もしもシリーズ   作:ユッケライス

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ここからですね




もしも相談に来たら

 

 

 

 「ありがとう!雪ノ下さん!」

 

雪乃「ええ。また何かあったら来て構わないわ」

 

 

 女子生徒が少女に謝辞を述べて去っていく。その表情は晴れやかだった。

 先程の女子生徒の悩み、と言っても勉強で分からない問題があるから教えて欲しいというものだが、自らが教え、理解して貰えたため、俺の目の前にいる雪ノ下雪乃は安堵していた。

 

奏「一仕事終えたような顔ね」

 

雪乃「そうかもしれないわね。さっきの子に教えることが出来るか不安だったけれど、分かって貰えて良かったわ。最後は私の作った問題も解けていたし」

 

 

 つい最近からだが、雪ノ下達は女子生徒限定でお悩み相談なる物を始めたらしい。

 事の発端は授業中に雪ノ下が先生に指名され皆の前で問題を解いた際、その先生よりも分かりやすい解説だったため少しずつだが問題を聞きに来る生徒が増えたのだと言う。何か噂では完璧超人ゆきのんと呼ばれているらしい。それを雪ノ下が知った時はどんな反応をとるのか恐ろしかったが、少し照れていた。それでいいのか雪ノ下。

 そして速水と北条だ。この二人は相手の恋愛話を聞き出すことが上手く、親身に相談に乗ってくれるため女子生徒の間で反響を呼んだらしい。相談者の他の者に言えないプライバシーな部分も口外は絶対しないということもあり、相談しに来る女子生徒が増えている。雪ノ下は勉強を教えることが主だったが、稀にそのまま速水と北条にするノリで恋愛相談をしてくる子がいたそうで、そちらに関しては雪ノ下自身では力になれなかったらしい。それを聞いた北条が、それならばそういった事態に対応出来るように、なんでも相談出来るようなコミュニティを作ろうと提案した。雪ノ下、北条、速水、そこに渋谷と神谷を合わせた五人で、週に三回、放課後に悩み相談室なるものを空き教室で開いているらしい。らしいのだが……

 

 

八幡「何で俺まで居なくちゃいけないんですかねえ」

 

奏「あら、私達といるのは嫌なの?」

 

雪乃「比企谷君。この集まりは貴方の学力を上げるためでもあるのよ?小町さんに聞いたけれど、貴方理系の成績が壊滅的らしいじゃない。あんな点数初めて見たわよ」

 

八幡「ぐ……。……仕方ないだろ、理系は好きになれないんだから」

 

奈緒「いやいや比企谷、あたしも勉強そんなに得意じゃないけどさ、あれは酷いぞ?」

 

八幡「うっ……」

 

凛「私も点数あんまり良くなかったけど、八幡の点数見たらちょっと安心しちゃったよ」

 

八幡「くはっ……」

 

奏「さすがにあれは笑えないわ……」

 

八幡「ぐえっ……」

 

加蓮「わ、私はそうは思わない、かなぁ……やっぱごめん」

 

八幡「Oh……」

 

 

 やめて!もう八幡のライフはゼロよ!などくだらない事を頭の中で思っていると雪ノ下が咳ばらいをした。それに伴い俺達は彼女の方へと視線を移す。

 

雪乃「とにかく、今から理系を捨てるのは良くないわ。必要最低限の知識は身に付けて頂戴」

 

八幡「甘いな雪ノ下。今から理系を捨てるんじゃない。俺は小学生の頃から捨ててい『何か言ったかしら?』いえ、頑張ります」

 

雪乃「はあ……問題集の今日の分を終えたら帰れるから早くしなさい」

 

八幡「はい……」

 

 

-----

 

 

 

八幡「お、終わった……」

 

雪乃「……相談ももう来ないようだし、今日はここまでにしておきましょうか」

 

加蓮「だね」

 

 

 皆が帰る支度を始める。支度を終えた所で、教室の扉がノックされた。

 

雪乃「……どうぞ」

 

 雪ノ下の一言に扉が開く。入ってきた人物は一目見ただけで明るい性格なんだろうなと想像できるような女子生徒だった。というより俺はこいつを知っている……気がする。確か同じクラスな筈だ。

 

 

 「へえー!ここがお悩み相談室?噂で聞いてたけどホントにやってたんだー!ウケる!」

 

 

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奏「かおり?珍しいわね。あなたも何か相談?」

 

かおり「おっ!奏じゃん!そっか!奏もメンバーだったね!すごい大活躍らしいじゃん!」

 

奏「ええ、ありがとう。それで、かおりは何か相談に?」

 

かおり「おお!奈緒ー!貸してもらったフルボッコちゃんのDVDなんだけどさ、昨日パッケージにジュース零しちゃってさー!」

 

奈緒「なっ!?何やってんだよお前はー!大事に扱ってくれって言っただろ〜!!」

 

かおり「あっはっは!ごめんって!」

 

奏「あの……かおり?相談は?」

 

かおり「凛ー!今度またハナコの散歩付き合わせてよー!もうハナコめちゃくちゃかわいくて!」

 

奏「かおり……」

 

 

 す、すげえ……!あの速水がタジタジだ……。こんな場面中々見れねえぞ……。

 

雪乃「折本かおりさん」

 

 

 雪ノ下の声に空気がピンと張り詰める。部屋の空気が数度下がった気がするのは俺だけだろうか。

 

かおり「へえー、私の名前知ってるんだ。改めて、折本かおり!よろしくね!雪ノ下さん、でいいかな?」

 

雪乃「ええ。それで?奏さんがさっきからあなたに何の用か聞いてるのだけれど」

 

かおり「へ?ああ!ごめんごめん!いやあアタシさ、ついつい喋っちゃうんだよねー!奏ごめんね!」

 

奏「ふん、いいわよ。あなたのそれはいつもの事だから」

 

 いつもこんな感じなのか……。

 

かおり「呆れられちゃってるし!ウケる!っと、そうだそうだ。相談したいのはアタシじゃないんだ。入っておいでー!」

 

 

 折本の言葉を聞いてもう一人女子生徒が教室に入ってきた。なんて言うか、この子も折本に少し似た明るい雰囲気を持っているな。

 

 

凛「あれ、未央じゃん」

 

未央「どうもー!本田未央です!雪ノ下雪乃ちゃんだね?よろしく!およ?そこにいる男の子は……誰?」

 

雪乃「本田さん、よろしく。そこにいる男子生徒は理系の苦手な文系谷君よ」

 

八幡「おい、雪ノ下おい」

 

未央「ほほー!よろしくね、文系谷君!って、そんなわけあるかーい!君の本当の名前は?」

 

八幡「結構ノリいいんだな……比企谷八幡だ」

 

未央「うんうん!よろしくね比企谷君!」

 

 何ていうか、本田も折本同様、底抜けに明るいんだな。ここにこいつが来といて何だが、悩みなんて有るのだろうか。

 

凛「それで、未央。何か相談?」

 

奏「ふふ、好きな子にアピールする方法かしら?」

 

加蓮「ええー!未央好きな子いるの!?」

 

 

 渋谷達が盛り上がる中、本田と折本は先程までの元気は何処へやら。少し困ったような、複雑な表情へと変えた。

 

未央「たはは……。うん……。何ていうか、皆の期待に添えることが出来るような内容じゃなくてさ……。正直、ここに来ることも迷ったんだよね……」

 

 

 その言葉に盛り上がっていた声も無くなる。そのような雰囲気ではないと、空気を読んだ訳だ。

 

 

 

 彼女達は本田未央という女の子が抱えている悩み、いや、問題を聞いた。そしてそこに居た俺も聞いた。聞いてしまった。勉強や恋愛相談とは違う。彼女達からすると異質な相談。北条達から笑顔が完全に消える。これはまた厄介な案件を持ってきたものだ……。

 

 こんなことになるのなら、彼女達がここに来ることが分かっていたのなら、数学の問題集をさっさと片付けてしまえば良かったと、目の前の女の子達を見ながら思った。

 

 

 

 

続く

 

 







ここからは賛否両論あるかもしれません。

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