赤髪のトビラマ   作:千村碧

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第七話

 未だに呆けた様子の元帥の前に立って一礼する。その様子を見て元帥はこちらの世界に戻ってきたらしい。すぐさま笑みを浮かべて口を開いた。

 

「うむ、流石サカズキの孫だ。鍛錬の成果がしっかり出ていた。相手は伍長であったがその様子だと、並みの海兵では到底敵わないだろうな。では、執務室へ戻るから着いてきてくれ。」

 

 すごく嬉しかった。褒められたこともそうだけど、一番嬉しかったのは「サカズキの孫」この一言に尽きる。俺が神様にこの容姿を頼んだせいで、俺は母さんにも祖父さんにも似てない。たぶん、父さんにも……。そのことは俺の心にぽっかり穴を開けている。だから、それが戦闘能力でも何でも家族の誰かに似ているって褒められることは、俺が家族の一員だと唯一認められていると感じることが出来る瞬間なのだ。

 

「ありがとうございます!!」

 

 だから、母さんが死んでから久しぶりの笑顔を浮かべることが出来た。自然と顔中の筋肉が和らいで、顔が勝手に綻んでくれた。

 

 

 そのまま、中将と元帥と連れ立って執務室へと続く大階段を昇っているのだが、目の端に見えている先ほどの伍長が起き上がらないのは、治癒力でも高めているのだろうか?

 大階段を昇り執務室へと続く廊下を渡る間、元帥と中将がこちらをチラチラ見ながら、ヒソヒソと会話を交わしているのが気になったが、上官の話を盗み聞く行為は許されるものじゃないとイイネ准将から聞いていたので、精神統一でもして耳をシャットダウンする。

 執務室の前に着いたので脇に逸れ、部屋の主であるサカズキ中将を見る。中将は軽く頷き、部屋の鍵を取り出した。(上級仕官になると機密扱いの情報が増える為、鍵を部屋に設置することが義務付けられるらしい。)

 中将が部屋の鍵を開けたのを確認し、二人の後について最後に部屋に入る。先に入ってもどこに座ればいいのか分からないのだからしょうがない。

 

「さてと、それじゃあさっそくトビラマ君の階級を決めていこうと思う。まず、推薦者なんだが、サカズキ中将とイイネ大佐からの連名での推薦書がある。あとは口頭だがガープ中将とクザン少将からの推薦もある。口頭だから力は無いんだけれど……。次に、能力者、自然系バシャバシャの実、と。海賊との戦闘経験はあるんだったかな?」

 

 部屋に戻るとさっそく階級決めが始まった。センゴク元帥の前には一枚の書類が置いてあり、元帥が質問しては俺が答える。上の方には、氏名や血液型、好きな物などを書く欄があって、後で自分で書いて提出するように言われた。下のほうには、推薦者は何名で階級は何か、能力の有無、悪魔の実の系統は何か、海賊との戦闘経験の有無、二つ名は何か、親に問題は無いか、などかなり細かく書かれている。

 

「あ、はい。一度だけ、中将の船の上でですが……。」

 

 元帥は「そうか」と一言頷くと、戦闘経験の有無に丸をつけて、中将に質問した。

 

「サカズキよ、この子は二つ名なんてないよな?」

 

 するとサカズキ中将は嬉しそうにニヤリと笑い、首をゆっくりと横に振って答えた。

 

「いんや、ある。『赤鬼』そう、ワシの海兵から呼ばれとったわい。」

 

 元帥もあるとは思ってなかったのか、小刻みに首を縦に動かしながら、手元の書類に『赤鬼』と書き込んだ。親に問題は無いか、の位置で一瞬止まった元帥だったが、すぐに問題ないと書き込んでいた。理由は分かる。俺の父親が誰か、それを知っているのは俺の父親と母親だけらしく、中将も知らないのだそうだ。

 

「ふむ。サカズキ、ちょっといいか?」

 

 元帥が中将を呼び寄せ、相談を始めた。ダメと分かっていながらも、漏れ聞こえてくる声に耳を傾けてみたところ、俺の階級はかなり高い位置になりそうとのことだった。ではそれの何が問題なのかと言うと、俺の年齢なんだそうだ。というのも、いくらなんでも十歳の子供に「はいはい」と従う酔狂な海兵はいないのだとか。ごもっともな意見である。俺だって子供に付き従いたいなんて思わないし。特に海兵のように自分の職にプライドを持っているならば、なおさらそうだと思う。それに二等兵やら一等兵やらは、特に若い連中が多いから危険なんだそうだ。

 

「ふむ。トビラマ君、君の階級は後日辞令を張り出すから、それまで待っていてくれ。それまでは休暇としよう。では、解散」

 

 どうやら盗み聞きしているのがばれたらしい。途端に執務室から追い出されてしまった。無駄に迫力のある笑顔で。

 しょうがないので、六年も暮らして自室と化している海軍寮の一室へと帰る。向こうの世界でならおやつを食べる時間なので、寮の食堂のお姉さま方(自称)にまかないを作ってもらい、ゆっくり食べる。今食べているのは、あんみつのようなものだ。海軍では和食を好む人が多いらしく、寮でもけっこうな割合で和食が出てくる。そうしてまあ和食が好きな人が増えて、和食のリクエストが増えて和食が出て、みたいな循環があるらしい。

 ゆっくりゆっくり食べていたのだが、そろそろ夕食作りの邪魔になるからと、ここでも追い出されてしまった。仕方が無く自室に戻るのだが、やることが無い。こっちの世界で育って一番困っているのは、暇をつぶすものが無いことだ。ここの人の娯楽は本を除けば、たくさんの人がいなくてはならない。もしくは、お酒を飲むことなのだが、お酒はおれ自身が俺に禁止している。十歳で飲み始めるの流石にどうかと思ったからだ。

 

「ひまだ。」

 

 本当に暇である。バッと起き上がり、訓練場へと向かう。久しぶりに能力でも使ってみようと思ったのだ。

 

 

 能力者専用の訓練場へ来たのだが、夕食前ということもあって無人であった、予想通りである。

 

 右腕を水に変える。海水を操ることは出来るが、身体を海水に変えることは出来ないので普通の水である。海水を操る場合も、身体の一部を水に変えたものを核として操る。身体を水に変えて十全に操れるようになれば、おのずと海水も自由に操れると言うわけである。

 

海牢(かいろう)!」

 

 早速能力を使ってみる。前は、忍ばない忍者世界の遁術の名前を叫んでいたが、長いので他の名前に変えることにした。海牢は能力者の捕縛用の能力であり、海水を核に纏わせるのが通常形態ということになる。だから核剥き出しの今は、およそ三十センチほどの大きさしかない。これに海水を纏わせると大体半径二メートルほどになる。この大きさが扱いやすいと言うだけで、大きさに関してはどうにでも出来るのだが。数は現在、三つが限度である。

 

海狼(かいろう)

 

 先の海牢と同じ読み方である。コレは、水圧で噛み切る水の狼を模したものなのだが、海狼の状態から海牢の状態に移行するという技も練習中である。これは、だいたい核が二十センチほどで、海水を纏わせると一メートルほどになる。ただ圧縮しているだけなので、海牢と同じだけの水を使っている。

 

海落(うみおと)し」

 

 これは四歳のころ、中将に向かって使った竜の進化Verである。空に上っていった龍が海に潜るようにして落ちる技で、基本的に対船奥義といってもいい。水の核の状態だけで、地面に一メートルほどの穴を穿つことが出来る。これが、質量を伴うとゾッとするような威力を発揮してくれるはずである。

 

水割(みずわ)り」

 

 水で大きな人の手を模したもので、海落しの下位版で対人用でその質量で吹き飛ばす技である。

 

「水鉄砲」

 

 コレは指先を、弾丸よりも早く飛ばす簡単な技でありながらそこそこの威力がある。火器類が使えないために一応考えた技である。

 

「水切り」

 

 腕を振るときに、水に変えて細く早く伸ばす技。これによって、たいがいのものならば切断することが出来る。大佐に一度、見せたところ腕の振りがいまいちと言って、矯正させられたのものだが、ある程度完成した今は感謝している。コレは体術との連携がとりやすいので、重宝すると思う。

 

 

 色々と試しすぎた結果、訓練場の地面がボロボロになってしまっていた。海落しは陸地で使うべきではないなと思いましたまる




うーん、文章が一向に上手くならない。

今回は試し打ちも兼ねた、能力紹介でした。使う機会があるかは分かりませんが、これからも頑張ります。

コメントお待ちしてます!それでは!
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