時を経て再び   作:鞠藻

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第三章 初めての外食

 数日後、夜一から貰った無料券を手に一家揃って食事にやって来た琴吹家。

 

琉魂街の中でも比較的治安も良く、小料理屋や茶屋が立ち並ぶ南琉魂街5区。

 

その内の一つのお店で、父、母、兄2人、憐椛の5人が仲良く食事をしていると、男性2人と憐椛の兄達と同じ歳くらいの男の子がお店に入ってきた。

 

 

「これは、琴吹殿ではありませんか?」

 

 

突然声を掛けられ、声がした方へ視線を向けた両親の顔は一気に青ざめ、持っていた箸を落としてしまった。

 

 

「どうしておるのか心配しておったが、元気そうで何よりじゃ。」

 

 

最初に声をかけて来た男性は、長髪に髭を蓄え首には高価そうな襟巻きをしている。

 

次に声をかけて来たのは、坊主頭に長い眉に長い髭を蓄えているお爺さん?

 

どちらも威厳たっぷりで、近くを通る人達が皆頭を下げながら通りすがって行く。

 

もう一人の少年も子供とは思えぬ佇まいで、周りに居る同年代の少年達より大人びて見える。

 

 

「朽木様、山本総隊長殿・・・・・」

 

 

父が二人の男性と対面している間に、母に急かされ兄2人と憐椛は早々に店から出た。

 

まだ食事も途中だというのに突然どうしたのか気になった憐椛は一瞬振り返って父に話しかけた男性達を見た。

 

 

次の瞬間、振り返った事を後悔した。

 

 

てっきり父と話しをしているものとばかり思っていたが、3人の目は憐椛を凝視している。

 

その目は感情が読み取れず、好意的なのか悪意があるのかさえ解らない。

 

目の前に居る父の存在など忘れ去っているかのように、ただひたすら憐椛にのみ寄せられる視線。

 

怖くなった憐椛は急ぎ足で母と兄達の元へ行き、その後一度も後ろを振り向く事は無かった。

 

 

 

 翌日の夜遅く、何となく目が覚めた憐椛は水を飲もうと水場へ行こうとすると、居間の方から話し声が聞こえて来た。

 

光が漏れる隙間から覗いてみると、そこには夜一と浦原と両親の姿があった。

 

こんな夜遅くに二人が訪ねて来るのは珍しい・・・・・いや、初めてかも知れない。

 

 

「なるほど。そうなると憐椛の存在がバレたという事じゃな?」

 

 

「息子達の友達だと言いましたが・・・。」

 

 

「それで納得したとは思えないっスねぇ。憐椛さんには、一応霊力制御装置を付けて貰っていますが、総隊長と朽木隊長の目を誤魔化せるかどうか・・・。」

 

 

「そうじゃの。大抵の者は誤魔化せても総隊長殿は見抜いておるやも知れん」

 

 

総隊長と朽木隊長??憐椛は昨日の食事処で出会った3人の男性を思い出した。

 

確か、父が『朽木様、山本総隊長殿・・・』と言っていた。

 

という事は、今4人の大人達が話しているのは昨日出会った人達の事だ。

 

そして、自分の名前が出ていた・・・存在がバレたとか何とか。

 

憐椛は、先日の修行の後、夜一の膝枕で寝ていた時に夜一と浦原の話しを聞いた。

 

実はあの時、憐椛は起きていたのだ。

 

夜一の膝枕と憐椛の頭を撫でる優しい手が心地良く、目が覚めても寝た振りをして堪能していた。

 

あの時の会話で憐椛が産まれる前に何があって、今の暮らしをしているのか大体解った。

 

そして、自分の存在が家族の迷惑になるかも知れないという事も・・・。

 

 

 

「そろそろ、入って来たらどうじゃ。憐椛」

 

 

突然、中から夜一に呼ばれ一瞬驚き、渋々居間へと入った。

 

 

「話しを聞いておったのか?」

 

 

そう聞かれ、俯いたまま小さく頷く憐椛。

 

そして、修行の日の会話も聞いてしまった事を告げたが、夜一は特に驚きはしなかった。

 

 

「すみません。迂闊でした。」

 

 

浦原は、あの時憐椛が寝ていたとは言え迂闊に話題を掘り起こしてしまった事を詫びた。

 

 

()()い、遅かれ早かれ憐椛も知る時が来たじゃろう。それが、今じゃったというだけの話じゃ。」

 

 

「憐椛・・・。」

 

 

母は憐椛を優しく抱き寄せ、小さな声で『ごめんね』っと呟いた。

 

 

「ひとまず、引越しをした方が良さそうっスねぇ。あの辺りの食事処で会ったのであれば、ココもすぐに見つかるでしょう。」

 

 

「そうじゃのぅ。結界を張ってはおるが、バレん保証はない。儂は瀞霊廷の動きを探る。喜助、お主は早急に引越し先を探してくれ。」

 

 

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