推しキャラが、可愛いのとスパダリと危険な香りでヤバい。(更新停滞中) 作:カミカゼ。
せ、せめて月一くらいのペースで更新したいな……いや、他のもあるからこれだけ書いてるこの状況はちょっと問題なんだが。
と、取り敢えず本編どぞー
P.S.
ヒェッ……いつの間にか評価10がついてる…………?
ちょっと怖いけど有り難い……………………
《♪〜〜♪〜♪〜〜〜♪〜〜〜!!!》
「んぐっ……………るせェ…………………………」
アラームで設定していた曲が、大音量で流れ出す。
枕元に置いておいたスマホを操作してアラームを止め、頭をガシガシと掻きながら深い溜息を一つ。
風呂の時など以外ではほぼ外さない腕時計を見れば、正午ピッタリ。
「ん〜………今日はバイトは…………っと、転生トリップしたからもう無ェのか…………………」
部屋を見渡し、元の世界での実家の自室ではなく新しい家の自室であると気付き、また布団に倒れ込む。
「んー…………ねむ」
もぞもぞと布団に埋もれ、また眠りにつこうと眼を閉じた…………ところで。
「リョ〜ウちゃあ〜ん! お腹空いたぁ〜!! もぉーお昼だよぉ〜!!!」
「…………………………………………………………」
響き渡る、じんさんの声。
眠いので無視してそのまま寝ようとするも。
「リョウちゃ〜ん!!」
「…………」
「リョウちゃ〜んっ!!?」
「……………………」
「リョ〜ウちゃんッてばーッ!!!」
「…………ッだァー!! ウッセーェッ!!! 飯ぐれェー自分で作れやァッッ!!! 大人だろォがテメェ!!!」(ガバッ!!と起き
「リョウちゃあ〜んっ!!」(半泣き声
「チッ! クッソが………俺の安眠妨害しやがってェ…………………」
盛大に舌打ちをしつつ、また頭をガシガシと掻きながらベッドから出て、寝間着から近所のコンビニに行く位なら大丈夫な程度の服に着替えて、髪は縛らず自室のある二階から降りた。
「あー! やっと起きてきた!」
「チッ……アンタ一応神なんだから俺が昼の一時ぐらいまで起きねェの知ってんだろーが………。 安眠妨害しやがってこの野郎…………………」(めっちゃ不機嫌&目付き極悪&低音ボイス
「うっ………だ、だってぇー……………」(半泣き
「だってじゃねェよ大の大人が」(イライラ
「だ、だって……料理苦手なんだもん………」(グスグス
「………チッ。 乾麺のうどんでも茹でて麺つゆで食えば良かったじゃねーかよ」
「だって、コンロとか使うといっつも爆発するんだもん……………」
「ッハァ?! ンでだよ!?」
「わかんないぃ〜……………」(ひっくひっく
「チッ……………しゃーねェな。 座ってろ」
再び頭をガシガシ掻きつつ、タイマーで朝にはちゃんと焼ける様にセットしておいたホームベーカリー(焼けた後保温になるタイプ)を開けて中身を取り出し、6枚切り位の厚さに切る。
切り分けた後二枚を皿に乗せ、フライパンと卵とスライスハムを出してハムエッグを作り、黒胡椒をかけてパンに一つずつ乗せて、座っているじんさんに差し出した。
「そら、暫くソレ食っとけ」
「うん…………」(ぐすん
「てか昨日はどうしたんだよ」
「神界で部下に作ってもらって食べてきた……」
「部下ェ………………」
軽く鼻を啜りながらモグモグとハムエッグを乗せたパンを食べるじんさんを横目に、昼食を作り始める。
まずは鍋を出して水を沸かし、玉葱とじゃが芋とベーコンとキャベツを切って、最初の三つを軽く炒め、玉葱がしんなりしたら鍋にキャベツと一緒にブチ込んで、固形コンソメをいくつかと粉末鶏ガラスープを少し入れて、蓋をして火が通るまで弱火で放置。
もう一つ大きな鍋を出して水を沸かし、沸いたらパスタとオリーブオイルと塩を入れて茹でる。
それと並行して、フライパンに油をしいて、冷蔵庫から挽肉を取り出……そうとして、挽肉は無かったのを思い出し手を止めた。
「じんさん、肉挽き機ある?」
「んむー?
「あるならいい。 あと喋る時は口の中の物を飲み込んでからにしろ、子供じゃないんだから」
「んぐんぐ……はーい!」
「全く……………」(苦笑
肉挽き機がありそうな所を探して取り出し、冷蔵庫から出した牛ももブロックと何故かあった牛脂を肉挽き機(電動だった)でミンチにして温めたフライパンに刻んだ玉葱と共に投入。
弱火で炒めながら並行してトマトを軽く果肉が残る程度にミキサーにかけて、フライパンに入れて煮詰めていく。
そこにケチャップと粉末コンソメとチューブのニンニクを入れ、隠し味にチューブの生姜とウスターソースを入れて炒め続ける。
「……ん、パスタがそろそろ良いな」
一本取って茹で加減を確認し、茹でたパスタをザルにあけて湯をきる。
フライパンの簡単ミートソースもどきの味をみて、塩と黒胡椒で味を整える。
湯をきったパスタを皿に盛り、ミートソースもどきと粉チーズをかける。
洗ったレタスを大きめのサラダボウルにちぎって盛り、くし形切りにしたトマトと刻んだベーコン、クルトンをボウルに投入。
レシピサイトで見た手作りシーザードレッシングを作って、上からかけて完成。
弱火で煮ていたじゃが芋に火が通ったか確認し、塩胡椒で味を調え、器に盛る。
「おら、出来たぞー。」
出来た物をテーブルに並べ、自分の席に座って一息吐いた。
「わぁ! こんな短時間でミートソースパスタとスープとサラダ? リョウちゃん凄い!」(キラキラ
「どうやら眼が馴染んだ様でな、自然と使えてた。 トリップ前だったらこんなに上手く出来ねェよ」(眼帯を指先で撫ぜ
「そっか! ねぇねぇ、食べていい!?」
「はいはい、召し上がれ」
「わぁーい! いっただーきまぁーす!」
子供の様に眼をキラキラさせながらパスタを食べ始めるじんさん。
それを見て苦笑しつつ、じんさんに出さなかった分の3/4斤程のパンをちぎってスープにつけて食べる。
「んー! 美味しー!!」
「なんか俺に似た反応だなじんさん……」
「だって美味しいもん!!」(キラキラ
「ハイハイ……………」(苦笑
「んー美味し……あ、でもハムエッグのパン合わせたら一食分のカロリーとしてはヤバい?」
「どうせ朝昼兼用なんだからむしろ総合としては減ってるだろ」(モグモグ
「そうかな…………?」
「そうだろ」
そんな会話をしながら、もっきゅもっきゅと口いっぱいに頬張りつつ食べ進めていた所で、ふと手を止めた。
「あ、そーいやーさー。 介入するならやっぱ別の姿が必要だなって昨日思ったんだけど。 どんな設定にしよーかな、一つで足りるかね」
「なになにー? 降谷さんみたくトリプルフェイスでもする訳?」(モグモグ
「取り敢えず
「そうだねー。 まずは一つガッツリ設定組んでキャラメイクしとく?」
「おぅ、そうしようか。 …………ご馳走様。」
自分の分を食べ終わったので、手を合わせてから一息吐く。
「え゛っ!? あんなに山盛りあったのにもう食べ終わったの!!? 会話しながら!!?」
「ん? おぅ。 ここ最近じゃ、ほぼ一食しか食ってなかったけどなんかすげェ腹減ってさ」
「あー………………筋肉量と代謝の所為かな?」
「あぁー…………そういやこの身体めっちゃ筋肉あったな。 昨日風呂入った時思ったけど」
ちなみに体重計で測ったところ、体重は70kgと重くなっていたのだが、体脂肪率の方が16%でアスリート一歩手前の数値になっていて最初軽くビビった。 後胸がデカくて邪魔かった。
「やっぱりその位無いと、この世界じゃあ無茶出来ないじゃない?」
「ですよねー。 ……ハッ、つまり俺はこの筋肉量を維持しなければならないのか!?」
「筋肉量と脂肪量だけは、どんな生活をしても悪い方向には変わらない様にしてあるけど……」
「あ、マジ? 良かったー………プロテインとか飲んで毎日筋トレ三昧かと思った((」
「めんどくさいの嫌いでしょ?」
「せやで。(( まぁとにかく、柚樹凌雅では無い人物を考えないと……って、そうだ。 この家思い切り運動しても大丈夫な広い部屋ある? この身体がどれ位動くのかとか、戦闘時の動きとかを馴染ませたいんだが」
「あ、鍛錬室ならあるよ? 他にも、弓とか銃火器使う用の部屋も作ってあるよ。 鍛錬室が地下一階で、銃火器とかの部屋が地下二階。 どっちの方も、空間を歪ませて本来の面積より広くしてあるから。 入り口のパネルで距離とかを調節出来る様にしてあるよ」
「……………………チートだな?」
「神様だからね!」(ドヤァ
「うわぁ…………………………………」
「あ、それと地下三階には武器庫と実験室あるからね!」
「………………実験室はともかく、武器庫は魔術使える様になったら使わなそう」
「あ」
「今気付いたのかよ」
思わずビミョーな表情になる。
「それに実験室も工房になりそうだな…………」
「工房?」
「魔術工房」
「あ、そっち? 成程ね」
「そういや、さっき言ってたけど何で弓?」
「だって赤い弓兵さん好きでしょ? 暫くして慣れたら弓やりたいって言い出すと思って」
「何だよアンタ………………
よくわかってんじゃねェか」←
「ちなみにどんな弓が欲しい? 創るよー」
「赤い弓兵さんみたく、形は洋弓寄りで
「厨二臭満載だね?」
「当然!ww あ、やっぱり名前付けるべきだよな! なんて付けよう………」
「じゃあ色に
「全力で厨二臭wwwww 採用!wwwwww 略称は、アルファベット二文字ずつ取って
「お、かっこいいね! アーノルム!」
そんな風に、軽くはしゃぎながら一頻り笑い合った後、真面目な顔に戻し話を続ける。
「んじゃま、武器やら家の事は
ゲ○ドウポーズをとりながらスマホを取り出しつつ、意味深な笑みを浮かべた。
「取り敢えず、昨日ある程度キャラ設定考えたんだが、フェンリルをイメージしたキャラメイクにしようかと」(メモ画面出しつつ
「へー、どんな感じ?」
「まず………………」
メモを書いた画面を出しながら、ちまちまと書き足したりもしつつ示す。
メモには、『名前は〔
自称26歳、戸籍は作らない。
身長は柚樹と同じ、胸にさらしを巻く。』……と書かれている。
「あ、そういや魔術で見た目物理的に変えられるよな?」
「うん、出来るよー」
「なら見た目は…………」
更に『膝裏までのバターブロンドを縛る。前髪を長めにして、右眼が隠れる様な感じに。
完全な三白眼。右が太陽の光の下では澄んだ飴色だが、月や人工的な光等の下では深い青緑のエメラルドの様になる瞳で、左が青みがかった濃いアメジストの様な瞳をしている特殊なヘテロクロミア。肌は色白。
犬歯が鋭い牙っぽい。
中性的な男にも見えるがメイクをすれば普通の女性にも見える様な、何処と無くイタリア系の顔立ちに。』と書き足す。
「まぁーこんな感じか? あ、タトゥー入ってたり、首輪と手枷とかが着いてたらそれっぽいかも」(文字打ち込みつつ
「かなり性癖に走った見た目だね?」
「どうせ成るなら好きな見た目がいいだろ? 後服はー………ゴシックパンク?で、良いのか? アレ。 あの赤い弓兵のズボンみたいなの」
『下の方は、ゴシック系でよくあるベルトが沢山ついているボンデージパンツを履き、ベルトや鎖がゴテゴテついた拘束具の様な少し厚底なブーツを。
上の方は、狼の耳と尻尾をイメージした飾りのついているパーカーを着てフードを常にかぶるスタイル or ぶかぶかだが鎖骨までしか見えない程度に襟元が開いた、ドレープの多めに入っている長袖のTシャツの上から、顔が半分隠れるフードつきの、死神みたいなシルエットをしたガウンカーディガンを羽織って、ズボンの腰に狼の尻尾の様な飾りのついたベルトを巻いたコーデ。後者もフードはかぶる。』と、メモ画面に書き足した。
「………見た目はこれでいいか。」
「真昼間にこんな人居たら超絶怪しくない?」
「夜でもふつーに怪しいっての。(( まぁ、普段はパーカーの方着るかな」
「首輪と手枷の時点でヤバイ人だよね?」
「言うな。(( どーせ、主に一般人が居ない様な感じのとこで使う変装なんだから別にいいだろ? 全身真っ黒黒助よりはマシな筈だ」
「似た様な物じゃ………………」
「黙りんさい!(( と、とにかく。
「うん、わかったよ。 ちなみにセーフハウスとかはどうする?」
「いくつか必要だよな……テキトーに架空の人物の戸籍作ってそいつの名義にしといて。」
「いいよー! 架空の人物か……なんてする?」
「あー………………
笛邉 俉琅、とメモ画面に書いて見せる。
「おっけー、笛邉ね! ……ところで、何でベルフェゴール?」
「ベルフェゴールは七つの大罪の内、怠惰を司る悪魔だろ。」
「あぁ、君自身面倒臭がりだから?」
「そゆこと。 あ、そうそう。 あとさ、昨日ちょこちょこ死亡時期とか時系列を調べて書いたんだけど………こんなん」
スマホを操作し、別のメモ画面を出して見せた。
「あと………こっち」
指で画面を下の方に動かして示し、溜息を吐きながら話し続ける。
「一応、こんな感じで色々とググったんだけどさー、やっぱり細かい時期とか場所はわかんなかったわ」
「殆ど眼が頼りじゃないですかヤダー((」
「仕方無いだろ、原作にはそこまで細かく描かれて無かったんだから」
「まあそうだけどね………あ、言い忘れてたんだけど」
「ん? なんだ?」
「季節とかなんだけどさ、全部原作通りに進むから。 つまり昨日冬だったのに次の日夏とかあるから」
「………………ふぁ? マジで?」
「マジだよ。 あ、ちなみにアニメオリジナルは基本無いみたいだけど映画のプレストーリーの事件とかは起きるみたい。」
「あー………………マジか。 ………あ、そういやパン屋のアレもアニオリでプレストーリーだったか。 純黒の」(メモ見て
「そうだよー。」
「………………ちなみに今は原作のどの辺り?」
「えっと…………多分、容疑者は熱愛カップルってストーリーの直後くらいかなー?」
「あー、アレか。 確か毛利のおっちゃんと哀ちゃんが協力した奴な、見てないけど。」
というかそもそも、漫画は金が無いから買えないし、アニメの時間はバイトだから見れないという二重苦だった為にWikiとネット頼りなんだよね………………。
映画も観に行くなんて無理だったし……。
「ま、千里眼あるから何とかなんだろ。 今はどう介入してどう救済するか考えないと……」
「最初に自然と介入出来そうな事件はガールズバンドのあれだけど、どうする?」
「取り敢えずポアロには行く。 んで、
「ギター弾けるの?」
「高校の時に授業でやった以来だけど眼があるから大丈夫。」
「それもそうだね……なら大丈夫か。 …………ところでさ」
「何だ?」
「………………………殺される人、どうするの?」
「、………………………………」
……………………………………………どうすれば、いいだろう。
殺させないのは簡単だ。 なんとかして誤解を解いてやればいい。
しかしそれをすればストーリーは進まない。 事件は起きないのだから当然だ。
だが、かといって放置して事件を起こさせれば、人が一人死に、一人が後悔する事になる。
………………………………俺は、どちらを選べばいいんだろう。
「………やっぱり、選べない? 当たり前だよね。 誰かを救う事よりも、誰かを救わない事を選ぶ方が遥かに難しい」
「………………………………………」
「でもね? 君には選んでもらうよ。 神でも総ては救えないんだから。 ……エゴだったとしても、自己満足の為だとしても。 君は、誰かを救うと言ったんだから。」
今まで見せていた子供っぽい笑顔ではない、超常の者がする様な薄い笑みを浮かべ、そんな事を言ってくる神矢。
「……………………………………さぁ、君はどちらを選ぶんだい? 彼女達を救う? 救わない?」
「お……俺、は……………俺は…………………」
俺は、ガールズバンドの二人を………………。
「救………………………………
………………………………………わ、ない」
………………俺は、結局彼女達を見捨てる選択をした。
ストーリーをそのまま進めた方がわかりやすいとか、そんな身勝手な理由で。
「………ん。 そっか」
そう言って、ニパッと笑うじんさん。
「いいんじゃない? なんでもかんでも救ってたらキリが無いもんね。 それも、一つの選択だよ。」(ニコニコ
「……………………じんさん」
「なぁに?」
「…………………………俺、これでいいのかな」
「………ふふっw いいと思うよ? 僕はね。 だって君は神じゃなくて人間だもの。 悩む事こそ人間の本意さ。」
「……ん? なんでそこで本意?」
「あっ、ちょっと古い表現だったかな。 本来あるべき
「あぁ、そういう意味ね……」
少し意味がわからない言葉があって引っかかったりもしたが、じんさんは俺の選んだ事に何も否定をせずにニコニコしながら受け入れた。
「………なぁ、じんさん。」
「今度は何かな?」
「……………なんで、じんさんはそんなニコニコ笑ってられるんだ? 俺が、人が殺されるのを黙って見捨てるって選択をしたのに…………」
「だって僕、君と君の周り以外に殆ど興味無いもの。」(ニパー☆
「ッ……………………………」
「君が大事だからね! 君を傷つけようとする奴は大嫌いだし、君が大切な人は僕も大切にしたいと思ってるよ。 だから、君が救うと言ったら全力でそれを手伝うし、救わないと言ったら僕もそのまま見届けるつもりだよ。」(ニコ
「………………………思ってたより、人間性の無い奴なのな。 じんさんって」
「そりゃあね? だって僕神だもの。」
「………やはり、超常の者は超常の者……か」
「まぁねー。」
笑顔の理由は理解したが、選択した事に対してのモヤモヤは消えず、
本当に何もしないのか。 助けられるのに救わないのか。
そんな事がグルグルと頭の中を駆け巡って。
「………………君は、それでいいんだよ。」
「ぇ?」
空気を重く感じ、目を伏せながら悩んでいると神矢がそんな事を言ってくる。
「いっぱい悩んでね。 ………悩まずに、誰かを切り捨てられる様にはならないで。 それは、とても悲しい事だから」
「じんさん……………………」
「君も知ってるでしょう? 9を救う為に、1を切り捨てた人達の事。 ……最期には自分という1さえ、迷わず切り捨てた人達を。」
「うん………。」
「君は、その人達を見て、救いたいと思ったんだよね。 自身を切り捨ててしまう彼等をこそ救いたいと」
「うん…………………。」
「切り捨ててしまっても、確かに誰かを救った彼等に憧れたんだよね。 綺麗事だとしても、10を、100を、1000を。 彼等ごと、救いたかったんだよね」
「うん…………………………。」
「でも、現実はそう甘くは無い。 総ては救えない。 ……………だから、いっぱい悩んでね。 僕は、君の選択を尊重するよ。 沢山悩んで、選択をして、進み続ける。 それこそが、人の歩むべき道なのだから。」
神矢はゆったりとした動きで俺の頭を撫で、微笑んだ。
「うん………わかった。 …………………………………………よし! シリアスはお終い! どうせ俺はイレギュラーな
「うんうん! その意気だよリョウちゃん!」
頬を叩いて気合を入れ直し、宣言をする。
そんな俺を鼓舞しながら、今まで見せていた通りの子供っぽい笑顔に戻ったじんさんが食事を再開する。
「……………今気付いたけど、まだ食い終わってなかったのな」
「うん!」(リスの様に頬張りモグモグ
「…………………フッwww」
先程までの、まさに人ならざるモノといった雰囲気からあまりにもギャップのある姿を見て思わず笑ってしまう。
それに
「えっと…………取り敢えず。 ガールズバンドのはポアロでの一件と事件解決に介入するって事で」
「あいあいさー!」
「そこは
「あいあいまむ!」
「全く…………」(苦笑
ま、流石に今日はガールズバンドの事件起きたりしないだろ。
………………一応眼で見るか。
「……ガールズバンドは
思ったより近ェ……………流石一日に必ず一人以上死ぬくらい殺人事件が起きる世界………。((
ちなみに今日は、ラーメン屋の事件の日みたいだ。 明日はゾンビの別荘の事件らしい。
どちらも眼でみた所イレギュラーは無さそうだ。
………………じゃあ、夜まで鍛錬室に籠るか。
魔術もスラスラ使える様にならないとだし。
「じんさん、今日はラーメン屋の事件だけど特にイレギュラーは無いみたいだから夜まで鍛錬室に籠るわ。 あと食器類は流しに出すけど、じんさんが洗えよな? 俺の安眠妨害したんだから……さ、流石に洗い物位は出来るよな?」(最後辺り声震え
「洗い物は流石に出来るよぅ!」
「ならいいんだ。」
自分が使った食器を流しに出して水に浸けておき、着替える為一旦自室に戻る。
「えっと、ジャージ的な奴は………と?」
昨日も今日起きてからも碌に見ていなかったクローゼットを開けて中を見ると…………
「(ガサガサ
黒、黒、黒。
黒ばかりである。 アホか。
昨日着せられてた服は普通だったのに。
「…………………………………………後で文句言ってやる」
今は仕方無いのでテキトーに選んだスポーツウェアに身を包み、髪をポニーテールにし、念の為寝る時も着けていた眼帯を外して鍛錬室に向かう。
「てか一般住宅にエレベーターって……いや階段もあったけど」
大人四人乗ったらギュウギュウになりそうな大きさのエレベーターに乗ってB1というボタンを押し、開閉ボタンも押して待つ。
キンコーン、という音と共に到着したエレベーターが開いたので降りると、ホール代わりであろうちょっとした空間があり、体育館とかに使われている様な両開きの扉が存在感たっぷりに鎮座していた。
少し重いその扉を開けば、目の前に広がるのはステージやバスケットゴール等が無い大きな体育館の様な空間。
「えっと、確かパネルで広さを変えられるって言ってたよな………………ん?」
出入り口の脇を見ると、何故か靴箱と、その中には何種類かの靴やブーツ。
疑問に思うがまずはパネルだ、とスルーして出入り口の靴箱の反対側の脇を見れば、電子的なタッチパネルが。
「………………おいおいおい、広さだけじゃねーのかよ」
パネルの項目には、縦と横と高さの広さに関する物だけでなく、床や壁や天井の材質、様々な障害物や
……………まー、よーするに。
「ゲームみたいにステージ選んで、戦闘訓練が出来る空間……って感じだな。 此処」
額を押さえて天を仰ぐ。 規格外過ぎて頭が痛い。
じんさんやり過ぎだって絶対……………。((
この感じだと銃火器や弓使う用の部屋もこうなってるだろうな。((
しかし、靴が置いてあるのも納得か。
床を土や草や岩等に変えたりも出来るみたいだから。
ホント頭痛ェ………………………。
……………………あー、気をとりなおして。
他に何があるか周りを見渡せば、靴箱の近くに何やら扉が二つ。
両方を開けて見ると脱衣室があり、奥に曇り硝子の扉があって、中はトイレ付きのシャワー室だった。
鍛錬後すぐに汗を流せる様にだろう。 二つあるのは念の為かな?
タオルだけでなく替えのシャツとかも置いてあったので後で使おう。
他には何も無いっぽいので、鍛錬に移るか。
「えー、まずは……………魔術、だな」
簡単なモノから使える様にしていこう。
**** あ、修行飛ばしまーす。****
「くっ………なんだコレ。 眠い、頭痛ェ、クソ眠ィ…………………ッ!!!」
魔術を連続で使い始めて二時間程した頃。
俺は理由不明な頭痛と堪え難い眠気に襲われていた。
「クソ………何が原因だ?(千里眼で理由調べ) ……………あぁ、コレが魔術使用の代償か」
眠気にふらつきながらも眼を使ってみてみると、どうやら魔術の代償だったらしい。
あまり使い過ぎると、頭痛と堪え難い眠気が襲って来る様だ。 最後は気絶する様に寝てしまうとか。
「し、仕方無い……俺と俺の周囲だけ時間経過をかなり速くして、仮眠取ろう……………」
いわば、某魔法先生の世界で合法ロリ吸血鬼が持っていた魔法球とかいうアレの原理と似た感じだ。
自分の時間の流れは速いからその速さで長く過ごしたとしても、周りは遅いからその分短く見えるとかいう奴だ。
意識が途切れる前に、自分とその周り数cmに時間経過がとても速くなる魔術をかけて、意識が落ちた。
********
「…………………………………んぁ」
目を覚ました為かけた魔術を解除し、スマホで時間を確認する。
魔術のお陰で15分程しか経っていない様だ。
取り敢えず魔術も粗方使える様になったし、タイムワープの練習し始めるか。
時間は………俺が寝始めた15分前に跳ぼう。
「んじゃま、えーと………ほっ。」
積極的に無詠唱で使い、魔術を発動させる。
詠唱なんぞしてる暇あったら物理的に突っ込んで行った方が早いもんね。
フワリ、と浮かんで地面に降り立てば、目の前には壁に寄りかかって寝ている俺が。
スマホを見てみればキチンと15分前になっている。
一応自分が見えない様に気配を周囲に馴染ませる魔術と見えなくする魔術を自身にかけて、手元で出来る魔術の練習をしながら寝ている俺を観察し始めた。
15分が経ち、予想通り目を覚ました目の前の俺。
そしてタイムワープする前の俺と同じ行動をして、目の前に居た俺は消えた。
「………………ん、消えたか。 成程」
寝ていた俺を
αが過去に戻ってβになりαが過去に跳ぶまでそのまま居た時、βの居る時間軸にαも居るが、αが過去に跳んだ後はβだけ残る事になる……という事だな。
つまり、未来にα単体で跳んで更にまた過去に戻るβを作らなかった場合、αもβも居ない空白の時間が出来てしまう事になる。
気を付けないといけないな。
そう結論をつけて姿を消す魔術を解除し、今度は仮想エネミーを使って、魔術を交えた戦闘訓練を始める。
「エネミーは倒す
パネルで設定をして、ゴツめのブーツに履き替えて、障害物と共に出て来た仮想エネミーに突っ込む。
左手には魔術で創った大振りのボウィナイフを逆手で握りしめ、仮想エネミーを切り裂いていく。
時たまクルリとナイフを回し剣の様に持って使ったり、転生トリップのお陰で長くなった脚を思い切り使って蹴り技を繰り出してみたり、ナイフを持ち替えて魔術で創ったガントレットを着けた左手でブン殴ったりゴシャァッと握り潰したりして戦ってみた。
「……………この身体スゲェ。 全部思った通りに動く。 立体機動も思いのままだ」
空気を蹴って二段跳びをしてからエネミーを蹴り砕いたりしつつ、仮想エネミー達と派手に踊り(戦い)続ける。
眼を使って、様々な戦闘技術を引用しながら身体にその動きを馴染ませていく。
主に蹴り技メインだけど。
「殴るより蹴ったり武器使ったりする方が好きなんだよねー……っと。」
跳んで空中で縦に一回転した後、ガシャンッ!!と仮想エネミーに踵落としを喰らわせて踏み砕きながら独り言ちつつ、のびのびと身体を動かしていって。
ボウィナイフを最後のエネミーの脳天に突き刺し、終わらせた。
破壊した仮想エネミーは、空間に溶ける様に消えていく。
「はい、しゅーりょー。」
ナイフを左右に振って、気分的にエネミーの残骸を払い、魔術で創った倉庫代わりの空間にしまい込む。
「んー………代償でクソ眠かった魔術の練習よりずっと楽かも。 筋肉量凄いお陰で体力あってなかなか疲労しないし」
というかむしろ永遠に動いていられるんじゃないかと思うくらいに身体が軽かった。
流石は、神が創った
「んーっと、今の時間はー………なんだ。 まだ午後四時半にもなってないじゃん。」
腕時計で時間を確認すれば、まだ16:27。
「……………………どうしよ。 身体の動きはもうバッチリだし……………あ、そうだ。」
魔術で姿を変えるというのをまだやっていなかった。
そうと決まれば、シャワー浴びて自室に戻らねば。
「…………あぁ、そういや声も変えないとだわ」
声は……………そうだな。
男性的にして………………声優の中井和哉さんの声が若くなってちょい低めのクールな感じでやるかな。
イメージとしては、Fateのプロトランサーを更に少年ぽくしてクール系にした感じの声だ。
「んん゛ッ、あっあー、アーー……こう、かね」
じんさんに変声術も使える様にしたと言われていたので、それを駆使し思い通りの声に変えてみる。
「口調は………
声を変えつつシャワーを済ませ、わざと階段を使って自室に戻る。 ちなみにエレベーターは最上階の二階(屋根裏部屋を除く)まで繋がっていたりする。
四段飛ばしで階段を駆け上がり、二階の自室に飛び込む。
あ、そうそう。 濡れた髪は魔術でささっと乾かしました。
「声は変えたから、次は容姿で……中性的な若干イタリア系の顔立ちと。 髪は膝裏までの長さのバターブロンドで縛るからポニーテール? ヘアカフも良いな……………そして、右眼が特殊なヘテロクロミアか。」
服を全て脱ぎ腕時計も外して一糸纏わぬ全裸になり、髪をバターの様な柔らかい色の金髪にし、眼の虹彩を変え、顔の容姿を変える。
勿論の事全て眼を使いながらやっているので魔術をミスることは無い。
「次は……身体だな。 ……そうだ、手枷と首輪があるのに足枷の跡が無いのはおかしいか。 入れておこう。 あと、タトゥーは……………」
両足首に足枷をつけられていたかの様な古い傷跡をつけた後、両手首にも似た傷跡をつけてタトゥーを入れ始める。
まずは隠れてしまう所だが、鏡を見ながら首に薄く影の縁取りがされた白薔薇と蝶のレースチョーカーみたいな白いタトゥーを入れ、両手首には黒色で巻きついた有刺鉄線のタトゥーを入れる。
そして左胸の心臓辺りには鎖で縛られた小さな月下美人とトライバルの黒い逆十字を。
右の腰には掌サイズの黒薔薇と茨に巻きつかれた赤い薔薇とオレンジの薔薇を描き、肋骨には薔薇から茨や葉を伸ばす。
左腕の手首から肘までの内側にはトライバルのロングソードを夜色で、左の内腿には青い縁で描くトライバルの月と覆う様に幾つも白の蓮を、下腹部には真ん中に紫でトライバルの薔薇とその両脇にハートの様に絡んで広がっている茨を。
足の甲にはグレーの鎖に巻かれた白い百合を彫り、その鎖は足首の傷に添う様にぐるぐると巻くデザインに。
そして最後に髪を前に流して振り返り、背中に大きく黒と赤でトライバル柄の翼が鎖で繋がれた物を描く。
普通にタトゥーを彫るならばかなりの痛みを伴うが、これは全て魔術で描いているだけなので一切痛みは無い。
「……………そういえば、無駄毛どころか陰毛や脇の毛すらも生えていないのは処理をしなくて済むと喜べば良いのだろうか………………………」
睫毛や眉毛を髪色に合わせた後、脇をなぞり苦笑する。
「………む、そうだ。 首輪と枷をしているなら、他にも古傷があるべきだろうな…………体温が高くなったら薄っすら浮かび上がる様にするか」
魔術で、体温が高めになると全身に薄く、銃創や切り傷、火傷、打撲痕、鞭による物らしき裂傷などの様々な傷跡が出てくる様にする。
勿論普通の体温でも、よく見れば見える傷跡もつくる。
「………………よし、完璧だな。 後は服装なのだが…………さらしには質量を誤魔化せる魔術をかけよう。 下着は……タトゥーがあるし、ローライズの方が映えるだろうか」
下着はあえて、透けない真っ白な総レースでローライズな両脇を紐で結ぶタイプのショーツを履く事にする。
さらしを巻いて胸を押し潰し、動きやすい様にしてから服を着始めた。
キャラメイクした設定通りの服は無かったので魔術で作り出し、上の方から着ていく。
普通の濃いグレーの長袖のTシャツに、狼デザインのフードパーカーを着て、ゴシックパンクな黒いズボンを履き、黒い靴下を履いた。
そして服を着終わったので、魔術で創った、途中で千切られた様な太い鎖が付いた黒革製のゴツい後ろで止める形の首輪と。
同じく魔術で創った、途中で千切られた様な鎖が付いた金属製の手首に嵌める形の円柱の様な手枷を着ける。
首輪も手枷も、鍵が無いと外せないタイプの物だ。
ヘアカフも良いのだが、今回はシンプルな方が良いだろうと思い、魔術を使って黒色のベルベットなリボンで髪を高い位置のポニーテールにする。
縛った長いバターブロンドを払うと、動きに合わせてジャラジャラジャラと鎖が派手に音を立てた。
「……………………ふむ、これでいいか。」
最後にパーカーのフードを被って髪をしまい、鏡の前に仁王立ちする。
あっ、護身用にさっき創った大振りのボウィナイフ装備するか。
なんなら宵月用にしよっと。
先程鍛錬室で振るったボウィナイフを取り出し、血抜き溝として牙を剥きつつ自身に纏わり付いた鎖を引き千切ろうとしているフェンリルのカービングを施して、背中の腰の辺りに隠して装備する。
うん、今度こそ完璧!
じんさんに見せに行こうっと。
っと、その前にLINEで今どこか聞かないと。
んー……『宵月キャラメイク出来たから見せたいんだけど、今どこ?』
ぴろんっ、『リビングでお茶飲んでるよー』
「『わかった、今行く』、と………」
LINEを返し、リビングに向かう。
…………そういや、この姿でじんさんって呼ぶのは違和感あるな。
********
「天羽。」
「え、リョウちゃん……………?」
「これは宵月狼牙の姿だがね」
「ほへぇ〜……………凄いねぇ。 これじゃあ、どこからどう見てもリョウちゃんだなんて思われないよ」
リビングに入るなりじんさんを呼べば、湯呑みを持ったまま( ゚д゚)という感じの顔になる。
「というか、口調も変えるの?」
「ああ。 そちらの方が “ らしい ” だろう?」
クスッ…と、腕を組み右手を軽く握る形にして口元を隠す様にして笑い、格好つけてみた。
「どうだね? それらしい感じに仕上がっていると自負しているのだが。」(ニヒルに笑み
「そうだねぇー! かっこよく出来てると思うよ!」(ニパー☆
「それは良かった。 ……っと、そうだ。 先程の笛邉名義で契約したスマホが欲しい。
「わかった! 明日になれば渡せると思うよ。 過去に戻っても使える様にしておくねー」
「ああ、頼む」
「ちなみに、なんて呼べばいいかな? リョウちゃんだと流石に駄目だし」
「そうさな………ロウ、が妥当ではないか?」
「じゃー、ロウくん?」
「……何故、くんなのかね?」
「ちゃんだと、その見た目にそぐわないかなーって」
「成程な………まぁ、それでよかろう」
一先ず納得し、頷く。
……………そういえば、クローゼットの事文句言うの忘れてたな。
「おい天羽。 クローゼットの中が真っ黒だったんだがアレはどういう事だ? 昨日俺が着せられていた服は普通だったというのに」
「あぁ、アレ? ごめんノリ。 二次創作とかでよくあるでしょ?」
「戯け。」(ジト目
「アハハハハー……ごめんなさい後でまともにしときます」(乾いた笑い&若干早口に
「よし」(犬に言う様に
「うぅ〜………………………」
スマホを見れば、17:03。
夜まで時間が潰せる筈だったのだが思いの外動きが早く馴染んでしまった為に、暇になってしまった。 眼と
しっかし、今日は外に出たくないしな……暇をどうやって潰そうか……………………………。
「こういう時は…………PCだな。」
「パソコンで何するの?」
「
「え、ちょまっ………何処を?」
「そうさな……………まずは県警の末端の方から試していこうかね。」
「うわぁ……………ロウくん大胆」(引き
「警察ならば、ある一定以上の対策はしている筈だろう? ある意味腕を試すには丁度良いのさ。 大企業等のデータベースやらは、会社によって楽だったり厄介だったりするからな。 最初に手を出すのはこの辺りが妥当ではないか?」
「なるほどー……」
「眼を慣れさせる為にも、大量に経験を積まねばならん。 酒蔵のデータベースは恐らくこの世界のどの組織よりも厄介なセキュリティだろうからな」
「酒蔵?」
「あぁ。
「へぇ、わかりやすいし口に出してもそうそうバレなさそうだねぇ!」
「だろう?」(クツクツ笑い
「んじゃ、黒の組織の事は酒蔵って呼ぼっか」
「了解した。 …………では、ハック能力を鍛えてくる」
「いってらっしゃーい。 流石にバレないようにねー」
「わかっているとも。」
リビングを後にし、一階の奥にあるPCを置いた書斎に俺は向かうのだった。