転生者を更正する警察集団   作:ガンダムラザーニャ

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鏡の蟹

アストルフォがエリスの元で事情聴取されている間、亀山は車に達人と桜を乗せて、達人たちの自宅に向かっていた。

 

護衛として、バンとかこを同伴させて。

 

三人は車で移動しながら周囲を警戒していたが、特に転生者に襲われるようなことはなく、無事に家にたどり着いた。

 

「何とか無事着きましたねバン隊長」

 

「…あぁ、だがまだ油断はできねぇぞ。

ちゃんと探知機とか周囲に意識を集中しようぜ」

 

それにはかこは無言で頷く。

 

バンの言うことはもっともだ。

 

相手はギャングラーの暗殺部隊、しかもそのメンバーの一人が昨夜に達人たちの夢の中に入って襲ってきたのだから。

 

それ故に、油断も隙も無い。

 

下手すれば、懐に近づかれて攻撃されるかもしれないから。

 

そんなことを考えている間に、亀山は二人を連れて車の外に出て、バンとかこもそれについていく。

 

「…っ!?」

 

その瞬間、家の中から転生者の反応がいきなり出てきたのだ。

 

「…えっと、奥さんって転生者ってわけじゃないんですよね?」

 

「はい、家内は俺と、そして今の桜と同じ普通の人間です」

 

「…まさか。

二人は彼らと一緒に居てくれ!

俺は中に入って確認してくるから!」

 

亀山はバンとかこに二人の護衛に着くように伝えて、チャイムを鳴らして出ないことを確認し、達人から借りた鍵で家の中に入る。

 

「家甲碧依さん?

いらっしゃいますか?」

 

亀山は玄関から居間に向けて歩きながら達人の妻の名前を、桜の母親の名前を呼ぶ。

 

だが、返事もなく静かだった。

 

いや、予め二人を送りに行くと言っていたので、いないことはまずありえない。

 

しかし、転生者の反応がある上にこの静けさ。

 

「…探知機の誤作動であってくれよな」

 

嫌な予感が的中しないように呟き、ドアを開けて居間に入る。

 

「…。

っ!?」

 

どこも荒らされた形跡はない、隅々まで整理整頓が行き届いているようだった。

 

床の血痕を除いて(・・・・・・・)は。

 

「この血の跡は!?

…!」

 

血痕の乾き具合からすると、ついさっきここで何かがあったのかと、亀山は勘を働かせる。

 

その時に、居間から奇妙な音が聞こえてきたのだ。

 

「っ!?」

 

思わず亀山は振り向くと鏡があって、黒いコートを着た男と血を流して倒れている一人の女性が映っていた。

 

「嘘だろ、こんな近くにっ!?」

 

反射的に鏡とは反対方向を向く亀山だが、そこには誰もいない。

 

もう一度振り向くと鏡に映っている男は不敵な笑みを浮かべて近づいてくる。

 

「まさか、鏡の中から!

バンくん、かこちゃん…!」

 

亀山はXチェンジャーを取り出し、バンとかこを呼ぼうとするが直前に鏡から発せられた光に呑まれてしまう。

 

 

 

 

 

「こ、ここは…」

 

亀山は周囲を見渡すと居間にいた。

 

しかし、奇妙なことに部屋全体が左右で逆になっているのだ。

 

「ここは鏡の世界なのか!」

 

「おや、ここに連れてこられてすぐにここが鏡の世界だと気づくとは意外でしたね」

 

「…!」

 

後ろを振り返るとそこには先ほどの男が立っていた。

 

しかも鏡の中に入ったことで、目の前にいるこの男が転生者だということがはっきりと分かったのだ。

 

「お前が、この鏡の中を作ったのか!」

 

「まぁそうなりますね。

…しかし驚きましたよ、その銃はまさか、警察か怪盗ってことですよねあなたは」

 

「…!

じゃあ聞くが、その人は何だ、何でこの世界に閉じ込められていて、彼女は何で血を流してるんだ!」

 

「あぁ彼女は私のモンスターの餌ですよ。

こいつは人間を食らえば喰らうほどに強くなるんですからね」

 

男がそう言って懐からカニの紋章の入ったデッキだった。

 

「お前、仮面ライダーシザースの転生者、なのか?」

 

「その通りですが、もしそうだとしたら私もあなたも、そして彼女もここに入って数秒で死んでますよ?」

 

「何だって…?」

 

男に言われてハッとする。

 

確かに男が仮面ライダーシザースなら、ここはミラーワールドであるはずなのだ。

 

しかしミラーワールドは生身の人間が入れば数秒で消滅してしまうのになぜ自分たちは生きてるのか?

 

なぜ男は生身でも平気でいられるのか。

 

そう考えただけで亀山はある考えに至った。

 

「まさか、ここはミラーワールドじゃない?」

 

「そういうことですよ。

より正確には、疑似的なミラーワールド、というところですが。

しかしあなたにはそれ以上何も言う気はありませんよ、何故ならあなたも彼女もここで死ぬんですから」

 

男はそう言って蟹のマークが入ったデッキを取り出し鏡に翳す。

 

亀山も戦闘態勢に入ってXチェンジャーを構えて回転させる。

 

「変身!!」

 

「警察チェンジ!!」

 

『エックスナインズ!

警察エックスチェンジ!

パトレンX!!』

 

亀山はパトレンXに、男は鏡に翳したと同時に出現したベルトにデッキを差し込み仮面ライダーシザースに変身した。

 

シザースが肉薄するように左手のハサミを構えて攻撃しようとする。

 

それをパトレンXはXロッドソードで絡み動きを封じる。

 

「甘いですよ」

 

「うおっ!?」

 

シザースはパトレンXの膝裏に蹴りを入れて体制を崩させ、腕でパトレンXの首を挟み締め上げる。

 

「ぐっ、お前、この動きは普通の人間じゃあないな!」

 

「ほぉ、私の動きを見てそんな的を得たことを言うとは、あなたも警察の端くれですね」

 

「当たり前だ、この相手を無力化するこの作法は、仮に転生者の特典によるものでもここまでにはならないからな!

だったら簡単だ、お前は生前警察かその関係者だったってことが割り出せるってものなんだ、よ!」

 

「うっ!?」

 

パトレンXはシザースの腰に強い肘打ちを与え、怯んだ隙に脱出する。

 

「警察だったなら、なんでこんなことしたんだ、お前は」

 

「…なぜ、ですって?」

 

シザースは腰元を押さえながらパトレンXを睨み、笑みを浮かべる。

 

「私は生前と同じようにライダーとしての頂点を極めるためですよ!

…かつてはあなたの言う通り、私も警察でした。

しかし、そこで正義とはどんなにくだらないものなのか、それを知って横流しとかもやってきたんですよ。

まぁ、あなたがたは転生者の情報を知っているのならこの後のことを知ってるはずですけどね」

 

「けどだからって、今もこんなことして良い理由にはならないだろ!」

 

確かにパトレンXは転生者の情報を調べていたので、仮面ライダーシザースはどんな奴だったのかは知ってる。

 

それが変身者本人ならなおさら。

 

彼がのちに行方不明事件や殺人事件に足がつき、同僚を殺した後でライダーバトルでデッキを破壊されて契約していたモンスターに捕食されて殺された。

 

そんな彼が転生してまでこんなことをしている理由がわからない。

 

「…私はあなたたちのような下らない警察とは違って、ライダーとしての頂点に加えて、ギャングラーの幹部の座に上り詰めて極めるために戦ってるんですよ。

いつまでもコソコソと暗殺に甘んじるよりも、こっちの方がやりがいがあるってものです!」

 

『ストライクベント』

 

シザースはカードを左腕のハサミのバイザーに読み込ませて巨大なハサミを右腕に装着する。

 

「…そうかよ。

お前は元警察だってのは知ってたけど、ここまでのゲスとはな。

だったら、俺がここでぶっ倒してやるぜ!」

 

パトレンXはXチェンジャーとXロッドソードを構えて、走り出す。

 

「おらぁ!」

 

「ふっ!」

 

互いに武器をぶつけ合っては弾き返し、そして互いの警察官として得ている体術を駆使する。

 

そんな中、シザースは何かを感じて鏡を見ると、その向こうではパトレンXの声を聴いて駆けつけたバンとかこがいた。

 

「バンくん、かこちゃん!」

 

「随分と速い救援ですね。

ですが、鏡の中では私の許可なくして入ることはできない!

来い、ボルキャンサー!」

 

『アドベント』

 

シザースは蟹型モンスター、ボルキャンサーを自分の近くに召喚し死角からパトレンXを攻撃する。

 

「がっ!!」

 

「ふふっ、これで距離を放せましたね。

マン・イン・ザ・ミラー、ボルキャンサーだけ外に出ることを許可しろ!」

 

シザースが叫ぶと背後から黒いマントにゴーグルをつけた怪人が出現し、ボルキャンサーを鏡の外に出させる。

 

「マン・イン・ザ・ミラー!?

鏡のスタンドの特典ってやつかよ!

まさか、この世界も、そいつで作ったのか!」

 

「えぇそうですよ。

この世界にはミラーワールドはないみたいでしたので、作らせてもらったんですよ。

物を動かせない代わりにこの世界に閉じ込めることも可能ですが、出入りには一々こいつに許可しないとできないのが難点ですが」

 

つまりはここは自分にとって有利な牢屋であると告げるシザース、そしてそのまま倒れている女性に巨大なハサミを向ける。

 

「おい待て!

その人に何をする気だ!」

 

「おっと、近づいてはいけませんよ。

近づいたら、彼女の命はありません。

…そうですね、武器を捨てて膝をついてください」

 

「くっ!」

 

少しでも武器を動かしたら、シザースのハサミは女性の首元に食い込み、血が流れる。

 

それを見てパトレンXは武器を捨てて膝をついた。

 

その瞬間、シザースは女性から離れたと思ったら一瞬で距離を詰めてパトレンXの顔面を蹴り飛ばす。

 

「ぐっふぅ!?」

 

「ははは、そうですよ。

そのまま私に痛め付けられれば良いんですよあなたは!」

 

シザースは動けないパトレンXを両腕の大小のハサミで突き刺し、殴り、頭を踏みつける。

 

それでもパトレンXの目に、諦めはなかった。

 

それは、勝機を待っているかのような目だった。

 

 

 

 

 

 

 

一方バンたちは、家の中で亀山の声が聞こえたので、桜と達人を外の車の中に避難させてから中に入って、その先で、鏡の中から出てきたボルキャンサーと遭遇し、戦っていた。

 

だが、ボルキャンサーが有利に立っていた。

 

というのも、場所が室内であったために、ましてやここは桜たちの家でもあるため下手に荒らすことに抵抗があったのだ。

 

しかも、ボルキャンサーは1号たちが手出しできないことを良いことに周りの家具を荒らしながら攻撃してくる。

 

「くそっ、あの野郎…!

こっちが手出せないからって良い気になりやがって…!?」

 

物陰に隠れながら1号は攻撃の最中に落ちてきた物を拾った。

 

それは、桜たちの家族写真だったのだ。

 

それを見て、このままだと桜たちの家がめちゃくちゃになってしまうのではと、1号はハッとなって思ったのだ。

 

そして1号は隣で様子を窺っていた2号に声をかける。

 

「…かこ、俺が時間を稼ぐから、お前はこの居間の窓を開けてくれ」

 

「…!

了解です!」

 

そう言った途端、1号は物陰から出てボルキャンサーを突っ込んだ。

 

「うおりゃあああ!!

てめぇが、これ以上、あの子とあの子の家族の家を、荒らしてんんじゃねぇ!!」

 

1号はボルキャンサーの両腕のハサミを取り押さえる。

 

ボルキャンサーは1号の肩を噛み付こうと口を開くが、その直後に1号が足を思い切り踏みつけてバランスを崩す。

 

「今だ、窓を開けろ!!」

 

「やぁああああああ!!!」

 

2号は物陰から出て急いで居間の大きな窓を全開にする。

 

「よし、おい蟹野郎、お散歩の時間だぜ!」

 

1号は倒れたボルキャンサーを強引に引っ張り上げて家の外に出し放り投げた。

 

「これで室内を荒らされる心配はねぇな!

こいつでぶっ飛ばすぜ!」

 

『サイレンストライカー!

グレイトパトライズ!

超警察チェンジ!

パトレンジャー!!』

 

外に出て周囲を確認した1号は怪盗から渡されたサイレンストライカーを使用し、超パトレン1号に変身する。

 

「喰らえ!」

 

1号のキャノン砲から砲弾が発射される。

 

ボルキャンサーは避けずに、背中の装甲で防ぐが、衝撃が凄まじかったのか数メートル飛んだ。

 

「ちっ、硬いな!

…?

これは!」

 

1号はバイザー越しにサイレンストライカーの情報が見て、ある機能があることを知った。

 

そんな時に、ボルキャンサーが奇声を上げて立ち上がり1号に目掛けてハサミを構えながら突進しようとする。

 

「悪いが、ここからは通行止めだ!

おらっ!」

 

ボルキャンサーに向けて手を翳すと、ボルキャンサーの体が地面にめり込み膝をついた。

 

「あれは、重力を操ってるんですか!?」

 

「あぁ、さっきこのサイレンストライカーの情報を見たらその機能が載ってたからな。

ここでケリをつけるぞ!」

 

「了解!」

 

『バイカー!

パトライズ!

警察ブースト!!』

 

1号は両肩の引き金を握ってエネルギーを溜め、2号はトリガーマシンバイカーをvsチェンジャーに装着してエネルギーを溜める。

 

「喰らえ、スーパースペリオルストライク!!」

 

「行きます、バイカー撃退砲!!」

 

二人の強烈な攻撃がボルキャンサーの装甲を貫き、跡形もなく爆散する。

 

「よし!

…そうだ、亀山さんは!」

 

「そういえば、まだ家から転生者の反応があります!

おそらく、さっきの蟹が鏡から出てきたことと関係が!」

 

「あぁ、その可能性はあるぜ!

とにかく、戻るぞ!」

 

1号はサイレンストライカーを解除した後、2号と一緒に家に戻る。

 

 

 

 

 

 

 

一方そのころ、パトレンXは。

 

「ぐっ!」

 

「私の勝ちですね。

さあ、このままその首を引きちぎって…!?」

 

シザースは巨大なハサミでパトレンXの首を掴んだまま、自身の鎧の色が消えていくのを感じた。

 

それと同時に先ほどまであった強力な力が消えてくのを感じてしまった。

 

「まさか、ボルキャンサーが、やられた…!

あの二人に!?」

 

「…どうやら、バンくんたちはうまくいったみたいだな。

なら、おれもそろそろ…!」

 

「なっ!?」

 

パトレンXはシザースを女性とは逆方向に投げ飛ばし、即座にXロッドソードを拾いレバーを動かす。

 

『一手 二手 三手 十手!

一騎当千!』

 

「マン・イン・ザ・ミラー、最後の力を振り絞ってやつの武器を取り押さえろ!!」

 

シザースはマン・イン・ザ・ミラーを召喚し、Xロッドソードの刃先を握って抑える。

 

「や、やった…!

このままそのエネルギーだけを、鏡の外に出してあげますよ…!?」

 

シザースはマン・イン・ザ・ミラーを通して感じた。

 

握っている刃先が、すでに強烈な熱とエネルギーを持っていて軌道の変えようがないことを。

 

「…あいにくだが、もう発動してるんだよ!

喰らえ、エクセレントエックス!!」

 

『イチゲキエックスストライク!!』

 

Xロッドソードをマン・イン・ザ・ミラーの腹に突き刺しゼロ距離で発射する。

 

「な、何だと、こんなことが、バカな!?

私は、絶対に、暗殺部隊から幹部の座に上り詰め…、がぁあああああああああ!!!」

 

それにより、マン・イン・ザ・ミラーの体が勢いよく吹き飛び、それに連動するようにシザースの体も勢いよく吹き飛び、壁に激突しそのまま力なく倒れた。

 

それと同時にパトレンXと女は自動的に元の世界に戻り1号たちと合流できた。

 

 

 

 

 

「…以上が、俺があいつから聞かされた話だ」

 

「…そうでしたか。

あぁ、駄目ですよまだ動いちゃ!」

 

亀山はかこに体を治してもらいながら先ほどのことを説明した。

 

「でも、これでいよいよ本格的に油断できませんよ。

相手は幹部の座を手に入れるのに必死、しかも他の人間を襲うだけでなく、俺たちを高得点のポイントか何かだと思って攻撃してくるとなると」

 

シザースを更生したバンは冷や汗をかきながら言う。

 

かこもそれを聞いて戦慄を覚える。

 

それにより、これ以上ここにいるとまた襲われる可能性を見た亀山たちは倒れていた女性の治療を終えて、彼女が桜の母親である家甲碧依であることを調べた後、送迎から保護に切り替えて三人を連れて本部へと帰投したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

一方そのころ、IS学園では。

 

あの襲撃から日は経っているが、校舎は未だに半壊状態であり廊下や教室も所々穴が空いている。

 

「クソっ!!」

 

IS学園の通路で、織斑一夏は荒れていた。

 

前の転生者襲撃で自分が何もできなかったことに。

 

そのせいで学園の皆ほとんどがトラウマになって引きこもってしまっている。

 

ラウラや他の皆は無事ではあったが、それでも先日のことが忘れられずどこかに表情が暗い。

 

「俺は、何でこんなに弱いんだよ!

クソっ!」

 

怒りを押され切れず、一夏は通路の壁を殴る。

 

だが運が悪く、殴った壁はまだ修理が間に合っていない箇所だったのでその衝撃で穴が空いてしまい、腕を挟んでしまう。

 

「なっ、くそ、抜けろよ!」

 

右腕を抜こうと力を込めて引っ張るとすっぽりと抜けたが、一夏は何か違和感を覚えた。

 

「っ!

ない、白式がない!!」

 

右腕に待機状態の腕輪にしてはめていた自分の専用機がないことに気付き、穴を見る。

 

だが穴は深く、どこに落ちたのかわからなかった。

 

一夏はどうにか取り出そうと道具を探そうとその場から離れようとした。

 

「はぁい、一夏?」

 

「っ!?」

 

すると、先ほどの穴とは別の大きめの穴からピエロが顔を出した。

 

「世界でただ一人の男性操縦者に会えて、光栄だねぇ」

 

「だ、誰なんだよ、お前…!」

 

「俺の名はペニーワイズ、この世界では珍しいピエロさ。

ところで積もる話になるんだが…」

 

そう言ってピエロ、ペニーワイズはあるものを取り出し、一夏に見せる。

 

「それは、白式の待機状態…!

返せ!」

 

一夏は怒りを覚えて取り返そうとするがすぐに避けられてしまう。

 

ペニーワイズは、それを滑稽そうに見て笑いながら話を持ち掛けた。

 

「あぁ、ちゃんと返すさ、約束する。

ただし、俺のおすすめを聞いてくれるならな」

 

「おすすめだと…?

どういうことだ!」

 

「何、簡単な話だよ。

先ほど君は自分の弱さに嘆いていたじゃないか」

 

「…!」

 

「けどもし、君自身を極限にまで強くする方法があるとしたら、君はどうする?

そうすれば、君は誰よりも、それも君一人でどんな敵だろうと簡単に倒せると思うんだけど」

 

「っ!

じゃあ、それなら俺は皆を、千冬姉を、守れるのか?」

 

ペニーワイズの話を聞いて、一夏は一歩ペニーワイズの元へと足を進める。

 

「あぁ、何せ君はかのブリュンヒルデの弟だ、そんなことは造作もないことさ。

守れる力があるのはすごいぞ…一夏…深いぞ…」

 

「はは、全く、俺は良い姉さんを、持ったよ…」

 

一夏は手を伸ばす、その瞳には光は灯っていない。

 

ペニーワイズは再び白式を取り出し、一夏の手に近づける。

 

「君の姉さんは本当にすごいな、一夏…。

そして…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そのクソみたいに下らない理想に絶望しろ、ド低能がっ!!」

 

ペニーワイズは一夏に白式を強引に掴ませると同時に、口から特殊な形をした矢が飛び出して一夏の肩に深く、突き刺さった。

 

「うわああああああああああっ!!!???」

 

この日、IS学園の通路で、一夏の悲鳴が響いたのだった。

 

 

 

 

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