キリトアスナの新婚生活
キリトことおれはアスナという女性と結婚をしている。もちろん法律上では不可能だがここは仮想世界だ。法律なんてものは関係ない。2年前はこの世界に希望すらもなかったが、今ではこの女性と幸せを噛み締めている。
「ね~、キリトくーん。どこか遊びに行こうよ~」
「また~?散々遊んできただろうが」
「いいじゃない、新婚なんだから」
そう言ってアスナはデレた顔をしている。
「あっ、そうだ!47層にお花畑あったよね!あそこ行こうよ!」
「おっ、いいじゃん。じゃ、行くか」
「やったー!」
「準備するから待ってて」
「はやく!はやく!」
ほんとに嬉しそうにするアスナ。こっちも愛おしく思え、幸せな気持ちになっていくようだ。
転移門から思い出の丘に移動する。ここに来るのはシリカを連れてってあげた時以来だな。彼女は、«ビーストテイマー»竜使いシリカと呼ばれていて、中層では有名なプレイヤーとなっている。可愛らしい容姿と、サービス精神旺盛な性格からアイドルのような存在になっているようだ。
「キーリートーくーん?」
アスナの声を聞きハッとする。
「きみ、奥さんとのデート中になに考えてるのかなー?」
「あ、アスナがはしゃいでて可愛いなーって」
「ふーん、まぁいいですよ」
この奥さん怖い。当たり前のように心読んでくるよ。まぁ、確かにデート中に他の女の子のことを考えるのはよろしくないな。
「じゃ、行こっか」
「うん!」
アスナは再び笑顔になって俺の差し出した手を握った。こういう時も意識が共通しているように感じるのがなんだか嬉しい。
そうやって俺達のフラワーパークデートは開始した。
コースはプネウマの花が咲く場所まで行って戻ってくる感じにしよう。
今の俺らのレベルなら、武器さえあればこの辺のモンスターには万が一にも殺されることはないはずだ。
デート感を出したいため、にできるだけの武装は外したい。だったら防具は外して武器装備しとけばいいか。
そうやってちょいちょい出てくるモンスターも軽くあしらいながらも何の苦労もなくプネウマの花の壇までたどり着いた。
「あれ?もしかして……」
その壇の前には小さなプレイヤーが立っていた。そしてプネウマの花を摘んでいる。プネウマの花が咲くということはあの子はビーストテイマーなのだろう。
「キュルウゥゥ!」
聞いたことのあるリドラの声が……
それを聞いた飼い主が振り向いた。
「え?キリトさん?」
「シリカ?ピナ?」
「そうですよ!キリトさん!」
半年以上前、1日だけこのプネウマの花を取りに行くのに付き添ったビーストテイマーの少女がそこにいた。
久しぶりの兄に会ったように喜ぶシリカはとても可愛らしいものだった。
「シリカはどうしてここに?」
「あ、あの!前キリトさんに手伝って貰いながらこのダンジョンをクリアしたじゃないですか!それで、その時のキリトさんと同じレベルになったから。思い出の丘とはよく言ったものですね。キリトさんのことを思い出しながら攻略しようとしたわけです。もちろんピナをまた死なせる訳には行きませんけど、もしものためと。それと、キリトさんと出会った記念物としての保存用にしようと取りに来たわけです…………ってキリトさん、その方ってまさか……」
隣でワナワナと怒りに震えているアスナ様に気付いたシリカは突然黙ってしまった。
「キリトくん?この子が前言ってたシリカちゃんっていう子なの?」
あっ、とアスナに気づいたらしいシリカはその後すぐに顔を輝かせた。
「私!アスナさんに凄く憧れていたんです!同じ女性プレイヤーなのにあんなに最前線で戦い続けてて、強くて、綺麗で」
そこで一旦切って
「でも、どうしてキリトさんと一緒にいるんですか?お2人ともビーストテイマーという訳ではありませんし。」
「シリカちゃん。私に憧れているって言ってくれてありがとう。でもね、今キリトくんとデートしてるからまた後でにしてくれない?」
怒りを隠す事もせず、眉を引き攣らせながらアスナは言った。
「デ、デート!?でも!私だってキリトさんとデートしたこともあるんですから!」
「きーりーとーくーん?」
「違います違います!これはこのピナの復活とタイタンズハンド捕獲の意味だったんだから!それ以外の意味は無いよ!」
アスナが怒りで震えている。と、
「キリトさん行きましょっか?」
「えっ?ええええ!!??」
シリカに手を取られ強引に引っ張られた。シリカもレベルアップさせて筋力値もそこそこ上がっているのだろう。とか普通の状態だったら考えていただろうが、そんなことを考えている場合ではない。
「待ちなさい!キリトくんは私の夫よ!」
「えっ……」
「え?……」
おれとシリカは同時に同じ声を出した。しかし意味はお互い異なっているようだ。
シリカの方は聞き間違いなのか?本当なのか?といった意味にとれるだろう。
一方おれは、こんな所で言ってしまっていいのか?という意味で声を発していた。
しかし、幸運にもこの場には他プレイヤーはいなかった。ここはビーストテイマーが来ないと花は咲かないため、彼女ら以外はそうそう来ることもないだろう。
今のアスナは周りが見えていないため、他プレイヤーがいてもいなくても関係ない。
アスナはズシンズシンという擬音が似合う様子でおれらに近づき、おれの腕がアスナに取られ、問答無用で腕を組まされた。
「はぁぁ~」
厄介なことになったな……
左には手を繋ぎながら歩くシリカ、右にはアスナが腕を組みながら歩いている。
この女性が圧倒的に少ないSAOでそんな様子で思い出の丘を歩いていれば誰だってザワつく。しかし、今回は別格中の別格だ。なんたって、この女性プレイヤーが圧倒的に少ないSAOでも可愛い事で有名な2人。方や実力と美貌を兼ね備えた才色兼備のプレイヤー、最強ギルドの血盟騎士団副団長という肩書きも加わりこのアインクラッド全体にその名を轟かせているアスナ。
方や、この辺のような中層では数少ないビーストテイマーの1人であり、さらにその可愛らしい容姿も相まって竜使いシリカなどと呼ばれ、アイドル的な存在になっていた。
そんな2人と一緒にいるあの冴えない男誰だ
よってなるのも分かるんだけど……
もうちょっと気にしないふりしてくれてもいいじゃないかぁぁぁぁ!!
「キリトくんは私の物なんです~!ちゃんと『俺の命は君のものだアスナ』って言われたんです~!」
そんな恥ずかしいこと人前で言わないでほしいんだけど。
「なっ!キリトさんは私にも優しくしてくれたんです!」
「キリがないわね。だったら勝負しましょう。キリトくんとここでデートしてキリトくんに良かった方を選んでもらう。どう?」
「良いでしょう。勝負です!」
俺の意思は関係無いんだろうな。まぁそれで落ち着いてくれたら拒否することはないんだけどさ。めんどくさいことになってきたなぁ。
先行はシリカだ。
「よーし、キリトさん!行きますよ!」
「ああ、じゃ行こっか」
そうやって勢い良くキリト×シリカのデートが始まった。
「シリカは今何やってるの?」
「え~と、前みたいに色んな人に手伝ってもらいながらレベル上げとかやってますよ」
「へぇ~、あの時の俺くらいのレベルはありそうな感じだし。頑張ってるんだな」
キリトはシリカの頭を撫でた。
「ちっ!」
後ろで鬼の形相で見つめながら舌打ちをするアスナを後ろで感じた。
今は許してください!!いちおう勝負なんで!!
後ろの嫁は今は置いておく、アスナの番の時は甘やかしてやろう。
おっと、今はシリカに専念しないと。
そう思ってシリカを見ると。
ぼふっ!といった感じで顔を赤くして立ち尽くしていた。
「ちょっ!シリカ!?シリカー!!」
シリカはそこでデート終了となった。
「次は私の番ね!」
今度はアスナが腕を組んできた。と思ったら、
「ねぇ?あれはどういうこと?」
あれとはもちろんシリカの頭を撫でた事だろう。
「あれは仕方ないだろ?いちおうデートっていう事なんだから」
「まぁいいわ。でも私の時はもっとしてよね?」
「もっとって?」
「今日の夜ね?」
おまっ!こういう所で言うなよな!?
この嫁には逆らえないな。
「だから、今はこのくらいで我慢してあげる」
そうやってアスナは俺の頬に軽くキスをした。
それからは普通に花を見て回っただけだけどそれでもアスナとこうやって歩くのは幸せ以外の何物でもなかった。
デートを終了させて、すぐ後ろで観察していたシリカの元へ戻るとシリカは何故か嬉しそうにしていた。
「勝負は私の完敗ですね。お2人はほんとに仲が良いんですね!少し妬いちゃいますけどアスナさんになら安心出来ます。これからもよろしくお願いします!もちろんキリトさんとも、そして私とも仲良くしてくれると嬉しいかなって」
モジモジしながら言い終えたシリカの顔は晴れ晴れとしていた。
「うん!よろしくね!シリカちゃん!」
アスナもそうやって答えるとそ顔も笑顔が浮かんでいた。
「なんか、姉妹みたいだな」
少しはなれて見守っていたおれはそんなことを思った。
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今回はなんとか1月中に投稿出来ましたけど最終日に出すってどうなんですかね(汗
今回の作品は本当はキリトとアスナだけで書くつもりでしたがなんか面白みが無かったのでアスナとシリカをメインにさせていただきました。1回アイディアが迷走してエロ系に走るところでしたw
とっても短かったと思いますが楽しんで頂けていたら嬉しいです。今作を読んでいただきありがとうございました。面白いと思ってもらえたら読んでいない方は前作も読んでみてください。
前作 https://syosetu.org/novel/143081/