バンたちの前に、IS開発者であり、天災と呼ばれる女性、篠ノ之束が現れた。
その事実がバンたちの頭を悩ませた。
「…とんでもねぇのに、遭遇しちまった」
「ねぇねぇ、束さんの話聞いてる?」
いつまでも返事をしないことに頬を膨らませ、束は三人の顔を覗きこむ。
「っ!
あぁ、悪い。
あまりにも突然だったんで、驚いちまったんだよ。
それで、あんたは俺達に何のようだ?」
「さっきも言ったじゃん。
君達に挨拶しに来たんだよ」
「…いや、それこそ訳わかんねぇって。
俺達、あんたと接点ねぇし、あんたにそんな親しみこめて言われるような覚えは…」
「あるよ?」
「…は?」
バンは束の言ってることに理解ができなかった。
そもそも、バンたちの中でも束は、自分の身内と認識した相手にしかこんな態度を取らない女性だと、認知していた。
だからこそ、理解ができない。
身内以外にはとても冷たい束が、親しみを持って自分たちに接する理由が。
「束さんはね、平行世界を観測できる装置で、君達を見たことあるんだよね。
その時に、君達が平行世界であったとしても、束さんの可愛い可愛い箒ちゃんに、いっくんへの愛の応援をしてくれた瞬間を、見たんだ」
「あの時って、確か」
「ストフリの転生者が暴れてた事件だと思います。
現場に向かう途中、タンカーで運ばれた一夏さんを追ってた人のことだと…」
かこの言葉を聞いて、バンは思い出したように手をポンと叩いた。
「あぁ、そういえばそうだったな!
何か、一夏のそばにいたいのにって嘆いてたんで、放っとけなくて声かけたんだよな、あの時」
「…?
でもちょっと待ってください!」
「ん?
どうしたんだよ、かこ」
かこは何か気になったのか、束に質問しようとする。
「いくらIS開発者とはいえ、平行世界への観測装置を作ったって、一体どういうことですか?
何かこう、次元をを越えてしまってるというか…」
「フッフッフ、束さんは天災だからね。
そこら辺の機材を使って、ギュインギュインのズドドドドな感じな上に、パッコーンってやったら、できちゃったんだ♪」
「何それ、擬音ばっかでほとんどわからないよ!?」
「つまりは気まぐれで作ったってことだろ。
詳しくは聞かない方が良いぞ?」
束の説明に、アストルフォは困惑し、バンはアストルフォの肩を叩いて諦めるように言う。
「…でもあんたの場合は、ただ挨拶にきたってだけじゃねぇんだろ?」
「おや、切り替わりが早いね?」
「おかげさまで、色々察しちまったよ。
まぁ、俺達がどんなやつかって聞きにきたかもしれないけど」
バンの言葉を聞いて、束は一瞬だけ驚くがすぐに笑顔に戻る。
「…まぁ、それもあるんだけどね。
とりあえず、聞かせてもらえないかな?
平行世界でもいたんだし、普通の人間じゃないでしょ」
「…わかった」
バンは自分たちが何者かを説明した。
「ふぅーん、パトレンジャー、ねぇ。
しかも君達は皆転生者ってのは、オカルトじみてよく分からないけど」
「元々ただの人間が、一度死んで神様から特典というか、特殊な能力を渡された状態で人間だったころの世界とは別にところに飛ばされたやつって思えば良いんだよ」
「なるほどねぇ。
それで、君達はさっきのようなIS学園で暴れてたクソヤロウみたいな連中を取り締まって、この世界から追い出す、みたいな?」
「正確には、更正して特典と記憶を消した上で、別世界に送ってんだけどな」
「そっかぁ…。
じゃあ君達に、頼みごとしても良いかな?」
「お、おう…」
束は改まった様子で、バンたちにズイっと顔を近づける。
「この世界では最近、宇宙人以外にも、マンガにありそうな力でISを操縦者ごと潰しにかかるやつがいるんだ…。
君達で言う、転生者かもだけど」
束は先程とは売って変わって、怒気の含んだ目付きでバンたちに言う。
「束さんはさ、操縦者はともかく、他人の都合でISを潰されるの、非常にイラつくの…。
だからね…」
「そいつらをぶっ潰すのに、束さんたちに協力しない?」