ふたりはプリキュア ダークサイド仮   作:スマート

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第五話 妖精との関係

SIDE 雪城 ほのか

 

彼の雰囲気はとても切羽詰まっているようで、嘘を言っているようには見えない。

 

私は、ミップルの身に何か危険が迫っているのかと思い、学校を抜け出す決心をした。

 

「そっちじゃない、上へ行く」

 

「上…屋上ですか?」

 

…昇降口へ向かおうとした私を止めた内場さんは、出口とは真逆の屋上へと向かおうとする。

 

教室の中から私の事を興味津々に見てくる生徒達の視線も気にならないほど、唖然としてしまった。

 

おかしい、何故上へ行く必要がある…ヘリコプターを準備しているわけでもなしに、上へ行って私の家に向かう手段がない。

 

戸惑って止まってしまう私に内場さんは、埒があかないと感じたのか…

 

 

無表情で私の背中に手を回して、脇に手を入れて固定するとしゃがんで足をもう片方の手ですくい上げるように、すると私の身体は持ち上げられてしまった。

 

おとぎ話で見た、憧れもあったお姫様だっこ、それをされていると思うと自然と顔が赤くなってしまう。

 

どうやったのか私は風になったかのように、一瞬で屋上に付いてしまった。

 

「あれ…」

 

幻覚でも見ているのかな、混乱していた頭に内場さんは、止めともいえる一撃を放ってきた。

 

飛んだ。

 

そう言うしか言葉が見つからない、何故なら私は空を飛んでいたのだから。

 

比喩でも空想の世界でもなくて、現実で飛行機に乗らずに私は空を飛んでいた。

 

言葉にならない悲鳴を叫んでしまった私を内場さんは、軽く揺すって正気に戻してくれる。

 

深呼吸を繰り返すと、徐々に頭が冷静さを取り戻し始めてくれた。

 

でも、澄んだ頭で状況を理解することは出来なかった。

 

何故なら、お姫様だっこの状態のまま、内場さんが黒く大きな翼を広げて飛んでいたから。

 

また混乱しそうになる頭を必死に冷静に押し戻して、深呼吸を繰り返した私は、下を見ないように視線を上向ける。

 

内場さんはコウモリにもカラスにも似た黒い翼をあまりはためかせず、風を掴んでいるのかスムーズに上へ上へと上昇していく。

 

天使と言うよりも悪魔的で、最初内場さんを見たときよりも悲しい気配が強くなっている気がした。

 

落ちないように内場さんの首もとに腕を絡めると、彼は優しく微笑んで大丈夫と言ってくれる。

 

その気遣いが纏う悲しみよりも勝っている気もして、嬉しくなった。

 

あれ…私はどうしてこの人のことで嬉しくなっているのだろう、ふと頭をかすめた疑問は遂に解かれることなく終わってしまう。

 

内場さんが言うように、自分のお家の方を指さすと、一瞬で教室から屋上へと移動したように、私の家はもう目前に迫っていたのだから。

 

ジェットコースターを彷彿とさせる急降下でラストスパートをかけ地面に降り立った内場さん…

 

私はもうへとへとで、腕から降ろして貰うと直ぐに自分の家へと逃げるようには行ってしまった。

 

私の家には今、飼っている犬と優しいおばあちゃんしかいない。

 

昼休みに学校を抜け出してしまった事で、おばあちゃんに心配をかけたくなかったので、そっと家の中へ忍び込み携帯電話に似たミップルを手に持ってまた家から出た。

 

不思議なことにこの携帯電話に似た機械の中にミップルが入っている。

 

折りたたみ式のそれを開けると、寝ていたのか目をつむっていたミップルがうっすらと目を開ける。

 

「ん…ほのかお帰りミポ、どうしたミポ?」

 

目をこすって私の姿を見つけたミップルは、桃色の模様が付い目元を擦りながら小さく欠伸をした。

 

「あのね、ミップル…あなたに会いたいって言う人が居るの、どうする?」

「メップル、ミポ!?」

 

私の言葉にはっとしたミップルは、携帯の画面から出た顔を前へと突き出した。

 

その声には期待と嬉しさがにじみ出ていて、メップルという離れ離れになってしまった妖精との絆が感じられた。

 

まるでロミオとジュリエットのよう、いや…最近流れ星が多いから乙姫と彦星かもしれない。

 

良いな…私もこんな風に心から待つことが出来る人がいたら、どれだけ毎日が充実するか。

 

「ほのか、メップルなのミポ?」

 

私は少しミップルの反応に感傷的になってしまっていたらしい。

 

「え、えっと…メップルかどうかはわからないわ」

 

少なくとも妖精という種類出はないことは見ただけでわかる、どこからどう見ても人間だった。

 

普通の人間かは、空を飛んでいたし怪しいけれど、今は除外しても良いと思う。

 

「そうミポ…」

 

メップルじゃないとわかった瞬間に目に見えて落ち込むミップル。

 

よほど会いたかったのか、悲しそうに目に涙を浮かべている。

 

「…大丈夫よきっとメップルには会えるわ、私もいないと思っていた妖精さんに会えたのですもの」

 

「ほのか…ありがとうミポ」

 

私は人差し指を出して、そっとミップルの頭をなでる、ミップルは恥ずかしそうにでも嫌がりはせず撫でられていた。

 

「えっと…メップルじゃないとするとミポ……誰ミポ?」

 

敵とは考えないのかしら、警戒心のなさに苦笑しつつもそれとなく話を振ってみる。

 

「ほら、ミップルが言っていた追っ手じゃないの?」

 

「ううん…それも考えたミポ、でも追っ手なら私達妖精も感じる気配見たいなものがあるミポ」

 

首をひねるミップル、要するに内場さんは、変な力を持ってはいてもメップル、ミップル達の敵じゃない?

 

ならどうして、どういう目的で内場さんは妖精を探していたの?

 

その答えは直ぐに出た、一応会ってみるというミップルの言葉に私は、内場さんに携帯に似た機械、もといミップルを差し出した。

 

差し出された携帯を見て、内場さんは訝しげな目になったけれど、中のミップルを見て驚いた顔をしていた。

 

内場さんは、ミップルの姿を見たことがなかったの?

 

それとも……

 

「ミップルで…間違いないな?」

 

「ミポ?あなたは誰ミポ、ほのかに聞いたミポ?」

 

私は言っていない、一言も妖精が家にいるなんて…

 

そもそもそんな可能性を信じている人は数少ないと思う。

 

でも、内場さんは妖精という存在を絶対にいるという確信を持って探していたように見えた。

 

この事が何を意味しているのか、どういう事実を浮かび上がらせるものなのか私は興味があった。

 

雪城 ほのか SIDE OUT 

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