時を経て再び   作:鞠藻

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第十二章 十二天将

 例え貴族では無くても、憐椛は幸せだった。

 

両親が居て、兄達が居て、夜一と浦原が会いに来てくれる、それだけで十分だった。

 

瀞霊廷に住む人達に比べれば貧乏でみすぼらしいかも知れない、それでも自然に囲まれながらの生活は楽しかったのだ。

 

だが、その幸せも憐椛の存在が知られた事で一瞬にして消え去った。

 

夜一は自分を責めるなと言った、でも責めずに居られようか。

 

自分さえ産まれて来なければ、家族は殺されず今も琉魂街で細々と幸せに暮らしていたに違いない。

 

そんなマイナス思考にどっぷりと浸かってしまった憐椛の体は目覚める事を拒絶し始め、家族が居た頃の幸せな思い出ばかりを夢で見ていた。

 

そんな時だった、前に一度聞いた事のある声が憐椛を現実へと引き戻した。

 

 

 

『・・・・・主様。』

 

 

声に反応して瞼を開くと、そこは一度来た事のあるアノ不思議な空間。

 

そして、目の前には目を疑いたくなる程の薄着の女性が立っていた。

 

この空間には季節というものが存在しないのか、女性は水色の羽衣を着てはいるが透けている・・・・・全身が透けている・・・・・。

 

とは言っても、大事な部分はしっかり着用している模様。

 

髪は一纏めにした状態で横に流し、頭や耳などには色々な装飾が施されている。

 

この世界にしか通用しないようなド派手且つエロのコラボレーション。

 

こんな人が普通に琉魂街や瀞霊廷を歩こうものなら、仕事にならないだろうし色んな意味で夢に出て来る事間違いなし。

 

 

『主様、お久しゅうございます。以前にもお声を掛けさせて頂きました。(わたくし)十二天将(じゅうにてんしょう)が一人、天后(てんこう)と申します。水流系の結界と攻撃の技を少々。主様の力が強くなり、こうして姿をお見せする事が出来るようになりました。』

 

 

そう言いながら天后は後ろに広がる水の壁?を見るよう、しなやかな手つきで促してきた。

 

憐椛は促されるままに一歩踏み出し、水壁の方に視線を送ると突然、水壁がカーテンの様に左右にゆらりと開いて沢山のド派手な人達が色んなポーズで立っているのが目に入る。

 

 

『あちらにおりますのが私と同じ十二天将でございます。そして、中央におりますのが貴人(きじん)様、十二天将の主神(ぬしがみ)天一神(てんいつじん)とも言われております。』

 

 

天后に紹介された中央に立つ一際煌びやかな女性が憐椛に近づいてくる。

 

 

『お初にお目に掛かります、主様。(わたくし)はこの十二天将をまとめさせて頂いております貴人と申します。『貴人(きじん)』でも『天一(てんいつ)』でも好きにお呼び下さい。』

 

 

貴人と名乗った女性は天后とは対照的で、白く長い絹らしき生地で仕立てた着物でところどころ金糸で刺繍がされ、頭には黄金であろう大きな冠?の様な物を被り、金のかんざしを横から刺し、耳には何かの花を象った金のピアスをしている。

 

要するに派手ではあるが露出度の少ない神らしい?品のある?装いだった。

 

それから、貴人の自己紹介を皮切りに、他の十二天将達も我先にと憐椛に挨拶を始め、覚えきれるか不安になったのは内緒。

 

 

 

十二天将達の名前は次の通りだ。

 

 

 ・貴人(きじん):回復系が得意。物だろうと人だろうと全てを復元する事が出来る。(但し、広範囲に渡る復元は十二天将全員の力を借り、憐椛の霊圧も相当量必要とする。)外見は先程の通り。

 

 ・天后(てんこう):水流系の結界と攻撃を少々。外見は先程の通り。 

 

 ・騰虵(とうしゃ):炎滅系の攻撃が得意。炎を纏った蛇を肩から這わせ、天后同様露出多め系男子。

 

 ・朱雀(すざく):炎滅系の攻撃及び結界が得意。赤を基調とした衣装で背中から孔雀の羽根の赤バージョンが何本も飛び出している。

 

 ・六合(りくごう):平和を好む為、あまり戦いに参加はしないが、いざという時、近接系の槍となる。知的男子系という風貌。

 

 ・勾陳(こうちん):近接系の剣となる。主に黄金の輝きを利用して相手の視力を数秒間奪う。大小さまざまな黄金の蛇の装飾品を至る所に付け た・・・多分男性。

 

 ・青龍(せいりゅう):水・氷雪、特に氷雪系が得意。青く透けたストールのような物を首の周りに纏わせ、腰にも同じような物を纏わせている。それ以外の場所は鱗柄の服なのか地肌なのか判別不可。顔は普通の人間肌でクールなイケメン系。

 

 ・大陰(たいいん):重力系の技を持ち知恵の泉と言われているらしい。見た目は一番の年長者であろう女性。黒と白を基調とした着物とキラキラとした白のストール。

 

 ・玄武(げんぶ):土や岩を操る、一番強力な結界を張る事が出来る。濃い茶色っぽい上下に分かれた甲冑で見事に割れた腹筋が逞しい男性。

 

 ・大裳(たいも):砂系の攻撃が得意。一番地味かも知れない女性。黒を基調にくすんだ金色で雲のような柄が至る所に入ってる。

 

 ・白虎(びゃっこ):雷系攻撃が得意。白を基調とした装いに何故か白い虎の頭付きの毛皮?を右肩に掛けている。

 

 ・天空(てんくう):霧や黄砂を生み出す。裾の短い着物の上から長い羽織を纏っている色っぽい女性。色は緑と水色のマーブル調。

 

 

 

長い紹介も終わり頭の中を整理していると、全員が憐椛の目の前で突然跪き、こうべを垂れ始めた。

 

 

キョトンっとしていると、主神である貴人が全員を代表して最後の挨拶を始めた。

 

 

『これより我々十二天将は、憐椛様を主とし、今後いかなる場合においても盾となり武器となり技となりて常に寄り添って参ります。』

 

 

憐椛よりも遥かに長い時を生きてきたであろう十二天将が、今まさに憐椛を主と認め、跪き、こうべを垂れる・・・。

 

こんな場面、誰が想像出来ただろう。

 

中には感涙なのか目頭を押さえながら憐椛を見つめる者まで居た。

 

恐らく初代のご当主が亡くなって以降、仕える者に巡り会えず待ち続けたに違いない。

 

憐椛は自然と涙が零れ、十二天将全員の顔を見渡して笑顔で『ありがとう!よろしくお願いします!』と答えると全員がおおいに喜び活気に溢れた。

 

 

 

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