改善点や感想などありましたらありがたいです。
季節は二月に差し掛かろうかという寒空の中、活発に外を走り回る園児達。また室内で友人とそれぞれ話をしたり、おままごと等ごっこ遊びに興じる園児達。
それぞれがただ無邪気に遊ぶという事に一生懸命である。俺も同じ園児だが、この歳の子供の体力は異常だと感じてしまう。どれほど騒ごうが、走り回ろうが、この後にあるお昼寝の時間を過ぎれば何事も無かったかのようにまた暴れ回るのだ。
斯く言う俺も休みの日に妹の小町と一緒に親父に遊んでもらった。鬼ごっこをして遊んだのだが、鬼は親父であった。
・・・親父あの後めちゃくちゃ息切れしながら噦いてたな。
涙目のおっさんに助けを乞うた目で見られたためこちらも危うく貰いそうになった。そしてそんな父を見て不安げにオロオロする小町マジ天使。
「あら?なにをしているのひきがやくん?ほかの子からなかまはずれにされたのかしら?」
子供がいかに元気かを考え、そして親父の悲しい姿を思い出していると後ろからいきなり友達には言わないであろう辛辣な言葉を浴びせられた。
・・・友達いないから分からないけど。
八幡「うるせーな。仲間はずれになんかされてない。なんならハブる以前に他のやつらが俺の存在を認識してないまである」
なんか言ってて悲しくなってきた・・・
「そんな自慢げに言うことでもないとおもうのだけれど、、」
そう言うと少女は額に手を当て呆れる。くそ、なんで五歳なのにその仕草が似合うのだろうか。
八幡「いいだろ別に。誰にも迷惑かけてないんだから。そういうお前だって一人じゃねーか、雪ノ下」
雪ノ下雪乃。俺と同じ五歳であるが妙に落ち着いており、容姿も自他ともに認める美少女である。その五歳とは思えない大人びた振る舞いから周りからは尊敬の念を抱かれていると同時に、近づき難いともされている。
まあこいつの場合、落ち着いているというよりは人見知りのほうが表現として近いのかもしれない。
そんな雪ノ下に何故か俺はよく話しかけられる。そういやこいつも友達いないんだっけか。正直困る。幼稚園の中でも群を抜いて美少女の雪ノ下に話しかけられるから他の園児、特に男子からの恨みのこもった視線が非常に辛いのだ。
そんな俺への腹いせか知らないが、この前のおやつの時間に俺のおやつ食べたタナカまじ許さん。
雪乃「わたしはココウなの。コドクなあなたとはちがうのよ」
ふふん、と得意げに笑う雪ノ下。むずかしい言葉を使うのはいいが、発音が怪しいよゆきのん?確実に覚えたてって感じだな。
八幡「へーへーそうかよ。て言うかお前が目立つせいで俺まで周りから見られちゃうんだけど?」
雪乃「あら、わたしといてもあなたはまわりからは見えないとおもうからだいじょうぶよ?ミジンコがやくん?」
八幡「俺は顕微鏡じゃないと見えないのかよ、、、」
そう項垂れていると、本日の罵倒が決まり嬉しいのか、にやけそうな顔を抑えつつ雪ノ下は小さくガッツポーズをしている。良かったですね・・・
雪乃「それよりも、今日はあの子はいないの?」
八幡「さあな」
雪ノ下のいうあの子とは、以前その女の子が園内で男の子数人と口論になり、男のうちの一人が手をあげようとした所で俺が間に入ったのだ。あの時のパンチ地味に痛かったな。あと少し、いやだいぶ怖かったわ。やっぱ平和が一番だね、うん。
そんな勝気な性格の女の子の名前はしぶy「あ、見つけたはちまん」
八幡「見つけたってなんだよ。組も同じで毎日見てるじゃねーか」
「だってはちまん遊び時間になったらすぐどっかいっちゃうんだもん」
八幡「しょうがねえだろ。教室の中に居場所がないんだから」
「今日はあたしとおままごとしよって言ったじゃん」
記憶にないですねえ、、
雪乃「ちょっとしぶやさん?わたしがさきにひきがやくんと話してたのだけれど?」
「いいじゃんべつに。はちまんはあたしと話したほうがたのしそうだよ?」
この女の子は渋谷凛。この子も雪ノ下同様かなりの美少女である。先ほど言ったように男の子数人と口論するような負けず嫌いな性格であるが、その時も他の女の子を庇って口論になったのだから、渋谷は悪くない。というか普通に優しい子である。その時に仲裁に入ってから、やけに話しかけられたり遊びに誘われたりするようになった。そしてなぜか雪ノ下と一緒にいるとこのようにバチバチである。
やめて!仲良くして!
雪乃「しぶやさん、あなたはもうすこし女の子らしいふるまいをしなさい。ことばづかいもらんぼうよ」
凛「ゆきのしたさんは言うことがいちいち固すぎるんだよ。ほら、はちまんがこまってるじゃん」
それは主に二人のせいなんですけどね。言ったらややこしくなりそうなんで言わないけど。
凛「ほらはちまん、おままごとのセットさっきほかの子にとられちゃったから、あたしたちは砂場でお山つくりしよ」
いやいや渋谷さん、冬の砂場舐めたらダメですよ?思った以上に砂冷たいからね?ただでさえ今日はめちゃくちゃ外寒いってのに。
なんて思っていると渋谷が俺の腕を掴み砂場に行こうとする。
その時
雪乃「あ、、、」
そんな雪ノ下の声が聞こえ振り返るとしょんぼりと落ち込んだ様子の雪ノ下がいた。
俺も一人でいるときが楽だけどこういうのって辛いよなと思っていると、そんな雪ノ下に気づいたのか、
凛「ゆきのしたさんもお山つくる?」
渋谷の声に先ほどまで落ち込んでいた雪ノ下は表情を明るくさせた。その表情がバレてないとおもっているのか、
雪乃「そ、そう?しかたないわね。そんなにわたしと遊びたいなら一緒に遊んであげてもいいわよ?」
やれやれとこちらに来る雪ノ下。素直じゃねえな。というかゆきのん表情隠せてないよ?誘われたのが嬉しいのかめちゃくちゃニコニコしてるよ?かわいいなちくしょう。
凛「すなおじゃないね」
そう言いながらクスッと笑う渋谷は年相応の可愛らしさがあった。というか渋谷も素直じゃないと思うんだが。まあいいか。丸く収まったし。
〜砂場〜
雪乃「んしょ、んしょ、、」
凛「よいしょ、よいしょ、、」
八幡「だいぶできてきたな」
しばらく砂場で山を作り続け、今はトンネル開通の作業中である。
これ地味に楽しいんだよな。そういえば今まで小町と一緒に遊んでたから、何気に同い年の子と遊ぶの初めてだわ俺。しかも園内での美少女ツートップと遊んでるなんて。
やばい少し緊張してきた。そんな思いに耽っていると砂とは違う感触をトンネル内で感じた。
八幡「ん?」
分からずそれを握ったり触ったりしていると、
凛「は、はちまん、くすぐったいよ」
八幡「!!!??」
渋谷の手だった。やべえおれ分からなくてめちゃくちゃ触っちまったよ。気持ち悪がられてたらどうしよう。明日からの渾名が怖い、、モミがやとか言われたらどうしよう、、ていうか小町以外の女の子の手初めて触ったよ。ニヤニヤしてないよな?大丈夫だよな俺?
凛「えへへ、トンネルできたね」
ニコッと笑う渋谷に不覚にもドキッとしてしまう。照れ隠しのために違う方向を向くと雪ノ下が不機嫌そうに頰っぺを膨らましながら俺を見ていた。
雪乃「つうほうされたいのかしら、へんたいがやくん?」
・・・明日からじゃなく今日から渾名を付けられてしまった。
雪乃「ひきがやくん!べつの方向からトンネルをほりなさい!わたしもほるから!」
なぜか雪ノ下が俄然やる気になってらっしゃる。わかるぞ雪ノ下、お前もトンネル作りに魅せられちまったんだな?よし、ここは俺がトンネルの手本をこいつに見せてやるか!と、またトンネルを掘ろうとしたところ
先生「はーい、お昼寝の時間だからお外にいる子達は教室に戻ってきてねー!」
という先生の声が聞こえてきた。今日のところはこれで終わりだな。
八幡「じゃあ、山もトンネルもできたし、戻るか」
そう言い2人のほうを見ると、ふふん、と雪ノ下に対し自慢げに笑う渋谷と、ぷるぷると悔しそうにする雪ノ下の姿があった。
昼寝の時間になり、園児達は皆幸せそうに眠っている。それは俺の両側にいる女の子二人もだ。
今日は初めて同い年の子達と遊んだ。二人とも女の子で、二人とも負けず嫌いで。二人とも大人びたような雰囲気を持っていて、、、
雪ノ下は人見知りで、大人びようとしていて、孤高であろうとして、、でも本当は五歳児らしい、笑顔がかわいい女の子だった。
渋谷は言い方に棘がある時もあるかもしれないが、それでもだれにでも優しい笑顔が素敵な女の子だった。
今日はいつもの幼稚園より楽しかったな、、、。明日は俺から誘ってみようかな、、、。
柄にもなくそんな事を考え、明日に胸を躍らせながらも、強引に瞼を閉じた。
〜お迎えの時間〜
雪乃「ひきがやくん!さっきの続きよ!」
八幡「そんなにトンネル気に入ったのかよ、、、」
凛「はちまんはやくかえろ」
おわり