通報が入る数十分前。
バンは一人で右京に、束とIS学園と協力することを伝えた。
「なるほど、そういうことですか。
本来は僕もその話を聞いて、ちゃんと交渉してから、協力を得たかったのですが…」
「すみません。
ただ、あそこは断ると色々と面倒になると思ってしまって」
「いえ、お気になさらず。
確かに、あちらの世界の転生者を更正するには、彼女たちの力も必要となるかもしれないので」
「そうですね…」
その時、長官室に警報が鳴り響いた。
「な、何だ!?」
「これは…」
「大変よ!」
霞が慌ただしく入り込んだ。
「長官、バン!
私達と協力を結んでる時空管理局の役員が、IS学園でISのコアの要求してるの!」
「…」
「おい、ちょっと待てよ!
管理局って、なのはたちだよな?
何であいつらがそんな事を!」
霞の言葉に、右京は黙りこみ、バンは霞に詰め寄る。
「知らないわよ!
私もさっき、そのように察知したんだから!」
「ちっ!」
「…落ち着きなさい、バンくん。
君は、二人を連れて、IS学園に向かいなさい」
「…了解です」
バンは長官室を後にして、右京と霞だけが残った。
「…霞ちゃん、君が先程言ってた、時空管理局の役員は、一人ですか?」
霞は首を縦に振る。
「まさか…」
右京は少し考える。
「わかりました。
少し時空管理局と掛け合ってみましょうか」
そう言って、右京は電話で連絡を取る。
バンはかことアストルフォを連れて、IS学園に向かっていた。
「あの、どういうことなんですか!?」
「わからねえ。
だが、時空管理局っていうからなのはか誰かだ!」
「でも、なんでなのはたちが?」
「それを直接見て、あいつらかどうかを確かめるんだよ!」
バンは苛立ちながら二人の質問に答える。
バン自身も、今回のことはあまりにも信じられなかったからだ。
そして、間もなくIS学園に到着した。
そして、バンたちはその光景を見た。
学園の校舎前で、時空管理局の制服を着たなのはが、千冬に問い詰めていた。
「大人しくISのコアを渡しなさい。
さもなくば、強行突破して回収します」
「何度言えばわかる。
貴様のような得体のしれない者に、コアを渡すわけにはいかん!」
「そうですか…。
残念です」
そう言って、なのははレイジングハートに変身する。
「実力行使で、やらせてもらいます!」
「やめろ、なのは!」
「っ!」
なのはが杖を構えようとした矢先、バンたちが千冬の前に立ち、止めに入る。
「なっ、君達は!」
「バンさん、かこさん、アストルフォさん…」
なのはは、悲しそうな目で三人の名前を呟く。
「やめてください、なのはさん!
どうしてこんなことをするんですか!?」
「そうだよ!
ISはこの世界の物なんだよ?
どうして、それを回収しようだなんて」
「…あなたたちには、関係のないことじゃないですか。
そこを退いてください」
「関係ないはずがねぇだろ!
俺達は協力関係だろうが!!」
「協力関係?
まさか君達は、彼女と知り合いなのか!?」
千冬は聞こうとするも、バンが手で制止する。
「…忠告はしましたよ」
そう言って、なのはは杖を構え、力を溜める。
「…かこ、アストルフォ。
悪いが、お前達は織斑先生を連れて、この学園に残って守ってくれ」
「っ!?」
「ま、待ってよ。
それじゃあ、キミは…」
「あぁ、俺がなのはを食い止める」
バンはVSチェンジャーとトリガーマシンを取り出す。
「…警察チェンジ」
『1号!
パトライズ!
警察チェンジ!
パトレンジャー!!』
バンはパトレン1号に変身し、VSチェンジャーとパトメガボーを構える。
「…」
なのはも改めて、杖を構える。
「っ!」
先に仕掛けたのはなのはだった。
杖に魔力を込めて、魔弾を撃つ。
「うおっ!?」
1号は背後にいる千冬たちに当たらないように、パトメガボーで弾く。
「あれは、ISじゃないのか…!?」
千冬がなのはの攻撃の衝撃に耐えながら、驚いたようにいった。
「織斑先生、ここは危険ですので、校舎に入ってください!」
「なっ、待て!
そもそも、彼女は何者なんだ!」
「それを後で説明しますので、今は引いてください!」
かことアストルフォは、千冬を学園の中に連れていく。
それを確認した1号はVSチェンジャーを操作して、トリガーマシンを巨大化させる。
『1号!
位置について、ヨーイ!
走れ、走れ、走れ!
出動!
轟音、爆走!!』
「さて、これ以上学園に被害出さねえように、場所変えようぜ?」
「なっ!?」
1号はなのはの体を抱きしめ、トリガーマシンに乗り込み、高速移動する。
当然、その途中になのはは抵抗する。
トリガーマシンの中で、杖の刃先で1号を攻撃して止めようとする。
それに対して、1号は操縦片手でパトメガボーを使って、なのはの攻撃を防いでいく。
「バンさん、出してください!」
「学園を巻き込まない程度に離れたら、出してやるよ!」
そして、IS学園の人工島の端へとついて、トリガーマシンを解除され、二人は外へと出る。
二人は互いににらみ合う。
「バンさん、いくらあなたでも、邪魔をするなら!」
「だったら何で、ISのコアを回収しようとするんだよ!
これが前に言ってた仕事だってのか!?」
「っ!
えぇ、そうですよ。
あのコアは、ロストロギアかもしれないから、私に回収するようにと、上層部から指令があったんです!」
「ISのコアがロストロギア?
何の理由があって、そんな指令が出るんだよ!」
「そんなの、簡単ですよ」
なのはは怒りにもにた表情で、杖を構える。
「この世界では、ISの存在によって、男女の価値観が変わり、世界中で、それに絡む事件が起きてると聞いてます。
だから、それを回収することで、この世界から、差別をなくそうとしているんです!」
「っ!」
「それだけじゃありません。
先日更正した転生者も、生前はこの世界の人間だったそうです。
ですが、女尊男卑の世界の中で、謂れのない差別を受け、迫害を受けて死んだと」
「…」
「だから、彼のような悪に落ちた転生者を生み出さないためにも、ISのコアを回収しなければならないんです!
お願いだから、そこを退いてください!」
「…そんな事して、またそれに近い状況になったらどうすんだよ?」
「え?」
1号の言葉に、なのはは呆然とする。
「確かに、この世界は、ISの存在したことで男女の価値観も変わって、男が迫害を受けてるかもしれねぇ。
でも、コアを奪ったところで、その根本が変わるのか?」
「そ、それは…」
「もし、コアを奪って、女尊男卑から男尊女卑になったら、それこそ本末転倒じゃねぇのかよ!?」
「…」
なのはは、1号の言葉に何も言えず、黙ってしまう。
「それに、お前は何か隠してるんじゃねぇのか?」
「っ!?」
「お前、さっきから悲しそうな顔しやがって。
本当は、お前もこんなこと、やりたくねぇんだろう?
お前も、今俺が言ったみたいに、こんなことしても変わらないのはわかってんだろ?」
なのは下を向いて、体を震わせる。
「そんな事…」
なのはは周囲に魔方陣を展開して、光線を放つ。
「そんな事ぐらい、私だってわかるよっ!」
「ぐっ!」
1号は光線の衝撃に煽られながら、光線を避けていく。
「こんなことしても無駄だって、私にもわかるよ!
仮に、ISのコアがロストロギアだとしても、あれはこの世界の物で、それが重要視されてることも!」
なのはは敬語ではなく、素の口調で言う。
「だから、私はこの指令には反対だって、上層部に言ったんだよ!
だけど、ダメだったの…!」
次第に攻撃も弱まり、1号はなのはに接近する。
「あうっ!」
そして、1号はなのはを地面に押さえつけ、杖を手元から放した。
なのはは今にも泣きそうな顔をしていた。
「何がダメなんだよ?
…!
まさか、お前!?」
1号は何かを察して、なのはに問いかける。
「うん…。
私がやらないと…。」
「フェイトちゃんも、スバルたちも、殺されちゃうよぉ…!」