金丈コーポレーションでの戦いから数日後、バンはエボルトの資料を読んでいた。
正確には、エボルトと仮面ライダーエボルについてだが。
「…あいつが本当にエボルトなのは確かだ。
あのベルトとボトルの存在があるから…」
バンは読み進めていく。
エボルドライバーのことも、エボルボトルのことも、エボルトリガーのことも。
そして、エボルトが仮面ライダービルドの世界で何をしていたのかを。
それを読み進めていく内に、無意識の内に冷や汗をかいていた。
その時に、アストルフォから声をかけられた。
「隊長!」
「…!?
アストルフォか?
どうしたんだよ?」
「かこと霞から、桜ちゃんも、桜ちゃんのお父さんも容態が良くなってきた聞いたんだけどから、会わせても大丈夫だよね?」
「お、おう、そうだな。
俺も一緒に行くから、会わせてやろうぜ?」
「うん!」
バンは読んでいた資料を片付けて、アストルフォとともに病室へと向かった。
心のどこかで、エボルトに対する警戒心を抱きながら。
鎧で操られて気を失っていた家甲達人の容態も良くなり、病室でだが娘の桜とも再会することができた。
「お父さん…!」
「桜…!」
二人は涙を浮かべながら互いに抱きしめあった。
「良かったですね、桜さん、達人さん…!」
「うん、本当に会えて良かったね…!」
「そうだな…。
くそ、泣けてきたじゃねぇか…!」
その場にいたかこは涙がを指で拭って、アストルフォはハンカチで顔を拭きながら、バンは涙が見えないように顔を上げて手で隠している。
「…」
病室の入り口から様子を見ていた霞は、少し微笑みながら、その場を後にしようとした。
「…!」
しかし、霞は何かを察知して、目を見開き、足が止まった。
「な、何よこの反応は…!」
霞はすぐさま病室にいるバンたちを、達人と桜に気づかれないように手招きする。
「霞?
あいつ、どうしたんだ?」
「あんたら、ちょっと来なさいよ!
転生者の反応があったのよ!」
「…!
転生者、ですか…」
「まさか、誰かを襲ってるとか…」
「良いから来なさいよ!
そこにいられると、話しにくいじゃない…!」
そう言って、バンたちは達人と桜に気づかれないように、病室を後にして、霞からの説明を聞いた。
「街がブラックホールに呑み込まれてる!?」
「えぇ、突然街の上空にブラックホールが発生して、街もその住民も全員が呑み込まれてるのよ!
しかも、察知できた時点でもういくつもの街が消滅してる…!
おそらく、この間あんたらが遭遇したエボルトかも…!」
「エボルト!?
くそっ、かこ、アストルフォ、行くぞ!」
「「了解!!」」
バンは二人を連れて、現場へと走って行った。
上空から発生したブラックホール。
それは街にある物、人であろうと問答無用で呑み込み更地に変えていく。
その様を、白黒で蛇を連想する鎧を纏った男、仮面ライダーエボルことエボルトは手を広げて愉快そうに見ていた。
「フフフハハハハハハ!!
さぁ、もっと呑み込め!
そして俺の一部になれ!!」
「「「動くなっ!!」」」
ふと、エボルトは後ろから声が聞こえたので振り返ると、そこにはバンたちがvsチェンジャーを構えていた。
「よぉ、思ったよりも早いお出ましで手間が省けたぜ、パトレンジャー」
「手間が省けた?
じゃあてめぇは、わざわざ俺たちを呼びだすために街をブラックホールで呑み込んだってのか!?」
「そういうことだ。
ま、俺的にはルパンレンジャーというメインディッシュが来てくれることを期待していたのだがな」
「…どっちみち、お前を倒すだけだ!
行くぞ、かこ、アストルフォ!」
「「「警察チェンジ!!」」」
『1号!
2号!
3号!』
『パトライズ!
警察チェンジ!
パトレンジャー!!』
「パトレン1号!」
「パトレン2号!」
「パトレン3号!」
「「「警察戦隊 パトレンジャー!!」」」
「実力を行使させてもらうぜ!!」
「ふん、オードブルにはちょうどいい!!」
1号はvsチェンジャーとパトメガボーを、2号はvsチェンジャーを、3号はパトメガボーを構えて、エボルトの下へと走り出す。
先に攻撃を開始したのは2号。
2号はエボルトの足元に狙いを定めて撃つ。
「はぁ!」
「ほう、そう来たか…。
だが、これならどうだ?」
エボルトは手を払いのける様にすさまじい風を巻き起こして、2号が撃った弾丸の勢いを止めた。
「なっ!?」
「こうなったら…!
とうっ!」
続いて3号が勢いよく走り抜けて、エボルトの胴体を、パトメガボーで貫こうとする。
「フン…!」
「がはっ!?」
エボルトは残像を残すほどの速度で3号の攻撃を躱して、強烈な膝蹴りをぶつける。
そして、その衝撃で3号は接近していた2号にぶつかってしまう。
「きゃっ!」
「かこ、アストルフォ!
てめぇ…!」
二人が倒れたのを見た1号は、エボルトをvsチェンジャーで牽制しつつ接近し、パトメガボーで攻撃しようとする。
「ぬっ!?
では、こいつを抜くか」
エボルトはそう言って、手からノズルがついた剣を出現させた。
そして1号と鍔迫り合いになる。
「くっ…!」
「ふっふっふ…!
どうした、もっと俺に力を見せてみろ!」
「ぐあっ!!」
そのままエボルトと力負けして、1号は吹っ飛ぶ。
「ぐぅ…!」
「こうなったら、まずいよ。
隊長、この間のあれはどう!?」
「あれ!?
…わかった、使え!」
1号は3号の言葉の意味を察して、2号と3号にバイカーとクレーンを投げるように渡した。
そして、1号はスペーススクワッドを取り出し、スペースパトレン1号に変身して、タイムモードへと切り替えて、アサルトベクターを連結させて狙いを定める。
『バイカー!』
『クレーン!』
『パトライズ!
警察ブースト!!』
2号と3号はバイカーとクレーンをVSチェンジャーに装着する。
2号はタイヤ型のエネルギー弾を作り、3号はクレーンを右腕に装着して中のドリルがアームに乗ってエネルギーを溜める。
「行け、スペーススナイプバーニング!!」
「行きます、バイク撃退砲!!」
「行っちゃえ、ストロング撲滅突破!!」
三人の攻撃がエボルトに向けて発射される。
「うおっ!?」
エボルトはその攻撃に思わず両手で防ぐ。
衝撃で足が後ろに少し下がる。
だが、エボルトはそれに笑みを浮かべているのだった。
「…ほう。
これがパトレンジャーの力か、あいつらに比べてまだまだだが、これほどの力だとはな!
ぬぅおおおおおっ!!」
「「「っ!?」」」
エボルトは三人の攻撃を殴るように掻き消した。
それを見て驚いた三人に、高速で移動しながら攻撃した。
「ぐあ!?」
「きゃあああ!?」
「うおあああ!?」
その攻撃に対処仕切れなかったパトレンジャーは勢いよく、三人は一つに固まるように吹き飛ばされてしまう。
1号は今の攻撃で、スペーススクワッドが解除されてしまい、元のパトレン1号に戻ってしまい、2号と3号が気を失ってしまう。
「これで、終わりだ…!」
そう言って、エボルトはエボルドライバーのレバーを回す。
それと同時に、エボルトの手からブラックホールが発生して、次第に大きくなる。
「…っ!」
1号はそれを見た途端にわかった。
あの一撃をまともに食らったら死ぬと。
「くそっ!」
1号はすかさず2号と3号の盾になるように、体で覆った。
『READY GO!
ブラックホールフィニッシュ!』
その音声と共に、エボルトの手からブラックホールが放たれる。
1号はここまでかと、目をつぶった。
「まったく、世話をかけるぜ!!」
その直後、聞いたことのある声が聞こえた。
「諦めるかよ」
その言葉と共に、何かが1号たちの体に巻き付いて、そのまま力強く振り回されるようにその場から離れた。
ブラックホールはそのまま後ろにあった建物を破壊して、そのまま消滅した。
「どうやら、メインディッシュが来たようだな」
「このワイヤーは」
エボルトは空を見上げて、1号は巻き付いていたものがワイヤーだと気づき、それで気づいたのだ。
赤いルパンレンジャー、ルパンレッドが来たことを。
「よぅ、さっきぶりだな。
この騒ぎでのガーディアンの材料だが、もしかしてあれか?」
「まぁな。
オートマトンは実に良い材料だからな、大量に盗ませてもらった。
お前には感謝しているぜ、なんだってあの世界へと案内してくれたからな」
「そうか、だったら成仏しな」
「そう言うなよ、俺はお前との戦いは結構楽しみにしていたんだぜ」
「なに?」
そう言いながら、エボルトはルパンレッドに笑みを浮かべながら訪ねていく。
「だから提案だ。
ルパンレッド、俺と一体化しないか?」
「なに?」
「っ!?」
1号はエボルトの言ってることに恐怖した。
それは、エボルトの力と、情報を知っているから。
「お前の目的も知っている。
ルパンレンジャーになったのだって、その目的の為に過ぎないんだろ。
それにお前にとってもこの世界は好ましくないはずだ、纏めて消し去ろうじゃないか?」
「本気で乗ると思っているのか?」
「どうだろうな、だが俺はお前の敵の行方を知っている」
「っ!!」
「どうだ、簡単だろ、嫌いな世界を壊すだけでお前は目的を達成できる、これ程素晴らしい提案はないだろ」
エボルトは明らかに、ルパンレッドを取り込もうとしている。
もし、そうなったら、エボルトは、ルパンレッドの力を宿したエボルボトルを作って、新たな力を手に入れて、手に負えなくなる。
そうなってしまえば世界は確実に滅んでしまう。
「騙されるな!!
エボルトはルパンレッド、そのまま乗ったら、お前は後戻りできないぞ!!」
その考えに至って、1号はルパンレッドに怒鳴るように制止しようとする。
だが、ルパンレッドはどこか落ち着いた様子だった。
「…そうだな、まぁ確かにこの世界が嫌いじゃないと言ったら嘘になるからな。
正直言うと壊したいと思っている」
「ならば、俺と手を組むのに何の問題もないな」
「そうだな」
そう言って、エボルトは手を差し伸べながら近づく。
しかしは、ルパンレッドはエボルトにVSチェンジャーを構える。
「…何の真似だ?」
「何って、俺は提案なんて、最初から乗るつもりなんてないぜ」
「ほぅ」
「俺はこの世界が嫌いだというのは嘘でもない。
だけどな、それ以上にこの世界は大好きなんだよ。
帰る所があると思ってくれる仲間がいる世界を俺は守りたいからな。
だからエボルト、お前はここで倒す」
「ふっ、奴と似た感じだと思ったのだが、残念だ。
お前のペルソナ、できれば意思がある状態で取り込みたかったが、手段は変更しないとな」
「言っていろ」
ルパンレッドはそう言って懐から、戦闘機のようやアイテムと真っ白なトリガーマシンを取り出す。
「シャロン、力借りるぜ!」
その言葉と共に戦闘機型のアイテムをトリガーマシンに押し付ける。
その瞬間、真っ白だったトリガーマシンは青が特徴的な戦車型のトリガーマシンが現れる。
「これを使え」
「ルパンレッドっ!?」
ルパンレッドは戦車型のトリガーを1号に渡す。
「どういうつもりだ?」
「この状況で戦えるのは俺とお前だけしかないだろ。
お前に渡さないで意地を張っていたら、エボルトには勝てないからな。
さっさと使え」
「くそっ」
それだけ言うと各々のVSチェンジャーに戦闘機型のアイテム、と新しく誕生した戦車型のトリガーマシンを装着する。
『ビクトリーストライカー!
1・1・1!
ミラクルマスカレイズ!』
『サイレントストライカー!
グレイトパトライズ!』
『スーパー怪盗チェンジ!』
『超警察チェンジ!』
『ルパンレンジャー!』
『パトレンジャー!』
二人が引き金を引いた。
それと同時にルパンレッドは体に戦闘機の装甲が装着されて、肩にはダイヤルと背中には戦闘機の翼が付いた姿になる。
1号の姿は金色の装甲が装着され、両肩にはレバーと二連装の砲台が装着された姿へと変わっていた。
「スーパールパンレッド!」
「超パトレン1号!」
「姿が変わった所で何ができる!」
「えっ」
ルパンレッドは何か戸惑いがあったらしく、一瞬だけ周囲を見回した。
「もしかして」
何かを察したルパンレッドはそう言い、エボルトの攻撃が来る前に1号を軽く蹴り飛ばして、攻撃を避け、手に持ったVSチェンジャーでエボルトが持っていた銃を打ち抜く。
「ぐっ、まさか、ここまで攻撃を読むとはな。
実力は確かに上がっているようだな!!」
その一言と共にエボルトは姿を消す。
1号はそれを見て周囲を警戒する。
しかしルパンレッドは懐からマグナムに似たアイテムを取り出すと、後ろへとワープしてきたエボルトを打ち抜き、そのまま後ろへと周り、蹴り飛ばす。
「さっさと撃て、それは飾りか?」
「言われなくても!!」
そう言って1号は肩についていたキャノン砲の引き金を引くと、スペーススクワッドと同等か、あるいはそれ以上の威力がある攻撃がエボルトに当たる。
「ぐっ、なぜ俺が背後に来るのを」
「俺の大切な妹から託された力だからな。
お前のよりも強かっただけだ」
それだけ言うとルパンレッドは度々襲い掛かってくるエボルトの攻撃を避けながら、攻撃を仕掛けていき、1号のキャノンによりエボルトの装甲徐々にだが剥がされていった。
「まさかここまでとはな!
下等生物如きがぁ!!」
「一気にとどめを刺す!!」
ルパンレッドはそう叫ぶと手に持ったマグナムらしき銃をVSチェンジャーをセットし、エボルトに狙いを定める。
【アン・ドゥ・トロワ!
イタダキ・ド・ド・ド・ドストライク!】
その音声と共に、ルパンレッドの目の前にある巨大な赤い光球が集まり始まる。
1号もキャノン砲のエネルギーが注ぎ込まれ、引き金を引く。
「舐めるなよ!!」
そう言いエボルトもドライバーを回して、こちら二人に向かって蹴り上げていくが、攻撃は1号とルパンレッドの方が早かった。
「結末はもう見たんだよ」
「なっ」
ルパンレッドはそう言い終わるのと同時にエボルトは光球によって打ち抜かれ、宙へと飛んだ。
「この俺がまた滅びるだと!!
人間共があぁぁ!!」
エボルトは最後の叫び声と共に完全消滅する。
「なんとか勝てたのか…」
そう言って1号は危機を脱せたのか地面に座り込むが、ルパンレッドはすぐさまその場から離れようとする。
「怪盗」
「それじゃあな、今度はそいつを返させてもらうからな」
そう言い、ルパンレッドは空を飛び、どこかへと消えてしまった。
「おい待て…、くそっ!
あいつに借りが出来ちまったじゃねぇか…!」
1号はルパンレッドが向かった空へと手を伸ばそうとするが、見失ってしまい、悔しそうに地面に横たわる。
そして、1号はルパンレッドに渡された戦車型のトリガーマシンを見つめる。
「…それにしても、怪盗のもそうだが、このトリガーマシンもとんでもねぇ。
俺に使いこなせるのかよ…」
少し不安げに1号はそうつぶやく。
「とにかく、エボルトを倒せたんだ…。
これで、これ以上の街の被害はない。
任務完了だな…」
「バン隊長!」
「隊長!」
1号は声が聞こえたので起き上がり振り返ると、傷を直したのか、ある程度無傷の状態で変身解除したかことアストルフォが走ってきた。
「お前ら、無事だったんだな…」
「大丈夫ですか?」
「何とかな…」
1号は変身解除して、足を震わせながらゆっくりと立ち上がる。
「隊長、肩を貸そうか?」
「あぁ、頼むぜ」
「では、私が移動しながら回復させますね」
そう言って、アストルフォはバンの肩を持ち、かこはバンの背中に向けて手を翳す。
そうして三人は達人と桜がいる本部へと足を進めた。