A級7位比企谷隊   作:悠悠閑閑

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1話

 

 

 

仕事とはリターンを得るためにリスクを払う行為である。

 

結局のところ仕事なんて好き好んでやりたい者などおらず、結局お金と言うリターンの為にリスクと言う名の仕事をしているに過ぎないのだ。

 

つまり、リターンを求めない者にとって仕事とはやらなくても良いものであり、決して強制されるべきものではないのだ。

 

また現状のリターンで満足しているものはさらにリスクなど負う必要がないのだ。

 

それを踏まえた上で俺の言い分としては――――――――

 

 

 

――――――――これ以上仕事をしたくない。

 

 

 

 

ここは三門市『近界民(ネイバー)』と呼ばれる異次元からの侵略者が現れた街であり、近界民から世界を守るために戦う組織『ボーダー』が存在する街。

 

そんな街の一角、立入禁止警戒区域とされている区域。近界民の出現が予想されるためボーダー以外の立入が禁止された場所。

 

そんな場所に俺達ははいた。

 

 

「あ~~、帰りてぇ……。」

 

 

そんな危険とされる場所で緊張感のかけらもない声を上げるが、緊張のしようがないから仕方ない。

 

 

「何で俺こんな時間にこんな所にいる訳?」

 

 

現在の時刻は午前2時。良い子はお家で寝てる時間だし。良い子じゃなくても家で寝たくなる時間。

 

の、筈なのに俺はお外にいる。あれれ、おかしいねー?

 

 

「ホントだったら今頃布団と素敵な一夜を過ごしてる筈だったのに……」

 

 

そんな誰に向けてでもない文句が口を開けば湯水のように出る。

 

すると俺の直ぐ傍で何やら抜刀術らしきものを練習をしていた男が近づいてくる。

 

 

「ムハハハ、何を言うか八幡。深夜こそ我らが最も活発になる時間ではないか。」

 

 

その男、材木座義輝は無駄にいい声で俺にそう告げる。

 

材木座義輝、我が比企谷隊の一員でありうちのエースと言っても過言ではない男だがいかんせん言動がちょっとあれである。しかもうるさい。

 

しかし、侮ることなかれ。こんなんでもボーダートップレベルの狙撃手である。

 

さっき弧月の練習してたけどな。

 

 

「うるせえぞ、材木座。俺は1日8時間は寝てえんだよ。つうか、暑苦しいからこっちくんな。」

 

「話し掛けただけなのにひどくない!?」

 

「厨二病な言動とその巨体が深夜の俺にはクリティカルなんだよ。」

 

 

良いから向こういけ。シッシ。

 

そうジェスチャーすると材木座は分かりやすく肩を落として去っていく。

 

あんな体格してんのにメンタル弱すぎだろ、あいつ……。ガラスってレベルじゃねえな。

 

 

「相変わらず、材木座さんに対して辛辣っすね。」

 

 

そう話し掛けられて振り向くと苦笑いを浮かべた男が立っていた。

 

苦笑いを浮かべた男、我が隊の攻撃手である宮前大和は俺にMaxコーヒーを差し出しながら材木座の方に視線を向ける

 

俺はそれを受け取り宮前に代金を渡すと、すぐさま口をつける。

 

はぁ、やっぱりMaxコーヒーは最高だぜ。

 

あとで宮前には何かしっかりとした礼をしなければ。部下への恩をしっかり報いる俺ってばマジ上司の鑑。

 

 

「いいんだよ、あいつは。優しくするとすぐ調子に乗るからな。」

 

 

どうせ10分もすればケロッとしてるしな、あいつ。調子乗るとすげぇ絡んでくるから面倒くさいし。酔っぱらいの上司かよ。

 

 

「それでももう少し優しくしてあげても罰は当たらないんじゃない?」

 

「そう思うならお前が優しくしてやればどうだ、伊勢?」

 

「私は嫌よ、面倒くさい。私が普段どれだけ貴方達の世話をしてると思ってるの?これ以上はごめんよ。」

 

 

そっぽを向きながらそう告げる我が隊のもう一人の狙撃手、伊勢泉。

 

世話をしてるって俺がいつ世話になったんだよ。世話になってるのはあの二人だろ。全く失礼しちゃうわ。

 

 

「心外だって顔してるけど隊長がするはずの仕事の半分がこっちに流れてるの分かって言ってる?誰かさんのせいで……ね?」

 

「ばっか、お前。ほら、それはあれがそれだから。」

 

「は?」

 

「マジ助かってます!!」

 

 

鋭く冷ややかな目線に射抜かれ俺はとっさに謝罪を述べる。

 

思い返してみればとてもお世話になってました。伊勢さんマジ感謝してます!伊勢さんは我が隊に無くては為らない人です!ちゃんと反省してます!

 

だから、そんな鋭い視線向けないで!八幡のSAN値がゴリゴリ削れちゃうぅ!!

 

俺の反応に呆れたのか伊勢は一つ深く溜息を吐く。

 

 

『はいはーい、じゃれあうのもそこまでだよ~。』

 

 

緊張感もなく、くだらないやり取りをしているをしている俺達にオペレーターである秦野綾瀬から通信が入る。

 

 

「別にじゃれあって何かないぞ。」

 

『はいはい、そうだね。それより仕事の時間だよ。』

 

「お前ちょっと俺の扱い雑過ぎない?俺一応隊長だよね?」

 

『はいはい、そうそう言うのは泉ちゃんに仕事押し付けないようになってから言おうね~。』

 

「うぐっ…。」

 

 

扱いの不当さに異議を申し立てたら、盛大に言い負かされる。

 

部下に仕事を押し付けるのって上司の義務なんじゃないの?ソースは俺の親父。いっつも仕事押し付けられて残業させられるって愚痴ってたな。

 

 

『いいから、ほら来たよ。座標誘導誤差6.31。』

 

「へいへい。」

 

 

俺はよっこらせと重い腰を上げる。どんなに嫌でも仕事は仕事しっかりこなしますかね。

 

 

「お前ら、行くぞ。」

 

「ムハハハ、我の力を解放する時が来たか!」

 

「うるせえぞ、材木座。」

 

「だから我にだけひどくない!?」

 

 

材木座の言葉を無視し俺は走り出す。宮前は俺の後に続き、伊勢はイーグレットを構え………材木座は一人落ち込んでいる。

 

いや、さっさとアイビス構えろよ材木座。お前やっぱりメンタル弱すぎるだろ。

 

 

 

 

これが俺比企谷八幡のボーダーでの日常だ。

 

 

 

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