今回は時期的にもう過ぎてる感じですが、正月の番外編です。
どうぞ、お楽しみください。
正月、新しい年を迎えた時期にバンたちパトレンジャーは転生者による被害の通報を受けたので現場に向かっていた。
内容は水源の湖が原因不明の悪臭を放っていることによる水不足だった。
それにより近隣の街では水が強烈な臭いで使えず、特に温泉地は絶望的な経営破綻になっていた。
「まさか新年早々にえげつないことをする転生者がいるとはな…」
「…はい、おかげで街のあちこちで悲鳴が上がってますよ」
「ねぇこれで更生してもボクらの体が臭くなったらどうしよう…?」
「アストルフォちゃん早まらないで!
まだ戦っていないから何とも言えないけど、絶対にそうなるとは限らないから!
希望を捨てないで!」
アストルフォに至っては目が死んでいた。
アストルフォはいつも女装していて、パトレンジャーの制服も女性用にしているが、かこ以上におしゃれに拘っていて、匂いでも気を遣っているからだ。
だから、戦いの後で自分たちの体にその時の臭いが染み込んでいたら間違いなく発狂するだろう。
そんなアストルフォが見ていられなかったのか、バンはアストルフォの肩に手を置く。
「心配するなよアストルフォ。
もしそうなったら俺が必死で服とか洗ってやるから」
「うん、二人ともありがとう…。
あれ、おかしいな、悲しくもないのに涙が…」
「よしよし、やっぱり辛いよねアストルフォちゃん」
二人に慰められてたアストルフォは涙を流し、かこは背伸びして頭をなでる。
いくら転生者を更生するためとはいえ、これほど行きたくないと思ったことはないのだろう。
だが、そんなことをしている間に目的地に着いてしまったのだ、目的の水源の湖に。
「うっ、何なんだよこの臭いは!?」
「臭すぎて、息ができません…っ!」
「うっ、うえっ、ボク、これ以上近づきたくないよぉ…!」
三人は現場に着くやいなや、あまりの異常な臭さに鼻を押さえる。
「おいおい、誰の許可でここに入ってきてんだてめぇら」
「…!」
バンたちは声の聞こえた方向に振り返ると派手な柄のスーツとサングラスが特徴のガラの悪い男が立っていた。
しかも、この男から転生者の反応があったのだ。
「てめぇ、まさかだと思うが、この湖を臭くしたやつか?」
「あぁ、そうだとも。
この近くの街もろとも使い物にならなくなったら、俺が全部立ち退かせるためにな!」
「立ち、退かせる…?」
男の声に鼻を押さえながらアストルフォは反応する。
「あぁ、この湖はとても澄んでいていてよぉ。
温泉でも効能が期待されてるし、飲料水にしたらうめぇときた。
これを水源にしているこの街の連中を見ていると、閃いちまっただよな…。
こいつらから湖を奪ってこの街を乗っ取ったらどんだけ晴れ晴れとした気分になれんのかってな!」
「そんな…!
まさか街の皆の水を独占するためにこんなことを!」
「そうだって言ってるだろうがよ!
この湖はこのオリ主な俺にこそふさわしいんだよ、ほかの奴らが使おうなんざ勿体ないだろう?」
「「「…」」」
それを聞いた三人の頭の中の何かが切れる音がした。
不思議と湖から発せられる臭いにおいにも耐えれるようになったのか、鼻を押さえるのをやめて、代わりにvsチェンジャーとトリガーマシンが三人の手に握られていた。
「…ほぅ、オリ主、だっけか?
まぁいいんじゃあねぇの、そんなの。
俺的には別にてめぇみたいなくそ野郎がどんなジャンルの主人公になろうが知ったことじゃねえし、仮に本とかドラマになってたとしても、読みたくも見たくもねぇがな」
「もし、あなたのような人が主人公を務めるような本があったら、私は絶対に読みたくはないですけどね」
「そもそも、君のような人、一体だれが認めてくれるっていうのかな、かな?」
三人の声はどこどなく冷めたものであり、それと同時に激しい怒気を含んでいた。
そして、三人は頭の中で同時に思った。
目の前にいるゲス野郎からこの湖と街を守らなければならない。
一刻も早く、このオリ主を名乗る身勝手な転生者を倒さなければならない。
そう考えただけで、臭いが体に染み着くとかそんな事はどうでも良いと思ったのだ。
『警察チェンジ!!』
『1号 2号 3号!
パトライズ!
警察チェンジ!
パトレンジャー!!』
「パトレン1号!」
「パトレン2号!」
「パトレン3号!」
『警察戦隊 パトレンジャー!!』
「ここから先は、実力を行使するぜ!」
「おっ?
やるのかよこのモブ野郎共。
いいぜ、そっちがその気ならお前らを踏み潰してやるぜ!」
その言葉とともに湖の風景が歪み、そこから一体の怪獣が出現した。
それはタツノオトシゴのような顔をした怪獣だった。
「こいつは、マガジャッパ!?」
「驚いたか?
普段は姿を消すだけで湖に置いてはいたが、俺がこいつの中に入り込むことで…」
男の体は光りだして、そのままマガジャッパの体の中に取り込まれるように消えていった。
すると、マガジャッパの目は光りだして雄たけびを上げた。
『俺の意のままに操ることができるのさ!
ぎゃはははははは!!!
本来はもう少し先でもまだ立ち退きしない連中がいたらやろうと思ってた強行突破だったが仕方ねぇ。
てめぇらサツのようなモブ野郎どももろとも、ぶっ潰してやるよ!』
歩みを進めるマガジャッパ。
それを見て1号たちはうろたえる。
「ちっ!
こいつ、いきなりでけぇので戦いに来るのかよ!」
『グッドストライカー、ぶらっと参上!
今日は少し荒れ気味な警察に力を貸すぜ!
というか今回の転生者展開早くないか?』
「知らねぇよ、そんな展開なんか!
それよりも、こっちも行くぜ!!」
『グッドストライカー!
位置について ヨーイ!
走れ 走れ 走れ!
出動!
一・撃・必・殺!!』
『1号 2号 3号!』
『位置について ヨーイ!
走れ 走れ 走れ!
出動!』
『轟・音・爆・走!!』
『百・発・百・中!!』
『乱・撃・乱・打!!』
『警察ガッタイム!
正義をつかみ取ろうぜ!』
『完成 パトカイザー!!』
合体を終えたパトカイザーはマガジャッパの前に立つ。
『はっ、何だよそのちんけなロボットは!
そんなもんでこのオリ主な俺様を止めれるかよ!』
「そんなもんやってみねぇとわかんねぇし、てめぇを倒さなくちゃ水海の臭いも消えねぇって話だ!!」
そう言ってパトカイザーを前に進ませて右腕の警棒で殴りにかかる。
だが、マガジャッパは避けることなく殴られるが、びくともしないほどの硬さだった。
「な、なんなのこいつ!
めちゃくちゃ硬いよ!?
あとすごく臭いよ!」
『なんてちんけな攻撃なんだよ!
これでも喰らいなモブどもが!』
そういうと同時にマガジャッパの鼻先から黄色の液体が噴射され、パトカイザーの頭部に直撃する。
「ぐっほえ、マジ臭ぇ!!
離れろこの野郎!」
パトカイザーはマガジャッパの顔面に蹴りを入れて距離を取る。
しかし、パトカイザーのコクピットにいる1号たちはマガジャッパの攻撃に吐き気を催していた。
「うぅ、うぷっ!
ごめん、もう、耐えれそうに…!」
「待てって、もう少し我慢しようぜ!
くそ、あの野郎…!」
「はぁはぁ…!
バン隊長、ミキサーとバイカーを使いませんか?」
あまりの臭さに息苦しくなっていた2号は1号に提案する。
「あの二つを…?
わかったぜ、行くぞ!」
『ミキサー バイカー!』
『位置について ヨーイ!
走れ 走れ 走れ!
出動!』
『瞬・間・硬・直!!』
『縦・横・無・尽!!』
『左右 変わります!』
パトカイザーは両腕のトリガーマシンを換装する。
「アストルフォ、悪いがもう少し耐えてもらうぜ…!」
「うん、わかったよぉ…!」
3号はマスクの下で泣きながら改めてレバーを握りなおす。
「よし、行くぜ!!」
「「了解!!」」
1号たちの言葉と同時にパトカイザーは動く。
マガジャッパは再び鼻先から黄色の液体を噴射するが、パトカイザーはそれを横へ飛ぶように躱して右腕のミキサーを構える。
「もうその臭いはこりごりなんだよ!
いい加減にしてっ!!」
3号の怒りを乗せるかのように、ミキサーからセメント弾が発射され鼻先に直撃する。
それにより、マガジャッパの鼻先が固まり、液体を噴射できなくした。
『や、野郎…!
やりやがったな!
だが、まだこれがあるんだぜ!』
マガジャッパはあきらめないと言わんばかりに両手を広げて渦を作りパトカイザーを引き寄せる。
「くっ、このままじゃあ…!」
「すごい力で引き寄せてやがる…!
お前ら、力入れてあいつを殴り飛ばすぞ!」
「えぇ!?
あんな臭いやつのところに行くのかい!?」
「あぁ、だがアストルフォ!
お前は近づいたらミキサーであいつの動きを固めろ!
そしてかこは至近距離からバイカーで殴れ!」
「りょ、了解!」
「了解!」
1号たちはパトカイザーをマガジャッパの前に移動させる。
引き寄せる力が強いからか、移動速度も速い。
互いの距離が数メートルになる。
「今だ、やれ!!」
「てりゃぁ!!」
1号の合図と同時にミキサーからマシンガンのようにセメント弾を発射し、マガジャッパの体を固める。
『な、なにぃ!?』
「はぁっ!!」
セメントで固められたマガジャッパは困惑するが、顔面にめがけてのバイカーの回転する車輪による殴打を喰らった。
『ぐほっ!?』
その強烈な攻撃に顔は変形するように歪み、殴り飛ばされて倒れこむ。
『クレーン!
位置について ヨーイ!
走れ 走れ 走れ!
出動!
伸・縮・自・在!!』
『右腕 変わります!』
それと同時にパトカイザーは右腕をクレーンに変える。
「これでとどめだ!」
1号の言葉と同時に三人はレバーとして使っていたvsチェンジャーを引き抜き、狙いを定める。
『く、くそぉ!
こんなところでこのオリ主な俺がやられてたまるか!!』
マガジャッパは最後の手段のとして透明化し、周囲に同化して逃げようとする。
だが、いくら見えなくなっても足元は湖のため、そして体がセメントで固められてるために、じたばたと足元の水を蹴飛ばしてるために位置がばれてしまっていた。
『喰らえ!
パトカイザー リフトアップストライク!!』
パトカイザーのクレーンはマガジャッパを捕らえ、上空に吊り上げると、ワイヤーでヨーヨーのように射出したバ
イカーの車輪で勢いよく連続で殴打していく。
『そ、そんな…!
せっかく、この街を乗っ取るためにマガジャッパを湖に沈めたのに、街の住民どもを立ち退かしてこの湖を独占しようとここまで来たのにぃぃぃぃ!!!
ああああああああああぁああああぁあああああ!!!!!!』
硬い鱗で守られているマガジャッパの体は回転と遠心力による連続攻撃に耐えきれず上空で爆散する。
「…任務完了!」
そして1号たちは、気絶した男を発見し、更生することに成功した。
マガジャッパの特典を持っていた男を更生したことにより、バンたちとトリガーマシンとグッドストライカーに染み付いた臭いがまるで最初からなかったように消え、そして異臭を放っていた湖も元通りになり、街では再び温泉が復活した。
そして翌日。
交番ではなのはたち機動六課のメンバーが来ての新年会が開かれていたのだ。
「…というのが、昨日の俺たちの戦いだったんだよ」
「け、結構悲惨な戦いでしたね」
バンから昨日のマガジャッパの件を聞いたなのはは引くつきながらうなづいた。
「それに、昨日の反動からか、アストルフォがテンション高くなってよぉ。
あれを見てくれよ」
バンはなのはにそう言うとアストルフォの方に向く。
「ねぇねぇ!
やっぱりこのままキャロにアタックしなよ!」
「ちょ、アストルフォさん!?
僕とキャロはそんな関係じゃ…」
「本当はキャロのこと、好きなくせに!
このこのー!」
「っ!」
「ねぇ、アストルフォさんにエリオ君。
さっきから二人で何の話をしてるの?」
「な、何でもないから!
キャロは早く自分の分のおせち取ってきなよ!」
「はーい!」
そこにはにやけながらぐいぐいとエリオをからかうアストルフォがいた。
エリオは顔が真っ赤になって下を向き、キャロはそんな二人にきょとんとしながらもおせちを取りに行くという感じだった。
「バン隊長!
大変です!」
「…?
どうしたんだよかこ」
そんな中、かこが慌ててバンのもとへと駆け寄ってきた。
「バン隊長やなのはさんたちが準備してくれたおせち料理が、スバルさんがおいしいからとほとんど食べてしまってます!」
かこの言葉にスバルの方へと目を向けるバンとなのは。
その先では、おせちの重箱がほぼ空になり、それをおいしそうに完食したとティッシュで口元を拭くスバルの姿があった。
その隣ではまたやったのかと頭に手を置くティアナに皿を持ったまま涙目になっているキャロの姿があった。
そしてスバルはバンたちの視線に気づいたのか、ものすごく気まずそうに冷や汗をかき、目をそらした。
「何やってんだスバルうぅぅぅぅぅぅっっっっ!!!!!!」
「ねぇスバル、少し私たちと一緒に、お話しようか…?」
「ごめんなさあああああああああいいいいいいい!!!!!!」
激しく怒るバンに、どこか冷たくそして悲しげな目で言うなのはに、スバルは泣きそうになりながらも謝りながら追いかけられたのだった。