不良となったあの人の真意   作:初羅 柊羽

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3話「ゆったり参戦・生意気な後輩」

________________時は昼休み。

 

あの会話の後ほとんど会話もなく、奴は一人黙々と作曲を続けていた。

 

昼休みとなっても作曲を続けている。

 

そしてこの昼休みまでの間、教師は一人もやって来ていない。

 

理由としては私がいるからだ。

 

私にビビって奴等はやってこない。

 

………………へたれた教師共だな。

 

昼御飯の代わりに缶コーヒーを自動販売機で買い、気ままに温かいコーヒーを飲んでいた。

 

 

「…………先輩、あたしもコーヒー飲みたいです」

 

「……………ったく」

 

 

缶コーヒーを投げ渡す。

 

……………そういわれると思って、元から用意はしといたんだよ。

 

 

「…ありがとうございます」

 

「………」

 

 

目の前の礼は無視して、自分の分のコーヒーをごくりと飲み込む。

 

……………美味い…

 

 

「せんぱ~い、あたしはアップルティーが欲しいなぁ~」

 

「…………モカ…」

 

 

モカことゆったりマイペースは登場早々私に奢りを求めてきた。

 

 

「……なんで私が奢らないといけないんだよ…」

 

 

モカに不満の意を伝える。

 

お前らに毎回毎回奢ってるから私の財布がどんどん痩せていってるんだけど……

 

 

「えぇ~。蘭には奢っておいて、あたしには奢ってくれないんですか~?」

 

「…………チッ。仕方ねぇな」

 

 

130円分の小銭をポケットから出し、おもいっきりぶん投げてやった。

 

 

「うわっとっと~っと。ふぅ~。もぉ~、せーんぱ~い。これ落としてて無くしたりしてたらどうするんですか~?手渡ししてくださいよ~。モカちゃん、困っちゃうな~」

 

「……奢ってやるだけマシだと思え」

 

 

文句を言ってくるモカを黙らせ、缶コーヒーを一気に飲み干す。

 

そしてブレザーの内側ポケットから煙草とライターを取りだし、煙草に火をつけた。

 

そのまま煙草を吸い始める。

 

 

「ちょっとせんぱ~い。今からお昼ご飯食べるのに、煙草なんて吸わないでくださいよ~」

 

 

そう不満げに言ったモカは、手にもったパンが入ってる袋を片手で掲げてきた。

 

………まぁ、そんなこと言われても…

 

 

「……………知るか」

 

 

そう一言でモカの発言を蹴り飛ばし、そっぽを向いて空に向けて煙を吐き出した。

 

 

「っと言うわりには~、煙草の煙には気を付けてくれるんですね~」

 

 

モカがニヤニヤとしながら、いらん一言を言ってきた。

 

 

「はぁ?んなわけないだろ。たまたまそうしただけで、別にそんなこと考えていたわけじゃない……」

 

「…………やっぱり先輩って悪じゃないと思います。天邪鬼なだけで、結局優しいですよね…」

 

 

今まで黙ってた"やつ"こと蘭が、話を掘り返してきた。

 

…………優しいわけがないと何度言えば分かるんだ、こいつは。

 

っというか、逆に何故こんなにも私が優しいと言居続ける必要があるんだろうか。

 

私が優しかろうが優しくなかろうがこいつには関係のないことだ。

 

本当に意味の分からないやつだな…

 

 

「あたしも同感ですよ~。

 まぁ、蘭も大概天邪鬼だと思うけどね~」

 

「モカ、うるさい。一言余計…」

 

「…………私は天邪鬼でもなければ、優しくもない……どこからどう見ても、優しくなんて見えないだろ…」

 

 

さらりと否定の言葉を口に出す。

 

この煙草が象徴そのものだろ。

 

格好だって不良っぽいし。

 

喧嘩だって日常だ。

 

授業をサボるのも日課だしな。

 

そんなやつを優しいだと……?

 

お前らの目は節穴か……

 

よく考えれば分かることだろ……

 

 

「……………飲み物だって奢ってくれるじゃないですか…」

 

「……お前らがうるさいから、仕方なく奢ってやってるだけだ…」

 

 

…………奢ってくれアピールをお前らがめちゃくちゃするからだろ…

 

しつこいから仕方なくやってるんだ…

 

そこを誤解されては困る……

 

お前らがうるさくなければ、私だって奢ったりなんかしない…

 

 

「先輩って~、自分で優しさを認められない何かでもあるんですか~?」

 

「………そんなものあるわけないだろ」

 

「…へぇ~」

 

 

意味ありげな視線を私に向けてくるモカ。

 

………こいつ…

 

私の中の何かを探ろうとしてるな……

 

……………良いだろう。

 

お前がその気なら私だって抵抗してやる。

 

私の中のものは、誰にも知られてはならない。

 

お前らは私の外のものだけを見ていればいいんだ。

 

私にたどり着く者はあってはならない。

 

私の中を唯一知ってると言って良いのは母だけだ。

 

それだって、なにか余計なことを誰かに話せば、私は母であろうと容赦はしない。

 

母もそれを知っているから、誰にも話そうとはしないだろう。

 

そんな中で、お前らは私の中にたどり着けると思っているのか……?

 

どうせ諦めることになるんだ。

 

今まで通り、お前らは日常を過ごせば良いものの、変なことに興味を持ちやがって……

 

ったく、めんどくせぇ……

 

私は煙草の煙を吸い上げると、空に向かっておもいっきり吐き出した。

 

そして煙草の灰をその辺に落とし、また煙草を吸い始める。

 

空は憎らしいほどの快晴だ。

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