転生者を更正する警察集団   作:ガンダムラザーニャ

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悪夢の悪魔

金丈コーポレーションは倒産し、ギャングラーの幹部は一人だけだと分かって数日後。

 

桜と達人は完治し、金丈もいなくなったことで狙われる心配もなくなったので、明日には妻が待っている家に帰ることになった。

 

その夜のことだった。

 

バンたちは霞に病室に来るように言われて向かうと、ベッドで寝ていた桜と達人がうなり声をあげていた。

 

「くっ、ふうぅぅ…!」

 

「ぐっ、あがっ…!」

 

「おい霞、これはどういうことだ!?」

 

「…転生者よ。

今のところ健康状態に異常は見られないけど、この二人から、転生者の反応が見られるのよ」

 

霞は難しい顔をして、二人を見ながらバンたちに話した。

 

「でも霞さん、桜さんはもう転生者ではありませんし、達人さんも違うんですよね?」

 

「えぇ、そうね…。

だから、可能性があるとしたら…」

 

「…何者かが、夢の中に干渉してるってことだよね?」

 

「そうなるわね」

 

アストルフォの言葉に霞やバンたちは難しい顔になる。

 

「でも、それならどうやって戦えば…!」

 

かこの言いたいこともわかる。

 

今まで戦ってきた転生者は現実世界に存在し物理攻撃を仕掛けてきた。

 

だが、今回は夢の中。

 

一刻を争う事態だが、どのように戦えばいいのか、まるで見当がつかなかった。

 

バンたちがそう考えてる間に、アストルフォは懐から本を出して、何かしていた。

 

「…アストルフォ?」

 

「…隊長、かこ、霞。

ここはボクが行くよ、だから君たちは転生者が出たら、それに対処して」

 

「…アストルフォちゃんは、それで良いの?」

 

「うん、多分この転生者の特典はボクの特典と相性が良いし、それに…」

 

そう言ってアストルフォは病室の窓から夜空を見る。

 

「わかった。

けど、本格的にやばくなったらお前ら三人とも叩き起こすからな」

 

「うん、わかった。

じゃあ、ボクはそろそろ寝るね…」

 

「あまり無茶するんじゃないわよ」

 

アストルフォは病室のベッドで横になり、手に持っていた本を抱えて眠りに着いた。

 

 

 

「…ここは」

 

眠りについてしばらくすると、アストルフォは目を開ける。

 

そこは先ほどまでの病室ではなく、薄汚い廃墟や街だった。

 

「…」

 

アストルフォは周囲を警戒しながら手持ちを確認すると、VSチェンジャーとトリガーマシン、馬上槍などがあった。

 

とりあえず、手持ちは夢の中に持ち込めるのかとアストルフォは思うが、その時に悲鳴が聞こえ、物が散乱する音が聞こえた。

 

「…!

あそこかな!

警察チェンジ!」

 

『3号!

パトライズ!

警察チェンジ!

パトレンジャー!!』

 

アストルフォは3号に変身し、音のした方向へと走っていった。

 

 

 

 

 

 

「はぁはぁ…!

桜、こっちだ!」

 

「はぁはぁ、くぅ!」

 

達人と桜は必死で走っていた。

 

つい先ほどまで二人は寝ていたはずなのに、目を開けると別の場所へと飛ばされていたのだ。

 

しかも、いきなり鉤爪を着けた男が現れて殺しにかかってきたのだ。

 

達人は桜を守るために抵抗したが、レンガで殴ろうが木材で叩こうが男には何の意味もなかった。

 

それ故に、桜を連れて逃げていたが行く先でも現れては攻撃しようとした。

 

挙げ句の果てには、廃墟の中にあった電話を使おうにも使えず、むしろ受話器に耳に当てた途端、人間の口に変わって、顔を舐め回されるハメにあった。

 

それでも諦めずに達人は桜を連れて街を走っていたが、限界が近づいていた。

 

「はぁはぁ…!」

 

「う、うぅ…!」

 

二人は別の廃墟に入り込み、誰も入ってこないかを確認していた。

 

しばらく外を見ると、しばらくは大丈夫かと安堵する。

 

だが、それも一瞬だった。

 

目の前に、入ったときにはなかったはずのマネキンがあって、それが達人の首を掴んだ。

 

「お父さんっ!!!」

 

「うっ、がぁ…!!」

 

達人の呻き声を、桜の悲鳴を聞いてなのか、マネキンは笑っていた。

 

その直後にマネキンの姿が変わった。

 

先ほどまで追ってきた、鉤爪を着けた男の姿に。

 

「おいおい、鬼ごっこはもうおしまいか?」

 

「うぐ…!」

 

達人は首を絞められて声が出せない。

 

「お父さんを放してっ!」

 

「邪魔だガキ」

 

「きゃっ!!」

 

「桜ぁっ!!!

がぁあ…!」

 

達人から男を引き剥がそうと桜は男の腕をつかむが、男に殴り飛ばされてしまう。

 

そして男は達人を持ち上げて絞め殺そうとする。

 

「じゃあ、そろそろ死ね!」

 

「動くな!!」

 

達人が殺されそうになったときに、3号がVSチェンジャーを構えて入ってきた。

 

「…お前、パトレンジャーだな?」

 

「あぁ、そうだよ。

今すぐその人を放せ!」

 

「ハッ、ちょうど良いぜ!

…お前らを殺すのは後にしてやるよ!」

 

そう言って男は達人を放り投げて、笑いながらそう言って、3号に体を向け鉤爪を構える。

 

「…」

 

「…」

 

二人はそれぞれの武器を構えながら間合いを図るように足を進める。

 

そして3号が撃つと同時に、男は避けながら走り出した。

 

「うぅ、やっぱり当たらないか…!

なら…!」

 

接近してくる男に、3号はパトメガボーを取り出して応戦する。

 

男は大振りに鉤爪を振るい、3号を切り裂こうとするが、3号はそれを防御し、攻撃しようとするが避けられ、距離を置かれる。

 

「だったら…!

トラップオブアルガリア!!」

 

3号は馬上槍で勢いよく突進するが蹴られてしまい、壁が吹き飛んでそのまま外に出る。

 

「くぅう…!

やっぱり、その特典はフレディクルーガーの力が入ってるんだね」

 

「流石にここまでやればわかっちまうか。

まぁそういうところだな。

ちなみに俺を怖がらなくても別にこの世界での俺が無敵になるように変えてあるし、夢で受けた傷は現実でも反映されるけどな?」

 

男、フレディは鉤爪を舐めながら言う。

 

「…君はなんでこんなことを!」

 

「理由か?

それはな…」

 

フレディは惚けたような様子で目を泳がすと、鉤爪を鳴らす。

 

「別に誰でも良かったんだよ、ぶっ殺すにしてもな」

 

「っ!?」

 

「俺はギャングラーの暗殺部隊に所属していてな。

お前ら警察と怪盗が幹部を一人を残して倒してくれた後、幹部の座が余っちまってな。

それで、俺たちがその座をもらおうとしてるのさ」

 

「ギャングラー!?

まさか、幹部になるために、こんなことを…!」

 

「そうだ。

ま、正直誰でも良かったがな。

でも、お前が来てくれて嬉しいぜパトレンジャー?」

 

フレディは3号を睨み付けながら笑って舌舐めずりする。

 

3号はそれを見て気味悪くなった。

 

「お前ら警察は金丈を倒したことがあるからな。

お前らを皆殺しすれぱ、俺の幹部へののしあがりも最短ルートってわけさ!」

 

「…」

 

「まぁ、さっき誰でも良いって言ったが、お前がパトレンジャーだってわかって良かったぜ!

一々手間隙かけて殺すこともねぇからな!」

 

「じゃあ、ボクが死ねば、あの二人には手を出さないんだよね?」

 

「あぁそうだ…。

約束してやるよ。

お前だって、今の攻撃とかこの世界における俺の優位性も理解してるだろ?」

 

「…」

 

フレディは怪しい笑みを浮かべて言い、3号は冷めた眼差しでそれを聞いて、VSチェンジャーを見つめた。

 

「…そうだね。

確かにボクじゃ、君には勝てないね」

 

3号はVSチェンジャーからトリガーマシンを外して地面に捨てる。

 

それと同時に変身も解除される。

 

「来なよ。

それで君が幹部になれるならやってみなよ」

 

そう言ってアストルフォは手を広げる。

 

まるで、今から来る攻撃を受け入れるように。

それを見てフレディは三日月のような笑みを浮かべて鉤爪を構える。

 

「死ねぇ!!」

 

そう言ってフレディの鉤爪はアストルフォの胸を貫いた。

 

「ぐふっ!!」

 

「アストルフォさん!!」

 

アストルフォは体を貫かれた痛みに顔が苦痛に歪み、貫かれたせいで内臓にダメージが入ったのか、血を吐いた。

 

「ははっ!

このまま心臓を抉り取って…」

 

「…さて、ここまでやれば、発動できるかな?」

 

「…は?」

 

アストルフォが突然言い出した言葉の意味が分からず、フレディは呆けてしまう。

 

その間にアストルフォは、自身の胸を貫いたフレディの腕を掴んだ。

 

「こいつ、気でも狂ってんのか!?」

 

「ううん、違うさ。

これで良い、これで良かったんだ(・・・・・・・・・)

 

「何?

…!?」

 

フレディは貫いたアストルフォの胸の傷口が光りだしているのを見た。

 

「…ボクはさ、毎日月の満ち欠けを見るようにしてるんだ。

ちょうど今のようなことが起こることも考えてね。

確か、今日は新月だったかな…?」

 

「…お前、まさか!?」

 

「あぁ、その通りさ。

君がボクを傷付けてくれたおかげで、やっと反応してくれたんだ…!」

 

アストルフォの傷口から出た光は徐々に強くなり、光の奥から紙切れが飛び出した。

 

「キャッサー・デ・ロジェスティラ!!」

 

アストルフォの言葉に反応するように紙切れは一気に飛び出し舞い上がる。

 

すると、紙切れは廃墟の建物どころか風景すらも飲み込み、溶かしていく。

 

そんな中で、達人は桜の体を抱き寄せてその光景を見て思った。

 

「この紙、俺たちに危害を加えてない…?」

 

「まさか、俺をこの悪夢ごと消すつもりか…!」

 

「いや、消さないさ!

君を、ボクたちの夢から追い出すのさ!」

 

「ぐぅああああああ!?」

 

フレディの体が紙切れに覆われ溶けるように消えていく。

 

アストルフォを貫いていた鉤爪もへし折れて、刃先も溶ける。

 

そうして、フレディは夢の中から消え去った。

 

それを確認したアストルフォは胸を押さえて、血を吐いていた。

 

「…ぐふ!

ちょっと無茶したかな?」

 

「アストルフォさん!

なんでこんな無茶を…!」

 

達人が桜を引き連れてアストルフォに駆け寄る。

 

それを見てアストルフォは笑顔を浮かべる。

 

「…ボクとしては、無茶のはずじゃなかったけど、中々作動しなかったんですよ」

 

「でもだからってこんな…!」

 

桜は涙目でアストルフォに問いかけようとする。

 

それを見てアストルフォは宥めるように言った。

 

「桜ちゃん、ボクは死ぬために来たんじゃないんだ。

君たちを助けたかったから、ここに来たんだよ。

うん?

どうやら、この夢も終わりのようだね」

 

アストルフォは自身が光に変わるのを感じた。

 

それは達人も桜も同じだった。

 

「…大丈夫ですよ。

これは死ぬんじゃなくて、起きるだけなんですから。

さぁ、早く行きましょう!」

 

アストルフォは二人の手を強く握る。

 

それも同時に三人は光になって消えた。

 

 

「がはっ!!」

 

アストルフォの特典により夢の世界から追い出されたフレディは血塗れになって、アストルフォの体から出現した。

 

「こ、ここは、どこかの病室の前の通路か…!

…ハッ!?」

 

そこは病室前の通路にいることを確認したフレディは今すぐにアストルフォを殺そうと考えるが、そこには予め変身していた1号と2号と霞がいた。

 

その手には、トリガーマシンバイカーと、激しく光が灯った杖と魚雷が握られていた。

 

「どうやらアストルフォの奴、うまくいったみたいだな」

 

「バン、かこ、三人が目覚めるまでにさっさとやるわよ!」

 

「了解です!」

 

「がぁぁぁあああああ!!!??」

 

その夜、病室前の通路に強い光と衝撃が走り、後にフレディは更正された。

 

しばらくして目を覚ました達人と桜はフレディの攻撃で負った怪我は軽く、かこの特典ですぐに治った。

 

しかし、アストルフォの傷は、いくら特典の本を作動させるためだったとはいえ、深かったため、かこの特典で治すのに時間が掛かった。

 

その途中でバンたちはアストルフォから話を聞いてフレディの言っていたギャングラーの暗殺部隊の存在を知ることとなった。

 

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