この子のSSRをお迎えすることがなかなかできません。
人より優れたものを持つということは果たしてどのような気持ちなのだろうか。
何故俺がこう考えているかというと、先程同じ組の男子達の会話を聞いていたからである。あ?俺もその輪の中にいたのかって?いると思うか?言い方が悪かったな。男子達の会話を盗み聞きしたからである。言ってて悲しくなってきたな・・・。
男子達の会話の内容を要約すると、隣の組に可愛い子がおり、雪ノ下や渋谷にも匹敵するレベル、というものだ。そんな奴いたかな。まあ分からなくても無理はない。俺は同じ組のやつらでさえ顔と名前が一致する奴は数人しかいないからな。しかしそんな噂は今まで聞いたことなかった。周りに興味無さすぎでしょ俺。
まあそんな女の子の噂があろうとも、俺には関係ない。そう思い、今日も園内のベストプレイスで時間が過ぎるのを待っていた。
「・・・」
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八幡「んん・・・」
いかん、この時期には珍しく気温が暖かかったので寝てしまっていた。幸いまだグラウンドには園児達が遊んでおり、教室に入る時間ではないようだ。
八幡「くぁ・・・。中途半端に寝ると逆に体がしんどいんだよな・・・」
「ふふ。よくねてたわね」
八幡「ひゃい!?」
寝惚けていたから気付かなかったが、すぐ隣には見覚えの無い女の子が座っていた。
「ぷふっ、ふふ、そんなにおどろかなくてもいいじゃない」
初対面の女の子にめちゃめちゃ笑われてるじゃないですか。ぼっちは突然話しかけられると対応できないんだから気をつけなさいよあなた。
八幡「あー・・・。俺に何か用か?」
「うーん、用ってわけじゃないわ。あなたがひとりでここにいるのをたまに見かけていたのよ。ここはいつもあなただけがいたから、そんなにいいところなのかとおもって、気になって来てみたの。そしたらきもちよさそうにあなたがねてたのよ。ふふ、かわいいねがおをしてるのね」
寝顔まで見られてるじゃねえか。恥ずかし過ぎるだろ。どんどん俺の精神が削られていく。くっ・・・殺せ。
八幡「そ、そうか。ここは落ち着けるからな。俺はいつもここに一人でいるが、なにも俺だけの場所じゃないから、自由に使ってくれ。それじゃあな」
「あら、もういくの?わたしと少しくらいお話しない?」
八幡「い、いや、人と会話するのは慣れてないんでな」
冗談じゃない。ぼっちに、しかも初対面の女の子と会話なんてハードルが高すぎる。ましてやこんな美少女となんて。
「ふふ、シャイなのね、かわいい。でも、ふだんのあなたをみてると、ここう、ってことばがにあうのかしらそっちのほうがわたしはすてきだと思うわ」
この子は一つ勘違いをしている。俺は孤高ではなくぼっちだ。
八幡「俺のことを見かけたと言ってたが、見ても何も面白くないだろ、こんな奴」
「そんなことないわ。あなた、じぶんのことをめだたないと思ってるみたいだけど、まわりから見たらとても目だってるわよ。大人びてるというか、まわりとはオーラがちがうもの」
な、なんだこの今までに無いタイプの奴は。何が目的なんだ。これが親父が言ってた美人局ってやつか?甘い蜜に吸い寄せられたところで喰らい尽くす女郎蜘蛛なのか!?俺は騙されんぞ!父ちゃんの名にかけて!・・・幼稚園児で美人局、誰得だな。というか俺オーラがあるのか。くくく、今ならどんなやつでも倒せそうな気がする。
とまあ冗談は置いといて、オーラに関してはこいつの方がある気がする。妙に大人びてるし、雪ノ下と仲良く出来るんじゃねえか?いや、あいつは口を開けば罵倒だから無理か。
「それに、かわいい女の子たちをまわりに置いてるから、男の子たちがいつもうらやましそうに見てるわよ」
そう言ってその子はクスリと笑う。完璧に悪目立ちじゃねえか。また嫌がらせを受けちまう。昼のおやつは死守せねば。
「あの子たちは園内でも有名な子たちばかりだから、あなたを好いているわけを知りたくなったってわけ」
八幡「す、好いているって、そんな訳ねえだろが。あいつらの気まぐれに振り回されてるだけだ」
「ふふ、すなおじゃないのね。わたしのまわりの男の子たちとはちがうタイプだから話していておもしろいわ」
そっくりそのままお返ししますよお嬢さん。あなたも初めてのケースの女の子です。
「わたしのまわりの男の子は、自分に気をひいてほしくて、わたしにちょっかいを出してきたりして、さいきんちょっとうんざりしてるのよ」
さりげなく自分モテますアピールか。この子がすると何も違和感がないのがすごいな。現にめちゃくちゃかわいいし。それにしてもうんざりしてるか。持つ者故の悩みだな。べ、別に羨ましくなんてないんだからね!!俺がすると気持ち悪いな。
先生「はーいみんなー!遊ぶのは一旦やめて、教室に戻ってねー!次はお歌の時間ですよー!」
「あら、もうもどらなくちゃいけないのね。ありがとう、たのしかったわ」
や、やっと解放される。その子はスタスタと自分の教室に戻っていく。一回立ち止まったかと思うとこちらを振り向きパチっとウインクをして、また教室に駆けていった。終始自分のペースだったな・・・。台風みたいな子だ・・・。
俺も戻るか。それにしても、周りの男の子の話をしている時、一瞬だがあの子の表情に陰りが生じた気がしたが、気のせいかな。
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雪乃「はやみかなでさんね。となりのくみの女の子よ」
八幡「ほーん。お前全員の名前把握してるのか?」
雪乃「そんなことはないわ。あなたのなまえはさいしょは分からなかったもの」
八幡「さいですか・・・」
雪乃「けれどいまはちゃんとわかってるわよ。・・・えーと、だれだったかしら」
八幡「おいやめろ、傷つくから。冗談なんだろ?冗談だよな?俺が影が薄いから認知されてないってことないよな?」
雪乃「だれもそんなこと言ってないじゃない。かげうすがやくん」
八幡「思いっきり言ってんじゃねえか」
そう言い楽しそうに笑う雪ノ下。楽しそうで何よりです。それにしても、はやみかなで、か。女の子に対して適切かは分からないが、めちゃくちゃかっこいい名前だな。俺なんか八日に生まれたから八幡だもんな。少し羨ましいな。適当につけた親父まじ許さん。
雪乃「でもなぜはやみさんのことをきいてきたの?まさかストーカーかしら?ストーカーくん?」
八幡「ばっか違えよ。さっき・・・」
先程の出来事を雪ノ下に話す。朝に聞いた話の内容と、速水がとなりの組だという事で、隣の組の噂の女の子は速水のことかなと何となく察しはついていた。
雪乃「そんなことがあったのね。まったく、このたらしがやくんは」
そう言い若干不満そうに頬を膨らます雪ノ下。いやいや今の話のどこに不満になる要素があったんだ。
雪ノ下が まあでも、と続ける。
雪乃「となりのくみのうわさはわたしもきいてはいるわ。はやみさんはわたしとおなじでかわいいから、なにもしてなくても目だつもの」
やはり噂の女の子は速水か。
雪乃「それと、うわさはただたんにはやみさんがかわいいというだけではないわ。となりのくみの男の子にはいわゆるガキだいしょうのような子がいて、その子がはやみさんにいろいろちょっかいをだしているらしいのよ。おおかた、はやみさんのことがすきで、じぶんのきをひこうとしてるのだろうけど」
八幡「まあやっぱそんなところか」
速水の主観で、ちょっかいを出されているという度合いは変わってくるが、うわさになってるくらいだから、周りから見ても少し度が過ぎてるのだろう。
なんと言うか、ガキだな。俺が言うことでもないけど。こんなの放っときゃそのうち無くなるだろ。
そう思いながらも、先程の速水の本当に嫌そうな顔が頭の中を何度もちらついたのだった。
つづく