ふたりはプリキュア ダークサイド仮   作:スマート

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悲壮の炎で悲しむ

「ひいっ!?」

 

安心させようと地面に降りて妖精に近付くと、妖精は恐れているのか反対方向へと逃げていってしまった。

 

薄緑色の模様が白い肌に入った妖精だった。

 

「俺の姿は、助けた者にさえ怖がられるのか」

 

悲しいな、そう感じるとまた鎧から溢れ出すエネルギーが増加して、黒い光を帯び始めた。

 

ブラックホールのような全てを飲み込まんとする黒は、不幸せの象徴。

 

幸せの国の妖精にとって、それは恐怖しか生み出さないものなのかもしれない。

 

「ふっ…」

 

自嘲気味になった気分を笑って吹き飛ばし、後ろから襲いかかってきた黒い男の拳を僅かに体制をずらして避ける。

 

「ウアァ、ナゼ、カワセル?」

 

勢い余って地面に体当たりする形になった黒い男は、悔しそうに俺をにらみつけた。

 

「俺は悲しみの顕現者、お前が纏う悲しませた者達の怨念が俺には読める…

この光の国は俺が護ると決めた、不適格な混沌は今すぐ消えるが良い」

 

逃げ出そうとする黒い男に、俺の背からまた黒い紐が伸び、頭に突き刺さった。

 

自分の意志で動かした紐は、先程の無意識とは比べ物にならないほど早く、そして破壊力があった。

 

脳髄を砕かれた男は、頭から黒いオーラのようなものを撒き散らして、やがて消滅した。

 

「さて、次はどいつだ…誰から消えたい?」

 

気が付くと俺は黒い男達に囲まれていた、だが不思議と緊張はせず、絶対的な勝利の未来が見える。

 

「ヘヘヘッ、ドウダァ流石ニコノ人数ハ無理ダロォ、アノ紐モ一本が精一杯ミタイダシナ」

 

黒い男達の中で、一人頭一つ分大きめの男が言う。

 

他人をいたぶることを何とも思っていない目に自然と拳を握りしめた。

 

また鎧のエネルギーが上昇した気がする、どうやらこの鎧は俺の感情に左右されて力が上がっていくようだ。

 

「お前、仲間が倒されるのを影で観察してたな、だから俺の紐の事を知っている。

 

ドツクゾーンは屑の集まりだ、安心しろ皆等しく消し去ってやる」

 

「ヘヘヘッ、ヤレルモンナラ、ヤッテミロ!」

 

円を描いて俺を取り囲む男達は、1対1で戦うことは不利だと見たのか、剣や槍をそれぞれ握りしめ、一斉に向かってきた。

 

「クラエェ!」

 

だが悲しいかな、普段から統率のとれていない寄せ集めの集団は、チームプレイの意味を知らなかったようだ。

 

集団で戦うときは一番弱いものが狙われやすい、そのため集団を組むときは力を均等に配当する。

 

だから俺は黒い男達の中で一番動きが遅い男に向けて紐を伸ばし胴に巻きつけた。

 

「ウアッ!」

 

紐を自分の元に引いて捕まえた男を、後ろから来る男達の剣を防ぐ盾にする。

 

鈍い音が響き、仲間たちの攻撃に身体を貫かれた男は地面に崩れ落ちて消えた。

 

仲間を攻撃してしまったことによる動揺で身体が止まった後ろの男達は放っておく。

 

集団においてもう一つ重要な事がある。

 

完全に同期した攻撃を放つ事で隙を無くすか、連携プレーで隙を埋めるかである。

 

前から来る男達はそれぞれがバラバラな動きで突撃してきたので、一番早く向かってきた男を串刺しにして、順に来た男達を同じ方法で倒す。

 

「ドツクゾーンの串刺し一丁上がりってわけだ、仕上げに焼いてやろう」

 

何故だか解らないがそうできる自信があった。

 

紐に団子のごとく突き刺さった男達に手のひらをかざし、力を込める。

 

「燃えろ」

 

その声が合図となり、手から紫色の炎が溢れ男達を覆い尽くした。

 

「グギャアアアアアア!」

 

「ヤメテクレエエエエ!」

 

叫び赦しを請う姿の何と無様なことか、同じ事を妖精にしてきたお前たちには当然の報いだと言うことを知れ。

 

消滅した男達がいた炎の中から紐を引き抜き、火が燃え移った紐を後ろへと投げる。

 

火は紐から漏れ出すエネルギーを食い、後ろで止まっていた男達へ火柱を発射した。

 

集団は壊滅、この間たった2分での出来事だった。

 

紫色の炎は男達を燃えつくし暫くすると何事もなかったかのように消えてしまう。

 

「次は…あそこか」

 

もう周りから悲しい気配は感じない、葬った男達でこの辺は一掃出来たらしい。

 

遠くの方まで気持ちを集中して悲しい気配を探ってみると、一際大きな気配が少し丘だった場所から感じ取れた。

 

この気配は尋常ではない、今まさに消え落ちてしまいそうな儚い悲しみ。

 

マスターから感じられた共感する悲しみとも違う、もっと深い慈悲ともいう部分。

 

光の園の住人がそんな悲しみを持っているのか、いや持たざるをえなかったのか。

 

いずれにしても護らなければ。

 

俺は空へ跳躍し、急いで気配を感じた方角へと飛んでいった。

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