時を経て再び   作:鞠藻

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十三章 目覚めへの拒絶

 その頃、朽木家では憐椛が突然倒れた事で大慌てで客間に布団を準備して寝かせていた。

 

そして、祖父銀嶺が帰宅。

 

白哉の口から事情を聞いた銀嶺は、嫌な予感がして少女を寝かせている客間へと足を運んだ。

 

 

「やはり・・・。」

 

 

そう呟いた銀嶺は直ちに地獄蝶を使い、朽木家に例の少女が居る事を伝え、卯の花隊長にも来て貰える様に頼む事も忘れなかった。

 

 

「憐椛(さん)!!」

 

 

報告を受けた夜一と浦原は、すぐさま朽木家へと訪れて憐椛の寝かされている客間に姿を現した。

 

次に現れたのは総隊長と他数名の隊長。

 

 

「一体、これはどういう事かの?」

 

 

卯の花隊長も到着しており、憐椛の様子を細かくチェックしている間、説明を求める総隊長。

 

 

「白哉、説明出来るか?」

 

 

「はい」

 

 

銀嶺に説明を促された白哉は朽木家の門の前での出来事から倒れるまでの詳細を説明して聞かせた。

 

 

「ふむ。突然様子がおかしくなったとな・・・。」

 

 

白哉も突然の事で何が原因なのか皆目検討もつかないと言う。

 

 

「恐らく、会話の中で何か大きな衝撃を受け、ショック状態に落ちたのではないかと思われます。」

 

 

憐椛の状態を見終わった卯の花は鬼道で何かをしながら説明する。

 

 

「白哉坊、会話の内容は覚えておるか?」

 

 

いつもは白哉をからかって遊ぶ夜一も、今日ばかりは様子が違う事に驚きながらも必死に考える白哉。

 

 

「あれは丁度、自己紹介をしようと私が名乗った時だった・・・。」

 

 

「名前を名乗ったんですか?」

 

 

浦原は身を乗り出し白哉に聞き返す。

 

 

「話しの内容から雰囲気が暗くなったように感じて、自己紹介でもして空気を変えようとしたのだ!」

 

 

浦原の勢いを鬱陶しく感じたのか、自分が悪いかのような聞き返し方に苛立ちを覚えた白哉は怒ったように説明をした。

 

 

「名乗ったんじゃな?」

 

 

「どういう事じゃ?」

 

 

夜一の意味ありげな言葉と浦原の微妙な表情を見て、総隊長は説明を求める。

 

 

「恐らく、『朽木』という言葉に反応したんだと思います。」

 

 

「憐椛の家族が殺される数日前に琉魂街の食事処で会うたじゃろう?あの日以来、憐椛は食事処に行った事を酷く悔いておった。」

 

 

「それでか・・・」

 

 

浦原:「はい。それまで自分の存在など知られる事無く普通に生活をしていた。たった一度の贅沢で食事処に行った為に大切な家族を死なせる事になったんだと、ずっと苦しんでいたんだと思います。」

 

 

その場に居る全員が言葉を失くし、ただただ眠っている憐椛を見つめる事しか出来なかった。

 

 

「総隊長殿。この娘を我が朽木家で預からせては貰えぬか」

 

 

完全に静まり返った部屋の中で、最初に口を開いたのは銀嶺。

 

 

「あの食事処で出会った事がきっかけで娘の存在を知ったのは確かだ。そして、この娘の家族を死なせてしまった原因の一つであるのも事実。」

 

 

「ですが、彼女のご家族は・・・・・」

 

 

卯の花が何かを言いかけたが、銀嶺は制止した。

 

 

「この娘は事実を知らぬ。死神に家族を奪われたという思い、そのきっかけとなったのが食事処で儂と総隊長に出会った事。真実がどうであれ、この娘にとってそれが全てなのだ。」

 

 

総隊長も他の隊長も憐椛の思いを考えると、これ以上銀嶺に反論をする事が出来なくなってしまった。

 

 

「皆も知っての通り、この家には同じ年頃の白哉がおる。儂ら大人では心を開いて貰えなくとも、白哉が相手であれば・・・あるいは・・・。という思いもある。どうだ?白哉、この娘の面倒を見て貰えるか?」

 

 

「私は構いませんが、それであれば夜一殿か浦原隊長の方が心を開いているのでは?」

 

 

「心を開いておっても二人共隊長なのだ。四六時中一緒に居る事は出来まい。」

 

 

夜一も浦原も出来る事なら憐椛の側に居てやりたいが、職業柄それが出来ない。

 

それであれば、後は銀嶺の提案に乗って白哉に憐椛を任せるしかないのだ。

 

 

「相分かった。しばらくこの娘を朽木家にお願いしよう。」

 

 

「頼んだぞ、白哉坊。」

 

 

「お願いします。」

 

 

話しがついたところで、銀嶺、白哉、憐椛以外の者は帰路に着くことにした。

 

 

「大丈夫かねぇ~。白哉君、あぁ~見えて結構抜けてる所あるし、短気だし・・・」

 

 

「いや、年下の面倒を見る事で逆に大人になるかも知れないぞ。」

 

 

「なるほどねぇ~。」

 

 

そんな呑気な会話をしている京楽と浮竹を余所に、夜一と浦原は総隊長の真後ろを歩きながら銀嶺の事について気になった事を話し始めた。

 

 

「まさか銀嶺殿があんな事を言い出すなんて思いませんでした。」

 

 

「あんな事とは?憐椛を預かるという話しか?」

 

 

「はぃ。瀞霊廷で保護をする事は決まっていましたが、どこで寝泊りさせるかまでは決まっていませんでしたよね?」

 

 

「本来であれば、候補をいくつか挙げておいて憐椛自身に選ばせる予定じゃった・・・。」

 

 

「その事じゃが・・・候補など無かった。儂は最初から銀嶺に任せるつもりでおった。」

 

 

「「えっ!?」」

 

 

夜一と浦原の会話に突然乱入して来た総隊長がとんでも無いことをのたもうた。

 

 

二人とも( ゚Д゚)ポカーンとなり言葉を失った。

 

 

「銀嶺も言うておったじゃろ。同じ年頃の白哉がおる・・・と。子供同士というのは、最初は警戒しておっても気が付けば仲良くなっておるものじゃ。お主らも幼馴染なら解るであろう。」

 

 

夜一と浦原は顔を見合わせ、『確かに』と呟いた。

 

 

「それに、銀嶺には同じ年頃の孫がおるからこそ、あの娘の痛みも解ってやれると儂は思うておる。」

 

 

『なるほど』と思わずにはいられなかった。

 

今の憐椛は夜一と浦原以外には心を開くどころか絶賛人見知り発動中なのだ。

 

そんな中、偶然とは言え白哉と憐椛は知り合い、朽木家の庭内でお茶をしながら会話をする程の仲になった。

 

『朽木』という言葉を聞くまでは・・・。

 

 

「気がかりなのは、『朽木』という名を聞いただけで倒れる程のショックを受ける憐椛さんが受け入れるかどうかですね。」

 

 

「そうじゃのぅ」

 

 

「そこは、銀嶺と白哉に任せるしかあるまい。あの二人を信じて任せるのじゃ。」

 

 

その言葉は、総隊長自身が自分に言い聞かせているようにも聞こえた。

 

 

「それと、2人に話しておかねばならん事がある。後で一番隊舎に来るように。」

 

 

その日、夜一と浦原は琴吹家の死の真相について衝撃的な話しを聞かされる事になった。

 

 

 

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