翌日からは、夜一と浦原が一日交代で憐椛の所へ訪れる事になった。
修行を再開した憐椛は、まず斬魄刀との意思疎通を試みるも、邪念があるのかなかなか上手くいかない。
「良いですかぁ憐椛さん。斬魄刀を手にした者は、必ずこの修行をしますぅ。力の強い者は特にこの修行が必要なんですぅ。」
《神々の刃》を目の前に置き、精神を集中させる。
(お願い、私の呼びかけに答えて。)
瞑想する事1時間、目を瞑っているハズなのに何故か見た事のない景色が広がっている。
それは、満点の星空に壁と屋根の無い奇妙な建物。
柱や廊下や朱塗りの欄干の橋があるものの池は無い。
個々の部屋らしき物がいくつもあるが、畳は使われておらず床板仕様に部屋毎に敷かれているマットの色彩がバラバラという何とも珍妙な景色を目の前に呆然と立ちつくす憐椛。
『
どこからともなく落ち着きのある女性の声が聞こえて来た。
「誰?」
『今はまだ申し上げられません。主様の力は今はまだ発展途上、仮の始解をするだけで精一杯の状態です。このまま
女性の声が靄となって掻き消えたと同時に憐椛は現実世界に戻された。
「どうでしたぁ?」
瞼を上げると目の前に浦原の顔があり、あまりの至近距離に驚いた憐椛は咄嗟に引っぱたいてしまった。
「憐椛さぁん、酷いっスぅ~」
引っぱたかれた浦原は赤くなった頬を摩りながら、涙目で抗議する。
「スミマセン。つい条件反射で・・・・・」
「条件反射って・・・(--;)それも酷くないっスかぁ?」
その後、憐椛が精神世界で聞いた女性の言葉を浦原に全て聞かせた。
「その言葉通りだとすると、今習得している始解は仮の姿で真の姿では無いという事になりますねぇ。」
話しを聞いた浦原は腕を組み、あぐらをかいて『ふむぅ~』と思案し始めた。
「仮の姿なんてあるものなんですか?」
考え込んでいる浦原の目の前に座り込み、自分の斬魄刀を見つめながら質問をする憐椛。
「普通であれば無いです。少なくとも私の知る限りでは・・・。それだけ、その斬魄刀が特別という事なのでしょう。明日からは修行の内容を変更しますぅ~。今日はもうゆっくり休んで下さい。」
そう言うと、浦原は食材と着替えを置いて帰ってしまった。
一人になった憐椛は、この修練場の隅に作られた露店風呂に入り汗を流す。
その後は露天風呂の横に建てられた憐椛の新しい家で食事を終わらせ、再び斬魄刀と向き合い精神集中の鍛錬を行ったのだった。