時を経て再び   作:鞠藻

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第十五章 暴走した力

憐椛が気を失ってから一週間、一向に目を覚ます気配が無い事で一旦四番隊舎で入院という形を取る事となった。

 

夜一や浦原は暇さえあれば様子を見に来るが、手を握っても声を掛けても何の反応も示さない憐椛。

 

 

「どうしちゃったんでしょうね。憐椛さん。」

 

 

憐椛の事が心配なのと、ここのところの激務ですっかり睡眠不足になった浦原は憔悴しきっていた。

 

 

「うむ・・・。」

 

 

浦原と同様、心配と激務で口数も減り快活さも消えてしまっている夜一。

 

 

「浮竹より顔色は良いのにねぇ。」

 

 

呑気な口振りで軽口を叩くが、京楽も心配で様子を見に来た一人だ。

 

 

「あれから一週間かぁ・・・」

 

 

いつも通りの青白い顔で憐椛を心配そうに見つめる浮竹。

 

 

「もうじき、定例会議が始まる。行くとしよう。」

 

 

憐椛の事は心配ではあるが、隊長という立場上サボる訳にもいかず日々職務をこなしながら様子を毎日見に来る銀嶺。

 

銀嶺に促され、渋々といった足取りで定例会議のある一番隊舎に向った面々。

 

 

 

 

 

「定例会議を始めるとする。まず、卯の花隊長。あの娘はどうなっておる。」

 

 

「まだ目覚めておりません。しかしながら・・・」

 

 

卯の花が次の言葉を口にしようとした時だった。

 

突然、どこからか霊圧が急激に膨れ上がるのを感じる総隊長以下各隊長達。

 

 

「なんや!?このありえへん霊圧は!??」

 

 

「憐椛(さん)!!?」

 

 

夜一と浦原はすぐに憐椛の霊圧だと気づき、顔色を変えて急いで一番隊舎から出て行く。

 

 

「こら、待たんか!」

 

 

総隊長の制止の言葉も聞こえていないらしい二人に、他の隊長達もただ事では無い事を悟り後に続いて行ってしまった。

 

残されたのは、総隊長、銀嶺、卯の花の3人のみ。

 

 

「やれやれ。後で仕置が必要のようじゃな。」

 

 

そう言い、結局残りの3人も瞬歩で四番隊舎に向かう事にした。

 

 

 

 

夜一と浦原が到着した時には、憐椛が入院している病室から渦を巻くように大きな霊圧が漏れ出ていた。

 

それを見た二人は急いで憐椛の病室に向かうが、近づけば近づく程霊圧の渦に邪魔をされて思うように前に進めなくなる。

 

 

「クッ・・・なんじゃこの霊圧は・・・。」

 

 

「これ以上霊圧を放出すれば憐椛さんの命が危ない!」

 

 

二人が何とか憐椛の病室に辿り着いてみれば、憐椛はベッドの上で上半身を起こし(くう)を見つめていた。

 

 

「憐椛!霊圧を抑えるんじゃ!」

 

 

夜一は戸口で壁にしがみつきながら憐椛へ叫ぶ。

 

 

「ダメだ。目の焦点が合っていない!」

 

 

夜一と浦原が手をこまねいている間に他の隊長達も到着していた。

 

 

「いやはや。これはまた・・・(笑)参ったねぇ~」

 

 

どの隊長達よりも余裕がありそうで、尚且つ呑気な京楽を総隊長は横目でジロリと見た。

 

 

「春水。どうにかせんか。」

 

 

「山じぃ。そりゃ無茶ってもんでしょぉ~。どうやって近づくのぉ?」

 

 

「儂が行く。」

 

 

夜一は憐椛をじっと見つめたままゆっくりと近づいて行く。

 

 

「大丈夫なのかぃ?」

 

 

「解らん。じゃが、儂が行かねばならん気がするんじゃ。」

 

 

そう言いながら尚も渦に逆らいながらベッドに近づき、手を握れるところまで近づけた夜一は一気に憐椛を抱きしめた。

 

 

「憐椛!しっかりせんか!!」

 

 

「・・・・・。」

 

 

すると、激しく渦を巻いていた霊圧が落ち着き始め、憐椛がポツリと何かを言った。

 

 

「何じゃ?何が言いたいんじゃ?」

 

 

「・・・よる・・い・・・ち・・さん?」

 

 

今度はハッキリと聞こえた。

 

 

「そうじゃ!儂じゃ!儂が解るか?」

 

 

抱きしめていた手を緩め、憐椛の顔を真っ直ぐと見つめる夜一。

 

 

「私も居ますよぉ~ん。」

 

 

いつの間にか浦原も側に来ていて、ちゃっかり憐椛の手を握っていた。

 

 

「き・・す・・け・さん・・」

 

 

「はぃ~!解りますかぁ~」

 

 

夜一と浦原の声を聞いて安心したのか、憐椛はまた瞼を下ろし眠りについてしまった。

 

 

「憐椛(さん)!!」

 

 

「心配ありません。ただ眠っただけです。霊圧があれだけ暴走したのです、疲れて当然です。今しばらく眠らせてあげて下さい。」

 

 

 

 

 

憐椛の霊圧暴走事件の数日後、退院する事を許された。

 

その事を聞いた銀嶺と白哉は早速四番隊舎へ迎えに行く事にした。

 

『朽木』と聞いただけで気絶する程のショック状態に陥る憐椛の事を考え、まずは夜一と浦原を先に行かせ、事情説明をした上で銀嶺と白哉が病室に入るという回りくどい面会となった。

 

最初は抵抗を示すと思っていた一同であったが、意外にも憐椛は落ち着いており、朽木家でお世話になる話しもあっさりと受け入れた。

 

霊圧の暴走を起こした事が原因なのかは解らないが、たった数日で妙に大人びて見える。

 

銀嶺と白哉の間に挟まれ、朽木家まで歩いて帰っていく3人の後ろ姿を夜一と浦原は複雑な表情で見送った。

 

 

「大丈夫ですかねぇ・・・憐椛さん・・・」

 

 

「任せるしかあるまい。」

 

 

 

 

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