黙れ死にぞこないがっ!!」
そう言って、男は竜巻を発生させようとする。
「やらせません!
フリード!!」
キャロはフリードリヒを巨大化させて、男を口で咥える。
「うおっ!?」
そして、そのままフリードリヒは整備室の外へと出た。
そのあとで、2号は杖を使って回復効果のある光線を1号やなのはたちに浴びせ、傷を修復させる。
「これなら、まだここに取り残されている人たちの傷も癒えていると思われます。
皆さん、行きましょう!」
「待て、かこ!
今は救助した方が良い」
2号の号令に1号が待ったをかける。
「え?
何で…、まさか!」
「決まってるだろ?
この子や他にもいるかもしてないやつを、瓦礫ん中から出すんだよ。
幾ら、かこの魔法で傷が癒えたとしても、瓦礫ん中に埋もれたままだと、本末転倒だからな。
…キャロ、悪いがフリードであいつをしばらく止めてくれねぇか?」
「は、はい!」
「なのはたちも、それで良いか?」
「…わかりました。
でも、あまり悠長にはできませんよ」
少し考えてから、なのはは答えた。
そうして、1号たちは整備室で取り残された人たちを救助し、すぐに男の下へと向かった。
だが、行く途中、ゴーレッドは1号を呼び止めた。
「バン、お前は、整備室にあの子以外にも、他にも取り残された人がいると、なぜわかった?」
「別に、何もわからねえよ。
ただ、一瞬だけ頭の中で、あの子以外にも生き埋めになってるやつがいるんじゃないのかってよぎったんだよ。
そしてみんなで救助したら、数人いたとはいえ全員を助け出せたって話だ」
「もしもの、か。
面白いやつだな。
まさか、そんなことを考えられるとはな」
「そうでもねぇよ。
でも、そう言われると、照れるな。
レスキュー魂、悪い感じはしねぇよ」
「ふっ、そうだろ…?」
そう言った途端、ゴーレッドの体から光が出現し、それが1号の手に消防車型の機械として握られていた。
「こいつは…」
「まさか、レッドラダーなのか!?」
「だとしたら、俺は、先輩であるあんたに認められたって感じだな。
良し、早く行こうぜ!!」
「あぁ!」
1号とゴーレッドは急いで男の下へと走った。
IS学園の外へ出た1号たちは、男とフリードリヒが戦っているのを見た。
「くっ!
このドラゴン野郎!
しつこいんだよ!」
「動くな!!」
1号たちはvsチェンジャーをなのはたちは杖や拳銃や槍を構える。
「ちっ!
加勢が来たってか。
なめんなよ雑魚がぁっ!!!!」
男は衝撃波とも見れる竜巻を周囲に発生させ、フリードリヒを弾き飛ばした。
「フリード!」
「あのドラゴンはてめぇらのだな?
ならくたばれ!!」
男は竜巻を大きくし、1号たちへと近づく。
「させるかよ!」
『ゴーゴーファイブ!
パトライズ!
着装!!』
1号はvsチェンジャーにレッドラダーを取り付け、消防車型のエネルギーを溜める。
ゴーレッドも警棒を構えて走り出した。
「くらえ!」
「スティックボンバー!!」
1号から消防車型のエネルギー弾が放たれ、ゴーレッドは警棒を突き出して竜巻の中に突っ込んだ。
「なっ!?
ぐああああああああ!!!」
竜巻の壁を容易く貫かれ二つの攻撃が男に直撃する。
男は、身に纏っていた鋼の鎧の破片をまき散らしながら数度地面にバウンドし、気を失った。
1号は、男に近づいて手錠を嵌め、転送する。
「…これで、終わったな」
「ああ、お前たちのおかげで救助もできたしな」
「そうだな。
…そう言えば、あいつアリーナであんたを見た途端撤退したんだ?」
1号は思い出したように、ゴーレッドに聞いた。
「…さぁな。
だが、あいつの能力が災害そのものなら、俺は災害から人々を守るやつ、だったからじゃないか?」
「だろうな。
いつかまた会おうぜ、マトイのおっさん」
「あぁ、お前たちも元気でな。
そのレスキュー魂を、忘れるなよ?
人の命は地球の未来だからな」
「あぁ、忘れるわけねえだろ?
じゃあな♪」
そう言って、1号たちはゴーレッドと分かれた。
ゴーレッドから教えられた、燃えるレスキュー魂を胸に秘めながら、教員たちに先ほどのことを伝えるため、1号たちはIS学園へと戻っていった。