それと、なぜかこの駄作43件ものお気に入りとUAが5000を超えております。読者の皆様のおかげです!本当にありがとうございます!
結局マリンフォードを一周することは出来なかった。走ってしばらくのところで倒れこんだからである。倒れたすぐ後にイイネ大佐が飛んできて処置を始めたので、ガープのように何も考えずの行動でないとわかり、中将が考えなしではないと分かり安心した。
そして治療室でのイイネ大佐の言葉で愕然とした。なんと俺は1km程度しか走っていなかったのだ。四歳の体力でと考えるならばそれはもちろん凄いことなのだが、二週間もの間、サカズキ中将式特訓を行っていた身としてその結果は膝から崩れ落ちるほどの衝撃であった。だが、考えれば考えるほどおかしいのは俺なのだ。ここがいかに空気=プロテインと呼ばれる世界とはいえ、四歳児が数千回もの筋トレを行えるという事実。コレが当たり前ならば、普段から訓練している海兵たちは、全員がガープさんのようになっていなければおかしい。そりゃ才能の有無もあるのだろうが、ここまで圧倒的な差はつかない。たった二週間で数千回の筋トレが出来るようになるなんてありえないはずなのだ。
よくよく思い出してみれば、俺が中将の出したノルマを軽々と達成するたびに、イイネ大佐たちの口元がひくついていた。つまり、おかしなことなのだ。
何が原因なんだろうか?俺と彼等の明確な差が、この確かな違和感を形作っているのだ。その違和感というのは、数千回の筋トレをいともたやすくこなす俺の身体が、わずかな距離を走っただけで倒れてしまったことだ。モヤモヤとしたものが、俺の身体に纏わり付いているような気がして凄く不快である。
「トビラマ!無事か!!」
思考の渦に呑まれていこうとする俺をこちらに引き戻したのは、サカズキ中将の俺を心配してくれる声だった。顔はいつもの通りムスッとしていたが……。
「大事無いです、サカズキ中将」
俺の言葉に何か言いたげにする中将だったが、俺が無事と分かるとその眼を威圧的なものに変えて、病室の横に立っていたイイネ大佐を睨みつけた。
「イイネ、貴様はどーゆーつもりじゃぁ?ワシの指示を忘れとったんか!!」
中将の声が病室に響き渡る。そのあまりの迫力に俺の身体は無意識に縮こもろうとし、窓ガラスはビリビリと震える。これが覇王色の覇気といわれれば確かにそうなのかもしれない、そう思ってしまうほどだった。ただこの怒れる猛犬に対して俺は訂正しなければならないのだ。
「申し訳ありませんでした!!」
おれがそんなことを考えているうちにイイネ大佐が中将に頭を下げる。大佐が中将にどんな指示を受けていたのかは分からないが、中将に言われるまま、自分の状態を理解せず無理して倒れたのは俺である。
「中将!倒れたのは僕です!イイネ大佐をしからないでくれませんか?」
そんな俺のために、大佐が理不尽に怒られるのは納得がいかない。そう思っての行動だった。だが、これに反論してきたのは中将ではなく、イイネ大佐だった。
「黙るんだ!!今中将が怒っていられるのは、君が倒れたことに対してじゃないんだ。私が中将から受けた指示は『君の走りを監視し、私自身の判断で君の走りを管理しろ』ということだったんだ。私は上級士官だ。上級士官ともなれば、艦長となって船を指揮することが増えてくる。そうなれば私の判断に多くの命が懸かってくるということなんだ!今回私は私自身の判断ミスによって、君が倒れてしまった。これがもし君じゃなくて部隊だったら?私の判断ミスによって多くの命が失われていただろう。私は勝手な予測で君を倒れさせてしまった。その勝手な予測、憶測で物事を判断したことに対して私は今、中将から叱責をされているところなんだ。この件に関して今、君が口を挟むことは何一つないよ、イイネ?」
意外だった。俺の中での中将は部下に恐れられている人で、みんな怖いから付き従っているんじゃないのか、強いから恩恵を受ける為に付き従っているんじゃないか。そうゆう思いがあった。でも違ったのだ。確かにそういう人もいるんだろうけど、イイネ大佐は中将を本気で慕っている。それがありありと伝わってきた。
イイネ大佐を助けるつもりの俺の一言は、自分が特別だという思いが起こさせた一言だと気付き、情けなく思った。
「すみませんでした……」
だから謝るしかなかった。この浅ましい考えを隠す為に。
「いいんだ。君は賢い子だね」
大佐は俺の頭に手を置いて、ゆっくりと撫でてくれた。
転生してきたという事実が俺に自身が特別だという認識を持たせた。今回のことで分かったのは、このままじゃいけないということ。このまま転生したという事実、サカズキ中将の孫であるという事実にあぐらをかいていればいずれ、思わぬところでこけて二度と立ち直れなくなってしまうだろう。俺は特別じゃない。特別になる人間は、努力しなければならない。原作に出てきた中将や大将、王下七武海、四皇たちに負けないほど強くなって、圧倒できるほど強くなってようやくあぐらをかける。それまではただひたすらに鍛錬しよう。
そう強く決心した。
「イイネ、貴様が分かっとるちゅうなら言うことはなんもない。精進せぇ」
俺らのことを黙ってみていた中将は、そう言うと、静かに扉を開けて出て行った。なんとなくだが、その背中が嬉しそうに見えた……。
中将が出て行ってからしばらくして、軍医が来てすぐに退院が告げられた。曰く、倒れただけの俺に貸すベッドなどないらしい。俺が四歳児じゃなければベッドに寝かせるつもりもなかったそうだ。
「よしじゃあ、トビラマ君を部屋へ案内するよ。」
大佐に連れられてきたのは、小さなアパートのような寮だった。ここに中将が住んでいるのだろうか?
「サカズキ中将はね、基本的に海に出ているんだよ。一緒に暮らすことが出来ないんだよ。で、それだったら一つまるごと部屋をあげてしまえってことになってね。ここの103号室が君の自室ってことになる。食事はここの食堂で決まった時間に出るから、後で確認しておくといいよ。明日は八時にここに迎えに来るから、それまでには準備を済ませておいてくれよ?」
俺の顔を見ることもなく大佐がスラスラと語りだす。当然この疑問が出るものと分かっていたらしい。
「明日から僕は何をするんですか?」
準備を済ませておいてくれよ?といわれても、何をするかも分からないままでは何の準備のしようもない。
大佐は誤魔化すように笑顔を浮かべると、明日から特訓を始めるのだと言った。悪魔の実はしばらく放置で、まずはある程度身体を鍛えることから始めるから、朝は軽めにしておいてくれ、だそうだ。
能力の訓練をしてもらうことが出来ないのは残念だが、能力者でないイイネ大佐が教官として俺に付くのなら諦めたほうがよさそうだと思った。それに、船の中の海兵たちの噂で知ったのだが、大佐は体術が得意でその腕はかなりいいらしい。大佐が訓練を付けてくれるなら、体術を教えてもらうのも良いかもしれない。そう思うと、なんとなく明日が楽しみになった。
しばらくはこんな感じの日常っぽい感じで進めようと思っています。三話くらいかな?それが終わったら、少年編として海兵になってからの姿を描きたいと思っています。
感想待ってます!それでは