_______________苛立ちが募る。
偏見だらけの薄汚い評価を下す、周りの愚かな屑共の視線。
私への偏見は前からずっとあったことだ。
ただ、他の人まで巻き込むっていうのは気に入らない…
ぶつかってしまったあの少女にまで向けられたあの気に触る視線の数々。
そんな目でしか人を判断できないのか…
やっぱり、あぁいうやつをみるとムカツク。
大きく舌打ちを鳴らし、道端に落ちていた空き缶を思いっきり蹴り飛ばす。
缶は衝撃に乗ってへこみ、そして空へと大きく舞っていく。
そしてそんな空き缶は綺麗な弧を描き、ゴミ箱へと吸い込まれていった。
それでも苛立ちが収まることはない。
そんな現状にまた大きく舌打ちを打つ。
すると都合がいいのかなんなのか、丁度良いものが目の前に。
「へへっ。お姉さん、俺らとデート行かない?」
「俺らとデートなんてなかなかできねぇぜ」
「あっちの方におすすめの店があるんだ。
そこに俺らが招待してやるよ」
「い、いえ。あの、急いでるんで…」
ニヤニヤと気持ち悪く笑ってる3人組の高校1年生らしき勘違い男達が、大学生っぽい女性を囲んでナンパをしていた。
…………吐き気がする。
そんなお前らみたいな猿ガキを大人がまともに相手するわけがないだろ……
馬鹿じゃねぇの?
鏡でよく見ろよ、その猿顔をよ。
「あぁん?今、なんつった?」
「だ、だから、貴方達と遊んでる暇はないんです」
「てめぇ、なめてんじゃねぇぞっ!ごらっ!!」
「俺らと遊んでる暇がない?
んなこと聞いてねぇんだよっ!!
良いから俺らと来い!!」
女性の一言でキレる猿ガキ共。
…………今時、こんなあからさまなヤンキーはいないぞ…
天然記念物かってんだよ。
最近の世の中すら掴めてないとは情けねぇな。
今すぐ、あの赤色のメッシュを入れてる生意気な黒髪に見せてやりたいぐらいだ。
私はこいつらとは違うというだけだ。
こいつらと優しいやつの間には越えられない壁がある。
そんな壁の中に私がいるだけだ。
こんなあからさまではないが、だからといって優しい人間ではない。
今この状況でしか、これほど説得力のある言葉は言えないだろう。
ったく、こんなときにいないなんて…
まぁ、そんなことはいい。
______________なぜなら…
______________そんなことが気にならないほどのことがあるからな。
ドゴォッ!!!
一人の男が吹っ飛び、壁にぶつかって声を出すまでもなく気絶する。
……………あぁ、スカッとした。
伸ばした足を下ろす。
やっぱりストレス発散は屑倒しに限る…
「なっ!?」
「て、てめぇ、なにもんだっ!!」
残った二
…………あぁ、うるせぇ。
ポカーンとしてる女性をチラリと見る。
……ったく。仕方ねぇな。
さっさと片付けるが吉ってやつか。
「てめぇ、無視してんじゃねぇぞっ!!!」
クソ猿の内の一
…………ノロマめ。
ステップを踏み出し、体を捻らせて回転して、その勢いでジャンプをし、そのまま蹴りを間抜け面に叩き込む。
ドガッ!!!
そうすれば一瞬で片がついた。
吹っ飛んでいった猿はそのまま倒れて起き上がらなかった。
……その辺の雑魚じゃこんなものか…
5年もの間、何度も何度も喧嘩を繰り返してきた。
そうして積み上げてきたものがこいつらに劣るなどありえない。
「う、ぁ、ば、化けもの……っ!!!」
「あぁ?」
負け犬の遠吠えなんざ、耳に入れてたまるか。
………一人でギャンギャン吠えてろ。
…いや、この場合は負け猿の悲鳴か。
「…………あっ、お、お前、
ま、まさか【
「………………なんだ、それ」
聞きなれない呼び名で呼ばれ、苛立ちが走る。
【
なんだ、そのだっさい名前は。
私的には気に入らないの一言だ。
小学生が考える格好いい名前みたいな感じか……
黒歴史一直線の中二ネーム。
そんな名前を思い付くとか、ネーミングセンスが問われる。
「黒色のウルフカットに青色のメッシュ。
鋭く冷たい氷のような瞳。
そしてアイスピックのような蹴りに
とにかく素早いステップ、
華麗な動きがまるで豹のよう。
狙った獲物は逃がさない猛獣のような姿勢。
特徴全てが一致してやがる……っ!!」
「はぁ…?知らねぇよ、そんなの」
……………それに、誰が猛獣だ。
貴様ら野生の猿を退治するのが、猛獣の役目ってか。
もしそうだっていうなら、確かに私は猛獣かもしれないな……
…………だが、他人に自分のことを語られるってのは虫酸が走る。
……………だから、黙れよ。
____________ドスッ。
目の前の煩い猿の腹に膝を撃ち込む。
「かッ……ハッ」
そのまま崩れ落ちていく雑魚の屍。
____________だいぶストレス発散できたな。
周りを見渡す。
三
…………ざまぁないな、屑共。
少しはこれで懲りるがいい…
……寧ろこれで懲りなかったら、何度だって吹き飛ばしてやる。
………てめぇらの躾を私がしてやるんだ、ありがたく思えよ。
「あ、あの…」
「……」
声をかけられ、そちらに振り向く。
…………あぁ、女子大生。
「あ、ありがとう、ご、ございます…
そ、その、た、助けてくれて……」
「………別に。私は礼を言われる筋合いはない。ストレス発散するためにあいつらぶっ飛ばしただけだ……」
お礼を言ってくる女性に事実を伝える。
…………勘違いされては困る。
別にこの人を助けようとして喧嘩を吹っ掛けたわけではない…
……あくまでストレス発散のためにこいつらを屍状態にしたんだ。
「いや、で、でも、そ、それで私が助かったのは、じ、事実ですから…
だ、だから、その、あ、ありがとうございますっ」
「………」
…………………なんだ、この人…
…………変わったやつ…
「あ、あの、お、お名前、お、教えていただけませんか?」
「……………………来栖 琉生…」
吐き出すように名前を名乗る。
こんなの知ったって何にもならないってのに……
…………やっぱり変わってるな…
「わ、私は、
「………………高二」
「えっ?あ、あぁっ。
く、来栖さんは高校二年生なんですね」
…………やはり大学生、、か。
まぁ、そんなことはどうでもいい…
「……………敬語は使わないから」
「へっ?あ、ぜ、全然良いですよっ!
お、恩人にそんなこと強要できませんしっ!」
敬語を使わないといったら、寧ろその方がいいと言う変わり者。
……………秋風 咲羅…
秋なのか春なのか分からない名前だな…
「あ、あの、こ、今度改めてお礼がしたいので、れ、連絡先教えていただけませんか?」
「………………礼はいらない…」
さっきも言ったが、礼を言われる筋合いは私にはない。
だから礼はいらない。
「あ、あの、わ、私がお礼をしないと、気がすまないというか……
だ、だから、その、お、お願いしますっ!」
………………やっぱり変わったやつだ。
自分が礼をしないと気がすまないとは……
……………まぁ、そこまで言うなら、別に礼をされても構わないかもな…
「………んっ」
「えっ?あ、あぁっ!ありがとうございます!」
ぶっきらぼうに連絡先の書かれた紙を渡す。
それを受け取った変わり者は、嬉しそうにお礼を言ってきた。
………………変なやつ。