かおり「……」
可菜「……。……はぁ」
野中が気怠そうに溜息を吐く。上履きを態と地面に擦るようにこちらへと歩いて来る。
可菜「……いくら待っても戻って来ないと思ったら、まさかこんな事になってたなんてね」
アタシと上里の間の位置で立ち止まり、アタシから上里を引き離した。上里の服を正す野中。
可菜「明、帰るよ。歩ける?」
明「う、うん」
可菜「まったく、こんな事に巻き込まれる前に連絡しなきゃ。分かった?」
明「ご、ごめんね。えへへ」
野中の上里を見る目、声色はとても慈愛に満ちている様に見えた。
可菜「さ、行こっか」
そう言い上里の手を掴み立ち去ろうとする野中。でも―――
かおり「待ちな」
昨日の今日で、アタシが許すはずも逃がすつもりも無い。二人の足が止まる。
可菜「……」
自分の口から発せられた声は低く、冷たいものだった。こんな声を自分が出せたんだと驚いている。そんな、今の状況に合わない事を思いながらも野中を睨み続けた。
可菜「……はぁ」
この数分で何回目かの野中の溜息。
可菜「明、悪いんだけど、今日は先に帰っててくれないかな?」
明「え、で、でも……」
不安そうな顔をしながらアタシを見てくる上里と、それに対し何も心配はいらないという様に微笑む野中。
可菜「大丈夫だから。ね?」
そう念を押すと上里は渋々だが頷いた。もう一度こちらをチラリと見た後、上里は早足で去っていった。周りの音が全て遮断されたかのような静かな空間。
可菜「……それで?」
先程の上里に対する態度が嘘のように野中が対峙する。早く用件を言えとばかりに不満げに。
その態度に心底腹が立ったが、自分自身を落ち着かせるために目を瞑る。しかし瞼の裏で思い起こされるのは親友の悲しそうな表情だった。早急に目を瞑ることをやめたアタシは、目の前のいけ好かない奴に対し再び舌打ちをした。
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雪乃「遅い……」
加蓮さんと奈緒さんが教室を出てから三十分以上は経っている。教室辺りを見てくるだけで良かったのだけれど、どうやらあの二人はそれ以外の場所にも行っているらしい。気持ちは有難いけれど、この報告会が機能しなくなっては元も子もない。あと、考えたくないけれど、もしかすると時折見せる加蓮さんの"ノリ"というものに奈緒さんが巻き込まれているのかもしれないわね……。その構図が容易に想像出来るのも複雑だわ……。
チラリと前を見ると、凛さんは耳にイヤホンを指して音楽を聴いている。彼女の隣にいる奏さんは手鏡を見ながら手櫛で髪を整えていた。どうやら二人も手持ち無沙汰な様だ。
凛「ふう。んーっ……」
恐らく曲を最後まで聞き終えたのだろう。凛さんがイヤホンを外し指を絡ませながら伸びをする。
凛「あの二人はまだ帰ってきてないんだね」
雪乃「ええ。何処まで探しに行ってるんだか」
奏「ふふ、一生懸命探してくれてるのよ。真面目でいいじゃない」
凛「どうせ奈緒が加蓮に振り回されてるんだよ」
どうやら凛さんも同じ事を思っているようだ。
奏「正直それは否めないわね」
奏さんもだった。
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凛「まあでも、いくら何でも時間掛けすぎだよ。戻ってくるように言おうか」
そう言い終える頃には凛さんは電話をかけていた。相手はあの二人のどちらかだろう。
凛「……もしもし、奈緒?そろそろ戻っておいで。加蓮に遊ばれるのも程々にね」
そう言い終えると電話の向こうから何やら声が聞こえる。凛さんの表情が柔らかくなる。恐らく奈緒さんが違うと叫んでいるのかもしれない。
凛「ふふっ。ふーん、ちゃんと探してたんだ。……はいはい、分かったから、早く戻っておいでよ。早くしないと雪乃にどやされちゃうよ」
雪乃「凛さん、それはどういう事かしら?」
凛「おっと、じゃあもう切るね。ほんと早く帰ってきて。矛先が私になっちゃうから」
そう言い終えて凛さんは携帯を切りポケットに仕舞った。
雪乃「……」
凛「ふふ、まあまあ、そんな怖い顔しないでよ」
奏「そうよ雪乃。只でさえ私達は関わったことがない子達から怖いって言われてるんだから」
雪乃「それは……そうかもしれないけれど……」
奏「私達は仲のいい子達に限らず、もう少し柔らかい表情になってもいいと思うわ」
雪乃「それは……そうね」
奏「ここ最近では女子限定の相談会も相まってだいぶ丸くなったと思うけど、まだまだと思うわ。私も含めてね」
雪乃「ええ……そうね」
奏「特にあなたは『氷の女王』って呼ばれてるんだから」
雪乃「ちょっと待って頂戴。初耳なのだけれど」
奏「あら、言っちゃダメだったかしら」
雪乃「奏さん、一体何年何組の誰がそんな事を言っていたのかしら?」
凛「雪乃、泣かす気満々じゃん」
奏「まあまあ雪乃落ち着いて頂戴。そんな事したら彼が可哀想よ。……あっ」
凛「ぷふっ、なるほど。雪乃をそんな風に言うのは一人しか居ないね」
雪乃「……あの男……。今度会ったらどう泣かしてあげようかしら……」
凛(やっぱ泣かすのは確定なんだ)
何が氷の女王よ。覚えてらっしゃい、比企谷君。
時計を確認する。凛さんが電話をして数分。そろそろ二人は戻ってくるかしら。
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奈緒「ほら加蓮、凛がそろそろ戻ってこいってよ」
加蓮「えー、もう?もうちょっと探検しようよ」
奈緒「探検って……。あたしらがよく知ってる校舎じゃん」
加蓮「もう、奈緒つまんなーい」
奈緒「はあ……?ほら、とにかく戻るぞ?」
加蓮「ちぇっ……分かったよ」
凛から加蓮に遊ばれてるって言われたから少しムキになってるのかも。でも完全に否定出来ないのが悔しい。
加蓮「にしても居なかったね、かおり」
奈緒「うーん、まあ用事でもあったんじゃないか?」
骨折り損、という訳じゃないけど、二人で探しても結局成果は挙げられなかった。……ん?
奈緒「あいつ……」
前方から歩いてくる小柄な女の子。両手を胸に当てながら、何やら不安そうに歩いている。普段はこんな感じなんだろうか。
加蓮「奈緒?ん?……上里さん?」
明「!?」
加蓮の呟くように言った名前は本人に聞こえたらしい。上里が驚いた様子でこちらを見た。
明「あっ……。か、かれ……、……北条さん……」
加蓮「あ、私のこと知ってるんだ」
明「え、う、うん」
上里は加蓮を見て何やら慌てている。えっと、だの、その、だの言ってるけど、あたしを見るとそそくさと走り去っていった。
加蓮「何だったんだろうね」
奈緒「わかんないなあ。とにかく、あたしらも戻ろうぜ」
加蓮「うーん……」
奈緒「ん?何だよ」
加蓮「さっきの上里さんの様子見た?」
奈緒「様子?あたしらに気付いた時の?」
加蓮「そうじゃなくて気付く前、こっちに歩いて来てた時だよ」
奈緒「うーん、まあ、自信なさげというか、何か不安そうというか」
加蓮「そうそう。私にも不安そうに見えた」
奈緒「まあ、普段野中の近くに居るらしいからっていうのもあるけど、案外一人の時はあんな感じなんじゃないか?」
加蓮「でも歩いてる時何かを探すようにチラチラ色んなとこ見てたよ」
奈緒「うーん……つまり?」
加蓮「私達と会うまでに何かがあった!」
奈緒「ざっくりしてるなあ……」
加蓮「仕方ないじゃん。流石にそこまでは分かんないよ」
奈緒「まあそうだけど……」
加蓮「さっ、行こっか」
奈緒「何だよ切り替え早いなあ。……って、教室はこっちだよこっち。何でまっすぐ行こうとするんだよ」
加蓮「何でって、上里さんがあっちから来たからに決まってんじゃん」
奈緒「はあ?」
加蓮「さっきの様子と何か関係あるかもよ?」
奈緒「ええ……。考えすぎじゃないか?」
加蓮「うるさいなあ、とにかく行ってみようよ!」
奈緒「あ、ちょっと加蓮待てって!」
走って行く加蓮を仕方なく追いかける。やっぱりあたしは加蓮に弱いのかもしれない。
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小町「あれ、お兄ちゃん?まだ帰ってなかったんだ」
八幡「ん、ちょっと本借りに図書室に行っててな」
放課後、教室で友達と割と長い時間話をしていた。小町以外の子達は部活があるということなので、きりのいいところで切り上げる形になった。
放課後になって結構時間経ってるから部活始まってるだろうけど、怒られないのかな。うーん、小町も何か部活入れば良かったかなぁ。友達と別れた後、こういう時に少し寂しさを覚えるんだよね。まだ一年生だから間に合うかなあ。そんな事を考えながら階段を降りていると、見慣れた後ろ姿を見かけた。お兄ちゃんだ。
小町「あれ?まゆさんは?」
八幡「ついさっき花摘んでくるってよ」
小町「その隙に帰らないところを見ると、中々に調教されてるねお兄ちゃん」
まあ、あのお姉さん達に頼まれている以上、勝手に帰るとか一人で行動されると困るけどね。
八幡「調教って何だよ……。いや、帰ろうとしたら佐久間が『うふふ、待ってないと、……ねぇ?』って変な圧をかけてきてな……」
小町「うわっ、今のまゆさんの真似?流石に引くよお兄ちゃん。言い方とか地味に似てるのが鳥肌を加速させてるよ……」
八幡「仕方ねえだろ、ここんとこ毎日付きまとわれてるんだから。そりゃ真似も出来るようになるわ」
小町「お兄ちゃん、家でこっそり一人で練習してるもんね」
ふふ、なんてね。
八幡「は、はあ?ししししてないけど?」
うわ露骨に目を逸らされた。ほんとにしとるんかい。
八幡「……ん」
小町「お兄ちゃん?……げっ」
お兄ちゃんが窓の外に目を逸らし、階下を眺めていた。目線の先には加蓮さんと奈緒さんが居た。
八幡「あいつらもまだ帰ってなかったのか」
小町「み、みたいだね」
八幡「そういえば最近は佐久間のインパクトが強すぎて忘れてたけど、あいつらと全く会わなかったし話さなかったな」
小町(まゆさんがそう仕向けてたらしいからね)
どうやってるのかまでは分からない。
八幡「ん?誰だあの女子?」
小町「さ、さあ?か、加蓮さんと奈緒さんは友達が多いからなー……あはは」
まゆ「お待たせしましたぁ。あら、小町ちゃんも居ましたか」
小町「あっ!まゆさん!」
小町はまゆさんの元へ走りお兄ちゃんには聞こえないように咎める。
小町(ちょっとまゆさん!こんな時間になるまで兄を学校に置いとかないで下さい!他のお姉さん方とエンカウントしたらどうするんですか!)
まあ一概にまゆさんだけの責任とは言えないけど。今はそんなこと言ってる場合じゃない。
まゆ(そんな事いっても……。八幡さんが図書室に行くって言ったので……)
小町(そんなのいつもの圧で封じて下さいよ!)
まゆ(圧って……。まあでも、そう思いましたけど、これって放課後制服デートになるんじゃないかなって思っちゃって……)
小町(校舎内を制服デートって何ですか!?いいですか?あの人達が言う小町達の役割は、兄を例の件から遠ざけることです。そのためには兄にその事について考える時間をとにかく与えてはならないと小町は判断したのです!だから家に帰っても敢えて兄の苦手な数学を教えてもらう振りまでして気を逸らしてるのに、まゆさんがそんなんでどうするんですか!?今さっき加蓮さんと奈緒さんがいましたよ!)
まゆ(あらぁ……そんな一気に捲し立てなくても……)
小町(あらぁ……じゃないですよ!兄が何か感づくんじゃないかと本当に焦りましたよ!小町ポイント爆下がりですよ!)
まゆ(そんなぁ……せっかく貯まってきたのに……)
この小町ポイントは本来お兄ちゃんにだけ使っていたものだったけど、お兄ちゃんを一緒に監視し始めた頃から、まゆさんがこのポイントに興味を持ち始めた。小町から見てまゆさんの嫁度、献身さ等を判断して加点していく。そして何故かポイントMAXまで行くとお兄ちゃんのお嫁さんという謎の制度をまゆさんから強制的に約束させられました。でもそれもさっきの事でかなり減点だよ。
八幡「お前ら何こそこそ話してんだ?」
小町「!?な、何でもないよお兄ちゃん!さっ、早く帰ろ!小町お腹空いちゃったよ!」
八幡「うわっ、あ、ああ。そうだな」
まゆ「まゆも一緒に帰りますよぉ」
小町「あれ?まゆさんはこの後予定があるんじゃないですか?」
まゆ「え?まゆは八幡さん以上に優先する予定なんて」
小町(さっきのペナルティです。辺りを見回してあの人達が居ないか見ておいてください)
まゆ(そんなぁ……)「……そういえば大事な用があるのを思い出しましたぁ……」
八幡「えぇ……、なら待たなくて良かったじゃねえか……」
小町「まあまあお兄ちゃん!まゆさんも忘れてたんだからしょうがないって!ではまゆさん!また明日です!」
まゆ「はい……また明日ぁ……」
そう言い残し、とぼとぼと歩いて行くまゆさんを見て少し心が痛むけど、背に腹は変えられないのです。さて、あとは下駄箱で素早く靴を履き替えて学校から出るのみ。
小町「さてと、小町達も帰ろっ、お兄ちゃん」
八幡「おう」
まゆさんが居なくなった事を確認して歩き出す。あっという間に下駄箱まで来ることが出来た。
小町「遅いよお兄ちゃん!早く履き替えて!」
八幡「ちょっと、押すな……。お前今日どうしたんだよ。なんか変だぞ」
小町「いつも変なのはお兄ちゃんでしょ!」
八幡「話を聞いて」
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-同時刻-
かおり「……」
可菜「……」
上里さんが来た方向へ行くと校舎裏へと辿り着いた。私はここへ来たことは無かったので少し新鮮だった。こんな裏道にあんな大きな倉庫があったんだと少し感心していると、その奥、私達から見ると少し死角になるであろう所で、人影が見えた。告白かな、と思い、野次馬根性というものが働いてしまった私達は少し近付くと、かおりと野中さんが睨み合っていた。
恐らく未央の件で対峙しているんだろうけど、私は今更ながら隣に居る奈緒に再三言われた通り、あのまま凛たちの元へ戻っていればよかったと、自分の好奇心を恨んだ。
加蓮(まさか本当に"何か"起こってるなんて……)
奈緒「お、おい……加蓮……。あの二人、かおりと野中だろ?……仲良くお話、なんてことは無いよな……やっぱ……」
かおり「……もう一度聞くよ」
止めた方がいいのかもしれないと考えたけど、普段のかおりからは想像出来ないような低い声が発せられ、別人のように感じさせた。視界の先にいる友達と、この異様な空気感に支配されて私達は完全に動けずにいた。
かおり「あんた昨日、未央に何した?」
低く、それでもよく響く声で目の前の女の子に尋ねる。
可菜「……はぁ」
野中さんの返事は、ため息……?
可菜「だからさっきから何回も言ってるでしょ……何もしてない、身に覚えが無いって」
気怠そうに、腰に手を当てながら答えた。
かおり「あんたの取り巻き二人にどうこうできる度胸はない。あんたしかいないんだよ」
可菜「さっきから随分な言い草だけど、滅茶苦茶な事言ってるの分かってる?ていうかさっき明にあんなことしてたけど、そっちこそそれについて何か言うことはないわけ?」
かおり「いいから答えな」
可菜「チッ、埒が明かないな……」
露骨に舌打ちをした野中さんはかおりの言っている"昨日"の事について答えない。本当に何のことか分かっていないようにも見えた。
加蓮(それに昨日って……?未央が報告会に来ずに帰ったくらいしか私は知らないけど、関係あるのかな……)
思考が定まらないでいると、胸元のポケットから着信音が流れた。
加蓮「!?」
奈緒「ばっ……!!」
急いで画面の赤いボタンを押したが、既に先の二人はこちらに視線を送っていた。
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凛「?……切られた」
奏「え?」
凛「コール音が聞こえた途端に向こうから切られたんだよ」
雪乃「……」
奏「おいたが過ぎる、って訳ではないわよね。多分」
雪乃「……探しましょうか。いい加減待つのも飽きたわ」
万が一、あの二人と入れ違いになってもいい様に、書置きだけを残して教室を出た。
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凛「何処にいるんだろ……」
教室を出た私達は奈緒と加蓮を探している。まだ探して全然経っていないけど見つからない。他の中学校より無駄に広いこの校舎は、どうやら隠れんぼに適しているらしい。
それぞれ別々に探していた雪乃と奏と合流した。二人とも収穫は無いと表情が語っている。
私達が合流してから、ちょうど裏の駐輪場から聞き慣れた声が聞こえた。こちらに近付いて来る。
小町「ほら早くしてよお兄ちゃん!!このままじゃ小町はお腹ペコペコで餓死するって言ってんじゃん!!」
八幡「分かった、分かったから……、仕方ねえだろうが、自転車錆びてて中々鍵開かなかったんだから……って……」
凛「あっ……」
奏「あら……」
雪乃「……はぁ」
八幡「おいお前ら、そんな露骨に驚かなくてもいいだろう……。あと会って早々溜息は結構きついからやめてくれ……」
小町「あー……み、皆さん……」
小町があたふたしてる。私達もどうしようか迷っていると、私達の後方、離れた所からさっきの小町より大きな声が聞こえた。
「……で…可………が……かおり……に……!」
息切れしているらしく所々しか聞き取れなかったけど、何か起こってるらしい。何より声を荒らげている女の子と、女の子について行っている女の子が、件の三人の内の二人だった。
八幡「……あれはさっきの女子と、図書室に居た女子……?ってか、所々聞こえた"かおり"って、折本の事か?」
雪乃「比企谷君、帰りなさい」
八幡「え?」
雪乃「いいから。小町さん、早くその男を家まで連れて帰りなさい」
小町「は、はい」
八幡「ちょっと待て、今のは何だ?何でお前らはここに居る、北条と神谷はどうした。お前らは何を知ってるんだ」
雪乃「何のことかしら。あまり恐喝しないでもらえるかしら。通報するわよ?」
八幡「茶化すなよ。いいから答えてくれ」
雪乃「しつこいわね。いいから早く帰って貰えるかしら」
八幡「……小町、先に帰ってろ」
奏「あっ!ちょっと!」
雪乃「待ちなさい!」
八幡が走り出した。それを雪乃と奏が追いかける。
「あ、あの……。ごめんなさい……」
ハッとして、振り返ると小町が申し訳なさそうに下を向いていた。
小町「……」
凛「ううん。小町のせいじゃないよ。頑張ってお兄ちゃんを止めてくれてたんだもんね?だからそんな顔しちゃ駄目だよ」
小町の髪を撫で、私も三人の後を追いかけた。
続く
あと二、三話ほどお付き合い下さいm(_ _)m