推しキャラが、可愛いのとスパダリと危険な香りでヤバい。(更新停滞中) 作:カミカゼ。
ぜ、前々回から数えればギリギリ月一周期で書けてるし……((
今話は主人公が悩んでウダウダしてるけど、飽くまでコイツは普通とは少しズレがあるだけの、凄い力を手に入れてしまった一般人()という感じのキャラなのでカプが決まるまで大いに悩んでもらいます。
決まっても悩んでもらうがな!((
事件に関しては原作通りなのでほぼカット。
取り敢えず、本編どぞー。
《♪〜〜♪〜♪〜〜〜♪〜〜〜!!!》
この世界線に
モゾモゾと布団の中から手を伸ばしてそれを止め、
今日は、この名探偵コナンの世界に来てから五日目……つまり、ガールズバンドの事件の日である。
え? 一日丸々飛ばしたなって?
だって昨日は実験室に一日中こもってたんだもの。
じんさんの飯は朝に全部作って、俺は朝食以外非常食として買っておいたカップ麺。
いやー。 魔術で色々創ってたら止まらなくなっちゃってさ…………。
最初は、香草煙草の様なモノ(鎮静剤の様な効果等を持たせた)とそれのケースや
創るのが楽しくなっちゃって、香水創り始めたんだわ。
んで、調香したりしてたらリップバームとかハンドクリームとかも欲しくなったから、創り始めて。
最終的に気が付いたらアクセサリー創ってたんだよね。((
アクセサリー以外にもガラス小物とかレジンの奴とか天然石(魔術製だけど)の奴とか色々創り過ぎて、創ったら満足して特に要らない物が沢山出来てしまった。
仕方が無いので、色んなSNSのアカウントとオリジナルのサイトを作って、ハンドメイド品のネットショップを開いた。
ハンドルネームは、
ロトゥスは
小物以外にも肌につける奴も売っている。 さっき言ったリップバームとか。
勿論アレルギーとかが出ない様に魔術をかけてはあるが、異常が出た場合にはすぐに使用をやめて病院に行く様にと注意書きをしてある。
クレーム対策ね。
昨日作ったばかりのサイトだが、念の為スマホでチェックしてみると、既にいくつか注文が入っていた。 後で送っとかないとな。
あ、後自分が使う奴とかの詳細は設定の方に書いておいてあるから!(メタ乙←
香草煙草の様なモノ……
「しっかし…………遂に今日、か。」
ガールズバンドのドラマーが殺される原作の事件…………。
今回は事件の前のポアロでの一件に介入するくらいで、事件そのものにはあまり深く関わるつもりは無いが…………………。
「……………………………少し気が重い、な」
助ける事は出来るのに、しない。
その事実が、重く良心にのしかかる。
「……………やっぱり、気になる」
だがストーリー上この事件は、
……………いや。 どうせ俺のエゴで介入するんだ。 気に病まずともいいんだ。
これ以上考えるな。
かぶりを振って思考を散らし、今日の計画を立てる事にする。
「取り敢えず、高校生組は制服を来ていた………つまり、学校帰りだったという事。 高校での時限は五限か六限が基本で、五限なら二時半頃に、六限なら三時半頃に大体終わる筈だ。」
だが、情報が無いから今日が何限で終わるかなんてわからない……眼で見るしかないか。
「今日はー…………五限か?」
なら、二時のちょい過ぎ位にポアロに入れば介入出来るか。 少し遅めのランチと言って。
そういえば高校生組の制服、ベストと半袖のワイシャツだったな……初夏、か?
それに他のキャラの服も、首元開けてたり襟ぐりが開いてる服だったし……。
そうだな……抜き襟で薄手のミリタリーショートジャケット(カーキ色、捲って五分袖に出来るタイプ)に、ノースリーブで膝丈のタックワンピース(真っ白、サラサラで少し伸びる生地)を合わせて、下は黒い生地で七分丈のピタッとしたチノパン(裾に少し切れ目がある)を履いて……靴は、10cm位のピンヒールのグラディエーターサンダル(黒革っぽい足首の少し上まで覆うタイプ)でいいか。
髪型は……普通に首の後ろで、大振りな青薔薇のガラスの飾りがついたヘアゴム使って括ればいいだろ。 中に金のラメ入れた奴。
「…………………メイクは魔術で自動化しよ。 めんどいし」
そう考え、着替えてジャケットだけはベッドに放って、まず朝食を作る為にキッチンに向かうのだった。
メイク? 式組むだけ組んで、今日はしなくていいや。
めんどいから。
********
「ごちそーさまでした」
「お粗末さん。」
朝食の描写?
グダりそうだったからカットしたよ。((
「…………ちなみに、今日はいよいよ原作に介入する日だけど。 ……大丈夫?」
「…………あぁ。 必要な機材とかも昨日の内に創っておいたし……眼で見ても、今の所イレギュラーは無いみたいだからな。 大丈夫だ。」
「………覚悟は、出来た?」
「………………まだ少し、躊躇いはある。 が……どうせ、俺のエゴなんだ。 今更、誰になんと言われようと、止めはしないさ」
「ならいいんだ。 ……やめたくなったら、言ってね?」
「やめない。 中途半端にやめる方が、彼等に対して侮辱になってしまうだろ。」
「そっか」(微苦笑
……………大きく、深呼吸を一つ。
「昼は、さっき作って冷蔵庫に入れたパスタをチンして食ってくれ。 午前は昨日作ったサイトの注文品出してくる。 で、その後は本屋に行って本買って、二時前に一度帰って来て本類置いたら、ギター類持ってポアロ行くから」
「わかった。 気を付けてね」
「
「おっけー!」
そんな会話をしてから自室に戻り、メイクを自動でしてくれる魔術式を組んで出来を見つつチマチマと調整し、完璧になったのを確認して解除し外出の準備をする。
「大丈夫………………俺は出来る」
オリジナルの封筒や箱で梱包したハンドメイドの注文品を、アルトに詰みつつ呟いた。
ちなみに注文品は、定形外郵便で送る。 宛先書くのめんどいけどね。
ロゴは、シルエットのブルーロータスと雪の結晶のみのシンプルなデザインだ。
それはともかく。
「………………よし、行くか」
《パンパンッ》と両頬を軽くはたいて気合いを入れ、車に乗り込みエンジンをかける。
そしてシートベルトをキチンと締めて…………目的地に向けて、車を出した。
未だ、不安は拭えきれないけれど。
********
本屋めちゃくちゃ楽しかった。((
探偵左文字シリーズが全巻置いてあったから全部買ったし、あっちに無かった面白そうなラノベとか漫画も全部買ったし、かなりホクホクだ。
勿論ハードカバー系の面白そうなやつも沢山買ったよ!((
そのせいで運ぶの大変だったけど。((
現在、予定通り二時前。
買った物は自室に置いて、セミハードケースに入れたエレキギターや携帯式のアンプ、教本等を持って自転車でポアロに向かう。
よくある籠ついたシティサイクルね。 色はラメ入った暗い蒼。
ポアロに到着ー。
盗難防止チェーンと鍵をかけて、荷物を持ち店内へ入る。
お昼は既に過ぎてるので店内はスカスカだ。
「いらっしゃいませ……あ、凌雅さん! 今日は来てくれたんですね!」(満面の安室スマイル
「どうも。 少し遅いですけど、ランチにしようかと思いまして」(薄っすら笑み
「そうですか! あ、此方の席へどうぞ!」(ニコニコ
「ありがとうございます」(会釈
ニッコニコでカウンターの一番奥の一つ手前に案内されたので、そのまま座る。
「今日もハムサンドとダブルベリーチーズケーキ、それにホットダージリンをご注文されますか?」(ニコニコ
「えぇ。 それと今日はー……カルボナーラと、フルーツパフェで!」
「かしこまりました! すぐにお持ちいたしますね!」(ニパー☆
相変わらずいい笑顔デスネ……眩しい。((
でも少し慣れてきたかも?
「お冷やです。 ……あの、初めてお会いしますよね? 安室さんの反応からして何回か来ていただいてるみたいですけど…………」
「はい、今回で三回目ですけどね」
「そうなんですか! あ、私〔
「あぁ、どうも。 自分は柚樹凌雅です」
「柚樹さんですね!」
「梓さんと呼んでも?」
「どうぞどうぞ!」
水を持ってきてくれたのは梓さん。
漸く有名な梓さんとエンカウント出来たわ……。
いくつか注文したので、今お作りしますねーと言って梓さんも調理場に戻っていった。
「お先にホットダージリンです。」
「ありがとうございます」
「ハムサンドはもう少しお待ちくださいね。 ごゆっくりどうぞ!」
「はい。 ……ん、美味し」(ほぅっ…と息吐き
安室さんの淹れた紅茶が来たので一口啜り、呟く。
やっぱダージリンは美味いわー。
紅茶を啜りつつスマホを弄っていると、ハムサンドが出来たらしく持ってきた。
「ご注文品のハムサンドになります!」
「あっ、来た♪」(パァッと笑顔に
手をおしぼりで拭いてからすぐさまかじりつき、感嘆の声を上げる。
「んー! 美味ぁ〜♪」(花ぽわぽわ
「ふふっ……w よかったです」(クスクス
頰を緩めながらモキュモキュとハムサンドを頬張り、動物だったら尻尾をブンブンしているであろう位にご機嫌なオーラを放つ。
「うふふっ♪ お待たせしました、カルボナーラです」
「にゅっ! 来たぁ!」(パアァァア
「ック……ww」
「ふふっ………ww」
喜色満面で、いつもよりも半音どころか一音高いんじゃないかってくらいに嬉しそうな声が出た。
だってカルボナーラ大好きだもの!
「(カルボナーラ一口)んん〜ッ♪ うんまぁ〜♪」(キラキラキラ
「(笑うの堪えつつ)っふ……本当に美味しそうに食べてくれますよね」
「だって美味しいですもん! カルボナーラもパスタん中で一番好きですしっ!」(キラキラキラ
「そうでしたか!」(隣座ってニッコニコ
「(モッキュモッキュ)……所で、戻らないんですか?」
「今はお客さんがあまり居ないので暇ですし……それに、凌雅さんとお話したいですから。」
そう言って
いきなり、若干顔を近付けて来ながらボディタッチをされ、思わず「ふみゅっ?!」と変な声が出る。
「………その顔とボディタッチは、流石にやめていただきたい(心臓に悪いので)」(真顔
「おや。 こういうのはお嫌いですか?」(ニッコリ
「いやそーゆー問題じゃない。」(若干早口
心臓に悪いので! 突然のロミトラは!! やめていただきたい!!!
や め て い た だ き た い ! ! ! !
いやほんっと勘弁してくれ心臓が持たんわ!
しかも、勘違いしたであろう梓さんがなんかキラッキラした眼で見てきてるしィ!!
違いますからね?!!
「あの……手……………」
「はい?」(ニコニコ
「いや、食べ辛いんで離してください」
「……………」(ニコー☆
「いや誤魔化されませんからね?」
いつの間にかキュッと右手を優しく包み込む様に握られており、めちゃくちゃ気恥ずかしいんだが。
表情はほぼ真顔だがな!((
しかもなんかサリサリ指先で、指の股とか手の甲とか撫でてきてるし!
やめて?! なんかぞわぞわするから!!!
ハァー………くそ、どうやったら離してくれっかね。
左手で額を押さえながら溜息を吐いて……試しに少し低めの声を出し、キリッとした顔をしながら耳元で下の名前を呼んでみる。
「………………………………透、」(イケボ
「ッ!?」(ビクッ
「離せ。」(イケボ
「はっ、はぃ…………」(カァッ…
キュッと左手で、握ってきている安室さんの手を同じ様に優しく握ると、薄っすら頰を染めながら眼を逸らして離してくれた。
「全く………………」(フー……
やっと離してくれたので一息吐く。
………………………………………………………………しっかしクッソ可愛いな照れ顔!!!!!!!
可愛過ぎるだろソレェ!!!!!!!!!!
マジでヤバイ!!!!!!!!!!!!
あまりにも可愛過ぎて顔がニヤけそうになるのを堪えながら、なんとか真顔でカルボナーラを食べ続ける。
「あ、あの……凌雅さん………」(頰ピンク
「なんれふ?」(モキュモキュ
「そ、そのー………も、もう一度僕の名前を……」
「………………」
「………………」(頬染めつつ期待の眼でジッと見つめ
「………………………………安室さん。」
「そうじゃなくて……………」(しゅん…
▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▇▅▂ うわあああああああ
可愛過ぎ……死ねる………。((
わざと苗字で呼んだらワンコがしょんぼりしてる感じで垂れ下がる耳と尻尾が見えるんですけど!((
可愛い……天使………。((
映画じゃヒビが入ったRX-7のフロントガラス左拳で叩き割ってたゴリラだけど。((
「あの……柚樹さん? もしかして、安室さんと付き合っt」
「ま せ ん 。」
「えぇー……」(残念そうに
「いや、えぇーって……なんでさ」
梓さんェ……そんな残念そうにされても困る。
「ハハ……残念ながら付き合ってはいませんよ。 ………なれたらいいなぁとは思ってますけどね」(ニパー☆
「え! やっぱり安室さん、柚樹さんの事好きなんですね!」
「アプローチしてるんですけど、流されちゃうんですよね……」
「えー、美男美女でお似合いなのにー!」
わざとらしく眉尻を下げて苦笑する安室さんと、突然の恋バナにキャピキャピする梓さん。
…………あれれー?
おっかしいなぁ?((
「なんで柚樹さん、安室さんと付き合わないんですか?」(キラキラ
「いや、そもそも会うのまだ今回で三回目ですから」
「えっ?! そうなんですか!?」
「はい! 凌雅さんが初めてここにいらっしゃった時に一目惚れしまして。」(ニパー☆
「うわぁー!」(キラキラキラ
「うわぁー……」(若干引き
俺と梓さんが、同じ言葉の筈なのに完全にテンションも意味も正反対な台詞を口にする。
いや、ね? 推しにそう言ってもらえるのは嬉しいっちゃ嬉しいんだが。
何故に自分?ってなるんだよね。
ましてやアレだよ?
この人
安室の女()を大量に生み出したり、その上数多の女性を日本()にした人だよ?((
俺に一目惚れとか、有り得ないよね〜!
顔はとにかく良いんだが胡散臭い。 安室透はそんな男である。
どーせロミトラだよね。
というかまず、ロミトラじゃなかったら全国の安室の女に次元超えて刺されかねないから。
次元超えなくとも、過激派のJKに刺されかねないから。
まぁ、ロミトラでもいいから口説かれたいって人は大勢いるだろうけど。 安室さん、顔がいいから。
あ゛ぁ゛ー……胃に穴開きそ…………。
今安室さんのファンが居なくて良かった……。
「……………ん、カルボナーラ無くなった」
「あ、じゃあ今デザート持ってきますね! ダージリンのお代わりも要りますよね?」
「はい。 お願いします」
「少々お待ちくださいね♪」
準備の為に席から立ち、食べ終えた食器を持って離れていく。
紅茶は梓さんが、ケーキ類は安室さんが作るみたいだ。
水を飲みながらスマホでネット小説を読んでいると、先にダブルベリーチーズケーキが運ばれてきた。
「お先にダブルベリーチーズケーキです♪」
「ん! ありがとうございますっ」
んー……っ♪ いつ食べても美味いにゃぁ♪
やっぱり大好きだわーコレ♪
そんな風にモキュモキュ食べてると、梓さんが紅茶を持ってきた。
あ、ちなみにホットの紅茶は二杯分がティーポットに入ってくるタイプだ。
紅茶は最低でも350cc……つまり、大体紅茶のカップ二杯分で一度に淹れた方が美味しく淹れられる。 ポアロはわかってるみたいだな。
カップに注いで一口…………うん?
「んん? 薄……あれ?」
あといつもより温い………? んん?
いやまぁ、温度はいつも飲んでないとわからないくらいだけど…………。
「あのー……梓さん? ちょっと……」
「え? なにか問題ありましたか?」
「なんか薄くって……コレ、何gで何分蒸らしました?」
「書いてある通りに一杯分3gで三分ですけど……」
「つまり6gで三分?」
「はい」
「リーフ、茶葉の大きさはどんなのですか?」
「えっと……コレです」
「……ちょっと大きいリーフだな。 あ、お湯はどんな水をどう入れました?」
「普通に水道水を沸かして入れましたけど……」
「もっと詳しく!」
「えぇー……? 沸騰したのを、こう……茶葉を入れたポットにー………」
ら、埒があかねー…………。((
違うんだよ梓さん………それを聞きたいんじゃないんだよ………………。
「いや、そうじゃなくて……お湯の温度とか、お湯が沸騰してどのタイミングで入れたのかとかですよ」
「温度はわかりませんけど……沸騰してすぐかな?」
「ボコボコしてました?」
「してました」
「じゃあそのお湯どうしました?」
「えっと、ティーカップに入れて二杯ポットに………」
「………あー。 それだわ」
「梓さん…………それ緑茶の淹れ方です」
「えっ、うそ!」
そりゃ、若干低いわな…………。
「えっとですね。 紅茶は基本95℃から90℃のお湯で淹れないと上手く抽出されないんですよ。」
「緑茶は基本80℃が適温ですから、それでいいんですけど……」
「へー……そうだったんですね」
「なんなら一から説明します?」
「是非!」
説明しよう! ……とかはまぁいいとして。
「まず、紅茶を淹れる際には軟水が好ましいです。 硬水だと紅茶のタンニンと反応して濁りますし、旨味が抽出されにくいですから」
「その点、日本の水は軟水なので紅茶に最適なんですよ!」
「
「ジャンピングとは、茶葉がゆっくり浮き沈みする現象の事で、これが起こる事によってより紅茶の香りや旨味が抽出されるんですよ」
「へぇー!」
ちょいちょい安室さんも一緒に説明してくれるので楽だ。
「なので、よりジャンピングさせる為に使う水は新鮮で汲みたての水道水……それも勢いよく出して空気を沢山含ませた水が一番いいんです」
「成程ー……」
「次に茶葉。 ティースプーンを山盛り一杯が約3gの筈なので、今回の場合それを二杯入れましょう。 この茶葉はフルリーフ程じゃないですけど少し大きいブロークンタイプなので少し長めに蒸らした方がいいでしょうね。」
「凌雅さん、この茶葉ならどれくらい蒸らした方がいいと思います?」
「そうですね……これだったら四分から四分半位やるかな? 安室さんはいつもコレ、どれくらい蒸らしてるんです?」
「大体一緒ですね! 四分十五秒程蒸らしていますよ」
「じゃ、梓さん。 今度からコレを淹れる時はそうしてください」
「わかりました!」
「あぁ後、カップ温めるのは正解ですけど温めたお湯は捨ててくださいね。 紅茶を淹れるには温度が低いので」
「はい!」
「それにしても………凌雅さん、かなり紅茶に詳しいんですね!」
「ハハ……まぁ、好奇心が高じて色々調べたんで………そういう安室さんも結構詳しくって驚きましたよ」
「僕は知り合いに紅茶の詳しい人物が居まして………色々教わったんです」
「ほー、そうなんですか」
んー………これは、どっちだ?
イレギュラーなのか、それとも単に誤魔化したのか………………。
イレギュラーだとすれば、また紅茶の詳しい人物が出てきた訳で……もしかしたら赤井さんの言ってた人物と同じ可能性もある。
紅茶に詳しい知り合い……一体何者なんだ………?
「お待たせしました、フルーツパフェです!」
「ん、来たか」
考え事をしつつモグモグ食べていると、果物が沢山乗ったパフェが来た。
「ん…………普通に美味いな。 果物美味ェ」(モキュモキュ
「そうですか、それは良かった」(ニコニコ
甘過ぎないし、フルーツだからさっぱり食べられる。 でもリピートする程じゃないかな……たまにで良いや。
他のデザートでリピートするなら………レモンパイかなぁ。 アレ結構美味しかったし。
そんな事を考えていると、ドアベルが鳴って外から女子高生組と主人公君……蘭ちゃんと園子と世良ちゃんと江戸川少年が入って来た。
「安室さんこんにちわー!」
「あぁ、いらっしゃいませ! お好きな席へどうぞ!」
「……あれ、もしかして柚樹さん?」
「柚樹さんだ! 久し振りだね、来てたんだ」
「ん、久し振りだな毛利さんに江戸川少年」
「え、蘭! 誰よこのイケメンなお姉様!」
「ボクも気になるな。 どこで逢ったの?」
「ポアロだよ! ホームズの話で仲良くなったんだぁ!」(猫被り
「その後、新一の家でずっとホームズの本読んでたらしくて……六時になってからやっと連絡が来て怒ってたら、途中で電話を変わって自分のせいだから怒らないでやってくれって。 それに家までコナン君の事送り届けてくれたの」
「「へぇー」」
「そうなのね。 あ、私〔鈴木 園子〕って言います!」
「ボクの名前は〔世良
「鈴木さんに世良さんだね。 自分は柚樹凌雅という。 宜しく頼むよ」
「柚樹さんね! そうだ、私の事は下の名前で呼んでくださいよ! お姉様イケメンだし!」
「ハハッ……お姉様なんて、ガラじゃないんだが……」(苦笑
「私も下の名前で呼んでください! 苗字だと父と紛らわしいので……」
「ボクもさん付けはやめてほしいかなー」
「僕も名前がいいな! 江戸川とか長くて呼びにくいでしょ?」
「そうかい? じゃあ、えっと………………」
ヤベェ、頭ん中で呼んでる呼び方だとちょい馴れ馴れしいかね……んー…………。
「ん、と………取り敢えず、コナン君に蘭さんに園子さんに……………世良ちゃん?」
すまぬ、さん付け以外だとこれしか思いつかん。((
「あっ、世良ちゃんずるーい! 私もさん付けナシで!」
「私も、柚樹さんみたいな年上の人にさん付けされるのはちょっと……」
「えー……じゃ、蘭ちゃんに園子?」
「あれ? 私だけ呼び捨て?」
「なんか、ちゃんとかよりも園子!って感じがして?」
「わかる! 園子君って、ハキハキしてるから呼び捨ての方が似合うよな!」
「確かに、言われてみれば園子って呼び捨ての方が似合ってるかも?」
「えー、そう? まぁなんか特別感があるからこれはこれでアリか!」
「ククッ……w ……あ。 そういえば、さっき年上の人にーって言ってたけど、何歳に見えているんだ? 江戸川少年は知ってるから黙っててくれな」
「はーい!」(にゃーん
「僕はどうします?」(ニコニコ
「黙って? どうぞ? というか彼女達の注文取らないんです?」
「あ、そうでしたね」
ふと思い立ち、ボックス席に座った女子高生組に聞いてみる。
先に注文してから、少し悩みつつ彼女達は俺の年齢をこんな風に言ってきた。
「えーと……結構大人っぽいし25歳くらい?」
「えぇー? もうちょっと上じゃない? 7か8とか!」
「じゃ、ボクは間を取って26かな。 どう?」
「アィエー………?」
んんー? これはどんな反応すりゃーいいんだ?
「そんな上に見えるかね…………? 自分22なんだが……………」
「「「えぇー!」」」
「ハハ………まぁ俺も最初はそう思った」(苦笑しつつボソリ
「凌雅さんは妙に大人びて見えますからねー。 雰囲気が落ち着いているというか。」
「へー……柚樹さん私の一個下なんだー………」
出来たドリンク類を運んで来つつそんな事を言うポアロ組と、ボソッと呟くコナン君。
そんなに大人っぽいか、俺………?
確かに精神年齢診断的なのでは、大体三十代判定出るけどな。((
「つまり安室さんとは逆のパターンなのね!」
「あぁ、そういやこの人29だっけか」
ほんとベイビィフェイスだよなこの人。((
「あはは……まぁ僕の事は置いといてくださいよ。 それよりも、凌雅さんの持ってきたソレの方が気になるんですが」
「あ、このギター?」
ヒョイ、と横に置いていたセミハードケースを持ち上げる。
「いやー、はとこが友人から貰ったらしいんだけども。 自分は弾かないからってくれたんだ」
テレキャスタータイプの、ボディとヘッドが黒地で、縁が金になった暗い蒼色をしたトライバル柄な感じの炎が描かれているエレキギターを、ケースから取り出して見せて苦笑した。
「貰ったからには弾かないとかなって思ってね、この機会に始めようかと。 防音室は流石に家に無いから貸しスタジオにでも行って教本見ながら練習しようかなって。」
「へー、かっこいいギターですね!」
「柚樹さん、ギター弾けるの?」
「まぁ高校の時に授業でやったっきりだけど、なんとかなるっしょ。」
「………って、あぁーッ!! ギターで思い出した!!」
「ん?」
突然大きな声を上げて立ち上がる園子。
「バンドよバンド! ウチら三人で、女子高生バンドやろーよ!」(座り直し
「えぇ?」
「なんで急に……」
「昨夜やってた映画の、女子高生バンドがヤバカワでさー!」
「へー……」
来た! 原作の台詞!
「園子姉ちゃんはなんの楽器するの?」
「ドラムに決まってんでしょ! そのバンドのドラムの子が私に似てて、かっこよくって!」
「あー、りっちゃんね。 確かに元気な所とかムードメーカーな所もそっくりだな」
「そうなんだー……。 じゃあ、私はー……」
「蘭は黒髪ロングだからベース! そのバンドのベースの子がそうだったし!」
いくら澪に似てるからってその決め方はどうかと思うぜ、園子嬢……。(冷や汗苦笑)
「で、でも私ベースなんて弾いた事無いし」
「蘭姉ちゃんはピアノの方が得意だよね?」
「じゃあ、ボクがベースやろうか?」
そんな風にトントンと、ほぼ原作と同じ様な会話が続いていく。
そして、彼女達から見て奥側のボックス席に座っていた男性が退店し、安室さんが梓さんにテーブルを拭いてくれと頼んだ。
それを聞いて再び大きな声を上げながら立ち上がる園子。
「ギター居たー!」
「え?」
「そのバンドにも、梓ってギターの上手い子が居たのよ!」
「あずにゃんか。 確かに居るけど……」(苦笑
触った事無いし女子高生じゃないからと言う梓さんに対して園子は、ロリ顔だから制服を着ればバレない等と言いながら、あの例の台詞を言った。
「ちょっと練習すれば弾ける様になるって! ジャジャーンって!」
「じゃぁ弾いてみろよ!」
それに原作通り突っかかってくる二人の客。
いきなりギターを渡され、オドオドしながら少し音を鳴らすも変な音が出て、ゲラゲラ笑われる園子。
「なんだ弾けねーじゃんよォ!」(ゲラゲラ
「弾けねぇのにナマ言ってんじゃねーよ、JKがよォ!」(ゲラゲラ
「ぅ……………」(涙目
……………やっぱ胸糞悪ィな。
「…………………………貸して」
「え?」
そんな時、園子からサッとギターを取り自分にかける安室さん。
来た、ここだ!
「お、安室さん弾くん? なら俺もやろっかな」
自分の携帯アンプにシールドを刺してギターと繋ぎ、立ち上がる。
そして、安室さんに合わせて俺も一緒に弾き始めた。
テンポ良く、安室さんのギターをメインとしてジャカジャカとかっこよくギターを弾く。
《キュイィーーンン…ジャジャンッ!》
そして最後にビシッと決め、チラリと突っかかってきた二人組を流し見た。
二人共ポカーンとした顔をしていて、口が開いたままになっている。
ザマァ!wwwww
「いやー、俺も高校一・二年の時以来だけど、結構覚えてるもんだな!」
「この子達も、ちょっと練習すればこれくらい弾ける様になりますよ……」(ギター返し
「二人共すっごーい……」
「園子さんも、ビッグマウスは程々に……」
「うん……!」
ここで終われば原作通りなんだが、俺は奴等に前々から言いたかった事を、ブチ撒けた。
「というかさー……テメェ等」(いきなりトーンが極低音になり
ギロリ、と睨みつけながら薄っすらと殺気を向けつつ荒い口調で罵る。
「これから始めるってー初心者にいきなり渡しても弾けるわけねェだろうが。 なんだ? テメェ等は練習もせずに、教本とかも何も見ずに最初からタラリラ弾けたっつーのか? ん?」(ガン付け
かなり薄くしてはあるが、殺気を向けられてタジタジになってビビる男共。
「そうでもねェのに馬鹿げた事言ってんじゃねーよ………ナマ言ってっと、ブチコロがすぞ? ゴラァ」(極低音ボイス&目付き極悪&歯を剥き
そう言って、今にも噛み付きそうな感じの顔で、最後若干殺気を強めつつガンを付けた。
「というわけで。 君もあまり気にしなくてもいいと思うぜ♪」(コロッと表情を変え微笑み
ずっと言いたかった事を言い終えたので、クルリと園子に向き直り笑いかける。
女子高生組は呆然として、少年と安室さんは冷や汗を掻きながら苦笑していた。
「あ、そうだ。 ……代金置いてとっとと失せろ」(ギロッ!
「「ヒッ! す、すいませんでしたァ!!」」
思い切り睨みつけながら低い声を出すと、奴等は怯えて会計をして逃げていった。
いい気味だ!
「ふふーん……w スッッキリ♪」(満面の笑み
「うわ……かわいそー……」(冷や汗苦笑
「柚樹さん、あんな顔出来たんだね……」(冷や汗苦笑
「いやー、あーいった
「でもそんな所も魅力的です……」
「「え?」」「ん?」
トチ狂った台詞を言った安室さんを、不思議な眼で見る女子高生組。
梓さんとコナン君は理由を知っているので、苦笑している。
「ハイハイ、寝言は寝て言いましょうネー」
「寝言じゃありませんよ!」
「冗談も程々に。」
「冗談でもありません!」
「脳外科紹介しましょうか?」
「脳の病気でもありません!」
なんか漫才みたいにポンポン返してくるから楽しくなってきたwwww
「僕は本気ですからね!」
「ハイハイ乙乙。」(テキトーに流し
「凌雅さぁん!」
「梓さーん、お会計お願いしまーす」
「はーい!」
「あ、待って柚樹さん! JKと美女バンドって事にしてギターで入ってくれない!?」
「え、なんか俺だけ浮きそう……まぁ良いけど」
「やった!」
「んじゃ、これから貸しスタジオ行くけどついてくる? 楽器も借りれる筈だし、練習少しは出来るだろ。」
「行く行く!」
「いいですね!」
「あぁっ……………ぼ、僕もついていきます! ほら、教える人は多い方がいいでしょう? シフトも終わりなので!」
「そうです? まぁ、いいですけど………」
俺と漫才をした事でかなり流れが変わったが、結局安室さんもついて行く事になった。
でも、あの台詞が無いと駄目な様な気も……。
「なぁ、アンタ……」
「はい?」
あ、この感じ。 アレ来るな。
「ボクと何処かで……あった事、無いか?」
「今日が初めてだと……思いますけど?」
そんな会話が後ろでされる。
よかった。 ちゃんとあの会話出たな。
全然違う流れだけど、なんとかなったか。
取り敢えず一安心だ。
********
「ウソ!? 部屋が全部埋まってる?!」
着きました、例の貸しスタジオ。
そして原作通り満室。
一時間待てば空くと店員が言い、一時間くらいならと原作通りの流れで地下の休憩所に。
そこで世良ちゃんがベースのドレミを弾き、そのベースの思い出話をしながら、安室さんと世良ちゃんが原作通り駆け引きをする。
その横で原作通り言い合いを始めたガールズバンド。
ドラムの担当らしい萩江と呼ばれたニット帽の太めな女性が、原作通り休憩を取ろうと言って仮眠をしに行った。
その後も、原作通りの会話が聞こえる。
………………確か、あのドラムの女性が被害者になるんだったか。
……………………………………嗚呼。
助けなくて、ごめんなさい。
********
「では、曲は沖野ヨーコさんのダンディライオンだとして……誰がボーカルをするんです?」
「「「え?」」」
「えっと……園子、だよね?」
「いや、私一度に二つの事出来ない人間だから……世良ちゃん歌う?」
「ボクは遠慮しとくよ……蘭君の彼氏の新一君はどうだ?」
「え?」
「彼ならギターも弾けるんじゃないか?」
「し、新一はヴァイオリンは弾けるけど……ギターはどう、かな? 歌は、コナン君並みに………ねぇ…………」(苦笑
「じゃあ、残るは柚樹さんだけだけど……」
「んんー………キー的には、普通に歌えるだろうけど…………あの人の声質可愛い系だからなー。 自分の声と合わないんだよね。」
「でも歌えるんでしょ? なら………」
…………………そろそろ来るか。
そう考えた時、上のスタジオから大きな悲鳴が聞こえてきた。
「………
走り出す探偵組(コナン君と安室さんと世良ちゃん)を追いつつ、小さな声で呟く。
万が一聞かれてもわかりにくい様にドイツ語で。
そして、現場に駆けつけてみれば…………原作通り、絞殺された被害者が、ドラムに寄りかかり死んでいた。
首には勿論、
防犯カメラを見れば犯人がわかるだろうと、見に行けば……原作通り、携帯の裏で見えず。
原作通り。
原作通り。
原作通り。
原作通りに、事件は変わらず進んでいく。
俺が、介入しないから。
俺が……………
「柚樹さん?」
「……ん?」
突然声をかけられ、下を見れば主人公君。
「どうかしたか? 少年」
「あのさ……この事件、漫画にも出てきたか?」(コソコソ
「あぁ。 事件自体はそこまで重要じゃないんだが、事件の合間にされる会話がかなり重要な位置を占める事件だよ」
「じゃあさ、犯人とトリックわかるよな?」
「それは…………」
…………が、今は眼があり、誰が犯人かどうかも全てわかってしまう。
………………………………しかし、あの会話が出るまでは、言う訳にはいかない。
「…………………………………………悪ィ。 金無いからその話が載ってる巻読めて無いし、俺元々物覚え悪いからネタバレの奴読んだんだけども被害者位しか覚えてなかったんだ」
「じゃあせめて被害者が生きてる時に……!」
「なんて言えって? 事件の理由も覚えてないのに」
「ッ……………」
「…………悪いな。
そう言って、嘘を吐いた。
真っ赤な、真っ赤な、深紅の嘘を。
エゴで固めた、身勝手な嘘を。
覚えてないなら仕方が無いと、証拠探しに戻っていく少年。
警察は、原作通り凶器が見つからないと四苦八苦していた。
世良ちゃんも、原作通りにギターケースを背負った人を見ると兄を思い出すと、思い出話をしながら安室さんと駆け引きを続けている。
………しかし、待っている間暇だな。
あの会話が終わった後は、事件を解決するだけの筈だし………………。
「えぇっ!? もう一度ボディチェックしたい?!」
思案していると、そんな声が聞こえてきた。
……そろそろか。
どうやら介入しなくても済みそうだな。
もう少しだ。
コナン君が、眼鏡をしたキーボード担当の女性に話しかけ、スマホを見せてもらっている。
…………………そのスマホの演奏している映像を見ながら、探偵組がニヤリと笑った。
「…………漸く、気付いたみたいだな」(ボソッ
いい加減待ちくたびれたぜ………。
チラリと見れば、まだ凶器が見つからないのかと言っている警察官……目暮警部。
…………これ以上待つのはめんどいし、話しかけるか。
犯人はここから出ていないんだし。
「目暮警部。」
「む、君は………どうかしたかね?」
「どうやら探偵組が、事件の真相に辿り着いた様なので……伝えようかと。 ちなみに、犯人は外部犯では無いですよ」
「何っ?! 犯人がわかったのか!?」
「えっ!?」
「はい、勿論。 だよな! ……探偵諸君?」(ニッ
振り向きつつニッと笑いかければ、同じ様にニヤリと笑い返してくる探偵三人。
犯人を告げる為に、容疑者達の居る休憩所に向かい。
「………では、
どこか芝居がかった動きで、話を促した。
「まずは、凶器の在処から………ね。 サクサクどうぞ」
「そうですね。」
そこから始まる、推理ショー。
凶器は毛糸。
殺害した後は、横のドラムスティックで被害者のニット帽に編み込まれ、遺留品として警察が回収してしまった為に凶器として見つからなかった。
しかし調べれば被害者の血痕が付着しているだろうし、昨今の科学技術ではフワフワしてるテニスボールからでも指紋が取れるので、証拠としては充分だ。
この時点で、既にCheck。
次に立ち位置。 立つ場所でスマホをカメラの前にかぶる様に操作出来た人物。
被害者のドラムは基本動かず、前に居たベースとギターの二人はどう動いても大体入る。
左上に居たキーボードだけは、立ち位置でスマホの位置を操作出来た。 ドラムから離れればスマホの画面から映らなくなってしまう位置だから。
それを利用して、彼女はスマホの位置を操った。
遠過ぎればカメラとスマホがかぶらず、近くてもスマホがカメラから離れてドラムがカメラに映ってしまう。 そうならない絶妙な位置を陣取って。
そうして、カメラから見えない寝ていた被害者を毛糸で絞殺した後、キーボードの前で曲を直すフリをしながらニット帽に凶器を編み込んで隠蔽した。
被害者がドラムの前で眠るのを知っていたらしいし、タイミングよく仮眠を取らせるのはペットボトルに睡眠薬を仕込んでしまえば、なんとかなる。
「まあ、この貸しスタジオのゴミ箱を全て探せば、睡眠薬の付いたペットボトルが見つかる筈ですが…………」
「よーし、探せ!」
「はい!」
「それとニット帽を調べる様に鑑識に伝えろ」
「わかりました!」
様々な証拠を突きつけられた犯人……キーボード担当だった〔小暮 留海〕は、追い詰められて叫んだ。
「ま、待ってよ! ハサミは!? 毛糸を切るならハサミが必要でしょ!?」
確かに、ニット帽にはポンポンが付いていたのだが、それを一度取るにはハサミが必要になる。
だが、それも爪切りを事件前に彼女は借りていた為余裕で出来る。
「私がやったって証拠が、どこにあるのよ!」
「いいや、バレバレだよ………」
「え?」
「…………爪。」
叫ぶ犯人に、ゆったりと近づいてその手を取り、最後の証拠を突き付けた。
「爪切りを借りたのに、どうして切っていないんだ?」
「ッ………!」
「アンタはわかってたんだろう? 彼女が死んで、練習は出来なくなるから……爪を切る必要が無い事を。 …………ちなみに、最近の科学技術では、毛糸だろうが硬式のテニスボールのフワフワの表面だろうが、指紋取れるから。」
「………………………」
「それでも、まだ違うと言い張るならば…………どうぞ。 いくらでも反論を?」
Checkmate。
結局犯人は自供。
殺害の切っ掛けも、ただのすれ違った上での勘違いから。
勘違いで殺してしまった事を知った犯人は、後悔に
その声が、枯れて消えてしまうまで。
********
事件が解決して、店から出る所で原作通りの会話をする女子高生組。
世良ちゃんの兄……赤井さんの話や、世良ちゃんにベースを教えた人物……スコッチの話。
確か、原作ではこの事件がスコッチの初登場する話だったか。
原作じゃ、未だにスコッチの本名出てないんだよな………。
…………後で、
新情報出てる可能性あるし。
斜め後ろを千里眼でチラ見すれば、話を聞いて少し険しい表情をしながら普段と違うスイッチの入った眼(主にバーボンの時の眼)をした安室さんが見える。
…………じんさん曰く、過去に戻った俺が色々救済しているらしいが、やっぱりそれでも赤井さんとの確執は消えてない様だ。
元々そりが合わないんだろうか。
千里眼を切って視線を前に戻し、女子高生組について行く。
「……………凌雅さん。」
「はい?」
安室さんが隣に並び、歩きながら突然話しかけてきた。
「コナン君には覚えてないと言っていましたが…………この事件の結末、知っていたんでしょう?」
「…………ほー。 何故そう思ったんです?」
「貴女はあまりにも冷静だった。 それに………最初からずっと、被害者と、犯人の小暮さんを見ていたでしょう?」
「………………」
「それは、彼女が殺人を犯すと。 殺人を犯したと知っていたから。 ……違いますか?」
「……………フッ。 こーさんです。 被害者と加害者、そして動機と結末は覚えていました。 トリックは、最初は覚えていませんでしたけどね」(両手を上げて苦笑
「最初は……という事は、途中で思い出したんですか?」
「いいえ? ただ、 “
「見た………………?」
「えぇ。 ……詳しくは、まだ秘密ですけど。」
「教えてくれないんですか?」
「えぇ、まだ。」
「………………そうですか。 ちなみに、事件を止めようとは思わなかったんですか?」
「………………………………………………」
………………………………………………………。
「………? 凌雅さん?」
「………………No comment. 」
彼に合わせていた歩調を速め、安室さんからスタスタと離れる。
その質問は、今一番聞きたくなかったモノだから。
表情が消え、ほぼ真顔になっているのを感じつつも、女子高生組に話しかけた。
「自分、このまま家に帰るわ。 はとこが待ってるし、読みたい本もあるからさ」
「えぇー、そうですか? あっそうだ! LIJN交換しましょーよ!」
「それはいいな!」
「あ! 私も交換したいです!」
「じゃ、QRコード出すからそれ読み取って一言送ってくれ。」
「「「はーい!」」」
LIJNの連絡先が一気に増える。
「………良ければ、僕も交換したいのですが。 駄目ですか?」
「別にいいですよ? LIJNですし」
「ありがとうございます!」(ニパー☆
あ、この笑顔はちょっと作り物っぽい。
笑顔の種類、結構わかってきたかも。
送られてきたLIJNのアカの表示を編集し、蘭ちゃんの物には【
勿論コナン君のは【Little Holmes】ね!
Fräuleinは令嬢という意味で、Klarheitは透明という意味。
あ、ちなみに俺のLIJNのアカ名はLINEと同じだったが【
LINEの方の名前は言わないけど。
「アカ名、名前とは一切関係無いわかりにくい奴だから表示名編集しといてねー」
「わかりました!」
「それじゃ、自分はこれで。 何かあったらLIJNに連絡くれ、変な時間とか用事が無ければすぐ返せるから」
「はーい!」
「またね、柚樹さん」
「おぅ」
自転車に荷物を乗せて彼等から離れる。
約一名程なにか言いたそうな顔をしていたが、気にせず無視して漕ぐ。
とにかく、今は帰りたかった。
暫く自転車を漕ぎ、スーパーに寄って足りない物と酒やカップ麺等を買い、自宅に帰る。
「………………ただいま」
「お帰り! リョウちゃん!」
鍵を開けて玄関のドアを開き、帰宅を告げた。
それを聞きつけて駆け寄ってきたじんさん。
「あれ、またお酒?」
「今日は呑む。 明日は…………米花デパートで少年探偵団が関わる事件だが、イレギュラーは無さそうだからな。」
「だからカップ麺?」
「そう。 作るのめんどいから」
買った食品を片付け、チンするだけで食べられる冷凍食品のラーメンをレンジにセットしながら答えた。
「…………ちなみに、今日はその冷食?」
「そう。 作る気が起きないから」(ピッピッ
「そっかー……まぁ、最近のは美味しいけどね」
レンジをスタートさせて、酒盛りの準備をし始める。
今日は、
オールドファッションドグラスを冷凍庫にINして冷やし、氷も冷凍庫に入れて、
「………ん。 終わったか」
そうこうしている内にレンジが鳴り、中から冷食の袋を出した。
器には既にスープをお湯で溶いてあり、そこにチンした麺をぶち込む。
「出来たぞ。」
「あ、出来たー? ちなみに何味?」
「豚骨醤油。」
器をテーブルに置き、他の物と一緒に買ったカップに入っているカット野菜にドレッシングをかけながら椅子に座った。
一応野菜も食わないと体に悪いしな。
「これはお前さんの分な。 ……いただきます」
「ありがと! いただきまーす!」
…………ラーメン美味ェ。
やっぱ最近の冷食は凄いな。
そのまま互いに無言でラーメンを啜りつつ、カット野菜を
「……………………何も、聞かないのな」
あらかた食べ終えた所で、ポツリと呟いた。
「聞かないよ。 だって、そんなあからさまに疲れてるんだもの……掘り返す様な真似はしないよ」
「そっか。 …………………………ありがとう」
「どういたしまして。」
さりげない優しさが、身に染みる。
それは小さな事だけど、ひどくありがたかった。
「…………………………ごっつぁん。 よろしく」
「うん、食べたら洗っとくね」
「ん。」
口数が少なくなっているのを自覚しながらも、アイスペールに買ってきた氷をガラガラと放り込みソファの前の低いテーブルに置く。
そして、同じく冷凍庫から取り出したグラスを持ってソファにドッカリと座った。
買った酒類は常温でも問題無い物だけなので最初から並べて置いてある。
グラスに一つ、大きめの氷を入れて何を呑むか悩み手が止まる。
「………………………最初はスコッチでいいか」
瓶に伸ばして止まっていた手を動かし、スコッチの瓶を取って蓋を開け、グラスになみなみと注いだ。
そのまま勢いよく、グイッとグラスを傾けて一気飲みする。
流石にアルコール度数が40%もあるウイスキーだ、喉が少し焼ける感覚があった。
ま、ウォッカや泡盛とかと比べればまだ低い方だけども。
「っハァ……………」
一気飲みして一息吐き、またスコッチをなみなみ注いで一気に呷る。
強めのアルコールを急に摂取したせいで頭がクラリとするが、気にせず呑んでいく。
「んっ……ん……っぷは。 ………ん……………」
再び空になったグラスを暫し見つめ、氷だけ入った状態で揺らすと《カランッ》という涼やかな音が鳴った。
手に持ったままの瓶からまたグラスに注ぎ、軽く揺らしてカラカラというグラスと氷のぶつかる音を楽しむ。 結構好きなんだ、この音。
ソファの背もたれに体重をかけて寄りかかりつつスコッチの入ったグラスを掲げて光に透かすと、とろりとした琥珀色が美しく煌めいた。
「………………………スコッチ、といえば。」
警視庁の公安所属だったNOC。
彼は原作開始から、三年前か二年前に死亡している。
死亡時期は未だに特定出来ていない……勿論の事、原作にも時期は未登場だ。
「………………………どうやって、救おうか」
救済に関しては時期等の都合上、古い方からやっていかねばならない。
そうしなければ矛盾が出てくるからだ。
「そういや…………救済したい人、増えちゃったな………………………………」
後から思い出したのだが、
まぁ、赤井さんの父親みたいに生死不明な人も居るんだけども………。 そっちの方は手出しが一切出来ないから放置で。
「…………………………………救わなきゃ。 俺が…………………………救わなくちゃ」
呟きながら、グラスを傾け呑み続ける。
バッドエンドは認めない。
彼等に悲劇は必要無い。
……………わかってる。 わかってるんだ。
これはただのエゴ。 ただの偽善。
ただ、自分が
ただ、 “ ◼️ ” が哀しむのを、俺が見たくないだけ。
「偽善、偽善…………でも、それでいい」
だって、俺は “
“
“
ただ、眩しい “ ◼️ ” を救いたいと思ってしまった、俺のエゴ。
“
…………………………
そう、俺は “
それでいい、それだけでいい。
………………………
「ッ…………………………ぷは」
もう一度、グラスの中身を全て呷る。
右手の瓶を見れば、既に空になっていた。
氷も溶けて小さくなっていたので、アイスペールから大きめの氷を一つ取り出してグラスに放る。
次は………ライを呑んでみよう。
初めてライを呑むのが、こんな状態なのは……ちょっとアレだけど。
先程と同じ様に、グラスになみなみと注いで一気に呷る。
「んッ………………はぁ……………………………」
成程、確かにこれはスパイシーだ。
バーボンと比べ、ライ麦由来の尖った味わいをしている。
しかし銘柄の特徴なのか、度数も50%と高めながらあまりそれを感じさせず、甘いハーブの様な風味がする。 とても美味い、ありだな。
こうなると………とてもフォーギブンが呑んでみたくなる。
前に調べたレビューだと、めっちゃ美味そうだったんだよな……クソッ、一度でいいから呑んでみたい。
そんな風な事を考えながら、グイグイとライも空けていく。
あぁ、アルコールが回ってクラクラしてきたな…………だが呑む。 呑み続ける。
呑まなきゃやってらんねェよ…………。(溜息
「……………………………ちょっとリョウちゃん、流石に短時間で呑み過ぎじゃない………?」
「………………ん」
いつの間にか食べ終えて、洗い物を済ませたじんさんがそう話しかけてきた。
「そろそろやめたら………?」
「………………ヤダ」
「リョウちゃん………………………」
「………………………呑まなきゃ、やってらんねェし」(ぐびぐび
「………………………………リョウちゃん」
「俺は…………………俺、は」
事件の被害者を見捨てて、彼等を救わなければならない。
今回の様に、ストーリーの為に被害者を見捨てる事も、沢山あるだろう。
自分の知ってる結末を起こす為に、真っ赤な嘘を吐き続けなければならないだろう。
でも、それでも。
「俺は……救わなくちゃ。 俺が………そう言ったんだから、救わなくちゃ」
俺が、そう決めたんだから。
やらなくちゃ。
グイッとライを呑み干して、空になった瓶をテーブルに置く。
また溶けて無くなった氷をアイスペールから一つ取り出してグラスに入れ、最後まで取っておいたバーボンの瓶を手に取った。
「…………もぅ。 片付けとかは自分でしてよ? どーなっても知らないからねー」(ムスッ
「ん」
なんとも言えない表情で諦めたらしく、そんな事を言ってじんさんは部屋に帰っていった。
…………目を逸らす前、仕方無いなぁという顔をしていた気もするが。
いつも買う物よりずっと高い値段がしたバーボンを、豪快にグラスに注いで他のウイスキーと同じ様に一気に呷る。 美味い。
今度からこれも買おう。
…………………あぁ、そういえば。
「…………罪悪感はあったけど、初めて死体見たのになんも思わなかったなぁ………………………」
この分じゃ、自分で誰かを手にかけても、何も思わないかもしれない。
「……………………嗚呼。 やっぱり俺は、IrregularでHereticだな…………………………」
元々何処かイカレてたんだろう。
それが、此方に来て顕在化しただけ。
……………まぁ、此方で生きる上では必要かもしれんが。
「………………………………うにゅ」
グラスに注いだバーボンを煽り溜息を吐くと、溜息と共に変な鳴き声が出た。
既に視界はグラッグラだ。
それでもまだ呑もうとして、グラスに瓶から注ごうと傾け………いつの間にか空になっているのに今更気付く。
ただでさえデカい瓶を丸々三本、しかもどれもアルコール度数が40%50%の物だ。
確実に呑み過ぎである。
「う〜〜………にゃあッ!」
それでもまだ呑み足りなくて、行き場の無い感情を猫語で吼えて紛らわした。
「うぅ〜………………足りん。 でも今日買った分は無くなったから………やめないと」
頭をガシガシと掻いて、深い溜息。
空瓶やらグラスやらを片付け始める。
「……………………………………………………うぇ、気持ち悪ィ」
やっぱり呑み過ぎた。
********
気持ち悪くなったのである程度アルコール分を魔術で解毒し、ほろ酔い程度の状態にした後片付け等を終わらせる。
現在時刻20:38。
酒盛りをしていたのにそこまで時間が経っていなかった。 かなりハイペースだったという事だろう。
まだ寝るには気分的に早い時間だ。
悪酔いしたおかげ(というか何というか)で気分も切り替える事が出来た為、自らがしなければならない事を考える。
「………そだ、彼方のネットでスコッチの事調べなきゃ」
あと此方でもまだ調べなくてはならない必要な情報は沢山ある。
まずはスコッチの名前から調べよう……。
数分後。
「成程、スコッチの本名は○○○○ヒロミツ、というのか………。 漢字は景色のケイに光、か」
後、名前のどれかの字が苗字にも入っているとか………平仮名? それとも漢字? どれか、って事は平仮名か?
わからん……………。
んー………公安のデータベース漁ってスコッチってコードネームがつけられたヒロミツさんを探すか。
ハック部屋に行ってソフトにLog inし、魔術と眼を発動させつつ警察庁のデータベースから調べていく。
あ、ちなみに空いた時間でちょくちょくハッキングしてたので既に公安の方に潜り込んでもバレない程度には腕も上がった。
カタカタとキーボードを鳴らしながら調べていると、彼方の情報とは微妙に違った物が出てきた。
「…………あれ? おかしいな……字が違う?」
画面に表示された写真とコードネームは確かにスコッチなのだが、そこに書かれている本名が……………〔
うーん………じんさんに聞くか。
そう思いLINEで聞けば、『ほら、この世界線は飽くまで似ているだけの並行世界だから。』との事。
まさかイレギュラーがこんな形で出てくるとは………………名前が違うのはちょっとめんどくさいな。 まぁ、ガッツリ違うよりはマシか。
後調べておく事は…………アレと、コレと……そうだ、あの奴どっかに載ってないかな……。
……………欲しい情報は手に入れたし、今日はここらで切り上げとこう。
あ、そうだ。
そういやー情報で思い出したけど、名前だけ考えておいた情報屋の顔あったな。
それの設定を詰めて……………ちまちま自分の集めた情報を直で切り売りするか。
「情報屋………か。 まずは他の情報屋とコネクションを持たなくては、か?」
今までは知り合いにだけ流してたけど、そろそろ事情があって大きく動くからー的な設定でいいかな。
それの為には、また柚樹凌雅や宵月狼牙以外の姿を作らねば………………。
自室に戻りながら考える。
見た目は……やっぱり男性的な方がいいか。
そっちの方が舐められにくい筈。
肌は……まぁ、白っぽくして。 顔立ちは東洋系のイケメンな感じの奴にしよう。
んで目元をキリッとさせて、左眼を金に近い琥珀に、右眼は
髪色はー………暗めのアッシュブラウンがいいかな。 髪型は短くもなければ長くもないショートウルフでいいや。
……………眼鏡もかけよう。
青のグラデーションが入ったブルーライトカットのレンズで、ブルーグレーの縁をしたスクエア型アンダーリムの眼鏡を魔術で創り、顔にかける。
体格……めんどいから宵月と同じで、さらしも同じく巻こう。
…………………舌も長くするか。 情報屋とかって頭が良くて蛇っぽいイメージあるから。
八重歯も、宵月と同じ様に牙にしとこう。
服装は…………サファリジャケとノーフォークジャケが混ざった感じのを羽織って、襟元開けた白いドゥエボットーニシャツ着て、濃い青のシュッとしたラインのジーパン履こう。
基本はこれで………あ、マリンキャップもかぶろう。 靴は、ツヤッツヤで焦茶色の外羽根式革靴で。
手袋もしちゃお。 手の甲が開いてるタイプの、薄い革製の手袋。 勿論色は白。
……………………………自衛用に、サイレンサー付けたベレッタ92と魔術製のククリナイフ二本装備しとくか。
情報屋ってよく狙われるイメージだし。
「声は…………どちらにも取れる、中性的な声でいいや」
んで。
見た目も大事だが、一番大事な性格(キャラ付け)の設定。
どうしよ…………………………情報屋=探り屋でバーボンしか頭に浮かんでこないんだが。((
……………………………………………………バーボンっぽい雰囲気の慇懃無礼キャラでいっか。
一人称は私がいいかな。
そっちの方が、らしい気がする。
蛇っぽい薄い笑みも必要だな。
設定が決まったので、魔術で姿を変えて式に登録しておく。
「ふむ……こんな所でしょうか?」(クスッ
鏡の前でポーズを取り、薄い笑みを浮かべてみた。
うん、それっぽいそれっぽい。
じんさんに『新しい顔。情報屋Wolfgang』と文を、薄ら笑いを浮かべた顔を写真に撮り一緒にLINEに送る。
『あれ?顔増やしたの?』と来たので『ハッキングしてた時に必要だと思って考えた。後、今からこの界隈の情報屋に顔見せ行ってくる』と返す。
『え、今から?!』
『そう、今から。』
『だ、大丈夫なの?色々と』
『無問題』
『ほんとに?凄い心配なんだけど…』
『万が一の時は魔術で誤魔化す』
『色々と問題だよ!!?』
『行ってきます』
そう送ると、「えぇーッ?! あーもぅ、いってらっしゃい!!」と声が聞こえた。
唐突ではあったが、この時間帯は夜の住人にとっての昼間だ。 ある意味丁度いいだろう。
車庫に行き、アルトの色を魔術で変えてナンバーに幻術(カメラにも効く)をかけてわからなくする。
色はよく見る銀色に。
そして、今度は車と車庫どちらにも幻術をかけてこの車が出入りするのを気付かれない様にする。 同一人物だとバレるとめんどいし。
まぁ、この家からこの姿で出るのは今回だけだけども。
後でヴォルフガング用にアパートでもいいから借りて、車庫に新しく目立たないバイクでも買おうかな。 別に今回魔術で誤魔化した銀のアルトを別で用意してもいいけど。
「フゥー………よし、行きましょうか」
エンジンをかけ。
スルッ、とシフトレバーの頭をなぞりギアを入れる。
バーボンの様な動作を心掛けつつ………………薄い笑みに表情を固定して。
「これから、忙しくなりますね………」
チロリと唇の端を長い舌先で舐めつつ、そう呟いた。
眩しい程光るネオンや夜の明かりで、異なる色の双眸を冷たく煌めかせながら。