「おいおい、こいつらマジかよ…」
バンはかこと一緒に、交番にある資料を見ていた。
「あの…何かわかったんですか?」
かこは資料を持って近づいてきた。
バンは新聞を見せてかこに言う。
「ここ数日で逮捕されたやつの顔写真と、資料を見比べろ」
かこはバンに言われた通り、新聞と資料を見比べる。
すると、かこは思わず目を見開いた。
「バン隊長、これって…」
「あぁ、ここ数日事件起こして逮捕されたやつのほとんどが、元々転生者だったやつだ。
それも、俺たちが更正してないやつらだ」
「元々?」
バンの言葉にかこは疑問を持つ。
「特典を奪われたんだとよ。
あの怪盗たちに…」
「まさか、ルパンレンジャーに特典を奪われたのが原因でっ!?」
「ほとんどのやつが、その八つ当たりで人を殺したり、強盗やったり、女子供を誘拐してたらしいんだよな」
「じゃあ、特典を奪われて人間になっても、犠牲者が出るってことでしょうか?」
「さすがに、あいつらに特典を奪われた元転生者全員が全員ってわけじゃねぇと思うけど、そう言う奴もいるって話だ。
…けど、それが原因で犠牲者が出ているってのも否定はできねえんだよな…」
すると、パトロール中だったアストルフォから通信が入った。
『隊長、かこ、大変だよ!
今すぐ来て!!』
「ど、どうしたのアストルフォちゃん!?」
いきなりの通信にかこは慌ててしまう。
『突然、車や信号みたいな生き物が人を襲ってるんだ!
急いで来て!』
「車や信号みたいな生き物?
わかった、すぐに行くぜ!
かこ、行くぞ!」
「了解です!」
バンとかこはすぐさま変身して、アストルフォの下へと向かった。
1号と2号は座標を辿って、アストルフォが変身した3号と合流した。
だが、街の様子は、3号の言う通りの光景だった。
「おいおい、何だよこれは…」
「うん…。
人の避難は完了したんだけど、それでもあのへんな生き物たちが暴れいるのが止まらないし、数も増えているんだ」
「…どっちにしても、このまま放置するわけにもいかねえよな。
特典によるものなのかを確かめながら、こいつらを倒すぞ!」
「「了解!!」」
三人は探知機を使いながら、生き物たちを薙ぎ払う。
すると、生き物たちから微かだが、転生者の特典の反応があった。
「こいつら、特典で動いてるのか!」
「でも、どうしましょう…。
周りに囲まれそうですよ!?」
「これ、下手したら転生者のところに行くまでにボクたち倒されちゃうよ!」
2号と3号の言う通り、生き物たちを薙ぎ払いはしたものの、そこから一気に数が増えてしまい、囲まれしまった。
三人は互いに背中を合わせながらVSチェンジャーやパトメガボーを構える。
「なら、ここはキュウレンジャーの力を使わせてもらうぜ!」
『キュウレンジャー!
パトライズ!』
『キュークロスボウ!』
1号はトリガーマシンコジシボイジャーからキュークロスボウを召喚し、VSチェンジャーを操作しながらキュークロスボウを上に向ける。
『ギャラクシー!』
キュークロスボウから特殊なエネルギー弾が上空に撃ちこまれる。
すると、それは花火のようにエネルギー弾がはじけ飛び、三人の周りの生き物へと降り注ぎ、生き物たちを吹き飛ばしていった。
「…どうやら、今ので意識を失ったみたいですね」
2号がそう言った途端、近くで悲鳴が聞こえた。
「この悲鳴は…」
「この近くみたいだね」
「でも、その近くで転生者の反応があります!」
「おいおい、そりゃあ襲われてる可能性があるぞ。
急いで行くぞ!!
三人は急いで悲鳴の聞こえた場所へと向かった。
悲鳴の聞こえた場所へとたどり着いた三人は、倒れている女性を見つける。
「間に合わなかったのか…」
「でも、外傷はないようですよ?」
「…そうだな。
とりあえず、この人を安全なところに…!?」
1号は女性を運ぼうと持ち上げる。
だが、女性の体は氷のように冷たく、脈もなかった。
「どういうことだよ、死んでるじゃねぇか!?」
「えぇ!
でも、外傷ないよね!?」
「まさか…、魂を抜かれた、とかでしょうか?」
2号は女性に探知機を当てながらそのように言う。
「それって、さっきの変な生き物のことと関係してるってのか?」
「だと思うんですけど、あの生き物たちと同じ反応が見られるんです。
だから…」
2号の言葉が言い終わる前に、探知機から強い反応が見られた。
「これは…、あそこですっ!!」
2号は反応の強い方向に顔を向ける。
その先では、転生者と思われるローブを被った男と、赤いルパンレンジャーが戦っていた。
「あれは、ルパンレンジャー…!」
「という事は、怪盗と戦っているのはこの事件を起こした転生者ってことだね」
「あぁ、あいつに特典を奪われる前に、転生者を更生するぞ。
もう、特典を奪われた転生者による犠牲者を出さないためにもな」
「「了解!!」」
そう言って、パトレンジャー三人は一気に二人の下へと走り、VSチェンジャーを構えた。
「怪盗、および転生者、そこまでだ!!」
男の周りに魂のようなものが浮いていて、近くにはポストのような生き物がいた。
「にひぃ、にひにひ、獲物が増えてラッキー」
笑いながら男が言う。
1号は、男の周りを見て確信する。
「あれはソルソルの実か!」
「だとしたら厄介だよ」
「あぁ、急いで更生っ!」
1号たちがそう言った途端、男は一気に近づいた。
「DEADORLIFE!!」
ローブの男は言葉と同時にフードを取り、素顔を見せた。
1号たちはその素顔を見て思わず恐怖してしまった。
それは、かつて1号たちを殺した転生者たちの顔だった。
「お、お前は!」
「嫌ぁっ!」
「な、んで…」
三人は恐怖に身を固めてしまった瞬間、体から何かが出てきた。
「へぇ、まだいるまだいる!
俺の奴隷がなぁ!!」
すぐさま赤いルパンレンジャーへと近付き、素顔を見せようとする。
「DEADORLI…」
「おらぁっ!」
「ぶふぅっ!?」
だが、赤いルパンレンジャーは男の素顔を見た瞬間、恐怖するどころか、迷わず男を殴り付けた。
「「「っ!?」」」
三人はそれを見て驚いた。
自分達が恐怖で動けなかったのに、赤いルパンレンジャーはそれをものともしなかったこともそうだが、赤いルパンレンジャーの雰囲気が徐々に変わってきたからだ。
「お、お前、何で俺の顔を見て恐怖を感じなかったんだ!?」
「まさか、ここで会うとはな…。
本当に嬉しいぜっ!」
赤いルパンレンジャーの様子が明らかに可笑しかった。
「ルパンレンジャーは恐怖してないのか!」
「でも、あの雰囲気、まるで…」
「狂気染みてる…」
「ちぃ、こんな奴がいるとはな!」
でもな、それでもこれを作り出すには十分だあぁ!!」
歯噛みした男はそう言うと、1号たちに手を伸ばし、何かを奪い取った。
その瞬間、1号たちの意識は失った。
「うっ…!
ここは…」
1号は目を覚ました。
街の路上で倒れこんでいたのに、不審に思ったが、意識を失う前のことを思い出した。
自分たちは、男に魂を奪われて、意識を失ったことを。
「っ!?
そう言えば俺たちは…。
かこ、アストルフォっ!!」
そう言って、1号は隣で倒れこんでいた2号と3号の体を揺する。
「あうっ…」
「う、うぅん…」
二人はうめき声をあげた。
「よかった、無事だったみてぇだなあ…♪」
二人の様子を見た1号はほっと息をつく。
だが、そうとわかった瞬間、1号は先ほど男がいた場所へと顔を向けた。
そこには、倒れた男の隣で背中から幻影を出している赤いルパンレンジャーを落ち着かせている青と黄色のルパンレンジャーの姿を見つけた。
それに、青いルパンレンジャーの手元には特典と思われる果実を見つけた。
これは、男がルパンレンジャーに特典を奪われたことを意味していた。
「…くそっ!
あいつらに特典を奪われちまったか」
1号は思わず毒づいた。
ルパンレンジャーに特典を奪われた転生者は只の人間になるが、その後にその人間がそれのストレス発散などで事件を起こす可能性がある。
このままルパンレンジャーを逃がすと、犠牲者が増えるかもしれない。
1号はパトメガボーを構えて、赤いパトレンジャーを背後から攻撃しようとした。
だが、赤いルパンレンジャーは背後から幻影を召喚し、翼を使って攻撃を防いだ。
「まだやる気か?」
「当たり前だぁ。
お前らを逃せば、犠牲者が増えるからな」
赤いルパンレンジャーはため息を漏らしながら言った。
「どうせ、転生特典を奪われた奴らの事件による被害者とでも言うつもりだろ」
「それがわかっているなら、どうしてこんな事を?」
「…お前らだって、人を悲しませている事に自覚しているのか?」
赤いルパンレンジャーは見透かすかのように、1号に問いかける。
「なに?」
1号は思わず疑問の声を上げるが、赤いルパンレンジャーは幻影の翼を使って、1号を払いのけた。
「人に注意する前に、てめぇらの罪を数えろ」
そう言って、赤いルパンレンジャーは二人を連れてどこかへと姿を消した。
「…俺達の罪、か…」
1号はルパンレンジャーが消えた方向を見ながら呟いた。
赤いルパンレンジャーの言葉に、1号は二人の転生者を思い出した。
ドリィの転生者とブルーデスティニーの転生者のことを。
そして、シンフォギアの少女の知り合いのことを。
「…確かに、俺達に罪は全くないとは言い切れねぇか。
それでもな…」
1号は変身を解除して、2号と3号の下へと歩く。
「それでも俺は、戦い続けるんだよ。
俺達のような犠牲者を、これ以上出さないためにも…!」
「おぉい、お前ら大丈夫か?」
「はい…何とか」
「ボクも…。
だけど、転生者にあんなこと思い出されたなんて、正直不覚だったよ」
「まぁな。
けど、俺は思い知らされちまったよ。
あいつの、恐怖に立ち止らないところに、な。
それに、今回ルパンレンジャーがいなかったら、俺たちはあの転生者にやられてたしな」
「確かに、あの怪盗、見た瞬間に止まる所か、殴りに行ってましたからね…」
二人は変身解除して、立ち上がろうとする。
「あれ?」
だが、かこだけはどうしても立ち上がれずにいた。
「どうしたの、かこ」
「な、なんでなのかな?
立ち上がれないよう…」
「おい、大丈夫か?
それなら、俺がおぶってやるよ」
そう言って、バンはかこをおんぶする。
「ふぇっ!?
あ、ありがとう…ございます」
「ねえ。
やっぱりさっきのあれで、堪えてたんじゃあないかな?」
「だろうな…。
あいつの見せた顔は、俺たちのトラウマそのものを映しやがったし」
アストルフォはかこの様子を見て心配そうに言った。
すると、かこは顔をバンの背中に埋めて、片手でアストルフォの手を握った。
「あの…、しばらく、こうしても良いですか?」
かこの言葉にバンとアストルフォは優しく微笑んだ。
「良いぜぇ、それで少し気が晴れるならな♪」
「もっちろんだよ!」
三人はしばらくその状態で交番へと帰っていった。
転生者と戦っていた場所から数十キロ離れたビルの屋上から、同じ顔をした二人の男が見ていた。
一人は宙に浮いていてそこからパトレンジャーを見ていた。
「社長の言ってた通りだな。
あの緑のガキ、生きてやがった。
…おい弟、お前本当にあのガキを殺したんだよな?」
男は屋上に胡坐をかいて不貞腐れたようにしているもう一人の男にそう言った。
「間違いないって!
社長の依頼で、中で刺し殺した後で、図書館ごと燃やしたんだから間違いねえんだよ!
それでも生きてるってことは、やっぱりあれだろ?」
「あぁ、正確にはお前に殺された後で、転生したってところだろうな」
「どうするよ、何なら今すぐ殺しちまう?」
「待て。
今回は只の偵察だからな。
それ以外は金を出さねえだとさ」
もう一人の男が背中に背負っている火炎放射器を構えようとしたところを、男が制止する。
「…わかったよ。
あいつの金の力は絶対だからな。
今度こそ、俺の手でもう一度ぶっ殺すよう社長にでも頼もうか」
「それなら、今度は俺様も混ぜろよ?
新しい特典を手に入れた俺様達兄弟のコンビネーションを、あのガキと二人に披露しねぇとな?」
「あぁ、もちろんだぜ兄貴」
二人の兄弟は笑う。
その二人の眼には、左右対称に、金の紋章が浮かび上がっていた。